2024年度のアイドルおすすめアニメランキング 7

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメの2024年度のアイドル成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年12月28日の時点で一番の2024年度のアイドルおすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

75.4 1 2024年度のアイドルアニメランキング1位
【推しの子】第2期(TVアニメ動画)

2024年夏アニメ
★★★★☆ 3.8 (271)
886人が棚に入れました
「この芸能界(せかい)において嘘は武器だ」 地方都市で働く産婦人科医・ゴロー。 ある日"推し"のアイドル「B小町」のアイが彼の前に現れた。 彼女はある禁断の秘密を抱えており…。 そんな二人の"最悪"の出会いから、運命が動き出していく―。
ネタバレ

青龍 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

漫画のメディアミックスの光と闇

『かぐや様は告らせたい』などの赤坂アカ(原作)、『クズの本懐』などの横槍メンゴ(作画)による原作漫画は、『週刊ヤングジャンプ』と『少年ジャンプ+』(集英社)での連載が終了(全16巻、既読)。
アニメ2期は全13話(2024年夏)。1期から制作体制に変更なし。監督は、『私に天使が舞い降りた!』、『恋する小惑星』などの平牧大輔。制作は、『イエスタデイをうたって』、『NEW GAME!』などの動画工房。3期の制作が決定(以上、Wikipedia参照)。
(2024.7.1投稿 10.12 「全体の感想」 12.26 「原作漫画の感想」を追記)

【あらすじ】
自らの作品に強いこだわりを持つコミュ障漫画家・鮫島アビ子(CV.佐倉綾音)は、自ら描いた漫画「東京ブレイド」が「2.5次元舞台」としてメディアミックスされるほど大人気であった。
しかし、あがってきた舞台の台本を見たアビ子は、その内容に納得できず脚本家を「この人、ちょっと創作者としてのセンスが…」と全否定。2期は、こうした漫画のメディアミックスの光と闇を中心に描かれていくことに…

なお、今回も1期の「恋愛リアリティショー」と同様に、本作の内容と類似していて、なおかつより悲惨な事件が直近にリアルでも生じていました。
もっとも、本作は、そういう問題がなぜ生じてしまったのかを、漫画家からの視点だけではなく関係者の様々な言い分を代弁するような形で解説するような内容にもなっていると思います。


【漫画のメディアミックスの光と闇】
2期の冒頭は、作中で人気漫画とされる『東京ブレイド』の「2.5次元舞台」で実際に行われているという演出のキャスト紹介から始まります。いきなりド派手な演出です。

当然、このシーンは原作漫画にありません。なぜなら、漫画とアニメは、同じ二次元ではあっても、無音声で静止画(漫画)と有音声で動画(アニメ)とで表現形態が異なるからです。

仮に漫画原作者が、このシーンの細かいイメージを持っていたとしても、漫画では表現できません。そこをアニメ制作者が原作者の意図を忖度して必要な動き・音などの情報量を付け足し、そのイメージをどこまで再現できるのかが腕の見せどころだったりします。

もっとも、漫画とアニメは、表現形態が違うのですから、漫画のシーンをアニメでもできるだけ同じように再現することだけが必ずしも「効果的な表現」とはいえない場合もあります(例えば、動画の強みを生かすため、バトルシーンを加えたり長くしたりするなど)。そうすると、同じシーンでも原作者と監督との間で表現者として異なる解釈の余地も生じてきます。

加えて、アニメの場合は、時間的な尺の問題もあるので、原作漫画の内容をカットする必要も出てくる。そして、カットした内容と辻褄を合わせるため、原作の内容自体にも修正が加えられることに…


本作の内容は、漫画を2.5次元舞台化する際の舞台裏を赤裸々に描いているわけですが、面白いことに『【推しの子】』という漫画をアニメ化する際にも同じ現象が起こっているという「二重構造」になっています。

というわけで、特に原作ファンにとっては、アニメが原作漫画をしっかりアニメ化出来ているかどうかも見所の一つかもしれませんね(笑)


【音楽】
オープニングは、『呪術廻戦2期-懐玉・玉折』オープニング「青のすみか」などのキタニタツヤと元SexyZone現timeleszの中島健人のユニットGEMNが歌う「ファタール」
エンディングは、『呪術廻戦2期-渋谷事変』エンディング「more than words」などの羊文学が歌う「Burning」

オープニングの「ファタール」は、フランス語で致命的、運命的という意味。特にオープニングは、歌詞が本作の内容とリンクしてます。


【全体の感想(※2024.10.12追加)】
{netabare}私は原作漫画のファンですが、2期は原作漫画をしっかりアニメ化出来ていたと思います。なんなら原作以上のクオリティであったとすら思います。
もっとも、そう思う一番の理由は、舞台という題材自体が漫画よりアニメ向きだったということに尽きると思います。

例えば、漫画で「役者の感情表現に依存した演技」と書いたところで、その部分の表現について、声と動き、なんなら音楽まで情報が加えられるアニメの表現に情報の少ない漫画が敵うとは思えない。ただ、アニメ制作者が補ったそれらの情報が適切であることが前提にはなりますが…

でも、本作のアニメ制作陣は、こちらの想定をはるかに超える情報を補っていたので、リアルで『東京ブレイド』の舞台を作るつもりで取り組んでいたんじゃないかと思うほどのクオリティでした。本当にそこはすごいと思いました。
(※ちなみに、本当にリアルで『東京ブレイド』が年末に舞台化されるそうです)。


あと、2期は、アイを殺害した犯人を追うミステリー部分がかなり後退してしまった内容だったのですが、漫画家自身が漫画のメディアミックスの問題を漫画化したことに意味があると思ってます。

実際はアニメよりもっとひどいのかもしれないし、そうじゃないのかもしれませんが、メディアミックスに関わる様々な人たちのリアルな一面が見れたことが、アニメのレビューを書く私にとっても参考になる部分がありました。

小説や漫画をアニメ化する際、多くの関係者が初めから駄作を作るつもりなんかなくても、本作の伝言ゲームのようなディスコミュニケーションが生じることで、いわゆる「クソアニメ」ができてしまう。

原作自体は、アニメ化されるくらいなんで、多くの人から支持される面白さがあったはずなんですけどね…


さて、2期は単行本8巻までのアニメ化でした。実は、原作漫画が16巻で終わることと3期の制作決定が発表されたので、3期は今まで通りのペースだと2クールで一気に最後までできることになります。

個人的には、結末がどうなるかにもよりますが、最後まで一気にやった方がよさそうだとは思っていますがどうなるでしょうか。
ちなみに、私は漫画とアニメで結末を変えるのもアリだと思ってます。{/netabare}

【アイで始まった物語はアイで終わるべきだったのでは?(※原作漫画の感想 2024.12.26追記)】
{netabare}初回90分の特別版から始まった本作は、YOASOBIの『アイドル』のヒットもあって瞬く間に社会現象に。私もその熱に浮かされて、考察を始めたり漫画を全巻揃えたりしました(笑)私が考察した部分は、ほぼ明かされなかったのですが、楽しかったんで真相がわからなくてもいいです(笑)
その頃の盛り上がりを考えると、若干寂しい終わり方だったかなと思います。

私はネットで漫画を買う方が多いのですが、『推しの子』は数少ない紙媒体で買っている作品。持った瞬間、「なんだこれ、すごい厚いし重いぞ(笑)」値段もちょっとお高くなってました。

まあ、これが本作のラストを端的に表しているかなあというのが読む前の印象で、読んだ後も大きく変わらなかったです。

最終巻は出るまで詳しい内容をシャットダウンしていたのですが、ネット社会から漏れ出てくる情報で、あまり評判がよろしくないというのと結末がどんな感じかというのはなんとなく把握してました。

個人的にラストは良くもないですが悪くもないと思ってます。最初の期待値が高かったので、それに応えようと色々と試行錯誤した結果があの本の厚さになってしまったのかなと思いました。

ただ、個人的にケチをつけるとすれば、「アイで始まった物語はアイで終わるべきだったのでは?」というところでしょうか。

最終巻ではアイが早々に退場して、アクアのルビーに対する想いが中心になっていきます。そういう流れだとしても、【推しの子】ってやっぱり星野アイの物語でもあると思うんです。
そこが消化不良気味だったので、「アクアのルビーへの想い」、「ゴローのさりなへの想い」がちょっと唐突に感じた。

というわけで、「アイで始まった物語はアイで終わる」のがきれいな終わり方だったんじゃないかというのが個人的な感想です。
{/netabare}



【14話の感想】
{netabare}まあ、売れた作家に文句言える人って貴重ですよね。
そんなに文句言うなら、あなたが書けばいい、どうせあなたの感性で書いても売れやしないって言われるわけですから…。

いいシーンでした。{/netabare}

【15話の感想】
{netabare}前半は、「原作者VS脚本家」
お互いがリスペクトを持てば分かりあえるかもという1つの理想像。まあ、話し合ってもお互いに譲歩する気がなきゃまとまるものもまとまらないので、確かに博打です。

後半は、「幼馴染VS今カノ」
他人の境遇を想像して泣くことができるやつに悪いやつはいねえ!
私は、有馬かなより黒川あかね派!だけど、アクアの楽しい思い出のほとんどは、「かな」とのものばかり(笑){/netabare}

【16話の感想】
{netabare}目の星が黒くなったり白くなったりする演出が、1期と比べてパワーアップ。ダークサイドに落ちると次第に白から黒になっていって、感情表現の一つみたいになってますね。

あと、東京ブレイドの公開初日。吐息が白くなる描写がすごい。

2期は、物語上、特にアイの影が薄いのですが、オープニングにも出てくるし、アクアのトラウマとして、ちょいちょい存在感を発揮。【推しの子】は、やっぱりアイの物語でもあるなあと。

そして、「幼馴染VS今カノ」ラウンド2「開幕」です。{/netabare}

【17話の感想】
{netabare}劇中劇である「東京ブレイド」が開幕しちゃいました。

舞台は、無音声静止画の漫画より有音声動画のアニメの方が表現しやすいと思うわけですが、その分、補わなければいけない情報が増えるので、原作漫画をどうアニメ化するのかを個人的に注目していました。

そんな中、上で書いたように「漫画では表現できないアニメならではの表現満載」で、アニメの良さが出ていたと思います(まあ、「キャラの原作の再現度が高い」っていわれても、そもそも「東京ブレイド」知らねーよとは思いましたが(笑))

あと、今回は黒川あかね役の石見舞菜香さんが推す鳴嶋メルト回。メルト推しが増えそうな内容でしたね(笑)

※劇中劇であるはずの「東京ブレイド」のレビュー動画を発見。コメント欄も秀逸です。上で「東京ブレイド」知らねーよと書いた自分が恥ずかしくなりました。天才っているんですね。
https://youtu.be/jLh1sONIDYY?si=TkaTCkL870QwZDuR
{/netabare}

【18話の感想】
{netabare}個人的には、舞台とあかねの過去の回想シーンとの繋ぎがよかった。
回想シーンって、物語に違う物語が入ってくるので、繋ぎが難しい。そこを冗長にならずに緊張感を保って元の物語に戻っていったように感じました。間の取り方が上手いというか。

あとは、原作漫画では、役者の感情演技に依存した脚本と書かれていただけのところを、実際に声優さんたちが実演していくところが見処に。特に石見さん、普段からはちょっと想像つかないような声で、別人かって思うくらい頑張ってます。{/netabare}

【19話の感想】
{netabare}前回が黒川あかね回で今回が有馬かな回。

対比されて描かれることが多い二人。演技の方向性。幸せな家庭で育ったあかねと不幸な家庭だったかな。
最終的に、アクアをダークサイドから救い出すのはどっちなんでしょうか。

もっとも、かなは、自分の本性を抑えて周囲に合わせるキャラを演じてきたところがアイと似ているといわれています。が、この舞台限定ではあるものの、かなは本来の性格を取り戻しています。アクアもかなによって本性を取り戻すんでしょうかね。

さて、次回からは、舞台の打ち上げが始まって、おそらくアイの敵討ちの話もようやく少し進むはず…{/netabare}

【20話の感想】
{netabare}アイの声優である高橋李依さんが久々の出演。これもアニメならではの表現ですよね。

舞台の表現は、無音声静止画の漫画より有音声動画のアニメ向きだと思うので、アニメ制作は色々と補充する情報が多くて大変だったと思います。
でも、その困難を乗り越えて、これから本当に舞台「東京ブレイド」が作られることになるんじゃないかというくらいのクオリティでした。特に最近の技術と融合した舞台の進化もわかって興味深かったです。きっと漫画原作者陣も喜んでいるはず(笑)

さて、ようやくアイの敵討ちに関するミステリーも進行。原作が佳境を迎えているので、3期があるとして結末まで描き切った方がよさそうというのが個人的な見解ですが、どうなりますか。

【劇中劇「東京ブレイド」舞台化決定!】
20話の感想で「東京ブレイド」舞台化されるのでは?と書いたら、本当に舞台化されるようです。キャストの見た目だけですが、気合入ってますね。
https://www.marv.jp/special/theater_lalalai/{/netabare}

【21話の感想】
{netabare}朝帰りをして、ルビー、有馬かな、黒川あかねから心配されるアクア。愛されてるねぇ。アクアの正妻候補は、一応、この3人(※一人『ヨスガノソラ』がいますが(笑)、ルビー(さりな)のB小町再結成の回想シーンも含めて、これからの展開の前振りになってます)。

アイの敵と思しき人物が既に死んでいるとわかり、復讐という宿命から解放され、アクアの「右目に宿る星」が昇華して消滅するというアニオリ演出。

もっとも、物語は、これからアクアをめぐるラブコメも本格化するのですが、ミステリーの方もこれで終わりというわけではなく…むしろ結末に向けて盛り上がっていくはず…

まあ、まずは原作漫画の結末がどうなるか。そして、『【推しの子】』の場合は、アニオリ結末もありっちゃありだと思ってます。というか、漫画とアニメの結末をあえて変えるくらいはやってきそう。{/netabare}

【22話の感想】
{netabare}前半は有馬かなとのデートで、後半は黒川あかねとのデート。どっちも、そのままお持ち帰りできそうだったんですけどね(笑)

2期は、こんな感じで有馬かなと黒川あかねの対比が多かった。前半は、少女漫画が始まったのかと思いました(笑)後半は、あかねと別れようとしているというのもあるとは思いますが、かなと比べてアクアの態度がちょっとあかねに対して冷たい感じもする。でも、これは、二人の恋人としての関係値があがっているからこそとれる態度ともとれると思うんですよ。

さて、誰がアクアの正妻の座を射止めるのでしょうか。

最後のシーンで出てきたアクアに似た謎の男、エンディングで「サングラスの男:???」となっていましたが、隠しきれない大物オーラというか…宮野真守しかいないだろ!(笑){/netabare}

【23話の感想】
{netabare}今回はアイドルMVの作り方。未成年は深夜働いてはダメとか(ブラックな職場の代表格だった芸能界も「コンプライアンス」が浸透ですか(笑))、地下アイドルは大手事務所所属アイドルの10分の1以下でMV作ってるとか、ちょいちょい取材の成果らしき「リアル」を挟んでくる。
本作のテーマである「汚い現実」を「きれいな嘘」で覆い隠したのが芸能界。個人的には、こういう社会派的なところ好きです。

あとは、アクアの前世である雨宮吾郎の生い立ち。吾郎は父親が誰かわからないのですが今のところ手がかりはなし(物語に関わってくるかも不明)。ルビーの前世である天童寺さりなとは、母親からの愛情に恵まれなかったところが共通点。おそらくアイの本来の子供は、「魂がなかった」と言っているので死産だったと思われます。

1期ほどの盛り上がりはなかったですが、2期も概ね好評だったので3期もあるとは思うのですが、おそらく原作漫画が、原作陣が長期休養などに入らない限り、1年以内に終わりそうなので、まずはそっちを見届けたいと思います。{/netabare}

【24話の感想】
{netabare}今話でアクアと黒川あかねがキスしていましたが、あかねって『東京ブレイド』の「鞘姫」がそうであったように「負けヒロイン」感が満載なんですよね…。個人的には、あかねとアクアとの関係を原作漫画の最終回に向けてどう決着させるのかが注目点だったりします(ほっぺを膨らませるあざとさなどで、女性人気はあまりないようですが(笑))。{/netabare}

投稿 : 2024/12/28
♥ : 11

ウェスタンガール さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

お気に召すまま

“アイのお気に召すまま”と言うべきか。
これは今期のオープニングを見るまでもなく、2.5次元の住人に、原作者と製作者、役者を巻き込んで演じられるメタ世界。

"All the world's a stage,
(この世はすべて舞台だ)
And all the men and women merely players;
(男も女もすべて、ただの役者に過ぎない)
They have their exits and their entrances."
(皆それぞれに登場し、退場していく)

足し引きすることは何もなかろう。

しかし、このセリフの直前には「見るがよい、不幸なのは我々だけではない。この世という広大な劇場(This wide and universal theatre)では、もっと悲惨な見世物が演じられている」というセリフが置かれているそうだ。
それゆえに、かの名セリフが際立つのである。
(音楽之友社WebマガジンONTOMO、体感シェイクスピア! より抜粋)

あえて言うなら、その語り手である『憂鬱なジェイクイズ』同様、すべてを達観し、俯瞰する“脇”、アクアくんの存在が映えるのであり、“アイ”と言う見せ物がさらに輝きを放つわけだ。

もちろん、キレッキレの演出と作画、そして今回もまた道化役を演じてくれる有馬カナ、何よりアビ子先生の個性があればこその舞台であることは間違いない。そうでなければコメディとして成り立たないのであるから^ ^。
                (2024/07/19)
それぞれの“願い”が結界を越えるとき、
夢が現実に滲み出すのである。
それは神仏の戯れか…、
登場する者、そして…、

えっ!えぇぇぇぇ〜〜〜!

3期が待ち遠しい。

投稿 : 2024/12/28
♥ : 12

Witch さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

やっぱ「赤坂アカ先生」話創るの上手いなあ~

【レビューNo.154】(初回登録:2024/11/22)
コミック原作で2024年作品。全13話。
1期のレビュー書いたので、2期も書いておこうかなっと。

(ストーリー)
1期の終わりにアナウンスされていた「2.5次元舞台編」から。
人気漫画「東京ブレイド」の舞台(2.5次元舞台)に出演することになった、
アクアやかなやあかね。
「劇団ララライ」のメンバーと共に稽古が始まるが、稽古の見学に訪れた
原作者・鮫島アビ子が「脚本に納得できない」と脚本家・GOAの降板を要求。
更に自ら脚本を描くと言い出し、それが通らなければ許諾を取り下げるという
事態に発展して・・・


(評 価)
ネットで「『2.5次元舞台編』はあまり面白くない」という前評判も目にした
のですが、たしかに立ち上がりの鈍さに少し不安を覚えたものの、終わって
みれば2期もよかったのでは。
全体を通じて「やっぱ『赤坂アカ先生』話創るの上手いなあ~」というのを
改めて感じましたね。


・2.5次元舞台編(本番前)
 メインは鮫島アビ子の「原作者vs脚本家の対立構図」問題ですね。
 現実でも例の事件がありましたが、(原作で)それに先んじて本テーマを
 取り上げている辺り、やはり先見の明がありますね。
 原作者・赤坂先生らもまさに当事者でもあるわけで、そういった面からも
 ネタとしては身近な問題だったのかも。

 アビ子は直情型で暴走気味になりますが、誰かを悪者にするのではなく
 ・脚本家やプロデューサー側もきちんと描写して、この問題を客観的に提示
 ・この険悪な空気を一転して、アビ子の師匠吉祥寺頼子との掛け合いでコメ
  ディに着地させたのは本当に見事
 その後の「GOA×アビ子」のオンライン会議までの流れもスムーズで、この
 2人共同作業をアップテンポでみせ、難しい題材を綺麗に描ききったなっと。
 この手腕は評価できるのではないかと思います。

 
・2.5次元舞台編(本番)
 個人的には「普通の舞台ではなく何故『2.5次元舞台』だったのか」という
 疑問があったのですが、その答えは1期のレビューで書いた
 「最初からメディアミックス化を意識していたかのような計算された構成」
 にあったのかなっと。
 映像化された場合をイメージして、最も映えるのは・・・ここまで見越して
 の「2.5次元舞台」だったように感じました。
 アニメとの親和性が抜群でしたね。

 また本作では「人間」や「役者」としてアクアやかなというキャラの掘り下
 げが描かれましたが、ここでもあかねを上手く使っていましたね。
 ・かなの掘り下げにあかねの過去回想を加え、あかねという視点からもかな
  を描いていく
 ・アクアの掘り下げにあかねのプロファイリングを加え、あかねという視点
  からもアクアを描いていく
 こういうキャラのみせ方が赤坂先生はホント上手いですよね。
 1期のレビューでも書きましたが「使えるキャラはとことん使い倒す」というw


・B小町/アクアの復讐劇
 「2.5次元舞台編」で大分尺を使いましたが、B小町の活動も忘れていません!
 バズりを意識した新曲をしっかり準備していましたね(笑)

 しかし驚いたのはアクアの復讐劇でしたね。
 率直なところ
 「どうせ(申し訳程度に)手がかりを辿るも空振りで終わるんやろ」
 と高を括っていたのですが・・・
 DNA検査から始まり、上述B小町の新曲PVロケエピソードに絡めて、まさか
 の衝撃の展開が待ち受けていようとは!!
 しかもルビーまで復讐劇に巻き込んできましたよ。

 でも話が進んだものの、何故だろう・・・思った以上に面白みが感じられな
 かったんですよね。
 なんというか、サスペンス要素って個人的にはアクアが芸能界に関わるフッ
 ク的なもので、アクアやかな達の面白い掛け合いが見られれば、復讐劇なん
 てどうでもいいやみたいな!?
 この辺りは話が進むとまた評価が変わるかもなので、保留ですかね。


2期も安定の面白さで、赤坂アカ先生の巧みさが随所に垣間見れたかなっと。
ただ「お気に入り登録」するには何かが足りないという感じなんですね。
少し間延び感を覚えてしまったというか・・・
とはいえ3期の制作も決まり、原作も最終回を迎えたようですね。
でも(ネタバレしたくないので内容は確認していませんが)かなり評判悪いん
ですよねえ。
赤坂アカ先生、話を展開していくのは上手いですが、畳み方に難があるんでし
ょうか。
まあその辺は3期以降で確認ということでw

投稿 : 2024/12/28
♥ : 17

70.7 2 2024年度のアイドルアニメランキング2位
夜のクラゲは泳げない(TVアニメ動画)

2024年春アニメ
★★★★☆ 3.6 (228)
616人が棚に入れました
“私”も誰かみたいに輝きたい。 明日話すべき話題も、今週買うべき洋服も、 全部スマホ(ルビ:トレンド)が教えてくれる。 何者かになってみたい——そんな願いを持つ間もないほどこの世界は忙しい。 活動休止中のイラストレーター“海月ヨル” 歌で見返したい元・アイドル“橘ののか” 自称・最強Vtuber“竜ヶ崎ノクス” 推しを支えたい謎の作曲家“木村ちゃん” 世界から少しだけはみ出した少女たちは匿名アーティスト“JELEE”を結成する。 自分じゃない“私たち”なら——輝けるかもしれない。

ninin さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

グッバイ、世界。

全12話 オリジナル作品

高校生の光月 まひるは幼少期イラストレーターだったが、あることで自信を失い描くことを辞めていました。以前、まひるが路上で描いた作品を認めてくれたある事件でアイドルグループを脱退、覆面歌手「JELEE」として活動している山ノ内 花音と出会い、アイドル時代の山ノ内 花音の熱狂的なファンで音楽学校でピアニストの高梨・キム・アヌーク・めい、まひるの幼馴染で有名なVtuberの渡瀬 キウイの4人が、各長所を生かしてグループ「JELEE」として活動していくお話です。

花音が中心に物語が展開していて、各キャラをそれぞれ過去や現在も色々なことを抱えていて、そして現状を深堀していますので親近感が出てきますね。

音楽より人間関係がメインのお話だったように思えます。

ただ、楽曲は多かったですね。

イラストがカラフルなのが印象的でした。

OPはカノエラナさん、EDはツルシマアンナさんが歌っています。

最後に、タイトルは渡瀬 キウイがネットを落とす時のセリフにしました。

投稿 : 2024/12/28
♥ : 16
ネタバレ

元毛玉 さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

クラゲ達を輝かせる…いや、クラゲ達は輝きを手に入れる

オリジナルアニメ

同時期に女の子がメインの音楽活動のオリジナルアニメが2作品あるので、両方見てみました。
ガールズハンドクライとの比較を含めて書いています。
※以降、ヨルクラ(夜のクラゲは泳げない)、ガルクラ(ガールズバンドクライ)で表記

お話のざっくり概要
自分の絵に自信が持てないでいるまひる。
強引に巻き込んでくる元アイドルの花音。
まひるのヒーローで最強Vtuberのキウイ。
ヤバ目ガチ恋アイドルヲタの木村ちゃん。
そんな4人が織りなす覆面音楽活動…
だいたいそんな感じ

■物語
内容としては非常に面白くて良く出来ています。
1話が少し勿体ない気がします。
男性視聴者に媚びて、サービスシーンを入れてますが、
あれで1話切りした女性視聴者はいるのかなーと。

見続けていると
男女問わず共感を得られるヒューマンドラマを描いた作品だと分かります。

序盤で判断して切ってしまうのは非常に勿体ない作品ですね。
特に1話に出てくる{netabare}バツイチ子持ち30代{/netabare}アイドルは
先を見ないと良さが分からないですし…

サービスシーン入れずに正攻法の魅力で押した方が良かったのでは?
と思わずにはいられないです。

とはいえ昨今はタイパの時代…
1話で確実にキャッチするのは仕方ないのかもです。
世の中、綺麗事だけでは済まないですし…

でもでも、キウイの11話とかは女性の方が刺さると思うんです。
だからこそ、1話で女性視聴者が一定数離れたのは勿体ないなーと。

でも、全12話で着地させたお話は素晴らしいです。
12話はここまでの全てを凝縮させた神回に仕上がってます。
とても( ・∀・)イイ!!

■作画
個人的にはかなり好きです。丁寧に作られています。
12話の演出・表現はめちゃ良かった~。神回でした。
あと木村ちゃんがののたんの時と同じポーズで後輩を励ましてるの
凄く好き(´∀`*)ポッ

おいらはやっぱり3Dはあまり好きじゃないので、ガルクラよりはこっちが好きです。
まひるがイラストレーターという設定もあるので、そういう絵がいくつもあるのですけど、ちょっと崩れた感じのがやっぱ良い味出してます。
あと、{netabare}キウイの子供の頃{/netabare}の絵がうますぎw

■声優
人気声優が多数起用されているだけあって、
トータルクオリティはガルクラよりはこちらが大きく上回ってるかと。

特に神回である10話の島袋美由利さんの演技は凄かったですね~。
盛大なギャグ回であるのに何故かとても感動しました。
それに木村ちゃんの演技はオタ演技してる時が一番輝いてるかと。
そこの演技からなんか音程(とテンションも)外れてますしw

個人的には甲斐田裕子さんの演技凄く良かったと思います。

■音楽
OP/EDは劇中音楽ではなくそれぞれ別のアーティストです。
OPはカノエラナさんのイロドリです。
EDはツルシマアンナさんの1日は25時間です。
OPはキングレコードっぽい良曲ですね。
1回で耳に残る印象的なメロディーですねー。

EDはとても40mPらしい曲ですね。特にベースが40mPっぽい。
ニコ動の処女作からリアタイ応援しているので素直に嬉しいですね~。

曲全体の完成度としてはとても高いのですが、音楽活動がメインの作品なのでJELEEで全てまとめなかった事については賛否ありそうです。

でも、呪いの曲もありますし、バリエーション豊かでしたw

■キャラ
ガルクラと比べて、いい意味でも悪い意味でも
こちらの方がエンターテインメントを意識して作られたキャラと感じます。

作られたキャラというのはフィクションな時点で同じなのですけど、
こちらの方がバリエーションが豊かでバランスよく配置されています。

正攻法のアイドルグループを用意しておいて、
馬場静江という異色のアイドルも同時に押さえる。

個性が出せずもがいているまひるに対し、
個性の強い木村ちゃんやキウイを配置する。

花音と雪音の対比などもそう。色々とバランスよく配置されています。
総合的な完成度はヨルクラの方が高いと思います。
欠点は完成度が高すぎるというか、練り込まれ過ぎてるというか
ん?良く考えたら欠点で無いのかも?

人間の黒い部分もヨルクラの方に軍配が上がりますね。
{netabare}「私より上手い人が描かないでよ…邪魔だよ」{/netabare}
誰もが口に出せないけど、どこかで思った事があるような内容。
とても黒くて、とてもネガティブな発言なんだけど
誰もがどこかで持っている人間の本質に触れててゾワりとしました。

■総括
非常に完成度の高い作品です。

全体の構成として、後半はジェットコースターで
凝縮された最終回にたどり着く。
通し視聴だと良曲を聞いたような余韻が特に残ります。
折り返し地点の闇セリフも鋭く刺さります。

馬場静江回が凄く良かったと思ったら、
更にインパクトのある木村ちゃん回を被せてきましたw
10話のせいで木村ちゃんのファンになりましたよ。
(勿論、静江回も良い回ですよ!)

色んなキャラが様々な苦悩を抱えながらもがいているお話なので、
内容的には万人受けの作品だと思います。

1話だけ見ると男性視聴者向けの作品に見えますが、そんな事は無いです。
確かに、ガルクラと比べると男性視聴者向けの要素が多いです。
ですが、本作の根柢に流れるテーマは、男女も年齢も問わずの物です。
ガルクラよりも共感できるポイントは多いように感じました。

要はめちゃエモくて面白いのでオススメです(`・ω・´)ゞ

投稿 : 2024/12/28
♥ : 17

ウェスタンガール さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

I’m jelly!

“ jealous”(羨ましい)を縮めたスラングで、
ちょっと可愛く「いいなぁ〜」と言えば、主人公の台詞を借りるまでもなく、「きっと何者にも成れない“量産型”女子高生」の決まり文句。
自虐を込めて“泳げぬクラゲ”、それでも夜になれば、
U jelly?
動機はどうあれ、光を放つ。

オリジナルアニメである。
余計な設定はストリップト・ダウン、美しいイラストと音楽があれば嬉しいかな。

そして首尾よく完走を果たしたなら、「きみ〜、量産型と違うね〜」と言ってあげたい。 by御堂筋
                (2024/04/09)
実況など柄にも無くではありますが、一言だけ。
いや〜面白い。
とても良いキャラが登場したのです。
さすがの動画工房、ど真ん中のセルフパロディが潔いと言うか…。
“ シンちゃん”ばりにデレまくる“推しっ子”キムさんがとってもイイんです^ ^
(2024/05/08)

今も“上書き”され続ける街とストリートアート。
そんな刹那な思いにグッと来るラストであった。

投稿 : 2024/12/28
♥ : 14

52.9 3 2024年度のアイドルアニメランキング3位
アイドルマスター シャイニーカラーズ(TVアニメ動画)

2024年春アニメ
★★★☆☆ 2.4 (87)
140人が棚に入れました
私たちは手を伸ばし、 空へと飛び立てることを知った――。 生まれたばかりの4つのユニット。 手を取り合う個性と個性。 絆で結ばれた新人アイドルたちは、 “光”を目指して一歩を踏み出す。 出会いという奇跡がおりなす、色とりどりの輝き。 どこまでも繋がる大空の下、新たな翼が羽ばたき始める。

声優・キャラクター
【イルミネーションスターズ】
櫻木真乃:関根瞳
風野灯織:近藤玲奈
八宮めぐる:峯田茉優

【アンティーカ】
月岡恋鐘:礒部花凜
田中摩美々:菅沼千紗
白瀬咲耶:八巻アンナ
三峰結華:希水しお
幽谷霧子:結名美月

【放課後クライマックスガールズ】
小宮果穂:河野ひより
園田智代子:白石晴香
西城樹里:永井真里子
杜野凛世:丸岡和佳奈
有栖川夏葉:涼本あきほ

【アルストロメリア】
大崎甘奈:黒木ほの香
大崎甜花:前川涼子
桑山千雪:芝崎典子

プロデューサー:夏目響平
七草はづき:山村響
天井努:津田健次郎

63.6 4 2024年度のアイドルアニメランキング4位
愚かな天使は悪魔と踊る(TVアニメ動画)

2024年冬アニメ
★★★★☆ 3.2 (99)
335人が棚に入れました
天界からの攻勢に抗うために、魔界を鼓舞するカリスマとなりうる人間をスカウトしに人間界へとやってきた悪魔「阿久津雅虎」。 彼は正体を隠し転入した学校で、可憐な美少女「天音リリー」と出会う。 早速リリーを勧誘する阿久津だったが、リリーの正体は悪魔の天敵「天使」で…!? 魔界を守るためにリリーを堕天させようとする阿久津と、とある目的のために阿久津を更生させようとするリリー。 絶対にアイツを堕天/更生(お)としてやる…! 天使と悪魔の「オトしあい」バトル開幕!!


声優・キャラクター
阿久津雅虎:内田雄馬
天音リリー:佐倉綾音
谷川裕也:梅田修一朗
広田健作:土岐隼一
棚橋夕香:東山奈央
リズ:釘宮理恵

70.1 5 2024年度のアイドルアニメランキング5位
トラペジウム(TVアニメ動画)

2024年春アニメ
★★★★☆ 3.7 (33)
101人が棚に入れました
元乃木坂46の高山一実が、現役アイドルとして活動していた2016年に雑誌「ダ・ヴィンチ」で連載した同名長編小説をアニメーション映画化。
高校1年生の東ゆうはアイドルになるため、「SNSはやらない」「彼氏は作らない」「学校では目立たない」「東西南北の美少女を仲間にする」という4箇条を自らに課して高校生活を送っていた。城州東高校に通うゆうは、ほかの3つの方角にある高校へ行き、3人の美少女と友だちになる。文化祭やボランティア活動を通して結束を深めていくゆうたちに、ついにテレビ出演のチャンスが舞い込む。やがてアイドルデビューのプロジェクトも動きだすが、大きな問題に直面する。
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

嘘で磨いた虚像(アイドル)で光って何が悪い?

元・乃木坂46の高山 一実氏が、現役アイドル活動中に連載した同名小説(2018年書籍化)の劇場アニメ化作品。

アイドルを目指す主人公女子高生・東ゆう。
自身も含めたの東西南北の美少女JKと親交を深めて、
アイドルグループとしてのデビューを目指して画策する青春作品。


【物語 4.0点】
私は虚像としてのアイドル、アイドルと嘘に向き合っている作品には一目置く傾向がありますが、本作も同様。

主人公少女は街で美少女を見かけたら皆アイドルになれば良いのにと思ってしまう程、アイドルに心酔。
アイドルになるためなら嘘も方便、東奔西走して集めた美少女たちとの友情すらも夢へ至るため手段。
4人で取り組んだボランティア活動だって、
将来、有名になった際、過去のSNS等を漁られても好印象を保持するための粉飾にすぎない。

夢のため、打算の友情、慈善を重ねてしまう主人公の青さ。
ビジネス成功本を斜め読みした上昇志向が墓穴を掘る、チクチクした予感が常に胸を刺す。
アイドルへとステップアップする度に4人の間の歪(ひず)みが拡大する描写はとても不穏。


それ以上に私の背筋を凍らせたのが、芸能界のシステム。
主人公少女はまだ、夢のための嘘と打算に多少の後ろめたさを感じている様子も。
が、芸能界は、光る原石を発見したら、迷いなく育成プログラムに組み込んで研磨して輝かせて売り込み消費させる。
品質保持のためなら、ライブでの口パクだって、さも当然のようにやってしまう。
芸能関係者はいい人たちばかりなのに、長年熟成された芸能界の慣習がそうさせる。
嘘や誇張があろうが、メンバーの関係やメンタルに影があろうが、容赦なく突き進んでしまう。
何もかも用意されている「これが大人の世界なんだ」との主人公少女の感想が強烈です。

この辺りの生々しさは実際にアイドルを経験した原作者ならではだと感じました。
虚像をリアルと夢想するのがアイドルと割り切っているつもりの私でも、
夢の芸能界とは言え、これで良いのか?と割り切れない問答が心中を入り乱れるシナリオでした。


因みに私は本作の“東西南北”が現実にアイドルデビューしたら結構ハマるなと感じました。
{netabare} オーディション出身じゃない“天然物”のJK4人を、
アイドル挑戦コーナーで見守り育成しているような
リアリティショー風の成功物語の演出には弱いものでして。{/netabare}
“東西南北”は俺が育てた等と、掌の上で思い上がってしまうのだろうなとw


実は、私は原作小説は序盤で挫折していまして。
その理由について、私は文体が合わなかったとか色々言い訳してきましたが、
今回、劇場鑑賞して、結局、行間から察知した不穏な空気に、読み進める覚悟ができなかったからだと悟りました。

また原作は東西南北のアイドルを集めるまでが大分長いのかな?との印象でしたが、
本劇場版は集めてからの方が長い構成。
{netabare} 10年{/netabare} に及ぶ青春物語を90分余りで一気に駆け抜ける。
{netabare} ひとつの夢の始まりと終わり{/netabare} を通じて、嘘でも間違っていても、夢を見る尊さを噛み締める痛切な青春アニメとしても良作。

いずれにせよ、鑑賞の際は相応の覚悟が必要なアイドルアニメだと思います。


【作画 4.5点】
アニメーション制作・CloverWorks

アイドルライブ映像には特筆すべき点は見当たりませんでした。
むしろ刺々しいシナリオだからライブも変化球で来るのかな?と構えていたら、
案外キラキラした普通のCGで肩透かしを喰らった感じw

作画高評価の理由は人物の心情を繊細に表現した表情描写。

原作は主人公少女・東ゆうのささくれだったモノローグが牽引する作風ですが、
劇場版では、モノローグはほぼ削除して、ゆうたちの各種顔芸で描写。

プラン通りに友情を演出し、アイドルデビューに近付いたとほくそ笑んだり、
希望通りの方向に親交が発展しなかったと歯噛みしたり。
事態が深刻化して、ホラー映画ばりに目が据わってみたり。
すぐ顔に出る、ゆうの表情を読むのが本当に楽しくて怖かったですw

私のベストショットは4人で自撮りしたライブパフォーマンス後の写真。
笑顔で輝いているように見えて、よくよく見ると無理した仲間の表情がかげっていたことに後から気が付く。
その他、4人の距離を絶妙に離してみたり、光と影に分けて置いてみたり。
キャラの配置にもメンバーの関係性の変化等を滲ませた“読み応え”のある作画でした。


目の保養になったのが、4人それぞれ違う学校の制服。
スカートの裾の揺れ動き等も高密度で好再現されており、
私はアイドル衣装以上に輝きを感じました。
制服フェチでもあるという工藤くんとは一度、
学生服について語らってみたいものですw


原作者がスタッフに要望するコミュニケーションも密だったという本作。
私がひとつ高山さんナイスと思ったのが、
アイドルだけでなくアイドルファンもリアルに描くとの意思の実現。
即ち巷に根強く共有されているハチマキ&ハッピを装備してコールを絶叫しているドルヲタなど今はほとんど見ない。
自身もアイドルファンだと公言する高山さんが、
アイドルとしてもステージから客席を観察した実体験に基づいた、
貴重なアップデートだったと感心しました。


【キャラ 4.0点】
“東の星”主人公・東ゆう。
黒髪ショートなゆう自身も十分美少女なのですが、ゆうが集めた3人はもっと美人という設定。
時折、劣等感で魔が差す場面も危ないです。

“西の星”大河くるみ。
高専でロボコン優勝を目指す、小柄、萌え袖の人見知り工学系女子。
人前でパフォーマンスすることを当然の喜びとするアイドル志望とは真逆の価値観からの、
一般人目線のセリフでアイドルについての論点も深める。

“南の星”華鳥蘭子。
女子校のお嬢様。必然、練習&憩いのスペース提供セレブ枠に。
{netabare} お嬢様テニス作品のネタ等{/netabare} で意気投合したゆうの夢プランに、
乗っかってしまえとの楽天思考で“西”や“北”との寒暖の差を表現。

“北の星”亀井美嘉。
ゆうが集めたのではなく、向こうから寄って来た。
ゆうとはまた違った外面をまとった黒髪ロング美少女。
(※核心的ネタバレ){netabare} かつてイジメを受けていた際も、普通に接してくれたゆうに憧れを抱いていた
ゆうのファン第1号。{/netabare}
故に、ゆうに求める友情は重量級で、夢のために友情を軽く考えがちなゆうと、
緊張感あり過ぎなやり取りを繰り広げる。


メイン4人とも美少女ですが、生々しい裏の部分もえぐり出されているので、
私は推す気にはなれず。
代わりに私の癒やしになったのが、一途に星空等の写真を取り続けた工藤真司くんと、
崖っぷちなのに元気なADの古賀さん。


【声優 4.5点】
“東”さん・東ゆう役……結川 あさき
“西”さん・大河くるみ役……羊宮 妃那
“南”さん・華鳥蘭子役……上田 麗奈
“北”さん・亀井美嘉役……相川 遥花
(以上、敬称略)

アフレコはクライマックスの{netabare} アカペラ歌唱{/netabare} も含めて基本同時収録で敢行。
4人の感情が乱反射する修羅場にも緊迫感がありました。

率直に私の鑑賞の決め手となったのは『僕ヤバ』&羊宮ロスの緩和への期待から。
CV.羊宮さん、相変わらず旨そうに弁当喰いながら喋っていて、どうもごちそうさまでしたといった感じですw

羊宮さんは終盤の{netabare} もうアイドルやりたくないと駄々をこねる{/netabare} 迫真の演技でも魅せてくれました。
あれと似た場面を以前アイドルドキュメンタリー映画でも見たトラウマも蘇って来て、
その点でも本作にはリアリティを感じました。

それ以上に今回私が惹き付けられたのが主演の結川さん。
権謀術数から激情爆発まで、声優界にまた有望な濁声の使い手が台頭して来ました。
結川さんはこの夏、TVアニメ版『逃げ上手の若君』でも少年主人公役が決まっており、
今後の活躍が期待されます。


魔球だったのが、ボランティア先で出会ったお爺ちゃんたち3人。
“ウッチャン”内村 光良さんをリーダー役に、
脇を原作者・高山 一実さん本人と、同じ元・乃木坂1期生・西野 七瀬さんが固める布陣。
元アイドル女子のしわがれ声もネタとしては面白かったのですがw
打算のボランティアをも許し包み込む味わい深い人生の先輩方を、
例えばベテラン声優がいぶし銀で体現してくれれば、
或いは声優5.0点もあり得ただけにチョットもったいない気もしました。


【音楽 4.0点】
OP主題歌はMAISONdes「なんもない(feat.星街すいせい,sakuma.)」
まだ何者にもなれない自分への焦燥感を抱えて、夢を追って生き急ぐ青さが、
痛切で眩しい、痛快青春ソング。

OPアニメーションも演出が多彩。
横切る人物で、めくるノートでワイプする画面切り替え等もリズミカルです。
そんな冒頭映像、最近の劇場アニメのご多分に漏れず公式がチラ見せ動画をアップしているので、
気になる方はご試食されては如何でしょうか。


劇伴担当は横山 克氏。
こちらも私の好きな作家の一人で鑑賞を後押し。
今回は“東西南北”のアイドルソングの作編曲も提供。
作風は懐メロも想起させられる素朴な味わい。
ももクロにも楽曲提供した実績もある同氏。
今後は2.5次元界隈への出没も期待したいです。

様々なジャンルの音楽に挑戦する横山氏ですが、
やはり真骨頂はTVアニメ版『君嘘』の頃から十八番の、
ピアノとストリングスによる心情曲。

投稿 : 2024/12/28
♥ : 14

けみかけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.6

夢じゃない、夢で終わらせたくないから…現実にする!(ただし手段は選ばない)これはアイドルアニメ戦国時代に解き放たれた4人の少女の“破滅の物語”である

元・乃木坂46メンバーの高山一実が乃木坂現役時代の2016~18年に発表した小説を原作にした94分の劇場用作品
監督は今作が監督デビューとなった篠原正寛
脚本は柿原優子
キャラデザは新里りお
制作はClover Works




(千葉県館山市をモデルとした)城州市の東高(ひがしこう)に通う高校1年生の東ゆう(あずまゆう)は他人には話せないある大きな夢を抱えていた
それを実現する為に同じ城州の東西南北の高校に通う女子高生を1人ずつ友達にする計画を進めている
東ゆうの行動力に偶然も重なって、聖南テネリタス女学院に通い『エースをねらえ』のお蝶夫人に憧れるお嬢様の華鳥蘭子(かとりらんこ)
西テクノ高専に通いロボコン全国優勝を目論む理系美少女の大河くるみ(たいがくるみ)
北高に通い、東ゆうと小学校時代の同級生だったが当時の面影が感じられない美女の亀井美嘉(かめいみか)の4人が揃った
実は東ゆうの夢とはアイドルになること
オーディションで落選し続けた焦りから彼女は、自身が水面下でプロデュースした『東西南北』をグループアイドルとして売り込む算段を企てていたのだ
東ゆうの思惑通り、バラエティ番組を経由してアイドルとしてデビューを果たす事に成功した『東西南北(仮)』
しかし覚悟も曖昧なまま友達付き合いでデビューしてしまった西南北の3人と東ゆうの間には次第に溝が生じるようになっていき…




アニメに限らず、日本のアイドルを題材としたコンテンツが氾濫する世はまさにアイドル戦国時代
そんな中で発表された、当時の現役アイドルが執筆した青春ストーリーは波紋を呼び、またこうやってアニメ映画となったことで再評価されています


僕もさほど期待していなかった一方、初鑑賞後は暫く後半の展開を受け止めきれず、3日ほど頭を抱えてしまいました
観た人の感想によっては打算的で自分勝手な東ゆうの言動が耐えられないかもしれませんし、僕と同じように後半の崩壊していく『東西南北(仮)』の姿を観るのが辛いかもしれません
とても観る人を選ぶ作品と言って良いでしょう
その一方で、間違いなく2024年上半期に最も心動かされたアニメであると断言も出来ます


アイドルアニメと一言で言っても、『推しの子』や『アイドリッシュセブン』の様に芸能界の闇と戦うわけではありません
むしろ登場人物の中で東ゆう以上に悪い人間は全く出てこないぐらいです
『It's My Go』や『ガールズバンドクライ』の様にメンバー同士の熱量のぶつかりあいでもない
ただ『ブルーロック』以上にエゴイストな東ゆうの、自業自得で起こる出来事の結果でしかない
キラキラだけでないアイドルの成長ヒストリーと考えると『Wake Up,Girls!』や『シャインポスト』がお好きな人なら比較的受け入れやすいかもしれませんが、たぶん一番似たような作品を強いて挙げるなら、『マクロスΔ』のクレア・パドルの回じゃないでしょうか?
ただそれらとも違っていて、普通サクセスストーリー映画のクライマックスって何かを成し遂げる事や、困難を乗り越える事を描く事に注力するじゃないですか?
でも本作の場合は違うんですよね・・・


これは偶然の一致でもありますが後半の大河くるみの様子なんかは元 ・欅坂46の平出友梨奈の脱退直前に通ずるところがあります
彼女の脱退前後の一部始終は『僕たちの嘘と真実 Documentary of 欅坂46』というドキュメンタリー映画に残っていますのでご興味ある方はチェックしてみて下さい




さて、実は原作からだいぶ改変された部分もあり、昨今なんでもかんでも“原作通りのアニメ化”を求められる風潮に一石投じるような作品でもあるのが本作です
具体的には各キャラの個性が簡潔かつ濃厚なものにまとめられ、各キャラの方向性が定められています
例えば華鳥蘭子は原作ではもっと我侭で高飛車なお嬢様だったのが、上品で物腰が柔らかで友達想いな一点にまとまってたり
亀井美嘉なんか実は大河くるみ目当てのファンの1人で、本作より打算的で内向的だった原作から、あくまで東ゆう一筋の純粋な娘に変わっていたりします
この我侭、打算的といったマイナスの面は本作では基本的に東ゆうに集約されていて東ゆう1人に本作のヘイトが集中するよう上手く仕込まれてるんですね


また原作ではアイドルとしてデビューするまでの過程に重きが置かれているのに対し、本作ではアイドルデビューを境にしたビフォーとアフターがほぼ同尺で語られていて、点描を含めてアイドルとしてどんな活動をしていたのかが具体的に描写されています
小説→アニメ映画へと媒体が変わった事でより適切な描写に改変する流れだと賞賛できる出来栄えだと僕は感じました
特に“点描”が上手く決まるのは実写作品とは違うアニメ特有の演出だと僕は思っています
デビューライブに向けてレッスンに励む4人の点描はテンポ感も相まってアニメ史に残る名シーンだとすら思います
それだけ本作の点描は上手く決まっていました(逆に言うと僕は実写作品の点描が大嫌いです)




映像面以外に面白いのが主題歌にも力が入ってるところですね
オープニングテーマとして流れるMAISONdes「なんもない feet.星街すいせい,sakuma」ですがあえてVTuberの星街すいせいをボーカルに起用しているのが憎らしいところです
星街すいせいはアイドルを目指していた時期があり、アイドルオーディションに落選したが夢を諦めきれず方向性を変えてVTuberとなった過去があります
さらに個人勢からホロライブへの栄転が決まるも名義やモデルを変えて別人として再デビューする所謂「転生」を打診されるもこれを拒否、あくまで「星街すいせい」であり続ける事に拘って食い下がる等、本作の東ゆうの夢の実現には手段を選ばない貪欲さに共通した面を持っています
そんな星街すいせいに「僕がいちばんなんにもないんだろう 君もいちばんなんにもないんだろう 僕ら なんも なんも なんも なんも手にできてないんだろう」と歌わせるのはそれだけで胸を締め付けられますし、本作の内容を十分理解した上で観る2回目以降だとだいぶ印象も変わって癖になる中毒性を孕んでいます
また“イントロが歌始まり”“ハイテンポでラップ調の歌詞”“3分台で完走する尺の短さ”等、昨今の売れ線の曲のツボをちゃんと抑えた戦略的にもとても優れた楽曲と言える潔さがあります


逆にエンディングを飾る「方位自身」は劇中で東西南北(仮)の4人が作詞したという設定の元、原作者の高山一実自らが作詞
イントロもアウトロもたっぷりあってフルサイズ5分越えの大作で映画の余韻にゆったりと浸れるように割り切っています




まだまだ語り足りない気持ちではありますが最後に1つ
今作で監督デビューした篠原正寛は『Reゼロ3期』の監督を、主演を務めあげた結川あさきは『逃げ若』の時行公を演じられています
今後の活躍が期待される新進気鋭の若手が本作で大いなる船出を飾ったことは、歴史の1ページとして刻みたいものです
「夢を実現出来たかどうかは、叶えた人にしか分からない、だから今の私は堂々と言える、あの日の私、ありがとう」

投稿 : 2024/12/28
♥ : 3

中島野球しようぜ さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

酷評も多いのも絶賛も多いのも宿命か、問題作か傑作か、おすすめ度★★★★☆

初めてアイドルを見たとき思ったの、人間って光るんだって。

元乃木坂メンバーの高山一実原作。アイドルという概念に一石を投じる特異なアイドルアニメ。主人公が目をつけた子達と一緒にアイドル活動をやるという独特なシナリオ展開が特徴。

人間味こそないものの夢に対しては愚直なまでに正直なので、こういうエゴイスト丸出しな主人公は1周まわって好感が持てる。

作画は比較的良かった。ただ、CGと手書きの落差があったり、けろりら先生の作画担当パートがあからさまに浮いている上にシリアスでけろりら絵をやられても変な感触しかしない。楽曲は挿入歌の「なりたいじぶん」、「方位自身」の2曲だけど、どっちもいい曲だと思います。

序盤の勧誘パートやアイドル活動で芽をだす所は良かった、中盤からは本音のぶつかり合いとアイドルとしての苦悩を描いていて、ドラマとしての色濃さが見られていて、見応えがあった。

個人的には十二分に面白かったと思うけど、人を徹底的に選ぶ作品だなぁ…と。嫌いな人は嫌い、好きな人は好きだろうが自分は後者側のスタンス。

投稿 : 2024/12/28
♥ : 2

64.5 6 2024年度のアイドルアニメランキング6位
女神のカフェテラス 第2期(TVアニメ動画)

2024年夏アニメ
★★★★☆ 3.2 (71)
222人が棚に入れました
——どこかの海辺にある、古びた喫茶店。そこには…女神様がいるらしい—— ケンカ別れした祖母が遺した喫茶店「Familia」を継いだ主人公・粕壁隼。 そこには「おばあちゃんの家族」を語る見知らぬ5人の女神(カワイイ女の子)が! 初めは衝突ばかりだったが、それぞれの過去や、家庭の事情を知った隼と 女神たちの尽力によって様々な問題を乗り越えてきた「Familia」。 しかし…隣にまさかのライバル店が⁉ そこには5人の新たなカワイイ女の子が⁉ そして祖母の代から続く不思議な縁が、隼と女神たちの関係をさらに深めていき…⁉ ”恋”と”家族”の六角関係が大きく動き出す! 5人全員「正ヒロイン」の、ヒロイン多すぎシーサイドラブコメが再びここに開幕!

65.0 7 2024年度のアイドルアニメランキング7位
にじよん あにめーしょん 2(TVアニメ動画)

2024年春アニメ
★★★★☆ 3.3 (25)
72人が棚に入れました
東京・お台場にある高校、虹ヶ咲学園を舞台に、スクールアイドル同好会13人の日常を描くショートアニメがパワーアップして帰ってきた!ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会のスピンオフコミック「にじよん(漫画:ミヤコヒト)」がアニメになって動き出す!ニジガクメンバー13人のキュートな日常をゆるっとあなたにお届けします!

声優・キャラクター
高咲侑:矢野妃菜喜
上原歩夢:大西亜玖璃
中須かすみ:相良茉優
桜坂しずく:前田佳織里
朝香果林:久保田未夢
宮下愛:村上奈津実
近江彼方:鬼頭明里
優木せつ菜:林鼓子
エマ・ヴェルデ:指出毬亜
天王寺璃奈:田中ちえ美
三船栞子:小泉萌香
ミア・テイラー:内田秀
鐘嵐珠:法元明菜
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