アニメミライで女子高生なおすすめアニメランキング 3

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメのアニメミライで女子高生な成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年11月08日の時点で一番のアニメミライで女子高生なおすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

73.1 1 アニメミライで女子高生なアニメランキング1位
デス・パレード(TVアニメ動画)

2015年冬アニメ
★★★★☆ 3.7 (1027)
5248人が棚に入れました
「いらっしゃいませ クイーンデキムへようこそ」
何も知らない二人の客を迎えたのは、不思議なBAR『クイーンデキム』と白髪のバーテンダー『デキム』。「お二人にはこれより、命を懸けてゲームをしていただきます」彼の口から語られるデスゲームへの誘い。やがて剥き出しになる客達の本性。
ゲームの果てに自らを『裁定者』と明かすデキム。
裁定者デキムが二人の客へ下す裁定とは…。


声優・キャラクター
前野智昭、瀬戸麻沙美、大久保瑠美、細谷佳正、内山昂輝、白石涼子、柚木涼香、玄田哲章
ネタバレ

ヘラチオ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

人間に人間は裁けない

デスビリヤードとしてアニメミライでやっていたものが1クールでアニメ化したもの。デスビリヤードが割と面白かったので、期待値は高かった。

相違点は{netabare}クイーンデキムで裁定する側にはデキムと知幸という名前で黒髪の女がいるだけであったが、今作はたくさん。{/netabare}

同時に死んだ2人がゲームをして転生するか否かを決めるというのは同じ。また、クイーンデキムに連れてこられた時点では2人は死んでいるという認識はなく、ゲームをするうちに死に至るまでの記憶を思い出していく。

デキムは90Fある裁定フロアのうち、15Fで裁定を下している。今作で謎に包まれたデキムについて明かされる。デスビリヤードを見て面白いと感じた人には見てもらいたい作品。ただ、毎回、ゲームしているわけではない。{netabare}人の死に焦点を当てつつ、死を経験したことのない人形が死、人間らしさを考える。最終話でデキムが人間らしさを手に入れ、知幸とお別れをするシーンは少しうるっときた。{/netabare}神の視点からしか人は裁けないが、人間らしさを手に入れたあとはどう裁くのか。やはり、人間は様々な背景があり、どんな奴でも淡々と裁くことはできないということだろう。そう考えると裁判で判決を出すというのも人生を左右するものであるから、慎重にじっくりしても最適解はないということかなと。このアニメの制作側マッドハウスが何を考えて作ったかは分からないけど。

OPのFlyersは映像でキャラクターたちが踊っているし、曲調的にも体が勝手に動きそうな感じ。EDは数話ほどゲームをさせられた人の映像で幸せそう。

{netabare}
アマゾンプライムから引用のあらすじと1話ごとの感想
#1 デス・セブンダーツ
BAR「クイーンデキム」に一組の夫婦が訪れる。なぜか前後の記憶が定かではない夫婦が、困惑しながらも店の奥に進むと、白髪のバーテンダーに迎えられる。デキムと名のるその男は夫婦へ命を懸けたゲームを行うよう告げる。密室のバーから出る為にたかしと真智子はダーツで勝負をすることに。ゲームを進める中でたかしは、愛する妻の真智子を守るために、ある抜け道を考えつく。

たかしは結婚式のときに真智子の友人が「マッチって勝ち組だよね」と相手が医者らしいと話ているのを聞き、真智子の浮気を疑う。そのせいで、新婚旅行旅行に喧嘩して車で崖の下に落ちて死亡したことを思い出す。実は真智子はたかしとの子を妊娠しており、しかも、マッチではなかったのに、こんなことになってしまったのだった。完全に勘違いしたたかし一人のせいで、死ぬはめになったわけだが、たかしはそれに耐え切れず、発狂するのを見て真智子は辛くなったのか今までのことは演技だったと言う。個人的には演技ではなく、本当に愛していたんだろうなと思われる描写だと感じた。なんとも、後味悪い。結局、ダーツで勝った真智子は虚無、たかしは転生。

#2 デス・リバース
黒髪の女が目覚めると、そこは見覚えのない場所で、傍らには見知らぬ少女がいた。自分の名前すら思い出せない彼女は、その少女・ノーナにデキムのもとへと連れていかれ、彼の仕事を手伝うように告げられる。クイーンデキムにやってきた2人の客を見守りながら、黒髪の女はノーナからクイーンデキムが在る理由を聞かせれる。ノーナによるとゲームは「裁定」に不可欠なことで……。

1話の一部を振り返る内容でもあった。黒髪の女は真智子は一度だけ他の男と過ちを犯したものの、たかしを想う気持ちを見抜く。たかしの勘違いさえなければ、2人は幸せだったと。だが、ノーナは疑り深いたかしの性格なら幸せになるなんて絶対にありえないことも見抜く。前回のもやっとするところが少し解明され、デスビリヤードでも出ていた黒髪の女が登場し、次が気になる。

#3 ローリング・バラード
大学生の三浦しげるが目を覚ますと、目の前には見知らぬバーテンダーが。バーテンダーから命がけのゲームをするよう告げられたしげるだったが、対戦相手だという美しい女性に一目ぼれしてしまう。自分の名前すら思い出せないという彼女から記憶を取り戻す為にゲームをしたいと言われたしげるは、その頼みを承諾し、二人はボウリングで対決することに――。

女性はちさとという名前で引っ越して会えなくなってしまったものの、幼少期に遊んでいたのである。と見せかけてしげるのことを想うあまり、振り向かせたくて整形した舞であった。一緒にバスに乗っていて、しげるが話しかけたところで事故死してしまった。しげるは彼女のことを受け入れ、死後のデートを楽しむ。デキムがデートは5分だけとかボケをかますとは想定外。死にはしたが、幸せな展開で見ていてほっとした。

#4 デス・アーケード
クイーンデキムに訪れた二人の客――立石洋介と橘みさき。芸能人であるみさきはTV番組の撮影だと思い込み、洋介に番組を盛り上げるために協力を求める。ルーレットで選ばれたのは「アーケード」。自らをモデルにしたかのようなキャラクターを操作することに違和感を覚えつつ、ゲームは洋介の優勢で進んでいく。一方、裁定に必要な死者の極限状態を作り出すため、デキムはある行動を起こす。

子だくさんであり、夫に暴力を振るわれて、結婚離婚を繰り返して、子供を育てるために、なりふり構わず生活し、マネージャーに暴力を振るい、腹いせに殺害されたみさき。一方で実の母親にネグレクトを受け、育ての母親の愛情を受け付けようとせず、「お袋と呼んでほしい」という簡単な願いすら叶えないまま、自殺した洋介。お疲れ様の一言でもすごく泣けるよな。暴力を振るわれていた過去のあるみさきが暴力を振るう側になっているというのは実生活でもありそうなこと。でも、衝撃的。

#5 デス・マーチ
黒髪の女がデキムの手伝いを始めてしばらく経ち、今日もクイーンデキムに2人の客がやってくる。いつものように出迎えに行こうとした黒髪の女だが、なぜかデキムに制止される。ホールに現れたのはくたびれた雰囲気の中年の男、藤井と少年の二郎で、特におかしな様子はない。ところが、デキムがゲームの説明を始めると、藤井がデキムやクイーンデキムに見覚えがあると言い出した。かつてない客の反応に、デキムは警戒を深めるが……。

スタートは女が同じ夢を見たところから。どう展開していくのやら。藤井という中年男は太い体だけど、器が小さくて嫌な男。二郎は少年と見せかけてギンティという男。裏で5年目のデキムが裁定者として適しているか常に評価されていることが示されたような感じ。藤井も実はデキムを試すために記憶を植え付けられた人形であった。今回はこれといったドラマがなくて残念。

#6 クロス・ハート・アタック
女子高生の有田マユは気がつくと見覚えのない場所にいた。不思議に思いながらもマユが通路を進むと、赤い髪のバーテンダーがいる和風のバーに行き当たる。ギンティという名のそのバーテンダーは、マユを見るや一方的にゲームで勝負しろと告げ、対戦相手の男を指し示す。その男はアイドルグループ「C.H.A」の原田。大好きなアイドルに会えたマユは大喜びで、ギンティに言われるがままゲームを始める。

猫がボタンを押して手足を置く場所を決めるツイスターゲーム。パンツが見えちゃうけど、嬉しいマユ。もうちょっと可愛い娘がよかったと嘆く原田。早撃ち王子とか週刊誌に書かれてる。早く帰って女に会いたいらしいが、その女が怪しい。怪しくはなかったけど、付き合っていたその女に対し、激しい女遊びのために安易に別れを告げ、自殺され、爆弾を置き土産にされて死んだことを思い出す。マユはライブ後に風呂に入ろうとして足を滑らせて頭部を強打して死んでいたことをツイスターに負けて落下するときに思い出す。なんだかんだあったけども、最後はライブで盛り上がる。ギャグ回だったな。サブタイトルはデビューシングルだったのね。

#7 アルコール・ポイズン
毎晩のように繰り返し同じ夢を見る黒髪の女。クイーンデキムでその夢に出てくる絵本を見つけた女は、戸惑いながらもデキムに持ち主を尋ねる。絵本に心当たりがないデキムだったが、もしかするとクイーンデキムの元裁定者が忘れていったものではと言い出し……。同じころ、ノーナの家に情報部に所属する友人・クイーンが訪れた。酒好きなクイーンは、早速ノーナと飲み始めるとデキムの様子はどうかと尋ねる。

黒髪の女は自らが死んでいることに気付く。デキムが人形を集めているのは裁定を終えた人のことを忘れないためであることが明かされる。でも、忘れてるのかよ。生への敬意は感じられるけども。マユがギンティの手伝いしているのは驚き。ノーナが何故か焦っているようだ。

#8 デス・ラリー
クイーンデキムに人を殺めたことのある客が来店することになり、黒髪の女は不安を隠せない。送られてきたのは島田と辰巳という、どちらも殺人犯とは思えないごく普通の男性二人。「ゲームに勝利するまで外に出られない」というデキムの話に、手分けして出口を探しはじめる。その最中、島田は自分の荷物の中から血まみれの包丁を見つける。動揺し包丁を隠す島田と自らを刑事と語る辰巳。そんな二人が戦うことになるゲームとは。

ホッケーするわけだが、島田は親を亡くした後の妹のことを思い出す。妹が襲われて復讐に燃える一方、辰巳は妻が殺されたことを思い出す。実はどちらも殺人だった・・・?

#9 デス・カウンター
互いの境遇を知った二人は共感を深めると同時に、徐々に記憶を取り戻していく。一方、死者の記憶を見た黒髪の女は今すぐゲームをやめるようにとデキムに諭す。しかし、彼女の制止を聞かず、デキムは裁定のために二人の心の闇を吐かせようとゲームを進めていく。自身の復讐のため命を懸けてゲームに挑む二人だったが、島田に妹を襲った男に関しての重要な記憶が呼び起され…。

かなり印象に残った回。妹を襲った男は1人じゃないと言われた島田は実行犯を殺した直後に入ってきた刑事の辰巳を殺したことが判明。辰巳が不幸な男というだけで終わると思いきや、妻の復讐を果たしてから自身を裁定者と称し、犯罪が起こる現場を見ても、途中で助けることはせずに、犯行が終わるまで見ているだけだったのだ。島田の妹が暴行を受けているときも結末を見届けるだけ。罰を与えるためには被害者が必要と言う辰巳は人間とは思えない。島田はもう一度殺したいと叫び、黒髪の女に制止されるも、辰巳に煽られ、実行してしまう。極限状態は心の闇を暴くものではなく、心の闇を作り出すものかもしれないという気づきを与える回であった。人間は思っているよりも単純である。

#10 ストーリー・テラー
黒髪の女の言葉をきっかけに、デキムは意図的に死者を極限状態に追い込む裁定方法に疑問を抱くようになる。その疑問をデキムはノーナに報告し、裁定者の任を降りようとする。しかし、ノーナから黒髪の女の裁定はどうするかと問われ、逡巡するデキム。一方、黒髪の女は自身体に変化が生じていることに気が付く。それは彼女に残された時間がわずかであることを示していて……。揺れる二人の前にやってきた客とは。

お婆さんがやって来て、ばばぬきがスタート。イラストレーターと言うお婆さんと黒髪の女、デキムで粛々とゲーム。この作品に珍しく、良い人生だったと語るお婆さん。ばばぬきをしながらもデキムは裁定に疑問を感じている。黒髪の女の夢に出てくる物語で少女が耳が聞こえない設定なのは言葉以外でも気持ちを伝える手段があると教えるためであると知る。そのつながりで知幸という名前を思い出す。裁定者が人間の感情を持っているかもしれないと神に近い男オクルスにばれちゃう。

#11 メメント・モリ
今まで一度も裁定に迷ったことのないギンティ。ところが、自分の命よりも原田を優先したマユにだけは裁定を下せず、彼女をウィーギンティに留めていた。苛立ちを募らせたすえ、ギンティはマユに一つの決断を迫る。同じころ、己の名前を思い出した黒髪の女──知幸は、生前の記憶を取り戻すため、デキムからあるゲームへと導かれる。知幸は子供時代の思い出、大好きだった絵本、家族と過ごした日々、様々なことを思い出していく──。

デキムは人が死ぬために生きるのではなく、生きているから死ぬと言うところから始まる。知幸をゲームへの誘導はできなかったが、フィギュアスケートをする知幸。フィギュアスケートの思い出。楽しい思い出ばかり思い出していたが、競技中に重大な足の怪我をしたために選手生命を諦めなければいけなくなった。そのせいで自暴自棄になり、自殺をしていたのだ。死を想えという意味を持つメメント・モリというカクテルを飲み、眠らされる。一方、原田の魂が戻ってくるように願うマユは一緒にエレベーターに乗り込む。恐らく虚無に行ったと思われるが、幸せなのかも。オクルスの頭の毛?が閉じて、髭が開いた。ノーナは次回どうなるのか。

#12 スーサイド・ツアー
死者の裁定のために存在する裁定者は、生も死も経験できない人形であり、人間の感情を知ることはできない。この理にノーナは抗い、裁定者が変化する可能性をデキムに賭けていた。デキムの知幸への裁定を見届けようとするノーナの前に、彼女の企みを知ったオクルスが姿を現す。当のデキムは知幸を眠らせ、ある場所へと連れて行く。知幸が目を覚ますとそこには――。

現生で知幸の死後も生活を続け、気持ちを分かってあげられなかったと嘆く母親を見る。そして、誰か一人死ぬ代わりに生き返ることができるボタンをデキムに渡される。生き返りたいと一度は考えるが、今まで見た死人を思い出し、誰にでも誰か思う人がいると気づき、押すのを止める。泣きながら、母親に謝る様子をデキムは見て涙を流す。すると、彼自身の目が裁定者特有のものではなく、人間のようになり、知幸が見ていた世界が崩れ、デキムは処分される人形の置き場だったと騙して申し訳ないと言う。知幸の裁定を実は行っていた。人形に過ぎないデキムが悲しみを知った。知幸を利用してノーナが裁定者を変えようとしていたように思われる。人形に自我が芽生えて神と戦おうとしている物語だったように感じられた。知幸が転生する際も笑顔でお別れし、作品の最後でも以前とは異なる雰囲気で新たに来た客を迎える。
{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 5
ネタバレ

田中タイキック さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

感情の果てには『愛』があったというお話

2015年1月~ 日本テレビ系列にて放送
全12話

突然、何も知らない二人の人物がたどり着いた不思議なBAR『クイーンデキム』
出迎えたのは白髪のバーテンダー『デキム』

「お二人にはこれより、命を懸けてゲームをしていただきます」

半ば強制的にデスゲームに参加させられ、二人はやがて人間の本性がむき出しになっていく
ゲームの果てに自らを『裁定者』と明かすデキム
人間の本性を暴いた先に下す『裁定』とはいったい…


まず物語の構成
2話完結のお話から始まり、1話完結の話もあれば
終盤に向けて含みを持たす繋ぎの回もあったり
展開の仕方が様々な作品です

また、あえて物語の結末や登場人物の行動原理
世界観の説明をぼやかすことで
物語の空白を作っているところが特徴です

一応、結論というのは導き出されますが
明確な答えを提示してくれることは無く
果たしてそれが正解なのか?
そんなことを考えてしまうような
文学的な趣きの強い作品でもあります


キャラクターデザインは決して流行りの絵柄では無いものの
洗練されていてカッコイイ絵柄
また全体的に作画がとても良く動きの激しいシーンや
細かい日常の仕草など細部にわたって作画レベルの高さが印象的
特に表情豊かな゛作画の芝居゛が声優さんの凄みのある演技と相まって
思わずおぉっ!唸ってしまう場面が多々ありました
特に9話のゲスト声優 藤原啓治さんの演技と11話のスケートシーンは
このアニメのベストシーンだと思います


そしてこのアニメには実に様々なテーマが内包された作品であると思っています

『既存の自動化された体制への反抗』であるとか
『見ている人の死生観に問いかける』ものであるとか
『正しい人生、より良き人生とは』みたいなものとか

しかしそのどれもがキャラクターや世界観と同じく
明確な回答を提示してくれる作品ではありません
視聴者がどれに重きを置いて見るのか
取捨選択が必要な作品だと感じました

それでも最終回の予告映像を見るとこの作品の主題が何となく感じとれると思います
最終回だけ2分程度のロングバージョンの予告が公開されていて
内容は劇場版の予告みたいな作りになっていて核心的なネタバレは無いので
この予告を見てから視聴すると印象が変わってくるかもしれません
もちろんフラットな状態で見たいという人は閲覧注意です


デス・パレードLast episode予告動画[Long ver.]

https://www.youtube.com/watch?v=40_pSjR_1OM


【総評】
一貫してダークな雰囲気で人間の黒い部分を暴いていく物語かと思いきや
ギャグに徹した回があったり素直に感動できる回があったり
作画・声優・演出が高いレベルで融合した物語の幅広さが印象的でした
それゆえにどっちつかずな展開が気になる人は多いかも
見終わった後、後味の悪いような感覚はありませんが
心によく分からない引っかかりが出来てそれが何なのか考えてしまうような
良くも悪くも簡単には消化できずに様々な感情を呼び起こす作品でした

あとOPがすごくファンクでキャッチーなノリの良い曲でお気に入りです
OPバンド BRADIOは他の曲もどれも素晴らしいです

多くの謎を残し、キャラクターがその後の展開を予感させる態度だったので
2期というものをどうしても考えてしまいますが
個人的には今回、原作・監督・脚本を務めた立川譲さんには
「俺の描きたい物はまだまだあるんだ」
という野心的な心意気を感じたので全く別の新しい作品を期待してます



以下、最終回を中心にネタバレ感想


感情の果てには『愛』があったというお話

{netabare}ずっと疑問だった『裁定者は感情を持たない』という設定
いや、あるじゃんっていう
怒ったり酒飲んで喜んでるのも感情ってやつじゃん
そんな疑問に自分なりの仮説を立てました

まず感情の分類をします
感情の分類は実に様々な人が行っておりいくつもの推論があります
この作品においては六情

喜 怒 哀 楽 愛(いとしみ) 悪(にくしみ)

の六つの感情で分類されると思っています
理由としてはまぁ一番メジャーじゃん?っていうのと
六情は六根とも呼ばれ仏教に由来した言葉であるということ
デス・パレードの劇中には仏教をモチーフにした描写が随所に見られました

喜怒哀楽は自分の内に秘める感情、愛と悪は自分の外 つまり他者に向ける感情であります
裁定者達には潜在的に喜怒哀楽と悪(悪意)の感情はあるけれど
愛、すなわち慈しむ心だけが無くそれを指して
『裁定者は感情を持たない』と定義しているんではないか?というものです

ノーナ以外の多くの裁定者は他者(人間)に対して無関心か悪意という感情しか向けてこなかった
ノーナ自身だって80数年の歳月を経てようやく裁定のシステムに疑問を持ち
裁定の在り方を変えるには人間の心に寄り添うべきではないか?と思うようになります

それだけにデキムの存在は非常にイレギュラーでした

「私は生を全うした人間を尊敬しています」

7話のクイーンとの裁定者の業務引き継ぎの場面で言ったデキムの発言はノーナにとって衝撃だったのです
尊敬という他者に向けた言葉、しかしデキムはその本質(感情)までは理解していませんでしたが
ノーナはそんなデキムに大きな可能性を感じ
『デキムを利用した裁定システム変革計画』が始まったのです

その変革計画を達成するためにはデキムに『愛』の感情を持たせる必要があった
そのためにわざと死の記憶を持たせた女(知幸)を送ったり人殺しの人間を送ったりと
裏で色々やってたわけです


結果、デキムは感情(愛)を手に入れることが出来ました

10話でノーナが「裁定者の記憶容量は気にしなくていい」と言って用意させた
普段の裁定ではありえないほどの膨大な知幸の記憶を元に
仮想空間を作ってまで極限状態を作りだそうとします
今までひたすら無感情に”ただ必要だから”という理由で極限状態を作りだしていたデキムが
初めて『悪意』をもって極限状態を作りだそうとしたのです
デキムはそんな知幸の感情の爆発を受けて心が痛みます
他の裁定者は標準で持ち合わせていた喜怒哀楽すら持っていなかったデキムにとって
知幸の膨大な記憶と感情が流れ込んだことにより『後悔』と『哀しみ』を覚え
慈しみを持って許されたことにより『愛』を覚えました

この一連の流れが演出と相まって素晴らしい最終回でした
特にデキムが笑顔で知幸を見送るシーン
知幸の笑った顔、泣いた顔、様々な表情をフラッシュバックさせた先に彼女に対する『愛』
それがデキムにあんなに良い笑顔をさせたのかと思うと涙が止まりませんでした

そして最後のOP

これから少なくともデキムの裁定は確実に変わっていきます
まだまだ不完全なシステム、不完全な裁定者ではあるけど
このFlyersの曲のように楽しい職場になっていくだろうと

「きっとなれるさ なりたい自分に」

これからのデキムを後押しするようなメッセージを残して
非常に前向きな気持ちいい余韻を残しながら終わったのも最高でした
詐欺OPではなく予知OPだったんですよ!!


ちなみにギンティも『愛』を少しだけ知ったのだろうと思いました
マユのコケシを残していたのもそうですが
黒猫のミーマインが消えていたこと

ミーマインが単純にアイマイミーマインのme,mineだとしたら
有田マユ=Mayu→My
I,my,me,mineのうちmy(マユ)とme mine(ミーマイン)が消えて

残ったのは I = 愛

ギンティにも『愛』の感情は芽生えていたんだよ!!

以上、言葉遊びにもならないこじつけでした


おわり
{/netabare}


11話までの各話感想
{netabare}
【1話までの感想】最後までリドル・ストーリーで行くのか!?
{netabare}リドル・ストーリー (riddle story) とは、物語の形式の1つ。物語中に示された謎に明確な答えを与えないまま終了することを主題としたストーリーである。 ※Wikiより

元々は「アニメミライ2013」の作品内の1つ「デス・ビリヤード」をもとにしたオリジナルアニメ。
原作・構成・監督を務める立川譲さんはTVアニメ初監督らしいですね。
このリドル・ストーリー、最後は視聴者のご想像にお任せしますよ方式は賛否両論ありそうですけど私は好きです。短いストーリー限定ですけど。引っ張りに引っ張って最後は視聴者の~ってやられた作品もありましたし…
この作品に関してはまだどっちに転ぶかわかりません。2話目で1話の答え合わせ的な話をするのかもしれませんし、まだ様子見といったところでしょう。

OPはノリノリな曲でしたね!クイーンデキムの従業員(レギュラーキャラ?)も沢山いるみたいだし日常回というか明るい話もあるんでしょうか。気になるところです(`‘ω‘´){/netabare}

【4話感想】中々見えない本筋に辟易しながらも、この世界観から抜け出せない
{netabare}3話ですっきりいい話で終わってたのに4話でまたモヤモヤが残る展開に。
黒髪の女に何度も突っ込まれる行動に『裁定に必要ですから』とデキムは返してましたが黒髪の女にも視聴者にも納得させるだけの描写が足りなかったので「このゲーム本当に必要なの?」という疑問が残りました。
最後のデキムの謎の包容力にちょっと笑いましたが死を受け止められない人にすべて吐き出させて死というものを改めて受け入れさせるのも裁定者の仕事なのかな。
どんな人生であったとしても最後に「お疲れ様でした」と言われるのはなんだか救われますね。{/netabare}

【6話感想】いったい何なんだこのアニメはぁ!?
{netabare}今回はデキムではなくギンティの所に死者が来るお話。
ゲームの内容はツイスターゲーム。アニメでツイスターゲームをするとエロ回かギャグ回にしかならないけど今作でも立派なギャグ回になってしまいました。
しかも裁定はせず終了!いったい何がしたかったんだ・・・
今回登場したギャル 有田マユは公式サイトのキャラ紹介にちゃっかりいたんですね。ということはレギュラーキャラってことでいいんでしょうか?

死んで悲しむのは残された人達で死んだ当人は案外楽しくやってるもんだよ!むしろ死後のほうが楽しいよ!!な回でした。
{/netabare}

【8話感想】本格サスペンスはじまた この引きは卑怯・・・
{netabare}久しぶりの前後編
人を殺めた人物が送られてくると聞いて自分には経験がないと心配するデキム
そういう人はやはり裁定の基準も変わってくるのだろうか
Cパートで二人とも殺人を犯していたと判明
黒髪の女にも二人の記憶が流れこんでいきそこで島田の妹が襲われている映像や犯人らしき金髪男の顔
辰巳のデスクには島田らしき人物の写真
二人の事件は明らかに繋がっています。では誰が誰を殺したのか…それは来週のお楽しみ
前提条件として裁定者のもとに来るのは「同時刻帯に亡くなった二人」
これを考えるとこのシリーズ史上最も胸くそ悪い展開もありえるかも
次回をドキドキしながら待ちたいと思います。{/netabare}

【9話感想】Q.面白かった?つまんなかった? A.すごかった
{netabare}凄まじい回だった
あれこれ考える間もなくこのドラマに胸ぐらつかまれて引きずられる感覚
声優さんの演技が鬼気迫る名演だったのも印象的でした。
今回でデキム自身にも大きな変化がおきそうです。
今一度裁定者とは何なのか見つめ直すきっかけの回でもあるかな
正直、故意に人の心の闇を暴くってのも相当むちゃくちゃだし辰巳にさらなる苦しみを与える場面は明らかに裁定者の領分を逸脱してる・・・
と思うんですけどねぇ
デキムにとって何が最適な裁定なのか見つけ出す物語なのかな
黒髪の女の件もあるし最後はどうなるんだぁあああぁ{/netabare}

【11話感想】最終話のサブタイは「自殺旅行」
{netabare}前回で名前が明らかになった黒髪の女「知幸」
今回でついに亡くなった原因が判明しました。
自殺…自分の全てを捧げ取り組んでいたスケートが奪われてしまって残ったものは何も無いと思ってしまって…
理解はできるけど心の中ではどこか納得できない部分があるのは私が命をかけて何かを成したことが無いからなのかもしれない
中盤4分くらいのスケートシーンは作画の凄さと相まってすごく綺麗で儚い
アニメでここまでのスケートシーンを見たのは初めてでした。
デキムは自分のすべきことが固まった様子
しかし爺さんが何やらきな臭い
マユが原田くんと共に虚無に落とされるシーンも切ない
しかし最後は原田くんと共にいられて良かったのかな
これがギンティによるせめてもの温情なのか
やはり人間とは理解できないものとしての行動なのかはわからなかったです。
最終話のサブタイトルはスーサイド・ツアー
穏やかじゃないタイトルだけどその真意は如何に!?
覚悟をもって見届けたいと思います{/netabare}

自分用に世界観と用語を整理

【トーテム】
大地から奈落の底へと伸びる巨大なタワー
タワーは無数の階層に分かれていて、それぞれに裁定者が存在する。
他にも裁定者に死者を振り分ける整理係、
死者たちの記憶を編集する情報部など様々な部署が存在する。

【クイーンデキム】
本作の主人公、デキムが管理しているBAR

【裁定者】
人間の魂を裁定し、「転生か虚無」に送り出す者
BARに訪れた客に死んでいることを気づかれないよう、ダーツやビリヤードなどの命をかけたゲームを強制し、その様子から裁定を下す。
{netabare}裁定の基準にゲームの勝敗は関係なく、ゲームの過程から人間の本心や心の闇を見て裁定を決める。そのため意図的にゲームを妨害するなどして「極限状態」を作り出すようにしている。 {/netabare}

【転生と虚無】
裁定を受けた者の魂が向かう場所。
死者の体は魂が送られた後、ただの人形と化す。
転生とは、 {netabare} その名の通りまた別の命となって現世に戻る。{/netabare}
虚無とは、{netabare}あらゆる負の感情と意識を抱いたまま何もない空間に永遠に落とされる。
※公式サイトでは転生と虚無の捉え方がこのようになっています。これを見るにデキムの言う「天国と地獄」は転生=天国、虚無=地獄ということになるでしょう。{/netabare}
{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 52
ネタバレ

しんばくん さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

そもそも何故裁定するのだろう。何故を想像する作品。

ジャンル        :リドル・ストーリー
話数          :全12話
原作          :立川譲 / マッドハウス
アニメーション製作 :マッドハウス
監督          :立川譲
シリーズ構成・脚本 :立川譲
キャラデザイン    :栗田新一
音楽          :林ゆうき
OP           :「Flyers」作詞 - 真行寺貴秋 / 作曲・編曲・歌 - BRADIO
ED           :「Last Theater」作詞 - Ryosuke・Ryo / 作曲 - Ryo
              / 編曲 - NoisyCell・PABLO a.k.a. WTF!? / 歌 - NoisyCell

参照元        :Wikipedia「デス・ビリヤード」

【あらすじ】
 何も知らない二人の客を迎えたのは、不思議なBAR「クイーンデキム」と白髪のバーテンダー「デキム」。彼は命を懸けたゲームをするよう二人を誘う。そしてゲームを始めた二人はやがて本性が露となって行く。ゲームの果てに自らを「裁定者」と明かすデキムが下す裁定とは…。 デス・パレード公式ページ「作品紹介」参照

【特徴】
①リドル・ストーリー(結末を曖昧にした話)
②シリアスで湿っぽい
③感動

【長所】
①徐々に明かされる記憶の意外さに驚かさせる
②デキムの下した裁定結果の是非を考察させるパターンと意図的に伏せられた裁定の結果自体を考察させるパターンの 2種類ある
③デキムの成長過程が描かれている
④登場キャラに謎が多い

【短所】
①考察ポイントとは別の伏線は回収されない
②確かな解を求める事は出来ない

【短評】
{netabare} まず長所①です。記したとおり意外性のある展開で退屈とは程遠い内容となっていました。驚かされます。
 続いて②です。本作は特徴①にあたる結末を暈して視聴者自身に考えさせるように出来ている話で構成されています。そして考えさせられるパターンが長所②の前者と後者の2種類あるという訳です。視聴者としては「それは違うだろ」とか「何やらかしたんだ?」など、思うところが沢山出てくると思います。こういった思考を促す部分が魅力と思います。
 続いて③です。②のストーリー以外に、裁定を終えていくうちにデキムの心境は徐々に変化します。最終的に物語開始時とどう変化したかという所も見所だと思いました。
 続いて④です。デキム以外のキャラも謎が多く、登場時には不明な所が幾つかあります。しかし、回を追う毎に明らかになる部分もあるので見応えがあります。

 次に短所①です。これは2期も作れる部分を残したという事です。ですが、1期だけでもスッキリする部分もあります。
 続いて②です。幾ら考えたところで明確な答えを得る事が出来ない部分もあります。また、お茶お濁していると捉えるか否かで作品の良し悪しが決まるかもしれません。{/netabare} 

【総括】
 全体的に湿っぽい雰囲気ですが、怨嗟の感情が渦巻いておどろおどろしい雰囲気の回もあれば、少しおちゃらけた雰囲気の回や心温まるやさしい雰囲気の回もあり、心揺さぶる話が多いです。また、ゲームで判明する記憶には意外性があって飽きる事の無い作りになっています。そして、最大の特徴は視聴者に考察を促す作りである事です。以上の事から笑いを求めている、湿っぽい空気が苦手という方以外にはお勧め出来る内容かと思います。

【思った事・蛇足】

デキムはトーテムでも特異な存在のようです。
というのも、生を全うした人間を尊敬しているからです。
何故特異であるかというと
その他のバーテンダーは只管来訪した客をルールに則って裁くだけで
人間を尊敬する事は無いからです。


因みにトーテムで働く従業員は人間ではないです。


それにしても
何故デキムは生を全うした人間を尊敬しているのでしょうか。
謎です。


私は何と無く尊敬する理由について作中の内容から感じ取ったのですが
尊敬する理由も結局推測の域を出ない訳です。
けれども
もやもやする事は無く
「そういう事で良いか」と勝手に納得出来ました。
(納得出来なかったらつまらなかったかもしれない…。)


それと
上では一切触れませんでしたけど
心理描写が丁寧で「感動出来る」物語になっていました。
なので
感動する事を目当てに観るのも良いかなと。
そう思います。




2期やらないかなー。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 19

61.1 2 アニメミライで女子高生なアニメランキング2位
わすれなぐも(アニメ映画)

2012年3月24日
★★★★☆ 3.5 (98)
452人が棚に入れました
かつて上代に手練れの陰陽師が大蜘蛛を封印したと言われる一冊の本。それを入手した古書店の硯とビルのオーナーの孫娘・瑞紀の前に、身の丈20センチほどの小さな娘蜘蛛が現れた。寂しげに母を求める娘蜘蛛のいたいけな姿に、硯は自分の師匠からヒントをもらって、あるべき場所へ物の怪を返そうと試みる。だが行動をともにする瑞紀からは、硯はすでに娘蜘蛛に取りつかれたようにしか見えなかった……

声優・キャラクター
土田大、下田麻美、金田朋子、星野充昭

けみかけ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

「なんと!めごい、これはめごい!あろうことか、愛らしい幼女ではないか!」 這いよる幼女とシュールなラストの作画アニメ

アニメミライというプロジェクトがあります

文化庁が年間2億円かけて国内アニメ業界に働く若手アニメーターの育成環境を整えるという計画でして、選抜された制作会社には30分のアニメ作品を一本作るだけの予算として3800万円が与えられます

このプロジェクトの趣旨の大事なところは国の金を使ってアニメを作ろう、っていうことではないです
ソコが重要!

制作会社や参加アニメーターには様々な制約が課せられます
○監督他メインスタッフが主導となれるよう、オリジナル作品であること
○作画には積極的に若手アニメーターを起用すること
○参加アニメーターには一定以上の報酬を支払うこと
○海外制作会社への作業発注を禁止すること
○参加アニメーターが今作の制作に集中できるよう、作品の掛け持ちを禁止すること
などなどです

これらは全て若手のアニメーターにOJTの場を与えるための工夫となっています

また単にお金だけ渡すのではなく、参加者に向けて現在の業界ではあまり取り入れられていない、アニメーター向けの講習会が開かれたりもします

このプロジェクトの意義とはコレをきっかけにアニメ業界の教育環境が整備され、やがて制作会社が自主的に若手教育に力をいれるようになってくれることにあるのです









さてさて、今作はそんなアニメミライの平成23年度分に選ばれたものの1作です
実制作スタジオはプロダクションI.G

かつて名のある陰陽師が退治した大蜘蛛の妖怪が産み落とした幼い娘の姿をした子蜘蛛
その娘蜘蛛は書の中に封印され、時を経て現代の古書店にひょんなことから顕現する

古書店の店主の硯(すずり)は、次第に娘蜘蛛に取り憑かれたように惹かれていく・・・
それを懸念した古書店の常連、瑞紀は娘蜘蛛を親蜘蛛の元に返すことを手伝うのですが・・・



アニメタ育成を課題にしているだけあって、作画クオリティは本当に凄いです!
序盤の陰陽師と大蜘蛛のバトルシーン
前半の縦横無尽に暴れまわる娘蜘蛛の愛くるしい動きと瑞紀ちゃんのコミカルな表情
後半のロトスコ(ロトスコープ)と思しき丁寧な動きと巧みなレイアウトの追跡シーン
とにかくどれも凄いですよ!

ただこのお話のオチは・・・;
いわゆる「妖怪との共存系」のゆったりアニメではないし、「妖怪とのガチバトル系」のアツイアニメでもありません
とにかく笑えないし、泣けもしない、ちょっとゾッとするシュールなラストが待ってますよ;

投稿 : 2024/11/02
♥ : 21
ネタバレ

まりす さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

心を絡め捕られる男(と私)

文化庁が主導する若手アニメーター育成プロジェクト
「アニメミライ2012」の参加作品4つの内、Production I.Gが制作を
担当した作品。

アニメーター育成事業だけあって、時間は30分程度と短いながらも
色んなシーンを仕込んでいます。
戦闘シーン、ホラー的な構図、ヒーロー番組等々…
場面も古都→現代の街並み→廃村 と、趣の違ったフィールドでキャラを動かしている。
音楽が抑え目な分、作画をじっくり観られた点も良かったと思います。

ストーリーはほのぼの系…かと思いきや後半のシリアスっぷりも面白い。
また、物語の中心に居る「娘蜘蛛」役である金田朋子の演技は見物です。
「蜘蛛を擬人化して幼女にするとこんな声かなぁ」みたいのをドンピシャで
やってくる。やっぱり役者って凄いや。

ネタバレで3点考察しときます。
{netabare}
①娘蜘蛛は瑞紀の頭に牙を突きたてたり、顔を脚で刺したりして
 ましたが、最初から獲物として見ていたような印象を受けました。
 そう考えると娘蜘蛛の行動は一貫してましたね。

②廃墟で硯が蜘蛛の糸にまみれながら 何かに誘われていくシーン。
 あれは糸に物理的に引っ張られてるのではなく、糸そのものが
 「存在をからめ捕る」存在だったのでしょう。
 ラストの月吠庵のシーンでは、硯に操られている素振りが見られません。
 (目の下にクマがない)
 瑞紀が死んでいるにも関わらず平然としている。
 からめ捕られたのは理性です。
 硯は最早、蜘蛛に贄を捧げるのにも躊躇わないでしょう。怖い、怖い。

③萩原朔太郎の「月に吠える」という詩集で、吠えているのは犬です。
 何で吠えてるかと言うと、自分の影に怪しみ恐れて吠えている。
 月吠庵の店主は過去の自分と同じく怪異に片足を突っ込んだ硯の状況を
 怪しみ、恐れて 瑞紀に「硯を取り戻せ」と耳打ちする。
 結局硯は怪異にからめ捕られてしまいますが、店主にとっては
 自分の過去(≒影)を見ているに等しい。
 不吉な月を怪しみ、影を恐れても、所詮影は自分を離れることがない。
 お前も逃れられぬ定めだったかとため息をつきつつ、硯の状況を
 割かし簡単に受け入れてしまう店主は結構重要キャラだと思います。
{/netabare}

それにしても娘蜘蛛めごい。めごいぞ。
一匹家に欲しいです・・・(おっと目の下にクマが)

機会あれば鳥山石燕の画にも触れてみたいと思います。
お目汚し失礼いたしました。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 8

maruo さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4

ラストがストーリーの肝 B+

アニメミライプロジェクトの作品です。
アニメミライとは、正式には「若手アニメーター育成プロジェクト」といい、文化庁が主導し、2010年から実施しているアニメーターの人材育成事業のことです。
労働環境の悪化、過度の海外委託、低収入・長時間労働が、人材の使い捨て、喪失につながっているということが背景としてあり、日本の将来を担うアニメーターを育成するということを主な目的で行われるのが本事業です。
その他副次的目的もあるようですが、詳細はWikiでご覧になってください。

私たちの見ているアニメは、アニメーターの劣悪な労働環境の上に成り立っているもので、製作現場はいつも危機的状況にあるようです。
この企画の恩恵が及ぶのはごく一部だとしても、お役所にしては良い仕事だと思います。

さて、アニメミライばかり語ってしまいましたので、そろそろ本題に入ります。

物語の最初、古の陰陽師が登場し、大蜘蛛を一冊の本に封印します。
そして現代、古書店を営む硯とビルのオーナーの孫娘・瑞紀が、ひょんなことからその本を発見してしまいます。
本から現れたのは20センチ程の小さな娘蜘蛛でした。
瑞紀は蜘蛛を物の怪として非常に怖がりますが、硯はそんな素振りは見せません。
むしろ、寂しそうに親蜘蛛を求める娘蜘蛛を見て、親蜘蛛の元へ返そうとします。
そんな硯に瑞紀もついて行くのですが・・・。

この作品に登場する娘蜘蛛は、ロリというには小さすぎますが、見た目は人型なので、可愛い物好き+ロリの方は要注意です。
表情や仕草を追うだけで満足してしまう人もいるかもしれません。
私としてはそれよりも、娘蜘蛛を怖がる瑞紀という女の子の方がツボなんですけどね。

まあ、それは良いとして・・・。

物語自体は特段思いがけない展開がある訳でもなく、淡々と進んでいる感がありますが、ラストは思わず「え、そうなったの?」と言いたくなるような結末が待っています。
良い意味で想像外のラストでしたが、本当にあの最後で良かったのだろうか。
これは絶対にネタバレせずに見るべき作品です!

気になった方はぜひ見てみてください。
といっても、これDVDとか出てるのかな?

投稿 : 2024/11/02
♥ : 13

56.3 3 アニメミライで女子高生なアニメランキング3位
音楽少女(アニメミライ2015)(アニメ映画)

2015年3月22日
★★★★☆ 3.3 (55)
257人が棚に入れました
――その日、少女は音楽と出会った。謎のハイテンション転校生、千歳ハル。スーパーインドア派少女、熊谷絵里。その邂逅は二人の日常を変えてゆく。踏み出したその先に、少女たちが見い出したものとは……。絵里の歌が大好きなハル。歌う事が大好きだった絵里。2人の好きがいつか重なり、すれ違う。ひと夏の高校生活を2人なりの青春を燃やす事に費やした2人。青春のこんな素敵な1つの形「音楽少女」のグランドフィナーレ。

声優・キャラクター
沼倉愛美、瀬戸麻沙美

nyaro さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.3

これが税金で作られた?せめて貧乏アニメータにお金がいきわたってますように。

 アニメミライ2015ということで、文化庁のアニメータ育成のプロジェクトです。WIKIによると3800万円の予算が出るそうで、1本のアニメ作品としてはかなりの制作費ではないでしょうか。(WIKI情報なので、実際いくらもらったかは知りません)

 スタジオディーン作成で石倉賢一さんと言う方が監督です。
 後で言いますが、作品の出来からいってスタジオディーンがアイドルアニメ制作を諦めたのは正解だと思います。が、本作のTV版だけは作っています。まあ、そちらは私は見てませんし、見る気もないです。
 また、石黒賢一さんですが、この方は経歴を確認すると、監督というよりも絵コンテとして活躍されているようです。

 正直申し上げて、これが税金から作られたと思うと腹が立つ水準です。脚本はある日突然歌が上手い美少女が学園に来て歌手になりたい。ルームメイトは初めは毛嫌いしていますが、仲良くなる。で、コンサート。別れ。それだけです。
 その割に、キャラ造形は極端で、ストーリーどころか感情や言動が不自然すぎます。ダブルヒロインのどちらにも全く乗れませんし、好きになりようがありません。

 学園アイドル物の作画・美術・3DCGの練習を税金でやりました、という感じです。
 まあ、それが育成なんだと言われると、この作品に携わった作画・原画・動画・CG・背景等々に税金がいきわたって技術向上が出来ているなら、習作として認めても良い水準にはなっているかもしれません。

 アイドルアニメを作るための技術的蓄積ならいいですけど…しかし、やはりというか…脚本と演出の育成が急務かもしれません。アイドルアニメはあまり好んで見ていないので、カテゴリーとしては語る資格はないですが、本作からはアイドルアニメの面白さを一つも感じられませんでした。
 少女の成長物語とか、アイドルの本質とか、友情とか、業界あるあるとかまるでありません。キャッキャうふふ…だけですらない、ギャーギャーぎすぎすです。

 せめて、国内の貧乏アニメータにお金がいきわたって、ちゃんとカロリーを取れたことを祈ります。

 ストーリーとキャラに点はつきません。ただ、1は極端なので1.5。キャラデザが余りにスタンプです。凡百どころか凡万くらいです。しかも性格は一発で嫌いになれると思います。
 作画は良いのですが、4…だと付け過ぎかなあ…3.5かなあ。音楽は、うーん。声優は調整で落とします。そもそもキンキン声の演技がちょっと…
 一生懸命歌っている方には悪いですが、作品全体がひどすぎて、そもそも集中して聞けてませんし、やっぱり平凡すぎます。評価なしの3です。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 6

けみかけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

シャフト演出と若き才能達の共演!“超作画萌えアニメ”の爆誕!!これは本当に歴史的傑作!!!【普通の女子高生がネットアイドルしてみた】

アニメミライ2015の一作
アニメミライは新人アニメーター育成の為の国家プロジェクトです
詳しくは公式サイト他を是非ご参照ください


はぁw
なんていうかこれはやってくれましたね
良い意味で溜め息すら出ます


制作はスタジオディーン
監督はシャフト出身、『D.C.Ⅲ』や『桜Trick』の石倉賢一
キャラ原案は『天体のメゾット』や『ガールフレンド(仮)』のqp:flapper
そしてキャラクターデザインは僅か25歳というホンモノの天才、『ゆゆ式』や『ばらかもん』のまじろ


謎の言動が多い転校生ハルに付きまとわれる大人しめなインドア派少女、絵里
実は絵里の歌声に惹かれたハル、彼女を歌わせようと必死に誘うのですが極度のあがり症の絵里は頑なに断り続ける
しかし絵里の正体はネットで話題をさらった歌ってみた動画の投稿者だった
ハルは絵里とユニットを組んで二人でデビューする思い出を作りたいと願うのですが・・・


内容は石倉監督らしいコテッコテの青春コメディ、萌え萌え、キマシ系、美少女動物園
演出も監督らしい所謂シャフト演出で、パース無視の奥行き感の無いレイアウトの背景、首を傾ける仕草、ぬるぬるズーム、が一杯出てきます
大それた内容では無いというか、中身自体は【クソアニメ】として楽しめる方しかオススメは出来ません、残念ながら


ところがこれまでの石倉監督作品とは違って、【めちゃくちゃ作画イイんです!】
なぜならそう!まじろさんだから!
ああ、この30分が(作画的に)どれだけ凄いのかわからない人はちょっと可哀想;
そんぐらいオイラは感動しました!
だってほら!ずっと動いてる!
止め絵とかそーゆー省エネ、小細工、一切無しの芝居作画です!
アニメミライ2015はどの作品も大変素晴らしい作画だったのですが、作画だけに限ればこの作品がブッチギリです!
いやマジで!


音楽、というか歌唱シーンを題材にしているだけあって全体的な音響面もgood
本格的にキャラソンも作ったらしく、今後は商業展開させていくようです
だってメインキャストに沼倉愛美、瀬戸麻沙美ときといて、なぜかサブキャラに早見沙織がいるぅ~と思ったらやっぱりキャラソン出たかw


いや、ホント内容は萌え萌えなだけで山も谷も浅いようなクッダラナイお話なんですが(爆)
そこを許していただける方!
是非ともお時間許すときにご鑑賞を!
オイラは歴史的傑作だと思いますよ?




投稿 : 2024/11/02
♥ : 19

米麹米子 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4

作画良いです。

あらすじ


――その日、少女は音楽と出会った。謎のハイテンション転校生、
千歳ハル。スーパーインドア派少女、熊谷絵里。その邂逅は二人の日常を変えてゆく。
踏み出したその先に、少女たちが見い出したものとは……。
絵里の歌が大好きなハル。歌う事が大好きだった絵里。
2人の好きがいつか重なり、すれ違う。ひと夏の高校生活を
2人なりの青春を燃やす事に費やした2人。
青春のこんな素敵な1つの形「音楽少女」のグランドフィナーレ。
(アニメミライ抜粋)

アニメミライ30分ですが
作画が良く、下手な1クールアニメより良かったと思います。
京アニが好きでキマシ、萌え系好きな方にはオススメかと。

私は、ハルという厨二キャラがあまり好みではなく
点数自体は低めですが、今アイマスとかラブライブとか人気ありますよね。
好きな方はツボに入るのではないかなと。
ライブの演出が良かったですし、
最後にはハルのウザキャラも気になりませんでしたし。

自分の好みかと問われるといいえなのですが
需要はあると思います。
アニメミライでは人気や需要があれば
1クールアニメや映画化される事もあるようなので
アニメミライ作品は見て損はないかと。

<放送情報>
■地上波放送
・読売テレビ
『音楽少女』3月23日 月曜 深夜
『ハッピーカムカム』3月30日 月曜 深夜
・毎日放送
『クミとチューリップ』4月2日 木曜 深夜
『アキの奏で』4月3日 金曜 深夜
※放送日・放送内容は変更になる場合がございます。

■CS・ケーブル放送
・アニマックス
スカパー!や全国ケーブルテレビ局などでご覧いただけます。
4/5(日)から2週連続で放送 13:00~14:00(2話連続)
『音楽少女』4月5日 日曜 13:00~13:30
『ハッピーカムカム』4月5日 日曜 13:30~14:00
『クミとチューリップ』4月12日 日曜 13:00~13:30
『アキの奏で』4月12日 日曜 13:30~14:00

<劇場上映>
劇場上映決定!! 4月より順次上映予定!!
※詳細はツイッター等にて告知予定

投稿 : 2024/11/02
♥ : 34
ページの先頭へ