アンドロイドで警察なおすすめアニメランキング 4

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメのアンドロイドで警察な成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年11月04日の時点で一番のアンドロイドで警察なおすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

75.9 1 アンドロイドで警察なアニメランキング1位
イノセンス -INNOCENCE(アニメ映画)

2004年3月6日
★★★★★ 4.1 (769)
4244人が棚に入れました
草薙素子(少佐)がいなくなって3年後の2032年。
少女型の愛玩用アンドロイド(ガイノイド)「ロクス・ソルスType2052 “ハダリ(HADALY)”」が原因不明の暴走をおこし、所有者を惨殺するという事件が発生した。被害者の中に政治家や元公安関係者がいたことから公安9 課で捜査を担当することになり、公安9課のメンバーであるバトーは新しい相棒のトグサとともに捜査に向かう。

イシカワ(辻斬り) さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

あなたのハダリにゴーストは宿っているか

 記載されているレビューに対する反論・論戦を行いたい人は、メッセージ欄やメールで送りつけるのではなく、正しいと思う主張を自らのレビューに記載する形で行ってもらいたい。
 なおこれらのレビューは個人的推論に則ったものである。言い切っているような台詞も、独自の解釈の一環であり、一方的な決め付け・断定をしているのではないものだと思ってもらいたい。

『少女型のアンドロイド・ハダリが原因不明の暴走を起こし、所有者を惨殺するという事件が発生した』
 イノセンスのストーリーを非常に大まかにいうとこういう形になる。
 義体化。体の大部分を肉体ではなく、代替品でまかなえるようになったSFの世界の話である。

 ストーリー上、ゴーストという概念が非常に重要性を帯びてくるため、そこだけwikiから文章を拝借した。

ゴースト
 あらゆる生命・物理・複雑系現象に内在する霊的な属性、現象、構造の総称であり、包括的な概念である。作中においては主に人間が本来的に持つ自我や意識、霊性を指して用いている。
 要約すると人間の肉体から生体組織を限りなく取り除く、あるいは機械で代行していった際に自分が、自分自身であるために最低限必要な物、又はその境界に存在する物こそゴーストであり、生命体の根源的な魂とも表現できる。

 人形と人間の境界線をゴーストで隔てる、そういう考えが攻殻の世界にはあるようだ。
 では人間と人形の差は何なのか。また人が人形に求めているものは何かである。
 筆者はあるハーレムもののアニメを視聴していたとき感じたのだが、まるでキャラクターが生きているようには思えず、まるで人形に見えてしまったのである。なぜ、人形に思ってしまっていたのか。
 まず、女の子特有の、異常なまでの情報伝達の速さがある。人によっては光の速さで噂が伝わるとまで表現している。ハーレム状態で、主人公の男がそのうち特定の誰かと交際関係を始めたら、一挙手一投足、更には太腿や胸元などに視線を一つ向けたことまで、下手をすると一週間も経過しないうちに、見知らぬ女性にまで伝わってしまうことである。驚異的な噂話好きの女性達にとって、その程度は日常茶飯事なのだし、もっといえば生理現象といってもよい本能だと筆者は強烈に感じ、またそう思っている。
《「女」の字を三つ合わせるとやかましい意の「姦」の字になるところから》女はおしゃべりで、 三人集まるとやかましいという意味があるほどだ。
 それが起きるとどのような事態に変化するのか。何かあるたびに噂のネタにされ、ツツき回され、念入りに人間性を審査され、あること無いことまで吹聴され、話に尾ひれをつけられる。日常生活において支障を来たしてしまうのは無理からぬ状態になると容易に推測される。それがないのだ。
 また、ハーレムでも女性はちゃんと一人一人心を持っている。なので、相手にされず放置を続けると、不満が溜まる一方になっていく。そしてあるとき、見境も無く爆発したりすることがあるのだ。出物腫れ物ところ嫌わずという。だからといって、男が特定の女性一人に決めて行動すると、選ばれなかった他の女性の不満が爆発してしまうときがある。それがないと心を持っていないように感じるのだ。
 男性主人公からすると……
 誰にも女性の暴挙に対する愚痴一つ漏らせない。漏洩した瞬間から女性陣の一斉攻撃が始まるだろう。そして、いつ爆発するかもわからない不満を和らげるために、いつも周囲に気を使う仮面をかぶり、常に自制し続け、自らの意見が周囲にどう映っているかを考え、女性にとって都合の悪いことは何一つとして話すこともすることもできない。針のムシロ。恐るべき閉塞感の中で悶々とした生活を送ることになる……というのが筆者の考えだ。しかし、ハーレムものの中心にいる男性キャラクターにそういう経験したというのを見聞きしたことがない。もし誰か一人の女性だけに交際を定めた場合、女性同士の陰湿ないじめ、果ては自殺などに発展する可能性がある。ハーレムアニメの中でそのような事態になったというようなことも、筆者は見聞きしたことがない。

 ある女性アイドルの男性ファンが『○○ちゃんはウンチなんてしないんだ』といったという話がある。それを話題にしたところ、普通の人間なら、花くらい摘みに出かけることもあるはずだという反論も出た。
 アイドル業はファンあってのものなので、事務所側は汚いものは見せない、イメージダウンに繋がることなどさせたがらない。それは、ある女性アイドルの話を偶然仄聞した事項まで連想させた。アイドル自身、その人を演じていた。あの人はこういう人なのだという言い回しをしていたのを思い出す。等身大の人間ではなく、ドラマの中の登場人物のように演じているのだと。アイドルの語源は偶像である。
 ハーレムアニメのキャラクターは生きているようには見えず、単なる人形・マネキンだと自ら表現したことに対して、同じく自ら反証するとしたらどうなるのかと自問した。答えは、お約束によってアニメが成立するため、人形であろうと問題ない。噂話に興じるような女性特有の生理現象と思えるものがなくてもよい。問題ないという結果になった。
 その矛盾点がないとストーリーとして成立しないのならかまわないのである。それはお約束なのだ。
 単なる手抜きであったとするのなら、そういう矛盾点がなくてもストーリーとして支障を来たさないどころか、あるとストーリーが破綻したりする類のものだろう。
 女性的な生理現象としての噂話、光の速さで浸透する情報はなくてもよい。
 そういう思考にたどり着いて以来、筆者は生理現象のない人、極端な話、花も摘むこともない人の形をしたものでも気にしなくてもよくなったのである。
 筆者がなぜマネキンと評してしまったのかは、生理現象が無い=生きていないと感じたからだった。

 涼宮ハルヒの声優さんが、スキャンダルを起こした、起こさないで揉めたという話が出たことは筆者の記憶に新しい。声優さんとキャラクターは別の存在であり、非難するに値しないという解釈は十分成り立つ。しかし、中の人という表現もある。騒ぎになってしまう原因は、声優とキャラクターを同一視するか、それに極めて近い感情を有している人々がいるからだと推察できる。
 こうしてみると、ハーレムもののアニメはメタ的な作りになっていることに気付いた。まず男性視聴者がアニメの女性キャラを求め、アニメの女性キャラたちは一人の男性キャラクターを求める。その男性キャラクターは男性視聴者の分身として製作されているのではないかと思える。男性キャラクターは一人だけだが、男性視聴者は大勢いてかまわない。この特殊な構造を生み出すことによって、男性視聴者を満足させる試みがなされているのではないか? 以前なら、アイドルの恋愛はタブーのような人気業種だろうし、今でもあまり変わり映えがしないように思える。声優さんの例を挙げるまでもなく、恋愛対象などいないことが好ましかった。それをアニメというジャンルによって、アイドルを擬似的に恋愛させる、恋愛対象は男性視聴者の分身という形に変化したのではないだろうか。
 当然例外は存在するものの、基本的にハーレムものの女性キャラクターは男性視聴者を落胆させるような作りにはなっていないように思える。落胆するかどうかの基準についても、視聴者の目線は主観的であるため、確実性があるとはいえない。
ここまでのまとめとして、アニメのキャラクターも、人気女性アイドルも、同じく偶像的という類似点があるといっていいのではないか。
 男性視聴者の嫌がる生理現象を行わないため、結果として生きているように見えず、マネキンと思われてしまうことがある、ということだ。

 偶像化の類似種として登場するハダリ。
 アイドルも、人形・ロボットのハダリも同じように偶像の類似種としてみることはできるのだろう。ハダリそのものは、女性アイドルの代替品として存在しているような感覚を筆者は覚えた。求めるものを具現化する、というやり方はアニメもアイドルも、類似点がある。
 筆者が想起したもの。ハダリの存在理由は、俗に言う嫁ではないかという感想である。アニメの女性キャラクターを指して、自分の嫁だと思うことだ。嫁が画面から出てこないという表記があにこれにもある。あれだ。
 イノセンスの最初の場面を視聴していたとき、筆者の頭の中では、ある想像、いや妄想といってよいものが起きていた。

 以下妄想。
 俗に言う嫁を脳内で愛おしく思っている男性視聴者の学生が、いそいそと塾から戻ってきて、夜食を取りつつ、お気に入りの嫁の映っているアニメの視聴時間が来たのでテレビにスイッチを入れた。
 アニメの主人公の男性はあまり冴えない容貌で、これといった特徴もない人柄。人によってはへたれと呼ばれてしまいそうな性格である。そして、思春期の学生らしく、女性に自意識過剰になってしまいがちで、リビドーを押さえることが難しい感覚を受ける。
 嫁の傍に近寄って、欲情の視線で盗み見た瞬間……
 なぜか嫁は、激しく暴走し、信じられないほどの腕力で主人公の男性を素手で滅多打ちにし、撲殺してしまう。血塗れだ。鮮血が飛び散って文字通り周囲を塗り尽くしている。付近の壁によりかかるようにして斃れた男性主人公の頭蓋骨は陥没し、はみ出た脳が地面に垂れ下がっている。
 溜まりに溜まってきた怒りか、堪忍袋の緒が切れたように爆発したのか。
 周囲にいた人々は怯え、警察を呼ぶ。嫁は路地裏に逃げ込み追い詰められる。路地の突き当たりにまで行き着いた嫁は逃げ場を失っていた。
 そこにやってくる一人の刑事らしき大男。大男と対峙した嫁は叫んだ。
「私は我慢してただけよっ!私は男の奴隷じゃないっ!男のいいなりになんかならないっ!」
 大男は無言で拳を嫁に叩きつける。逃げ場を失った嫁は、どこから持ってきたのかわからない包丁で自分自身の体を切り刻み、自害した。
 凄惨な現場で取り調べが始まる。テレビ画面を見ていた学生の男は呆然として、一言いった。

「俺、殺されてる」

 以上妄想終了。

 ある若手の女性ニュースキャスターが、自分のいいたいことを表現したところ、職場の男性陣からいろいろといわれたという。あいつは生意気だ。人から言われたことをやっていればいいのだ。女が自分の考えをニュースでいうなどおこがましい、と。結局その女性はニュースキャスターを辞めたという。
 男性視聴者の手前、職場からいわれている手前、規制されているような状況と類似した不満。それが爆発したかのような……その記憶との連想を想起させる事件がイノセンスでは起きている。
 筆者のした妄想を、攻殻という形で表現したら、作品としてイノセンスができあがった。そんな感じがしたのだ。事実としてそんなはずはなかった。先に作品はできあがっているのだから。
 筆者が注目したのは、事件を起こしたのが人間ではなく、女性型ロボットのハダリであったことだ。人間型であっても、人ではないはずだ。しかし、どう考えても筆者からみてハダリは「生々しい女」だった。
 ロボットは怒りで人を殺さない、ロボットは逃げたりしない、ロボットは追い詰められたからといって自壊しない、……そのはずだ。それとも前もってプログラムされていたのか?
 男性視聴者の嫌がる生理現象を行わないため、結果として生きているように見えず、マネキンと思われてしまうアニメの女性キャラクターは、飽くまで人という設定だ。生身のはずなのだ。なのにイノセンスでは人形であるにも関わらず、ハダリは生身の女のように思えたのだ。
 それは様々な人々によって意図的に隠蔽されてきた、剥き出しの人間性が露出していたからではないか?

 イノセンスのワンシーンが回想される。
「ああ、俺もよくやるよ、感想」
「あんた出世しないな」

 義体化率が90パーセントを超えてしまう人間が闊歩する世の中で、人と人形の差は縮まり、曖昧なものになっている。それが攻殻の世界にみえる。では人と偶像の明暗をわけられるものがあるとしたら、それは一体なんなのか?
 そもそも、なぜそのような事件が発生してしまったのか、原因は何か?
 それを追っていくのが、筆者から見たイノセンスである。

 もし、嫁が暴走をしはじめたらどうするか?
「カオがよくてお金持ちで性格のいい若い男なら」
「今まで素振りもみせなかったけど、ほんとは冴えない男と付き合いたくないよね」
 人間からみたロボットの立場は、奴隷だという人もいた。ゴーストを持たぬ奴隷。ではその奴隷が人間性・ゴーストを持ってしまったらどうなるのか。
 アニメの女性キャラは決して男性視聴者の奴隷ではない。ゴーストはすべての女性キャラに宿っている。そういう人もいるだろう。しかし、アイドルとアニメの女性キャラを比較すると完全にそういい切れないところも出てくる気がするのだ。アイドルは実際にいるし生きている。アニメのキャラは生きているとはいえない、と言い切る人も出てくるだろうし、意見が分かれてしまうだろう。
 規制されていたものがなくなったとき、男性視聴者の予想外の言動が出てきてしまったらどうするのか。その時、若手の女性ニュースキャスターの職場にいた男たちのように、お前は黙って男の望んだとおりに動いていればいいんだ、といえばいいのだろうか?
 それとも、受け入れてやるのだろうか?
 薄い本が好きな、アニメ好きの男性たちの欲求を商品化するとどんなアンドロイドが作られていくのかと想像する。答えは、アニメのキャラそっくりのセクサロイドが作られるのではないか。キャラクターが描かれた抱き枕の発展版かもしれない。それと極めて類似するハダリ。
 ハダリから感じた……剥き出しに露出した人間性、そうみえたものが、ゴーストのように思えてしまったのである。ご主人様を殺害してしまったハダリにはゴーストが宿っていた。
 やたらと夜のオカズにされたりしているアニメの女性キャラは暴走しない。
 そこに、ゴーストは宿っているといえるのか?
 その話をしたところ、

『まぁ当然ゴーストが宿っていたから暴走したというのは間違いないですw』
『ゴーストがやどっていて大人しくしているとしたら、よほどのマゾですね』

 という意見が返ってきた。
 嫁に殺されるご主人様を題材にしたアニメを作るあたり押井監督はえぐい。しかし、その意図はどこまで一般視聴者に読み取られているのか。いや、筆者の勝手な想像にすぎないのか?

 そのようなことを夢想していた。忘れてもらってもいいのだが、心のどこかで筆者は問いかけてしまうようだ。


 あなたのハダリにゴーストは宿っているか、と。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 26
ネタバレ

シェリー さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

ほんとうはイノセンスであり続けたい。

前作『GHOST IN THE SHELL』の続編にあたる映画です。
この映画を初めて観たときにはピンと来ることはなく、むしろ分からなくて、というか伝える気もないその映像に呆れしまい「もう二度と観るかよ」と吐き捨てるくらい不快感を覚えたものでした。
しかし、2年の時を経て見返すきっかけがあったので時間を無駄にする勇気を出して観てみたところそんなに分からないことだらけではないなと思いました。なんだか不思議なものです。

本作は本編の前に15分のプレビュー解説がありますが前作を観た人にはまったく必要はないと思います。
肝心の本編はCGをこれでもかというくらい駆使した映像の中、草薙素子のいなくなった9課の様子を描いていきます。「2501」この再会の合言葉が使われるときが来るのかというところに期待を持てます。
作品の雰囲気はあんまり明るいことはなく、いつもみんな下を見ているようなそんな感じです。
だれの頭の片隅にも常に少佐がいて任務に出る度、何かを考える度に彼女がいればと口にしてしまいます。

ストーリーにもそんなに捻ったところは見受けられないところをみるとやはりバトーと少佐の再会を最も重視していることが分かります。
でもラストのシーンになってようやく話の内容にとりあえず頷くことはできますがいささか無駄が多いような気もします。
本作が何を意図しているかをとりわけ真剣に考える人にとってこれは厄介です。
本当にそうでもしない限り語ることができないのか、難解であるかどうかは別としてももっとスマートに描くこともできるのではないかと思いました。
これもこれから下に書く混乱の要因として多分に影響していると僕は思います。

情報量のとても多いことが1つの特徴でもある押井監督作品ですが本作でもそれは同じ。
けれど本作を観ていてする混乱の一番の原因はそれではなく度々口にされる引用にあると思います。
本作の登場人物たちは人生の警句や人を端的に比喩した言葉を諭すのに使いジョークのようにも使います。
これらが出てくる度に僕らは何を意味しているか考えるのだけれど会話は止まってくれません。
そこにいつまでも引っかかっているとストーリーは川のように流れて行ってしまって見失ってしまいます。
言っていること自体は難解というほどのことではないのだけれど、この会話のリズムに慣れていない、あるいはすぐにこれらに反応できないがために他のことまで整理できなくなり「わからない」と手を離してしまう。これが一番の混乱の元ではないかと思います。僕はそうでした。
ハラウェイやキムの難しい語りよりもむしろこちらの方が厄介に思えます。

初見では僕はこんな感じでしたが、2度目は割とすんなり観ることができました。
やはり押井監督作品は『パトレイバー 2 the Movie』でもそうだったように何度か観ることを自然と強いられます。
厄介な部分が表面化したところで、これから見返す人は短いスパンでしたのでは新たな発見はあまりないかもしれません。
忘れたころに見返すか、嫌悪感がある程度消えてからか、または脳の中である程度整理されてからの方が内容の理解はスムーズにできるかと思います。


この作品に嫌悪感を持っている人も少なくないはずです。
エンタメ要素は皆無だし、内容も鬱屈としている。
けれどもう一度だけなら観てみてもいいのではないかと思います。もう一度だけ。
初めての人はもういっそのこと、「わからないモノ」として観た方がいいかもしれません。あるいは。

イノセンスがいかに大切であるか。それをアニメーションという形で表現した物語です。


{netabare}

押井監督の持つ哲学や人形の考察は他のレビューで語られているので(ロクに読んでいないけど)僕は”イノセンス”に注目したい。
というより本当はその辺は割とどうでもいい。なんとなく掴むことができればいい。がっつりと注目するところではない。
それがどんなに難しく、かっこよく、あなたの頭にこびりついていようとも、それは所詮細部のことだから。
あなたが一番思考する部分や悩まされる部分が主題ではなく、自分自身で作品から拾い集めて考えること、悩むことが主題を見抜くことに繋がるのだから。
よって主題は表面的な意味での「人と人形の違い」ではない。と僕は思うのですが。

まあ色々ありますが、要するにこの映画は何が言いたかったのだろうと表題の通り”イノセンス”を中心に考えてみる。
あまり参考にはならないかもしれませんが。

 ハラウェイやキムが難しいことを淡々と述べたいたのを観た通り、人は知識あるが故にたくさんのものごとを思考する。とりわけ人間に興味を持った彼ら(先駆者含め)はそれぞれの行動に名前をつけその起源を分析する。その行動が何に基づき、何のためにされているのか。さらにそれが進めば僕たちすべての人間は、有効的かつ合理的でもっとも利益を生むことのできるようにプログラムされた遺伝子を運ぶキャリア(乗り物)であるとそう言えるだろう。でもまたそれが違うことも僕らは知っている。恋やセックスが子孫繁栄のためだけの欲望の発露ではないことは少なからず実感している。こんなことは言うまでもない。
 さらに彼女らのその行き着く先はとても寂しい場所だ。ついに彼女は、私はいったい何者なのだろうと自分に問いかける。だんだんと大事なものがぶれ始め、最後には失ってしまう。そして一度失ったものは死んだ後でも取り戻すことはできない。
 イノセンスであること。もしかすると幸せであることの答えのひとつはこれではないか。
 これは考えなしに馬鹿であればいいという単純なことではない。目の前にある事実を、その嬉しさ、楽しさをそのまま受け入れればいいというイノセンスであること(無垢であるまたは素直であることと言ってもいい)を指す。「何のために」なんていちいち考える必要はない。「ここでこの行動をした人間Aに生まれる利益は?」なんて考察する必要もない。あなたが感じることをありのまま抱きしめることこそが人であるということであり、イノセンスの喜びなんだろうと思う。でもそれはすでに失われてしまっている。
 それをもっとも象徴したシーンがラストでバトーが子どもに向かって激高したあのシーンにある。思いもよらないその台詞と怒りの方向にはきょとんとしてしまった人も多いはず。「自爆した人形がどうなるかは考えなかったのか」とセクサロイドのゴーストのために利用された女の子に言うこのシーンはどう考えても普通ではない。
 ここでのバトーの心情を探るのは僕には難しい。でもこれだけは言える。バトーはその生きている生身の女の子より人形の方を大切に思ってしまったのだ。それを「イノセンス」の一言で気づかされた。「わたしだって人形になりたくなかったんだもん!」
 なぜバトーが生身の生きた女の子でもなく、自爆の際に巻き込まれる人間でもなく、まず人形を気にかけたのか。それはやはり草薙素子だろうと僕は思う。バトーは前作から少佐を誰よりも人として扱ってきた。彼女が裸であれば自分の上着を肩にかけ、着替える時には目をそらした。現在彼女はネットの一部であると同時に全てである。バトーは彼女が問題の人形に入り動いているところも見、共に行動した。だからなのだろう。ネットにアクセスできる全てのものは彼女であるようにまた、どの人形にも少佐は入ることができるということ、つまり人形は少佐自身なのだ。身体を持たない少佐にとってそれが「肉体」であるのだから。それに元々は少佐も全身義体であったのだ。それゆえに、彼にとって人形はとても大切な存在であり、それが無暗に壊されることに議論の余地はなかったのだろう。
 しかしその後に少女のイノセンスのこだまに自分が何を愛でているのかを知る。それは人形。おいおい、そんなもんより生きた生身の人間が目の前にいるじゃないかと彼はそこでやっと気づく。
沈黙が降りる。イノセンスの象徴とイノセンスを失ったものと草薙素子の入った人形が静寂を守る。
 バトーの言葉を草薙素子も聞いていたのだろう。バトーはなんとしても彼女のことを弁護したかったのだろう。今現在少佐の入っている人形がでたらめに壊されることは許せなかったのだろう。目の前のこどもを前にして彼の倫理観は揺れる。答えは女の子の言葉にハッとしたときにすでに出ていたのにだ。
 「行くわ」と女は去る。ガラクタは音を立てて崩れ落ちる。その音はバトーの耳に普通ではありえないくらい大きく聞こえたに違いない。


 本作で言いたかったことはおそらく失われたイノセンスの哀しみだ。特にハラウェイは多くの実験の分析結果と明らかになりつつある事実に、その高度な思考ゆえに背負う苦しみを嘆いていたに違いない。たくさんの思考がいろんなことの妨げになることは僕らにだってたとえ、作品内でされた難しい考察なんかしなくともよく分かる。だって生きることに悩まずにいられればもっと簡単に過ごせるだろうし、迷走することもクレイジーな行動も少なくなるはずだから。一神教やオウムやテレビやカリスマの言葉や誰かの言っていたことでも何でもいい。そこに思考を預けることができたら、そこは正しさに満ちていてとても平和で幸せなんだろうなと思う。でもそうしないのはそれが間違っている(あるいは自分が望むものではない)し、自分の足で歩いていない以上生きた心地はしないだろうと思うからである。僕はハラウェイとは違い、救いがためにイノセンスに憧れたりはしない。イノセンスの温かさはもっと別のものであるし、傷ついても強く、タフに生きていくことの方が僕にとって何倍も意味のあることだから。だから僕は進んで砂嵐に入る。たくさん血を流し、骨が折れても歩むことだけは決して止めはしない。人間がどのようなものであれ、失われたイノセンスと共にその苦を背負い自分なりの幸せの答えを探し出す、少なくともその日までは前を向いていようとそう思う次第です。




余談
バトーの感情の考察はあんまり正しくないかもしれません。ごめんなさい。
でも、あの女の子が叫ぶシーンの動きはあれはダメですよね。あんな動きされたら笑っちゃいますよw
そのせいかなー。そこで切れちゃったのかもしれない(人のせいにする最低なヤツw)。

「イノセンス」ということについて僕は色々考えてもみるんだけどなかなか掴めません。すごく難しいです。

『GHOAST IN THE SHELL』はこれからも何度も観ることになるけれど『イノセンス』はもういいかな。
考えてみたら好きなところないしね。まあでも呆れていた人ももう一度くらいは観てみて下さい。
それでは、あでゅー。

{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 12
ネタバレ

Tuna560 さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

『INNOCENCE』作品紹介と総評+考察「心と身体の観念②」

押井守監督の代表作『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』の続編。
TV版(SACシリーズ)との繫がりがないため、前作を観ていないと話に置いていかれる事間違い無しです。
前作レビュー:http://www.anikore.jp/review/381599/

(あらすじ)
前作から4年後の2032年が舞台。
少女型の愛玩用アンドロイド「ロクス・ソルス社製 Type2052 “ハダリ(HADALY)”」が原因不明の暴走を起こし、所有者を惨殺するという事件が発生した。被害者とメーカーの間で、示談が不審なほど速やかに成立し、被害者の中に政治家や元公安関係者がいたことから公安9課で捜査を担当することになり、公安9課のバトーは、相棒のトグサとともに捜査に向かう。(wikipedia参照)

理解が非常に困難だった前作同様、今作も非常に頭を使わされました。ストーリーはより難解に、テーマはより不鮮明に、印象はよりダークに…敷居が相変わらず高い作品です。セリフにも過去の偉人の名言などが引用が多用されているのも、さらに敷居を高めてますよね。ただ、押井監督の独特の世界観・台詞回しは健在で、個人的には非常に引き込まれました。

映像や作画に関しては、前作から9年もの期間が経過しているという事もあり、凄く進化していますね。全体的にCG主体の作風に変わり、前作に輪をかけて美麗になっています。東南アジアを連想させる様なエスニックな風景描写もとても好みでした。また、キャラデザに関しては『SACシリーズ』に近い印象を受けましたね。共通の世界観を持たせたいという事でしょうか?

ここで、『イノセンス』という題名の考察をしたいと思います。
本来ならば『攻殻機動隊2』といった、続編的な題名を付けるべきですが、なぜこの題名なのか?

{netabare}一つ考えられる事は、主役が素子からバトーに変わった事。
前作の続編ではなく、スピンオフ作品という意図があった事が考えられます。

そしてもう一つは、題名からその作品の内容を感じ取らせる事。
本作の題名『イノセンス』の意味は”無罪や無心”という物があります。個人的には、後者の方がしっくりしますね。

本作の結末は、アンドロイドに人身売買でさらわれた少女達のゴーストをコピーした事が発端です。自らの人格を失いたくないとアンドロイドに細工をし、救助の糸口を作ろうとしたのです。その行為はもちろん自らが助かりたいがためで、人を傷つけるという可能性については考えていませんでした。つまり”その事以外に心がなかった”ととる事も出来ます。{/netabare}

さて、ここからは『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』のレビューでの続きになります。
哲学的解釈になりますので、お堅い話が苦手な方は「戻る」ボタン推奨です…。
今回のテーマは「人の概念」についてです。

{netabare}前作のレビューでは電脳・義体とゴーストを”二元論”を用いて、”心と身体”の関係で考察しました。その結果、”人間と機械の境界線”が曖昧になってしまったというお話でした。

しかし、”人間と機械の境界”が曖昧になった事により、さらに曖昧になってしまったものがあると私は考えます。
それは”人の概念”です。


・死の定義
まずは死の観念について考えていきましょう。
前作のレビューでも比較した”人間と機械”の死について比較したいと思います。

機械についてはそう難しくはないですね。機械の”死=故障”、つまり動かなくなればそれは死を意味すると言ってもいいでしょう。しかし、機械は故障箇所が分かれば、パーツ交換や修理をする事で再び動く事が出来ます。ある意味”永遠の身体”があるともとれますね。

問題は人間の死についてです。一般的には、”生命活動が止まる事”を指すと思います。
人間の場合、年を重ねるごとに老いが生じ、寿命をもって死に至ります。これは如何に医療技術が進歩しようと、超えられない壁だと思われます。つまり、人間は機械とは違い、”永遠の身体(命)”という物が叶わないという事です。

人間の死の定義について論ずれば、”その境界線”をどう捉えるかという問題が生じますが、それについては医学的なお話しになるので…深くは語らないでおきます。


・”二元論”の観点での”死”とは
前作のレビューでも述べましたが、二元論とは”心(魂)と身体(肉体)がそれぞれ存在し、それらの相互作用によって人間の行動は為されるという物です。つまり、人間は”心と身体”が存在してこそ”生きている”と言いう事を体現し、どちらか片方が失われればそれすなわち”死”を意味しています。しかしながら、もちろんこれは”生身の人間”での話です。

本作の世界観では身体は義体化(アンドロイド化)、脳は電脳化(バイオネット化)がされており、体が失われてもパーツを交換する事で修復する事が出来ます。上記にも述べましたが、機械の特性である”永遠の身体”を手に入れてしまったということを表していると思います。

しかし、二元論的観点から考えると、心(魂・ゴースト)が失われれば人間は”死”へと向かうため、”永遠の命”は実現出来ない…と思われるでしょう?
今作ではなんと”ゴーストの複製”が登場してしまいました。人間が生まれながらにして、唯一無二である”魂”までもが複製可能になってしまったのです。これすなわち、”魂”までもがバックアップ(復元)可能ということですね。

こうなってしまうと、人間はまさしく機械と同じく”永遠の命”を手にしたも同然なのです。”人間と機械の境界”が曖昧になると、その存在の定義までが曖昧になってしまう、と私は感じました。

その事が最も顕著に感じられたのは、アンドロイドが自らを壊した現象の呼び方です。
”自殺”なのか”自壊”なのか…行為は同じでも、その意味は全く違うと私は思いました。


・狂った人間の意識
”人間と機械”が混同した事により、死の概念だけでなく”人の意識”も曖昧になり、そして狂ったのではないかと感じてしまいました。それは、人間とアンドロイド(人形)との関係性です。

この事については、本作の登場人物であるハラウェイとキムが語った対称的な人形の美学に注目したいと思います。
子供の人形遊びは子育ての練習ではなく、むしろ子育てが人形遊びの快感の再現だと語る未婚のアンドロイド技師ハラウェイ。そして、人がアンドロイドを愛でるのは、両者が完全なる無意識の存在だからであるとし、自らも意識のない人形になろうとするキム。

両者の意見は異なりますが、その本質は”無意識への愛情”。
”魂”ある人間が、”魂の入っていない(イノセンスな)”人形を愛でるという事です。

”機械に限りなく近くなった人間”は自身の存在の曖昧さの為に、無意識の内に”人間に限りなく近い人形”を愛でる。
”人間と機械”の境界線の曖昧さは”愛情”といった感情までをも狂わすということだと思われます。

そう、狂せるのは人形や機械ではなく、人間の方ではないでしょうか。
人が招く災いは堪えないのかも知れないですね。{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 27

53.0 2 アンドロイドで警察なアニメランキング2位
EX-ARM エクスアーム(TVアニメ動画)

2021年冬アニメ
★★★☆☆ 2.3 (126)
330人が棚に入れました
2014年、機械嫌いの高校生・夏目アキラは自分を変えたいと思い一歩を踏み出す。が、突如とトラックにひかれてしまう──。そして2030年。東京港湾部、未知の兵器「EX-ARM」取引現場に潜入した警察・上園美波とアンドロイド・アルマのコンビを、「EX-ARM」No.08を装備した敵が襲う。彼女たちは起死回生を賭け、敵から奪った「EX-ARM」No.00を起動させるが……!?

声優・キャラクター
斉藤壮馬、小松未可子、鬼頭明里、浪川大輔、上坂すみれ、石川由依、八代拓、左座翔丸、小林ゆう、富田美憂、新井里美、遊佐浩二
ネタバレ

pister さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.6

みんな目が死んでる~

3話までの感想{netabare}
原作未読、前情報一切ナシ。
視聴した瞬間の第一印象は「お?忍者コレクションCG導入したんだ」。
うん、まぁ作画っていうか映像クオリティは酷い。
思い切ってフルCGなら“RWBY”みたいに「この世界はこういうもの」と、抵抗あるかどうかは別として没入できそうなところを中途半端に挟まれる手描きアニメがそれを阻止する、素に返る。
ってか手描き部分が標準レベルのアニメで、そこはCGに合わせて死んだ表情にすれば多少は違ったんじゃないかなー?
まぁRWBYに比べたらアクションもガッタガタでとても見てられない部分もあるんだけど…2話のヘリなんてもうなんだよと、劇場版ゴルゴ13かよと。

けど、あくまで個人的にはだけど、“ジビエート”よりは随分マシ。
ちゃんとした原作のあるなしの違いなのかな?ストーリーや台詞の掛け合いは普通に出来ている。
ジビエートなんて内容スカスカで30分もたないから会話の途中に妙な間が空いたり、カーナビやカレー等のお寒い尺稼ぎしたり、アップ多用で位置関係が謎だったりしたもんだけど、こっちではそういうことは…無い、多分。
先述の2話のヘリも、作画スタッフのアレ加減を見て急遽差し替えたような感じで、コンテ段階まではマトモだったんじゃないかな?と予感させる。
どのシーンを切り取るか、どのシーンに何秒取るか、そういった辺りは普通に出来てて、それに作画が追いついてないだけな気がする。
その…酷いこと言っちゃえば、画面見なければ楽しめるかも?
ジビエは画面見なくても不愉快だったからね、この差はデカいんじゃないかなー?(物凄い底辺の争いではあるけど)

一番残念なのは、アルマって“ビートレス”のレイシアや“プラメモ”のアイラみたいな役所ちゃうん?
もっと突っ込んで言えば“楽園追放”のアンジェラ的な、「なんでそういうキャラってレオタードなの?」「いいんだよ!好きなんだから!!」と押し通す熱意が画面からは微塵も感じない。
…って、これ中国スタッフが大きく係わってんの?意図的に扇情的な描写を避けてる?キスシーンが全然嬉しくないのもそれ??ま、まさかね…。


んでストーリー。
死んで目が覚めたら異世界に転生ではなく、脳だけになって未来に飛ばされてました。
エクスアームっていう異能を巡って犯罪が横行してるらしい。
んで主人公はハルモニエ使いで“ビッグオーダー”みたいな夢をちょいちょい見てるんだってさ。

ワザと投げやりな書き方したけど、実は結構好きな設定だったりw
3話なんてメイドロボがギュケスに乗って襲ってきたのでブリアレオスを駆って対抗だー!ってところでのヒキで、抑えるところはチキンと抑えてる…と思うんだよなぁ。
予想としては事故死した弟を蘇生させようと研究してたらエクスアームってのが開発できちゃって、封印してる間にアンドロイドの実用化まで技術が進んだ、とか?
果たして主人公は肉体を取り戻すことができるのでしょうかー、ってところが見所になると思うのだけど、果たしてアニメがそこまでやるかどうかは知らない。
ブリアレオスがメインボディで固定化しちゃったら面白さ半減するかも。{/netabare}

4話感想{netabare}
一度交わした約束を頑なに守るのが美徳とするなら、一度受けた指令を実行し続けるロボットはある意味人間なんかより尊い?
というテーマはありがちっちゃありがちだけど、やっぱり良いもんです。
今回のメイドロボがそれだったって話で、しかも元人間の主人公が暴走して人ならざるものになりかけたのを電脳世界?から連れ帰って来れたのが皮肉にもアンドロイドのアルマだったといのもエスプリが効いてる。
どこかで見た話とはいえ映像が他に類を見ないので独自性を感じる…ってのは好意的過ぎ?9割嫌味ッス。
いやホント映像は酷い。
そんなでも戦闘シーンにしっかり尺を取ってて、比較に上げるのは悪い気がするが戦闘シーンをカットするのをカッコいいと思ってそうだった“ノーガンズライフ”よりも好感が持てる。
ってか無理にでも戦闘シーンを入れるこのノリは…香港映画の流れ?なんかそれっぽさは感じる。
また、ただドッカンバッキンを続けるのではなく逆転送や衛星ズラしてGPSの座標を変える等、攻略の道を切り開く辺りも…これまた比較に上げるのはアレだけど、ほぼ1話戦闘に使っといて結局力押ししかしてない“蜘蛛ですが~”の4話よりも全然面白い。
やっぱコンテまではマシな作りなんじゃない?というか原作がよく出来てるのか??

で、上でも書いた様に原作未読なワケだけど、表紙を見てみた限りとっても士郎正宗wそれは構わない。
アップルシードのブリアレオスみたいなのはオーガって名前らしいが、いっそ開き直ってヘカトンケイレスで良かったんじゃ?とさえ思えるw
原作がマトモでお約束をしっかり守るのであれば…今度こそ多脚砲台を期待していいのかな?
やっぱクライマックスにデカブツは欲しいところで、映像はどうであれ話の方だけでもやって欲しいなぁ、と。

まぁその…原作者はスタジオ訴えていいんじゃね?{/netabare}

5話感想{netabare}
伝えたいことを文章だけで表すってのはホント難しい。
ってことで「文章だけ」は諦めて、「これ見てくれたら簡単に通じるかな」というのがあったのを思い出したので貼ってみる。
他にもっと参考になるモノが転がってそうな気もするけど、ここに貼っていいものかどうかワカランし、公式が上げてるヤツってことで──

モンストアニメができるまで-アーサー編-【モンストアニメTV】
https://www.youtube.com/watch?v=sIvCC8GtJow

全部手描き・CGと手描きの合成・フルCG作品とで工程違うし、現場や規模によってもまた違う(特にこういったのが公表されるのは劇場作品が多いと思うのだけど、劇場版はTVアニメへの参考としては…)のであくまで話のネタ程度に留めておいて欲しのだけど…。
エクスアームはここでいうレイアウトアニメーションを見させられてる気分。
ゲームの開発段階で「そこに村人が立ってる」って場所に、村人グラが完成してないので仮のオブジェクトを配置してる感じ(と言った方が通じるのかな?)。
当然「未完成品を見せるな」という主張は尤もだし否定はしないけど、「レイアウトアニメーションとしてはよくできてる」というのが個人的な感想。
何度も比較に上げてアレだけど“ジビエート”はコンテ撮の段階からおかしい、作画をどんなに頑張ってもどうにもならないクラス。
作画崩壊で有名な“いもいも”はコンテ撮まではマトモだったような気がする、指示がいい加減だったか上がった原画が指示通りじゃなかっただけのような?
同じく作画崩壊で有名な“はてなイリュージョン”はコンテ撮からおかしかった上に急遽差し替えが発生したかの様。
一方、作画は頑張ってるけどレイアウトがダメダメと感じる作品は枚挙に暇が無く…分かり易い例ではキャラがワープするとかカメラに映ってない間はフリーズしてそうとか。
──と、完成品の出来の良し悪しだけじゃなく、工程のどの段階からどうだったのかを想像するのもアニメの楽しみ方としてはアリでは?と思ったり思わなかったり。
まぁ事実は関係者しか分からないんだけどねー。

とはいうものの5話はちょっとフォローし切れんかも。
内容は悪くないのだけど、お色気シーンはやっぱ当局からストップがかかってるのかな?
アルマを轢きかけたトラックが画面外で処理というカメラアングルで、これはモデリングが間に合わなくて急遽変更した?(ロイヤルリムジン使えばいいのにw)
そしてなんといってもアクションシーン、もう、うん、もう…「画像は開発段階のものです」「お使いのテレビは正常に作動してます」と画面にテロップ出しておいて欲しい。
画面に映ってる絵がおかしいだけで間の取り方はマトモなのでMMDで作り直した方が完成度高いのが出来そう、誰かやってくれんか?モデリングからやり直しで。


それと…これは考えすぎだとは思ってるけど、それでもやっぱり言わずには居られない。
日本アニメの評判を落とすために中華が仕掛けてきたんじゃないか?
そこまでではないにしろ、原作潰しを狙ったんじゃないかと邪推したくなる、だってこれでちゃんとした“エクスアーム”のアニメ化は無くなったでしょ。
失礼なこと書くけど台無しにしても構わない程度の原作なんて他にもっとあるし、かといってスタジオ変えて作り直しするほどこの原作が超人気って訳でもなさそうだし。
指差して「クソだクソだ」と笑い飛ばして終わらせてしまうだけでいいのか?とちょ~~っと心のどこかに引っかかりを覚える。
更には“鬼滅”の大ヒットで、それまでアニメに係わったことのない企業が首突っ込んでくる可能性もあるワケで、なんともかんとも…。
考えすぎであって欲しいけどね。{/netabare}

総評{netabare}
アニメを作る工程の、どの段階でアレだとこうなってしまうのか。
それを探るには良い教材だったと思う。
要はコンテ撮?Vコン?そこまではしっかりと作られてた…ような気がする。
最終工程の「仕上げ」がキレイなだけでシナリオやコンテがヘンテコな作品よりは見れるんじゃないかなー?と。
言い方変えれば「画面は開発中のものです」として、完成品を想像しながら見る分にはそこまで変ではなかった。
…。
とはいえそれも中盤まで。
台本ではどう書かれてるか知らないけど「ハッ」だか「ウッ」だか、息を呑む・ハっとする時に出す声、これが中盤以降妙に増える。
場繋ぎのテクというか急場しのぎというか…作画が間に合わない影響がとうとうコンテ・台本にまで及んでしまった、そんな雰囲気が漂ってきてガックリ。

話ちょっとズレるけど、糞作画だった放送版を円盤で修正した例(最初から放送と円盤では違うってのとは別)っていくつか見たけど、基本直すのは作画だけでコンテ・レイアウトの段階から~ってのは私は知らない。
ましてや台本(セリフ)を修正ってのは無いんじゃないかな?私が知らないだけ?
で、大抵作画が糞な作品ってのはそれに合わせた「手間のかからないコンテ・レイアウト」になってるモンで、例えば──。
巨大な戦艦が登場してキャラクターが「なんて巨大な船なんだ」と呆気に取られるシーンがあったとして。
戦艦がどれだけ巨大か見せるシーン──町のビルと戦艦を同じ画面に入れて対比を見せるとか──を描く手間が無くて、ひたすら呆気に取られてるキャラの顔だけを映すことで誤魔化しました、と。
そこのキャラの顔が作画崩れてたってことで後で円盤で修正したところで「どれだけ戦艦が巨大か見せるシーン」が省かれたことには変わりが無かったり。

で、話を本作に戻すと、中盤以降は「想像上の完成品」も限度が知れた感じになってしまいました。
「ハッ」や「ウッ」の間の取り方だけでなく、ストーリーの方も…いやでもこれはどうなんだ?原作からこうなのか?
ユグとか登場しても一体何が出来るのかまだよく分かってない(キャラの掘り下げが浅い)状態で「もうよく知ってるでしょ?」って体で話が進んだり、アルマがプログラムを書き換えられて敵に寝返ってもそこまで思い入れが無いので「な、なんてこった」とは思えず「ふーん」としか感じなかったり。
一癖もふた癖もありそうだったオークション参加者(※)があっさり退場したり、イリヤ博士が目覚めた必要性や議事堂に突撃した課長の安否など、投げっ放しに感じるシーンもチラホラ。
話を複雑にしようとして複雑に出来なかった感。
なんか…週間連載漫画で「次回で打ち切り」ではなく「あと4回で打ち切り」ってなった時の畳み方を彷彿とさせる、この原作がどうかは知らないけど。
アニメは無理やり話を詰め込んだ?掘り下げが浅いというか必要なシーンがスッポ抜けてる気がする。

とはいえ、多脚砲台が出たりハッキング能力で〆たりとお約束はしっかり守ってて、エンタメとして軽く流して見る分には楽しめると思う。
少なくともノーガ…ノーガン…いや言うまい、あれよりは面白い、作画班入れ替えて欲しい、もしくはキャラがみんなニヤけてるから炎炎と…ゲフンゲフン。
但し軽く流して見るには作画がねぇ…「完成品を想像して」って集中力が要るワケで、ここで思い切り矛盾が発生w
いやぁ誰向けになるんだろう?



初登場時は手描きだったのにその後CGになるキャラが居て、「手描きのキャラはモデリングが間に合わなかった脇役だろう」という先入観を良い意味で裏切られました。
現場がゴタゴタしてたせいの偶然だろうけど、これは面白い副産物だったと思う。{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 11

nyaro さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.4

つまらない理由はCG(だけ)ではありません。元々の話が駄目です。

 アニメの研究としてあまりに酷評されるので本作を視聴しました。原作もチェックしました。

 脚本そのものは原作を端折って省略した感じですね。原作はエロシーン満載なので、まずその関係はバッサリいっています。また、肝心の犯人等を捕まえるためのプロセスに省略が多いので、原作が好きな人には不評になるかもしれません。
 ですが、私は原作そのものの出来がSFあるいは脳だけになった主人公の冒険譚としてはいかがなものかという出来でしたので、あんまり脚本に不満を抱きようがありませんでした。
 要はエピソードの一つ一つの作り込みがSFとして、あるいはストーリーとして原作の時点から甘いので、省略してくれたアニメ版もそう悪くはないかなあと。

 原作は要はエロイねーちゃんたちと、ドンパチやりながら最後はボスキャラと戦って…みたいな話でした。設定そのものもEXARMという「謎」と主人公の能力とかキャラ設定みたいのが全然しっくりこない感じで、ハッキング最強理論的なご都合主義に見えました。
 ですので、正直どっちもどっちという感じです。結局EXーARMという設定そのものが、まあ、未知の技術だったので、謎解きの深みがないです。


 CGですが、ひどいというのはわかります。プレステ2くらいの時代ならみんな喜んだかもね、という感じです。が、この物語の面白さがCGで台無しになったかといえば、先ほど申し上げたとおり、マンガ版も好みのストーリーではなかったので、そういう感じはありません。

 マンガ版の良いところは圧倒的な画力といいたいところですが、マンガ版の造形がCG的であまり堪能したいような個性を感じないので、そんなもんか、という感じです。

 絵柄に個性がないだけでなく、SF的な発想も画面からは感じられません。
 例えば黒い球体が出てきて街を飲み込む画って、どれだけ今まで描かれてきたでしょうか?脳だけ取り出してトランクに入っているって…あの多脚戦車的なものとか、どっから持って来たかは明らかです。ブラックジャックのシーンとか、機械を取り込んで大きな身体になるとか、ラストの宇宙空間で地球を見ながら終幕とか…まあ、オマージュと言っておきますが、出典をほぼ全部言えるような画面ばっかりです。
 つまり、原作の段階からオリジナリティが無いと言いますか、SFで大切なセンスオブワンダーを感じないと言うか、どこかで見た画、どこかで見た設定を組み合わせているだけでした。

 また人物もヌードばっかりですが、原作のヌードにはまったく色気がありません。ヌードのためのヌードで、100点満点で5点という感じです。その意味ではまだアニメCGのほうが100点満点で12点くらいの色気はあります。


「けものフレンズ」で分かると思いますが、CGが酷くても話が面白ければ面白いのです。それはアニメもマンガも一緒です。
 このアニメはSFとして流し見するにはそんなもんか、というレベルでは見られました。マンガ版を不当につまらなくしたのか、といえば、あまり違いを感じなかったという感想です。つまり、CGが酷いのではなく、話がもともと面白くないというのが本作の評価でしょうか。


 本作に関しては「CGひどい」という風評(とはいえ事実ですが)ありきで、批評されることが多いですが、つまらない原因はそこ(だけ)ではないと思います。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 2

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

超常兵器犯罪バトル

この作品の原作は未読です。
みかこしや、あかりんが出演されると知り視聴を決めた作品でしたが、あかりんの演じているキャラがエンドロールを見るまで分からなかったのが唯一の心残りでした…^^;


2014年、機械嫌いの高校生・夏目アキラは自分を変えたいと思い
一歩を踏み出す。が、トラックに轢かれる──。

そして2030年東京港湾部、未知の兵器『EX-ARM』取引現場に
潜入した警察・上園美波とアンドロイド・アルマのコンビを
『EX-ARM』No.08を装備した敵が襲う。彼女たちは起死回生を賭け、
敵から奪った『EX-ARM』No.00を起動させるが…!?


公式HPのあらすじを引用させて頂きました。

完走後にwikiをチラ見して知りましたが、原作の連載は既に完結しており、全14巻全98話で構成されているそうです。
今回はその中から12話分をチョイスしてアニメが制作されたようですが…
何と贅沢な原作の使い方をするんだろうと思いました。
最初と最後と間の幾つかの物語を抽出し、後は全部バッサリと切り捨てているのですから…

まぁ、私は原作を知らないのでアニメを見ていて違和感はありませんでしたが、原作者や原作のファンの方は複雑な心境だったのではないでしょうか。

確かに視聴していて違和感はありませんでしたが、唐突感はあったように思います。
物語の脈絡…というか物語同士の繋がりが希薄というか…

それに、伏線は完全に回収されていなかったと思います。
例えば、主人公の夏目アキラですが、彼は交通事故に遭ったところまでは理解できるのですが、その後、どうしてああなってしまったのでしょう。
公式サイトのキャラ紹介欄では「自身の失った記憶と身体を取り戻す」ため色々行動すると記載されていますが最終的にこの本来の目的には遠く及ばなかったのではないでしょうか。

一方で、バトルシーンは迫力があったと思います。
3DCGを駆使した、さながらマトリックスを彷彿させてくれるような感じ…
個人的な好みの分かれるところだと思いますが、私的には全然OKでした。

オープニングテーマは、AIRFLIPさんの「Rise Again」
エンディングテーマは、Dizzy Sunfistさんの「Diamonds Shine」

1クール全12話の物語でした。
もう少し尺を取ってそれぞれの物語を補完し合えば、もっと評価の変わる作品だったのではないでしょうか。
個人的には総じて楽しませて貰いましたが、強いて言うなら物語の構成が少々残念だったように思います。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 9

67.8 3 アンドロイドで警察なアニメランキング3位
未来警察ウラシマン(TVアニメ動画)

1983年冬アニメ
★★★★☆ 3.8 (36)
186人が棚に入れました
タツノコプロのSFポリスアニメ。映画「幻魔大戦」や2004年度版「鉄人28号」などで活躍のなかむらたかしがキャラクターデザインに参加。20世紀から2050年にタイムスリップしてきた謎の青年。大都会ネオトキオの機動メカ分署マグナポリス88の権藤警部は、この青年にウラシマリュウと名づけ、署の一員に招き入れた。リュウは超能力を活かし、仲間のクロードたちと活躍。だがネオトキオの犯罪組織ネクライムの総統ヒューラーにはリュウと何らかの関係が…?

声優・キャラクター
小林通孝、神谷明、よこざわけい子、大平透、勝生真沙子、塩沢兼人、北浜晴子、田中真弓、丸山詠二、曽我部和恭、玄田哲章

「ひろ。」 さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

お気楽さとバカバカしさ(褒め言葉)とカッコ良さとシリアスの絶妙な融合作品!。

今回BD版での再視聴です。
DVD版では画質がかなり苦しかったのですが、BD版では随分改善されていました。

タツノコ作品というと、何となく”子供向け作品”ってイメージされる方が多いと思います。
自分も最初そうでしたが、だからこそ逆に驚かされました。

まず初見時に受けた衝撃といえば、何といってもOPとEDでした。
どちらも音楽・歌詞が胸に焼き付いて離れず(今もなお!)
作画のスタイリッシュさにシビれました!!。
次回予告の”ダッダッダッダッ♪”で入る音で心が躍り
そのあと入るED曲で毎回ココロ鷲掴みにされてしまいます。
(とりあえず未見の方はOPとEDだけでも観てみてほしいです♪)

音楽はBGMもとても素晴らしかった!(SOUND TRUCK購入済)。
苦境のシーンがあっても、いつの間にか”お気楽な雰囲気”にさせられる♪。
でもシリアスなシーンでは、ちゃんとグッとさせてくれる。

お気楽とバカバカしさ(褒め言葉)担当としては
主人公のリュウと、コンビを組むクロードが最高でした!!。
神谷明さんは数々の有名キャラを演じられていましたが
個人的にクロードが一番ハマっていたように感じます。
この2人はもちろんのこと仲間での紅一点キャラ、ソフィアも顔芸満載でした!!。

シリアス面でいうと、まずウラシマンという呼び方の語源となる”ウラシマ効果”。
SF要素でガッチリ心つかまれてしまいました。
さらにその映像表現がまたスタイリッシュなんです!。

さらに、本作は敵キャラも魅力満載です!!。
”〇の美学”なんて予想外すぎました!!。
総統〇〇〇〇の正体も、いろいろ想像させてくれて楽しかった。
敵キャラにもバカバカしさ(褒め言葉)担当がいたのですが
なんか田中真弓さんの演技がダッシュ勝平カブってた気がするw。

カッコ良さではマグナビートル(クルマ)、マグナチョッパー(バイク)、
マグナブラスター(銃)、シーケイド号(宇宙要塞)など、レトロ感のカッコ良さも。


何年かぶりの再視聴だったので、忘れてしまってた話も多かった(終盤も全て)。
おかげでラスト手前からラストの展開も純粋にワクワクさせられっぱなしでした。
次回予告のラスト手前では、親切にもリュウが〇〇〇〇ってお知らせしてくれて
ワクワクをさらに加速させてくれました。

まあとにかく今から35年も前の作品なので、いろいろ古いのはモチロンなのですが
描かれている時代は2050年と、まだ32年も先の話なのです。
ちょうど今、中間地点くらいなのかな?。

再視聴を終えて確認できました。
やはり本作は今なお色褪せない、魅力溢れる作品です!!。
大人が見ても十分楽しめる作品ですね(ある意味、お仕事アニメでもあるし)。
個人的には、タツノコ作品といえば間違いなく本作なのです!!。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 10

maruo さんの感想・評価

★★★★☆ 3.1

夢より遠い世界 B+

コミカライズ作品 既読

アニメ放送と並行して、少年チャンピオンにコミカライズ作品が連載されたと記憶しています。
どちらかというと、こちら(漫画)の方の記憶が残っています。

漫画版は、登場人物がスリムで格好の良いバージョン(前半)と、ギャグタッチで描かれたバージョン(後半)の二通りがありました。
アニメの方は、これら二つを足して2で割ったような、2.5枚目のキャラクターで描かれています。

主人公のウラシマ・リュウは、車の事故がきっかけで50年以上も未来にタイムスリップして、記憶もなくしてしまいます。
名前が変なのは、本名を思い出すことができなかったことと、過去から未来に転移することをウラシマ・エフェクトと定義しており、ウラシマ・エフェクトによって超能力を身につけた人間を2050年の世界では「ウラシマン」と呼んでいたことによるそうです(かすかに記憶にあった程度なので、調べなおしました)
そして、2050年のネオ・トキオという都市で機動刑事となり、犯罪組織ネクライムと対決していくこととなります。
ネクライムっていうネーミングセンスがある意味抜群に良いですよね。

漫画とアニメでは最終回が違っていて、漫画ではネクライムの総統フューラーが、実はリュウの未来の姿だったという最後を迎えていました。
アニメ版の最終回は、この前見る機会があったのですが、完全に忘れていました。
詳しい内容は言いませんよ、勿論^^;

さて、漫画の格好良いバージョンでは、ヒロインのソフィアはかなりの美人に描かれていたのですが、久しぶりに見たアニメではこんなんだったっけ・・・状態でした。
思い出は美化するものなんですねぇ。

2012年にTOKYO MXで行われたタツノコプロ名作アニメ総選挙では、最多得票を獲得するなど、根強い人気を誇っているようです。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 3

スガル72 さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

微笑ましい友情と耽美的な敵役

【未来警察ウラシマン】は、1983年から2050年にタイムスリップしたウラシマ・リュウ青年が、未来の世界で孤独と焦燥感を乗り越え、仲間の青年クロード(二枚目でカッコつけだが友情に厚い)と、元修道女とは思えないソフィアと共に、警察の特殊部隊・機動メカ分署マグナポリス38でチームを組んで戦う物語です。

敵は巨大犯罪組織ネクライム。
ネクライムの総統フューラーは謎の老人で、何故かウラシマ・リュウに執着します。
その幹部のルードヴィッヒは犯罪哲学を美学の域にまで高めており、単独で部下たちに絶大なカリスマを示します。
ルードヴィッヒは総統フューラーから一定の距離を保ち、ウラシマ・リュウと総統フューラーに対する第三極の位置にあろうとします。
ルードヴィッヒの部下ではミステリアスな女性ミレーヌと、いつも地団駄を踏んでいるような小男ジダンダがいい味を出しています。

この作品の見所は、リュウと相棒のクロードとの微笑ましい友情に、それを優しく見守る、活動的でオッチョコチョイでぶりっ子のソフィア、そして全体をまとめる父親的な署長との家族的な繋がりと、それに対比するようなルードヴィッヒの耽美的な生き様です。

この作品では、当時の真下耕一監督らしく、赤い色と青い色を派手に使った独特な画面効果が使われています。
これはこの作品の前に真下耕一が監督をした、1982年の【ゴールドライタン】でも使われた演出ですが、犯罪を美学として扱う、耽美的なルードヴィッヒ側を描くには合っていたと思います。
真下耕一が1986年に監督をしたOVAの【アイ・シティ】では、この演出が多用され過ぎていて、映像的には行き過ぎのように感じましたが(内容は好き)、最近の真下耕一作品ではこのような演出は見かけなくなりましたね。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 2

67.3 4 アンドロイドで警察なアニメランキング4位
ヒートガイジェイ(TVアニメ動画)

2002年秋アニメ
★★★★☆ 3.9 (76)
509人が棚に入れました
ジュドの都市安全管理局中央司令部本部長シュン・アウローラは、新たに特務課を設置し、弟のダイスケ・アウローラをそこの準職員に任命した。シュンはアンドロイドのジェイをダイスケの相棒とするが、実はジュドではアンドロイドは禁止されていた。しかし、激増する犯罪に対処するため、シュンは特例としてジェイの製造を命じたのだった。父をアンドロイドに殺された過去を持つダイスケは、ジェイになかなか心を開くことが出来なかったが、数々の難事件を解明するうち、次第にジェイをかけがえない相棒と認識するようになる。
やがて、父の暗殺の背景に、ジュドの実質的な支配者であるセルジュ・エチゴの存在があることを知ったダイスケは、謎に包まれたエチゴの正体を探るべく、その身辺を調査し始める。

声優・キャラクター
松風雅也、菅生隆之、千葉紗子、阪口大助、三木眞一郎、小林沙苗、藤原啓治、清水愛、三宅健太

しんばくん さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

ジェイ「漢はヒートガイジェイを観なければならない。」 高品質作品 

物語:4.2 作画:4.3 声優:3.8 音楽:4.2 キャラ:3.8 【平均:4.1】                           (69.0)

ジャンル        :ハードボイルド、ヒューマンドラマ、アクション
話数          :全26話
原作          :赤根和樹、サテライト
アニメーション製作 :サテライト
監督・シリーズ構成 :赤根和樹
キャラデザイン    :結城信輝
メカニックデザイン :竹谷隆之
音楽          :TRY FORCE
主人公声優      :松風雅也
OP           :「FACE」作詞・作曲・編曲・歌 - TRY FORCE
ED           :「心の隙間」作詞・作曲 - 拓磨 / 編曲・歌 - wyse
             :「ひかり」作詞・作曲・編曲 - 梶浦由記 / 歌 - 千葉紗子

参照元         :Wikipedia「ヒートガイジェイ」
公式ページ      :https://www.bandaivisual.co.jp/hgj/main.html

【あらすじ】
 都市安全管理局特務課の準職員ダイスケ・アウローラは頻発する犯罪を未然に防ため、ジュド唯一の正規登録アンドロイド“ジェイ”と共に日々の公務に当たっていた。ダイスケとジェイは混沌とした社会の秩序を保つべく、漢の熱き正義で闇の世界に殴り込みをかける。

【特徴】
①刑事もの
②ヒューマンドラマ
③凝った映像演出(3DCG、線画、魚眼レンズ)
④アクション
⑤BGMの種類が豊富

【特徴の補足】
①主人公であるダイスケは街の犯罪を未然に防ぐ保安官の仕事をしている。そのため主要な内容はダイスケとジェイの捜査となる。因みに警察はダイスケの所属する課とは別に設置されており、ケンという刑事も登場する。
②各回毎に捜査の対象となるキャラクターが登場する。尚、一期一会の出会いとなるキャラクターも居れば再び登場するキャラクターも居る。各回毎のストーリー構成は序盤で伏線を張って最後に回収するタイプもあれば、順を追って締めるタイプもある。また、1話完結の話もあれば、次回へ続く場合もある。
③本作最大の特徴は話の繋ぎ目で3DCGを積極的に使用していることである。話の繋ぎ目のためセリフが無く、3DCG映像のみに集中できるようになっている。3DCGの演出意外では、勢いを表現するシーンでは線画にしたり、変哲の無い会話シーンでは魚眼レンズ調の作画にしたりなど視覚に訴える演出が多い。尚、唯一の難点は使い回しが多いこと。
④アクションシーンに拘っており細やかな動作が魅力。此方も③と同様に凝った映像演出のうちの1つ。
⑤BGMはアジアの民族音楽であり、コーラスの入った曲が多い。

【総括】
 物語の舞台であるジュドの街に関する設定と街を統率する組織や勢力などの設定がしっかり設けてあり、壮大な世界観だけでも見応えがある。また、本筋は様々なキャラクターの思惑が交錯する中、ダイスケとジェイが街の暗部を暴くというシナリオであり、暴くまでの過程はジェイやその他のキャラクターと出会い、様々な事柄を解決して行くといった構成のヒューマンドラマである。長所は凝った映像演出と多数用意されたBGM。またストーリーの粗も無く全体的に高品質であることが伺える作品であった。


【思った事・蛇足】

視聴開始直後は『カウボーイビバップ』の影響を強く受けていると感じたが
最終話視聴後には一部影響を受けているかなと思える程度だった。


強く受けていると思った理由は4つ。
ハードボイルドを謳っていること。
一期一会系のサブストーリーが多数あること。
アクションシーンが多いこと。
BGMの種類が豊富であること。


しかし最終話まで観ると
アクションが派手なこととBGMの種類が豊富なこと以外は独自性を感じた。
特に物語の後ろ半分はイメージと異なる展開となりました。


それから3DCGについて1つだけ言及すると
2002年時点では十分な水準にあることです。
当然現在の水準と比べるとちゃちに感じると思いますが
私は正直なところ13年近くも前の作品がココまで作り込んでいることに驚きました。


ストーリーのみ面白い作品もありますがヒートガイジェイは
「やはりアニメはアニメーションなんだから映像的に面白い方が良いに決まっている」と
そう思わせてくれる作品でした。


●赤根和樹監督
私が知っているところでは
『ノエイン もうひとりの君へ』
『鉄腕バーディー DECODE』の2作ですが
どちらも勢いのあるタッチで描かれた作画が印象的でした。
本作は上記2作より前の作品ですが勢いのある作画は健在です。


●声優
有名な声優が多数出演しています。
気になった方は上部記載の公式ページ「Staff&Cast」を参照して下さい。


●ダイスケ・アウローラ 声:松風雅也
シュン・アウローラはダイスケの兄であり都市安全管理局中央司令部本部長。
ダイスケはシュンによって特務課の準職員に命じられジェイと共に事件の真相を探る。
性格は楽天的でマイペース。
かつて武闘派マフィアのボスだった将軍に育てられ武術は達者。

性格のためかハードボイルドものと感じさせないが
あまり表に出さない正義感に漢らしさを感じる。


●ジェイ 声:菅生隆之
サムネイル画像の紳士。
身長230cmもあるアンドロイド(作中ではマシーン)。
そして主人公であるダイスケの相棒。
「漢は~なければならない。」が口癖。
彼には「漢の覚書」プログラムがインストールされている。(適当)
尚、彼の個性は開発主任のアントニアによって形成された。
基本的に硬派で渋いが女性には優しい紳士。
お茶目な一面もある。
イメージは洋画『ターミネーター』でシュワちゃんが演じたT-800。

声を担当した菅生隆之さんですが
その声は馴染みのある声だと思います。
人によっては洋画の渋い俳優の顔が思い浮かぶかもしれませんが
私は缶コーヒーが頭に浮かびました。


●グラフ[物語の転機が分かってしまう可能性あり※ネタバレ注意]
http://shinbakuns.blog.fc2.com/blog-entry-42.html

投稿 : 2024/11/02
♥ : 10

こたろう さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

漢は評価されていない事を他人のせいにしてはいけない

素敵です。
ハードボイルドの世界にターミネーター2のような設定を持ち込んだ快作。
飄々として腕の立つ主人公と、イカツい最強アンドロイドの相棒とが織り成すアクション活劇&ヒューマンドラマ。
もうね、”漢”と書いてオトコ、GUY っす。

ハードボイルドといえば、ルパン三世やカウボーイビバップが有名ですが、正直、話の淡白さが気に食わないので、個人的にはこっちの方が私は好きです。

本作は舞台が都市に固定されています。(主人公も公僕です)
話は基本的に1話完結ですが、舞台が動かないため使い捨てキャラが少ない。
主人公の周りに居る街の人やライバル、悪役、お助けキャラなどなど、2度3度と登場するので断然愛着と思い入れが育ちます。
また、父親の仇を探すという本筋ストーリーがあるため後半になる程引き込まれる面白さがあります。
終盤で、今まで絡んでた人が集まってくる展開もすごく好み。


ただし、個人的には大好きですが、この作品があまり評価されていないのは納得。
客観的にみて払拭し難い欠陥があるのは否めません。

濃いキャラデザイン。
男も女も超濃厚ソース顔(古いw)です。おっさんはこれでいいんですが、若い女性とか子供とかは・・・・キツい。
好みの問題ではありますが、これだけ特徴的だと作画崩壊も目立ちます。

声優がヘタクソ。
主人公とヒロインの声優さん・・・最初、どこの素人アイドルを連れて来たのかと思いました。(一応本業の方なんですね)
脇を固める声優陣が上手いだけに、拙さが余計目立ちます。棒読み口調で粋なセリフ吐かれても・・・ねぇ?


でもね、こういうのは1クールも我慢すれば馴れるんですよw
ハードボイルド好きな貴方! 細けぇこたぁ気にしないで最後まで是非見続けてください。

ジェイならきっと、こう言います。
「漢は少しぐらい気に入らないからといって途中で投げ出すものではない」

投稿 : 2024/11/02
♥ : 14
ネタバレ

Britannia さんの感想・評価

★★★★★ 5.0

漢-HEAT GUYS-

~story~
近未来都市国家ジュドを舞台に、都市安全管理局所属
ダイスケ・アウローラ(主人公)とジェイ(アンドロイド)との友情を主軸とし
様々な熱い男達のドラマを織り交ぜ展開するハードボイルド物。

数々の事件を解決しながらメインストーリーに入って行くのだが各話、楽しませてくれる
商品先物取引・美女カード事件・マフィアの跡目争い等、刺激があります。
{netabare}メインストーリー終盤、仲間が集い同じ目的に向かう様はシビれます。 {/netabare}

~voice actress~
千葉紗子さん
撲殺天使ドクロちゃん歌ってる人とは思えないw
ED曲も演技も素敵です。

松風雅也さん
主人公に合ってるナイス、イケメンボイス♪

~character~
敵も味方も町の住人すら魅力的

~drawing~
12年前の作品なので作画は今のクオリティーと比べると当然落ちますが
シナリオが色褪せないので充分。

~music~
OP・ED・主題歌が良く、Jの世界観に合ってます。


久しぶりに視聴したが変わらず面白かった
ビバップのスパイクとは違った男が見ても惚れる主人公
今の若い世代、女性にも見てもらいたいアニメです。

また、忘れた頃に・・・

Let's meet again nice guy

投稿 : 2024/11/02
♥ : 15
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