2018年度のアメリカアニメ映画ランキング 4

あにこれの全ユーザーがアニメ映画の2018年度のアメリカ成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年11月04日の時点で一番の2018年度のアメリカアニメ映画は何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

70.2 1 2018年度のアメリカアニメランキング1位
インクレディブル・ファミリー(アニメ映画)

2018年8月1日
★★★★☆ 3.8 (32)
208人が棚に入れました
悪と戦い、人々を守ってきたヒーローたち。だが、その驚異的なパワーに非難の声が高まり、彼らはその活動を禁じられていた------。
 そんなある日、かつてヒーロー界のスターだったボブとその家族のもとに、復活をかけたミッションが舞い込む。だがミッションを任されたのは――なんと妻のヘレンだった!留守を預かることになった伝説の元ヒーロー、ボブは、慣れない家事・育児に悪戦苦闘。しかも、赤ちゃんジャック・ジャックの驚きのスーパーパワーが覚醒し・・・。
 一方、ミッション遂行中のヘレンは“ある事件”と遭遇する。そこには、全世界を恐怖に陥れる陰謀が!ヘレンの身にも危険が迫る!果たして、ボブたちヒーロー家族と世界の運命は!?

 本作は、『Mr.インクレディブル』(04)で世界中を魅了した、ボブたちヒーロー家族に再会できる作品でもある。監督は、『Mr.インクレディブル』をアカデミー賞2部門(長編アニメーション映画賞、音響編集賞)受賞に導き、『ミッション・インポッシブル/ゴースト・プロトコル』(11)など実写アクションにも手腕を振るうブラッド・バード。

 笑いと驚きに満ちた、一家団結アドベンチャー『インクレディブル・ファミリー』。この家族が、スカッと楽しい夏を連れてくる!
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

パパよ、これがワンオペ育児だ。

スーパーヒーロー禁止法に象徴される、
異端者への風当たりに直面する超能力家族の奮闘を描く、
ピクサー映画13年半ぶりの続編。

基本的な構図は前作と同様。
外の世界に出てヒーローの居場所を取り戻しつつ、
内なる家事、育児に対応する内外二正面作戦。

ただ、一作目と違うのは、成り行きで、
外の仕事に打って出るのがママで、
家庭を守るパパと立場が逆転したこと。


イラスティガールの活躍を満喫したい方には良い構成だったと思います。
今回も良く手足が伸びておりましたw
力技で押す夫・インクレディブルに比べ、
伸縮自在でパラシュート化もする妻の特性、
体得した様々な乗り物スキルからは、
スタントなど多彩なシーンが展開。

さらにバリエーション豊かになった他の能力者との絡みで発揮される、
能力バトル、連係プレーの動きを遺憾なく発揮した
CG作画はパワー十分で、鑑賞者に豪華なヒーロー体験を提供してくれます。


一方、家を守ることになったパパに立ちはだかるのは、
末っ子の赤ん坊・ジャック=ジャック。
ヒーロー界でも稀有なマルチスキルから繰り出される
オテンバぶりは天才的過ぎて予測不能w

奔放なベビーの行動に、劇場観客席のお子様から歓声が上がる中、
振り回されるパパはやつれていくばかりw
さらには繊細なお年頃の長女のトラブルまで複合的に絡んで来て、
事態はこじれる一方……。

そもそも、何が問題だったかすら分らなくなる。
単独主夫業の苦難が凝縮され、いたたまれなくなりますが、
ここで挫けたらスーパーヒーローの名折れ。
家族の底力が発揮されるのはここからです。


シリーズの発端からして、
訴訟社会や、マイノリティといった社会問題との接点を感じる本作。
続編でも女性の社会進出などを内包して世間をチクリと刺激。

前作よりヒーローを取り巻く環境は前進してはいますが、
他方でスーパーヒーローに対する人々の過大な依存と幻想に対しては、
敵キャラを通じて釘も刺して来ます。

童心に爽快感を残しつつ、大人の頭にもしっかり課題を積んでいく。
十年経っても相変わらずインクレディブルはインクレディブルでした。


ところで、複雑化した家庭問題に煮詰まったパパが、
{netabare}最後に当てにしたヒーロー用スーパースーツデザイナー・エドナ。
彼女が発明した赤ん坊が次に何をしでかすか専用衣服から読み取り、
端末で可視化するシステムが画期的でした。

これ……スーパーヒーロー限定と言わず、全世界の子育てに悩む親御さんのために、
是非とも一般向けに改良&販売しましょう!{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 15

ねごしエイタ さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

家族が一つになるとき

 始まった少し後から、スピード感あふれるヒーローアクションが、凄かったアニメだったです。ヒーローアクションという題材の中に、家族というものの大切さを見せてくれた、正に異色のアニメだっと思うです。
 吹替版、字幕版で見たです。

 ヒーローが認められない法律のある世界の中で、悪者から町を守ることだけを考えて生きている、家族の姿は良かったです。

 その中において、支援者の手を借りて、働く母親の姿があったり、娘のためにしたことが仇となったり、子育て育児に追われ父親の姿があったり、両親を助けるために活躍する子供たちの姿が、印象的過ぎました。

 非常に個性あふれる親子で、ハラハラしたり、可笑しかったり目が離せない展開だったです。

 進み方は単純のようにも見え、よくこんな事が次から次へと起こるなぁという出来すぎた進行に思えたけど、親子で見に行って楽しめるアニメだと思うです。

 全体的にイラスティガール(ママ)の活躍が、冴えていたです。物語の進行上の成り行きで働くことを決意し結果を出していくのだけれども、ルフィーと同じ能力を持つ彼女は最高だったです。
 優れた洞察力にもたけ、それが悪者の黒幕の核心に迫りすぎたため、捕らえられ利用されてしまうほどだったです。
 人を助け、悪者と戦う姿は、非常にスリリングで良かったです。また悪者を叩きのめすだけではなく、何を言われたとしても、命を見捨てない姿勢は、私の知ってきたヒーローの手本だったと思うです。

 Mr.インクレディブルは、ヒーローとして活躍するだけでもなく、父親として家族のために何ができるのかを、日常を通して見せてくれたです。

 ヴァイオレットも思春期の女の子みたいで怒りっぽかったけど、家族が好きなんだなぁというのを最後にも見せてくれたです。

 ダッシュもジャック・ジャックも元気いっぱいで、いい味出してたです。ジャック・ジャックの愛嬌振りまく姿には、赤ちゃんらしい可愛さがにじみ出ていたけど、インクレディブル ファミリーでなければ、手に負えないと思ったです。

 終盤の海上での活躍は、手に汗握る展開で、Mr.インクレディブルの体を張った活躍も見所です。

 結果よし、スリル満点「これでいいのだ!」でしたです。吹替版の声優さんも役になりきっていて素晴らしかったけど、英語はあまりわからないけど、字幕版も捨てがたいものがあったです。これ、私なんか好きです。また見に行ってもいいかなぁです。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 6

たわし(爆豪) さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

上手くまとまってる。

前作からなんと14年後に続編を作るという、当時6歳の子どもならば立派な20歳の成人である。いやはや、ハリウッド映画の気の長さというものはすごい。

世界初のスーパーヒーローであるスーパーマンがコミックに登場してから今年で80周年であり、記念の年でもあるが、アメリカのスーパーヒーローブームは留まるどころか、勢いを増してユニバース化し、年に10本以上のスーパーヒーロー映画が軒を連ねるようになった。興味のない人にとってはどうでも良い話かもしれないが、

この「インクレディブルファミリー」も同様に観ていて非常に楽しい。

超能力は誰しもが一度は夢見たことあるだろう。空を飛んでみたい。。とか、ケタ違いのパワーを身につけたい。。とか。。透明になりたいとか。。なんでも良いが、そんな夢を叶えさせてくれるのが日米ともにコミックの世界ならではである。

本作は続編ながら、手抜きせずにアメリカンスーパーヒーローもののパロディーを織り交ぜて「サザエさん」的なお茶の間コメディに仕上げたという意味では非常にライトでポジティブなアニメーション映画だった。

さすが、ピクサー。外さない安定のクオリティである。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 7

68.7 2 2018年度のアメリカアニメランキング2位
ニンジャバットマン(アニメ映画)

2018年6月15日
★★★★☆ 3.9 (39)
187人が棚に入れました
現代の犯罪都市ゴッサムシティの悪党たちがタイムスリップし、群雄割拠する戦国時代の日本。戦国大名となった悪党たちがこのまま自由に暴れ続ければ、日本だけでなく世界の歴史すらも変わってしまう! 絶望的な乱世で、現代テクノロジーからも切り離されてしまったヒーローは、世紀の歴史改変を阻止することができるのか?

声優・キャラクター
山寺宏一、高木渉、加隈亜衣、釘宮理恵、子安武人、田中敦子、諏訪部順一、チョー、森川智之、三宅健太、梶裕貴、河西健吾、小野大輔、石田彰、大塚芳忠
ネタバレ

ノリノリメガネ さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

バットマン×戦国時代

脚本が中島かずき氏ということで前から見たかった作品。
{netabare}
バットマンとその仲間たちやヴィランたちが日本の戦国時代にタイムリープしたという、まず話の土台からぶっ飛んだ作品。

お祭り感が随所にあって、細かな設定なんぞいいから楽しめ、盛り上がれとあおられているかのような感じ。

特にジョーカーとハーレイクイーンが農家なっていたシーンと城ロボ合体シーン、ラストの戦闘シーンが迫力があって良かった。

設定や展開はぶっ飛んでるのだけど、バットマンやジョーカーがみんなの知っている通りのキャラのままだったのが作品に安定感を与えていたし、何よりバットマンという作品への愛情を感じた。

ジョーカーが終始かっこよかった。ただ混沌を楽しみ、殺さずの誓いを自らに課しているバットマンをいちいちあざ笑うのが良かった。

バットマンはバットマンで終始お人好しで、それによって結構失敗を重ねているような気もするんだけど、その姿勢を貫くのがかっこよかった。

いずれにしても勇気を持って既存の作品をここまで崩し、さらにこのクオリティにまで昇華させたことには素直に賛辞を送りたい。
{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 1
ネタバレ

ねごしエイタ さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

和風アレンジバッドマン

 バッドマンたちが喋るゴリラを追い詰めた時、ゴリラの作ったタイムマシーンに巻き込まれ、戦国時代の日本に飛ばされてしまうバッドマン達の活躍を描いたアニメだったです。
 タイムマシーンを手に入れ元の世界に戻るのが目的となるわけです。

 実写映画と違うし、日本語ということもあり知っているバッドマンとイメージが違いすぎる感は、私にあったです。

 この単独のアニメとして見た場合、凄い作画や演出が多いアニメだとは思ったです。バトルシーンが圧倒的に多すぎて、物語としての統一性が良く分からなかった点もあったです。

{netabare} 例えばジョーカー達が、作画の感じが変わり突如農夫になっていたりとかです。
 お城が合体してロボットになったりの展開は、凄かったし面白かったです。{/netabare}

 とにかく、非常に高い質の作画、演出だったことは間違えなかったです。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 5

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

WHY SO SERIOUS?

神風動画制作。

時は戦国、ゴッサムの悪党オールスターが、
タイムスリップをして結集する。
群雄割拠の乱世で国盗り合戦が始まる。

狂気とは知ってのとおり重力と同じだ。
軽く押せばすぐに落ちる。
ジョーカーに教わるアフォリズムは多い。

なぜ深刻そうな顔をしている?
人生そんなに酷いのか?

荒唐無稽な世界観が思いの外楽しめる。
後半は悪ノリしすぎだけど真面目に論じてもね。

甲冑に身を包んだバットマン、
フェッティシュなキャットウーマン、
愉快犯ジョーカーは相変わらずの奇人振り。
派手な戦闘シーンの連続で眩暈がする。
大きな仕事依頼だったのでしょう、
演出に熱量が感じられて気持ちがいい。
空いた時間に、これは楽しめますよ。

なぜ深刻そうな顔をしている?
笑顔にしてやろう。

ふはははぁっ!!

投稿 : 2024/11/02
♥ : 29

67.5 3 2018年度のアメリカアニメランキング3位
劇場版マジンガーZ/INFINITY(アニメ映画)

2018年1月13日
★★★★☆ 3.6 (50)
148人が棚に入れました
かつて世界征服を目論む悪の天才科学者Dr.ヘルによって滅亡の危機に瀕した人類。しかし“鉄の城”と呼ばれたスーパーロボット“マジンガーZ”を操る兜甲児とその仲間の活躍により、平和な時を取り戻していた。そして世紀の戦いから10年―。パイロットを離れ科学者となっていた兜甲児はある日、富士山地中に埋まった超巨大遺跡インフィニティと、そこから現れた謎の生命体リサに遭遇する。そして、時を同じくして謎の復活を遂げたDr.ヘル。彼は無限の可能性を秘めるインフィニティで、かつての野望を完遂しようとしていた。有史以来最大の危機、絶体絶命の状況の中、伝説のパイロットがマジンガーZと共に再び立ち上がる。

声優・キャラクター
森久保祥太郎、茅野愛衣、上坂すみれ、花江夏樹、高木渉、山口勝平、菊池正美、森田順平、島田敏、塩屋浩三、石塚運昇、関俊彦、小清水亜美、藤原啓治、田所あずさ、伊藤美来、石丸博也、松島みのり

けみかけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

世界に向けたという意味で真のジャパニメーションエンターティメントにして『マジンガー』シリーズの1つの到達点だゼーッ!!!

永井豪先生の画業50周年記念として、2018年は『マジンガーZ』『デビルマン』『キューティーハニー』がリメイクされます
そして、同時に今作は『マジンガーZ』生誕の45周年記念作でもあります
日本公開を前にイタリアやフランスで先行公開されるなど世界的に、特にヨーロッパ圏で絶大な支持を得ている『マジンガー』シリーズ最新劇場映画
言わずもがな、“人が乗り込んで操縦する、戦う巨大ロボットアニメ”というジャンルを打ち立てた正真正銘の元祖です


そもそも『Z』という作品ですが、元々は今日で言うところの“メディアミックス”に近い形態の作品で、豪ちゃん先生の連載とテレビアニメ第1作がほぼ並行する形の作品で、豪ちゃん先生の漫画はあって無いようなテレビアニメでした


その後、直接的な続編である『グレートマジンガー』に続いて続々とリメイク作品やOVAや劇場映画が作られた『マジンガー』シリーズ
正直、どこからどこまでを『マジンガー』シリーズとするかは意見が別れるところです
Zやグレートと競演してる『グレンダイザー』は含めるのか、名前だけ「魔神」を拝借してきた『ゴッドマジンガー』は含むのか、スパロボの『マジンカイザー』とOVAの『マジンカイザー』とそのリメイクの『マジンカイザーSKL』はどう解釈すれば良いのか、など一口に語れない部分が多すぎます


さらにややこしいことに『ロボットガールズZ』では“東映のロボットアニメだから”という括りで『ゲッターロボ』や『鋼鉄ジーグ』を含めたダイナミックプロ作品と一緒に、『ガイキング』や『ダンガードA』といった東映オリジナルのロボットアニメが競演してます(あ、これは要りませんでしたか?w)


そこでこの『マジンガー』シリーズを総括した上で、テレビシリーズ『Z』&『グレート』の直接的な続編を描く、というのが今作になります


Dr.ヘルやミケーネ帝国とマジンガー達の死闘から10年後、物語の地球は2017年現在に準拠する形で復興されていた
それも全て、光子力の研究が進んだことで人類は旧来のエネルギーが抱えていた問題を全て解決することが出来たからだ
兜甲児と弓さやかは新・光子力研究所の研究員となり、剣鉄也は炎ジュンと結婚して軍属として平和な世界に貢献していた
そんなある日、富士山宝永山で建設中の光子力プラント地下からマジンガーを握りつぶせるほどの巨体を持った魔神、通称「マジンガーインフィニティ」が発掘された
甲児がインフィニティに触れた時、インフィニティの中から少女の姿をした生体アンドロイド「リサ」が姿を現す
その3ヵ月後、突如として復活したDr.ヘルによって襲撃される光子力研究所
そしてリサはインフィニティに隠された“神にも悪魔にもなれる力”「ゴラーゴン」の存在に気付く…


監督は『マジンガー』世代ありつつ、東映アニメーションで数々の劇場映画を手掛けてきた志水淳児
脚本は漫画家うめ、のシナリオ担当である小沢高広がアニメ初脚本
豪ちゃん先生独特の艶めかしさを取り入れて大人に成長したキャラ達をデザインしたのは飯島弘也
ロボットアクションはトゥーンシェード3DCGということで、より現代的に洗練されつつも一目でマジンガーとわかるデザインは柳瀬敬之
劇伴や主題歌のアレンジは渡辺宙明先生の実子である渡辺俊幸
そしてその主題歌を歌うのはもちろん我らがアニキ、水木一郎だゼーッ!!!


この主題歌、俊幸さんお得意のプログレッシブなアレンジでかなり疾走感あるふれるものになってはおりますが、実のところテンポはオリジナル版と変わっていません
まさに原曲の味わいを残したままの現代風アレンジというわけ


キャストは兜甲児に森久保翔太郎、弓さやかに茅野愛衣、キーパーソンとなるリサに上坂すみれ、といった具合に若手~中堅の実力派声優で固められる一方
テレビ版で甲児を演じてた石丸博也や、さやかを演じてた松島みのりがチョっとした役で登場しており、観てる最中に思わず「おっ!?」となる小ネタが嬉しい


この手の映画で何の意図があってか分からない芸能人をぶっ込まれる傾向があるものの、あしゅら男爵が朴ろ美とセットで宮迫博之だったり、お色気リリーフとして登場する「マジンガールズ」なる4人組アイドルのうち2人がおかずクラブだったりするものの、“マトモな台詞がほとんど無い”というオマケっぷりで特に違和感はありません
むしろこの「マジンガールズ」でおかずクラブと組まされる残りの2人が何故か田所あずさと伊藤美来
ころあずとみっくは芸人枠なのかよ!w
知ってたよ!w


今作でオイラが最も評価したいのがデザインや芝居やアクションやコメディもさるところながら、非常に筋の通ったプロットです
と、いうのも先述の通り『マジンガー』シリーズは年々複雑化しており、もはや“サーガ”と呼べるラインからは逸脱してしまっているのが現状なのです
ところが今作の作中では多元宇宙論(マルチバース論、私達が知りえる宇宙とは並行して存在する“可能性の宇宙”があるという理論)を肯定している描写があり、それがキーワードとして機能しているんです
つまり並行宇宙(パラレルワールド)の存在を仮定したとすれば、これまで描かれてきた数々の『マジンガー』シリーズにおける劇場映画、OVA、リメイクシリーズ等を全て肯定することが出来るというわけです
これ、もちろん今作の評価としても十分素晴らしいものですが同時に『マジンガー』シリーズ全てを総括してしまったということになるんですよ!?
凄すぎますね


しかもそんな複雑で眠くなる話を語ることをメインテーマとせずとも、単純明快でマジンガーにも多元宇宙論にも興味ない人が観ても爽快な気分を味わえるスーパーロボットvs機械獣軍団の大バトル、というエンターティメント作品としてのストーリーラインがこの作品にはあるってのが良い
きっと海外のファンも喜んでくれたことかと思います


それに光子力研究所がある富士山麓が主な舞台ということでロケハンも丁寧
日本の象徴たる富士山を様々な角度で取り上げつつ、そこで決戦を挑むマジンガーの勇姿はとても映えるものでした
富士山が小高い丘、ぐらいにしか見えなくなるインフィニティの巨体を対比させる造形物としても上手く画面上で機能してますしね
訪日外国人に大人気のスポットとして有名な新倉山浅間公園や富士山本宮浅間神社も登場し美しく描写されております


と、同時に急速に発達したことで昭和の町並みを僅かに残した未来都市、という描き方がオリジナル作品が孕んでいた放送当時の面影をノスタルジーという形で隠し味にしているのはニクイ演出です


そうそう、光子力研究所が存続してる理由が光子力の平和利用を前提としてる為、研究成果の一般公開が義務付けられてる…ってのがエネルギー技術で最先端を行きつつもそれを独占せず海外に輸出しちゃってる日本、と重ねて観たのはオイラだけでしょうか


また、冒頭でアメリカが真っ先に倒された為なのか、マジンガーのピンチを救ってくれる描写が克明なのが『マジンガー』LOVEなイタリアやフランスなのもこの作品がどんな国で人気なのか伺えましたな


エンドロールは何故か吉川晃司の書き下ろし曲…ですがこれは個人的には割りとどーでもよくw
唯一この映画で少し残念かな、と感じたのがプロダクトプレイスメントが雑、という点でしょうか
おまえのことだよ日産!


ともかくこの映画自体とても軽いノリで進んでいく一方で、実は45年も解決できなかった問題にキッチリ答えを出してるってのが素晴らしい
クライマックスには泣きましたよね

投稿 : 2024/11/02
♥ : 10
ネタバレ

yuugetu さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

時代性を反映しつつノスタルジーも感じる手堅い作り(SKLの話題も少し)

2018年1月公開のマジンガーZ新作映画。
見てきました!今年の楽しみだったので良い映画で嬉しい。

ドラマとアクションのバランスが良く、ノスタルジーを感じさせながらも時代性も反映され、全体的に良く出来ていたと思います。ロボットバトルのシーンが多いこともあり詰め込み気味ではありましたが(SKLほどじゃないけどね!!w)。
物語としてはテレビアニメの10年後、大人になった甲児たちの葛藤や未来への可能性を描き、「神にも悪魔にもなれる」をキーワードに光子力とマジンガーにも焦点を当てています。
初めて見る人であっても基本的な設定を知っていれば置いてきぼりを喰わないだろう展開、ストレートなキャラ配置も良いですね。

マジンガールズのエロ描写だけは、正直苦笑してしまいました。嫌いではないですけどちょっと露骨すぎてw
エロは無いと寂しいと言えばそうですが、さやか、ジュン、リサの色気には艶っぽさや上品さ、健康的な可愛らしさがあってこの3人だけでも個人的には満足だなあと。

キャスティングは演技力のある声優さんばかりで盤石。イメージにも合っていました。初代のキャストも別キャラクターで積極的に起用していてなかなか面白い配役が見られました。
作画は文句なしに素晴らしかったです。キャラデザも雰囲気を残しつつブラッシュアップもされているため古く感じませんし、新キャラクターのリサも作品に馴染みつつも不思議な存在感があってとても好きです。

強いて気になった所を挙げると、味方量産機(イチナナ式)のデザインがマジンガーっぽくないのが不満といえば不満でしょうか。いわゆるリアルロボットみたいで、これは「誰が乗っても動かせる」特別じゃない感を狙っているのかな?

あとBGMがちょっと悪目立ちする部分もあって個人的にはあまり好きではないです。音楽に関してはEDが一番良かったですね。


{netabare}

10年という歳月を経てしがらみを背負った甲児やさやかの葛藤、親子関係の色々など、ドラマ部分での見所も多くなっています。ジュンの「昔は良かったなんて死んでも言うもんか」という台詞からも、懐古的なものだけがこの作品で描きたいことではないのだなと感じました。
女性の強さ、ロボットのバックアップの描写の多さ、ロボットやエネルギーの扱いの難しさなどを描いた所にマジンカイザーSKLと共通点がありました。SKLスタッフが永井先生から言われた「今のロボットはバックアップがないとだめ」という部分も本作ではしっかりと描いたと思います。

「神にも悪魔にもなれる力」であるマジンガーや光子力に対する世界の反応はリアリティがあり、かつ普遍的でテーマにも繋がっていて良かったですね。光子力の扱いも、危険性を内包したエネルギーとして客観的に描かれました。
世界を肯定すること、多様性の強みと弱みを受け入れていくことがそれらを良い方向に運用していくという結論は、王道でベタですが大好きです!さやかが会見で「次は上手くやります」と言い切ったのもそうですが、理解されなくても批判されても信念を貫き、それが結果として大きな流れを作っていく。言葉ではなく行動で示すことが人の心を動かす、という王道展開がとても良かったです。


親子関係の描写が多かったのも好きです。
さやかと弓博士は立場と意見をぶつけ合いながらも、世界が消えるかもしれないと知った時、弓博士はさやかの努力と気持ちを肯定しました。
ジュンにとってお腹の子は戦士ならば足枷でもありますが、女性としてなら鉄也と自分を繋ぐ存在で何よりも大切なもの。
甲児にとってはお爺ちゃんから託された「神にも悪魔にもなれる」という言葉を今度はリサに託し、リサは希望と可能性を甲児に示して見せる。甲児にとって娘としてリサと再会する可能性は、未来に希望を見出すには十分なものだったと思います。

それでも甲児が「世界を肯定する」という言葉を口にするのにわずかな溜めがあったのは、現代を生きる人間としては共感する部分でした。もしかしたら、甲児をヒーローとして見ている古参ファンにとっては悲しく感じるシーンかも知れませんが…

10年の歳月が流れてマジンガーが博物館に飾られていたり、統合軍のプロパガンダに甲児が引っ張り出されたり、良くも悪くも彼らは勝利の象徴となっています。平和の象徴には未だなり得ていないのがもどかしい所ではありますね。
インフィニティは悪魔でマジンガーZは神かといえばそうでもないっていうのが永井作品らしい。Dr.ヘルとインフィニティは脅迫で光子力を得、甲児とZには人々が自分から力を貸してくれる、その対比も上手くできていました。
光子力を世界中から送ってもらうシーンはまさしく元気玉ですなw


人の心ひとつで世界が滅亡にも平和にも転がる、というのは永井作品やよく理解して作られた派生作品をいくつか見ていれば容易に読み取れる共通点。極限状態で人間性が問われ、そこに主人公たちだけではなく世界全体の人々の心が影響してくる展開は永井作品の根本に流れ続ける魂と言って良いかもしれません。
その良い面を端的に表していたのがボスのラーメン屋での描写で、とても好きなシーンです。ボスは一般の人と戦士のちょうど中間にいる、美味しい役回りだったなあと。

もっとも、この手の展開で世界を滅亡させちゃうのは永井先生くらいだろうなと思いますけどw


あとメタな視点になりますが…
光子力の発電所建設に地元の人たちが反発する所とか、東日本大震災の影響が脚本にも出ているのではないかと思います。本作の企画自体は震災前(2009年頃)から立ち上がっていたようですが、本格的に制作が始まるまでには数年があったそうですから。
SKLはちょうど震災前頃に完成した作品で、最終巻には重力炉のメルトダウンや津波の描写がありましたが、震災後なら自粛した可能性もあったと思っています。
ファンタジーでもアニメでも、シリーズ通してこういう問題を描けるのは貴重だと思います。
{/netabare}


一度だけの観賞なので細かい所はわかっていないかも知れませんが、とても良い作品でした。こういうノリが好きなら映画館で見る価値はあると思います。おすすめします。(2018.1.25)

投稿 : 2024/11/02
♥ : 13
ネタバレ

kororin さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7

「久し振りだな、人類。」

TVシリーズのDrヘル&ミケーネ帝国と戦ったマジンガー大戦から10年後の世界。

それぞれ大人になった、
兜甲児は、ヤンチャ気味だった少年が研究科学者に。
弓さやかは、お転婆少女が新光子力研究所の所長に。
剣鉄也は、統合軍の戦士(愛機は当然グレートマジンガー)。
パートナーの炎ジュンは鉄也との子供を身籠ってマタニティ。
兜シロ―は統合軍三番隊隊長として(マジンガー似の)量産型ロボットのパイロット。
かつての光子力研究所所長・弓弦之助は日本国首相に。
ボスは子分のヌケ・ムチャと共に昭和小物の飾った内装のあばら家の様なところでラーメン屋やってるし・・・

復興の担い手となった完全無公害の「光子力エネルギー」。世界のエネルギーは殆どが光子力にまかなわれた平和な世界。
或る日、日本の富士山麗にある光子力プラント(う~ん、やっぱりサクラダイト発掘プラントに見えてしまう)で超々巨大なマジンガー似のロボットが発掘された。
それはパイルダーの代りにマジンガーZが頭に乗れる程の大きさ。
時折しも、アメリカの光子力プラントを機械獣の大軍団が急襲。奮闘した鉄也&グレート・マジンガーは行方不明。
日本では巨大ロボット(インフィニティと命名)の調査に来た兜甲児。インフィニティからフェードアウトしてきたスッポンポンの少女アンドロイドと遭遇。
やがて機械獣軍団は日本の光子力プラントも急襲・占拠。そしてDrヘルの復活宣言!{netabare}彼の目的は「碇ゲンドウ」の如き所業(?){/netabare}

今や一戦を退いた兜甲児。どうなる日本!いや、世界!!いや宇宙!!!


ということで、半年前からモノスゴク楽しみにしてたので見てきました。
いや~気合の入った作画で綺麗でした。(でも終盤はチョット・・・ね)
スパロボのCGも面白かった。でもアクション早すぎて目が追いつけない~~~(トホホ)
デザインも今風にスリットやらエッジやら細々したラインも多くなってブーブー言う輩も多いようですが、洋画「トランスフォーマー」の「板金数千枚貼り付けたボディ」よりメリハリがハッキリしててイイじゃないですか!トランスフォーマー「より」も!!!!ト・ラ・ン・ス・フ・ォ・ー・マ・ー・よ・り・も!!!!
ボトムズの「ペールゼンファイル」でも複数体のAT(CG画)がドッカンドッカンやられていくのに感動(不謹慎?)したものでしたが、
マジンガーZが数百体(ぐらい?)の機械獣相手に立ち回る姿はやっぱりゾクゾクしました。
「無限」に出てくるドリルミサイル、サザンクロスナイフ、ミサイルパンチも健在!(笑)。
{netabare}序盤のグレート・マジンガー戦で判ったのですが(というか設定?)、必殺武器って「音声認証・承認」なんですね(笑){/netabare}
ゲスト出演としては、
TV版「ゲッターロボ」から自称発明家とその弟子。マジンガーZ劇中後半に出てきたボスの遠縁の家政婦さん(シングルマザー?)なんかも出てきてちょっと嬉しい(ああ、チャンと世界観把握してるんだ)。
しかしアイドル防衛ユニット・MG(マジンガール)って必要だったのかな?まあ、下世話なお色気が必要なのはダイナミックプロの「売り」だから仕方ないか・・・でも、もうちょっと活躍して欲しかったものです。
「マジンガーZ」TV放映45周年として、初代「兜甲児・弓さやか」の中の人・石丸さん、松島さんも「或る役」で出ておられました。(ん~やっぱり年なんだなぁ~。息が、息がもう・・・)

個人的な評としては、
スパロボ好き&永井豪ファン&マジンガーZファンの為のような(ありがた~い)映画でした。
なので、「一般」の方や「にわか」にはあまりオススメ出来かねる気がします。


ところで!
私は夜間割り(レイトショー)で観たかったのですが、私の地域で夜間割りは[4DX]しかなく、これも経験と思いやむなく「初4DX」で観覧しました。
しかし、なんということでしょう‼

まさかあんなに「揺れまくる」とは!
特にマジンガーZの空中戦。キリモミ状態で墜落していくシーンなんかはアームレスト掴んでてもシートから振り落とされんばかりの勢いの揺れ!
頭の後ろでは爆発&ミサイル発射シーンの度にエアーが「プシーッ!プシーッ!」と吹きまくって鬱陶しいし。
まあ、「ホバーパイルダー」に載ってる臨場感らしいのですが・・・
「もう観ないからな。二度と4DXで映画を観てやるもんか!」
と、「あの」年少パイロットみたく言ってみましたが、ヤッパリ「ロボット兵器」のコクピットは中心部(腹部)の方が安定しているのかもしれませんね(笑)

投稿 : 2024/11/02
♥ : 8

計測不能 4 2018年度のアメリカアニメランキング4位
グリンチ(アニメ映画)

2018年12月14日
★★★★☆ 3.8 (8)
25人が棚に入れました
 この子の名前はグリンチ。友達も家族もいないからいつもひとりぼっち。グリンチは、ずっとさびしい毎日をすごしていた。
 オトナになったグリンチは、他人の幸せがだいきらい。村はずれの洞窟で誰とも会わずに暮らしハートの大きさは普通の人よりずっとずっと小さくなった。
 そんなグリンチが、なかでも一番きらいなもの。それは・・・村中が幸せな気分に包まれるクリスマス!!しかも今年のクリスマスはとっても豪華になるらしい・・・
 もう我慢できないグリンチは、あるとんでもない作戦を思いつく。そうだ。村からクリスマスを・・・盗んじゃえ!!
ネタバレ

ねごしエイタ さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

フーの村の素敵なクリスマス +++

 吹替版、字幕版、見たです。クリスマスまでに見ると良いかもしれないです。

 ひねくれ自己中、クリスマス嫌いのグリンチが、フーの村の人達を困らせようと行動をしたです。けれど、心に変化が起き自分が、何を求めていたのかに気づいた展開だったです。

 雪景色、村の風景、展開なかなかだったです。自分的には、字幕版の方が、言葉はわかんなかったけど、良い感じに思えたです。音楽、歌がやはり違うです。吹替版とで、グリンチ周辺の文字の違いにも、注目です。

 性格の悪い平和なものが嫌い、ひねくれグリンチな展開に見えたです。愛犬マックスに対する態度、出会ったトナカイ、本人は覚えてないようだったけど再び出会ったシンディー・ルーと話したとき、絶望するはずだった村人の行動を見たときのグリンチは、根っからの悪人にはとても見えなかったです。

 働いているわけでもないのに、大量の食糧を買うことができ、いろいろな発明品を作ったり、衣装を作りいろいろな作業具を持つグリンチは不思議だったです。
 ソリのように盗みを繰り返していたのでしょうか?です。

 いろいろな発明品は、非常に面白かったし、魅力的だったです。人間でないのは明らかだけど、何の生き物なのでしょうか?です。

 トナカイのフレッドや特に愛犬マックスとの友情を描いた場面は、良かったです。

 グリンチが、クリスマスを盗むということはどういうことなのか?です。それをした時グリンチは、幸せになったのか?、そこが最大の注目点だったです。
 グリンチがシンディー・ルーや村人のやさしさに触れた時、自分の求めていることに気付いたシーン、行動が良かったです。
{netabare} そんなグリンチを受け入れ、向かい入れたシンディー・ルーたちの大団円は、HAPPY ENDだったです。{/netabare}これでいいのだです。
 

投稿 : 2024/11/02
♥ : 1

ゆい さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.5

子供向け

子供しか楽しめないんじゃ、、。
つまらなかった。子供がつくったような物語だったなぁ
グリンチの過去を掘り下げるならともかく、何もないし。孤児院なのにひとりぼっちで誰もいないのは意味がわからなかったし、、

投稿 : 2024/11/02
♥ : 0
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