アイススケートで美しいなおすすめアニメランキング 1

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73.9 1 アイススケートで美しいなアニメランキング1位
メダリスト(TVアニメ動画)

2025年冬アニメ
★★★★☆ 3.7 (284)
539人が棚に入れました
スケーターとして挫折した青年・明浦路司が出会ったのは、フィギュアスケートの世界に憧れを抱く少女・結束いのり。 リンクへの執念を秘めたいのりに突き動かされ、司は自らコーチを引き受ける。 才能を開花させていくいのりと、指導者として成長していく司。 タッグを組んだ二人は栄光の“メダリスト”を目指す――!
ネタバレ

nyaro さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

スポコンは優秀でキャラが良い。面白いけどマイナスも目につく作品。

 コミカルな部分とシリアスな部分とが上手く合わさって、エンタメという点ではかなりの水準だったと思います。キャラ設定と配置が良くそこが上手く機能していたのでしょう。主要キャラは皆特徴があって、意味があって、魅力がありました。

 スポコンについては、いのりがスケートをやりたくてもできないところから、その想いで6級まで突き進む部分はスポコンの根性のところが見せ場であり、そこを真面目にやっている作品だったので評価が高いのだとと思います。

 スケート競技、スケート魅力については、まあまあの水準だったかなと思います。ジャンプやスピン、演技などについてはところどころ解説が入って、昨今そこをさぼる作品が多い中、フィギュアスケート競技そのものを楽しめる作品だったと思います。まだまだ中途半端だし、いのりがなぜそんなに急に上手くなったのかの「特徴」がキャラ付けとして弱かったかなと思います。
 コーチの力に焦点を当てたのはかなり良かったと思います。それぞれの少女スケーターとセットで必ずコーチを出してきたのが、ヒューマンドラマとスポコンの見事な融合になったのでしょう。

 ただし、です。これは私の錯覚、言いがかりかもしれませんが「銀盤のトレース」というフィギュアスケート小説とかなり設定に類似性があります。
 親、特に母親の反対でスケートができない小学校高学年の少女が主人公の話。姉が昔やっていて辞めている。コーチとの出会いで開花していく。名古屋が舞台。類似性は良くある話ですが、フィギュアスケートを扱った数少ない作品の中で、かなり突出している有名作なので編集や原作者はチェックしていないはずがないと思います。そこが前半ちょっとモヤモヤしながら見ざるを得ませんでした。

 で、ついでに言うと、肝心のなぜヒカルはいのりに絡んでくるのか、が描けていなかった気がします。スケートやっているのに自分を知らないとか、はじめのスピードにガムシャラについていくいのりを面白がった…だけでは、ちょっと弱い気がします。

 ヒカルという名前に対してダークなイメージをキャラに付与しているので、光と影の象徴なんだろうなという気はします。コーチも対照的でありながら類似性がある。そう、コーチとの組み合わせですよね。情熱や狂気、冷徹…そういうところのベクトルが正反対でありながら、いのりと同じ線上にあるというか。そこをヒカルがいのりに感じたんんだろうなとは思いますが、1クール目ではそこが上手く機能していたかな?という気がしました。

 また、前半だけならストーリーがテンポ良く進みながら、いのりの成長を楽しめた部分でかなり面白かったと思いますが、後半ちょっと同じことの繰り返しになる感じが見られました。それと1年後の使い方が上手くいったのかな…そこが一番見たい部分だったのにというのと、ヒカルを目標にしている部分の描写が足りない気がしました。
「いのりにスケーターとしての特徴がない」という点において、唯一あるのがヒカルとのコーチ含めた対比です。いのりのスケートに対する情熱とヒカルの狂気が対応してもう少しスポコンのドラマが無かったのかなと思います。


 演出が良くコミカルな面とよくマッチしていました。地のアニメは決していい作画ではないですが、丁寧な作画で描きたいことをちゃんと描く工夫がみられたと思います。スケーティングの作画は、良いとは思いますが、CG感をもう少し何とかできなかったかなという残念な気持ちもちょっとあります。

 振付やCGモデルは良かったですし、なにせ通常では絶対に見られないカメラワークですから、アニメならではという点では素晴らしかった。ですが、ちょっとCG感が強くて、そこをエフェクトなりフィルターなり色合いなり何かでもうちょっと何とかすれば最高だったのに、と思います。

 とまあ、作品として高水準だからこその批判もしたくなるという点では、よく出来た話だと思います。が、キャラ萌えに頼りすぎているのがいいのか悪いのか。そして、スポコンとしては後半にちょっとエピソードが反復になってきた気がしますので、変化が欲しかった。一番見たい1年間とヒカルがなぜいのりに構うのかとヒカルのスケーターとしての強みを省略したのが、物足りなかったので、そこを入れられなかったのか、という気がします。

 評価は、尻切れトンボなのと類似作にモヤモヤするのでストーリーは4。キャラは見事だったと思いますが、いのりのスケーターとしてなぜ急成長するのか、コーチと情熱というのはあるでしょうけどいのりの強みが描けなかったこと、ヒカルとの対比が不十分だったことで減点で4.5にします。

 作画も音楽も悪くないし、声優のキャスティングは良かったと思いますので4とします。


追記 2期決定したみたいですね。ただ「制作決定」のパタンなので2年後か3年後かわかりませんけど。




第1話 地道な努力と競技の世界を丁寧に描くなら興味があります。

{netabare} スケートのアニメと言えば「ユーリオンアイス」「銀盤カレイドスコープ」ですが、そのどちらとも違う感じですね。
 非常に似ているなあと思ったのが小説の「銀盤のトレース(碧野圭氏)」でした。名古屋の小学校6年生が親の反対を覆してスケートに挑む話です。私は同作が好きでアニメ化されないかなあと思っていたので、本作に興味を惹かれました。

「銀盤のトレース」と本作は冒頭が若干似ているだけでさすがに後の展開は違うと思います。「銀盤の…」はヒロインに特殊技能{netabare}(左右どちらの回転でもジャンプできる){/netabare}がありましたので。本作は特殊技能ではなく地道な訓練と競技を描く感じなのが良いと思います。

 本作のご当地も協力クレジットを見る限り名古屋です。「銀盤の…」がきっかけで一時女子フィギュアスケートに興味があったので、調べたことがありますがフィギュアスケートは名古屋が盛んだそうで。
 伊藤みどりさん、浅田真央さん、安藤美姫さんなど錚々たる選手が名古屋のクラブだったはずです。山田満知子さんという伝説級の女性コーチが名古屋がホームだったのもあるかもしれません。

 スケートの場面の作画は見事ですね。素晴らしいです。ただ、ヒロインのいのりや女子競技者ののCG作画のレベルがかなり高い反面、その他のサブキャラの作画が違う種類のCGなのか作画の緻密さの違いなのか、いのりとのギャップに違和感を感じましたね。まあ、慣れるとは思いますけど。{/netabare}


第2話 類似作があってモヤモヤはしますが…むしろあの生物はやめろ。

{netabare} 話がやっぱり「銀盤のトレース」そのままじゃん、というモヤモヤはあります。姉がフィギュア経験者でやめている。それが原因であるいは金銭問題で親の反対に合っている。小学校高学年の子が今からメダルを目指す。同年代にトリプルアクセルを跳べる別格の子がいる。話の展開がバッジテストと地方大会、名古屋である…などです。今週「銀盤…」を読み返したうえで2話を見たらそんな印象です。
 もちろん細部は全然違うし、キャラ造形、キャラ配置は違います。作品世界の構造がそのままということです。

 ただ、この競技で作品をやる以上似てしまうのはやむを得ないのかなと思わなくはないのでモヤモヤしながらも丁寧な作りになっているので保留します。

 むしろ、何とかしてほしいのがあのウネウネした生物なんですよね。あれは私はなんか生理的にダメで、単語も言いたくないです。アレが阻害要因になっているので、今後は登場しないことを願います…が、EDにしっかり入ってるしなあ…

 それと作品の前提となる年齢問題なんですけどね。たしか24-25年のシーズンからオリンピックは最低15歳から17歳からに変更になりました。まあ、一時体重の軽い14,5歳のロシアの子たちのトリプルアクセルが世界を席巻していたので良いと思います。1、2シーズン神業を見せてすぐ引退ですからね。
 となると11歳から初めてメダルというのは、この作品で言っているほどハードルは高くなくなる可能性がありますので、たまたまかもしれませんが、リアリティは担保できたかなと思います。逆にヒカリの描写については、この変更に影響されないのかな、という気はします。{/netabare}


3話 いろいろ文句は言いましたが、いのりは応援せざるを得ません。

{netabare} なるほど…意思つまり選択の話ですね。そして、スケートの美しさとは何かに視点を置くのでしょうか。であるなら、光とのライバル関係に軸ができそうです。そして、コーチがアイスダンス出身ということも活きてきそうですね。

 なんとなくですが、親との関係は正直ドラマとしては弱いですね。大会で優勝するか、いいところを見せて軽々クリアできそうです。

 いのりがなぜ基礎が上手いかがはっきりしませんが、独学で難しいことをせず、基礎的なことを一人でずっとやっていたからという理解でいいんでしょうか。ここに理屈をつけるか独自の修業があれば、物語が面白くなってきそうです。今回は半分そこに足を突っ込みかけて、サラリと流してしまったのがもったいない。基礎トレの理屈をもっと見せてほしかった。

そう言えば怖がらないという要素はありましたね。だからスピードが出せるというのは強みになりそうです。

 まあ、そもそもいのりのキャラは卑怯です。ちょっとあざといというかなんというか、あんだけ目をキラキラさせて頑張られると、応援せざるを得ないじゃないですか。
 そして、いのりは「祈り」だし、ひかりは「光」で目指すべき目標ですからね。光なのにイメージカラーが黒というのも面白いです。その反転にキャラのストーリーがありそうですからここは計算でしょう。いのりが光になる日が来るのか、でしょうね。その辺のキャラづくりは上手いなあ。

 それとネコっぽい少女が出たことで、対比になっています。コーチの重要性とか付き合い方も描くんでしょうね。そこもキャラの使い方が上手いかも。

 2話までは類似作がある気がしてモヤモヤしましたが、とにもかくにも3話で話が作品の方向性が見えて、楽しみ方が分かった気がします。{/netabare}


4話 王道というか単純というか。キャラ描写と演出の作品ですね。

{netabare} なるほど…思っていた話が思っていた通りに展開しました…なんか、それだけでした。その単純な話を見られるようにしている要因が家族の理解と支え、そして不安と成功…ドラマ作りと盛り上げ方が上手いんだろうなあと思います。
 優勝するのか、あのネコの子が勝つのか、違う子が出てきて優勝をさらっていくのかわかりません。それは原作者の好みなのでどれが来てもいいですけど、どれが来ても驚かないシンプルさです。

 3話で本作の見方が分かったかなあと思ってみると、この話は王道中の王道のシンプル展開なので若干スポコンとしての興味が薄れてきました。キャラ描写と演出で作るドラマを見る作品なんでしょう。

 それでも面白いので見ますが、レビューを毎話するほどの深さではないので、変わった展開等があればにします。 {/netabare}


5話 構成ミス?テーマを明確にするために4話後半とつなげるべきでは?

{netabare}  本作については毎話レビューはやめようかと思いましたが、ちょっと気が付いたことがあったので。ミケの結果は、コーチのいう事を聞かない=精神的な独立性という点はもちろんありますが、いのりと比べてリカバリーの上手さも重要な要素でした。これをいのりとの対比をした方がいいのに、なぜ2回に分割したのか。これは完全に構成のミスかなと思います。4話後半とつなげればもっと明確になったのに。

 ミケがコアラみたいに抱き着いているのが、面白過ぎてそそれは良かったです。あと頭にかけるなら麦茶じゃなくてせめて水にしてあげて。

 そして、ヒカルはコーチともにやっぱりブラック、つまり闇ですね。キャラ付けとして明確になってきましたが、これがフィギュアスケートの暗部、負の面を描けるようになるならいいと思います。

 あとはヒカリのCGはなかなかすごかったですね。素晴らしいと思います。ただ、エッジで削れた氷や煙の表現がどうなんですかね。
 もちろんちゃんとそれを入れているのは見事だと思いますが、ちょっとうるさい?現実のフィギュアをちゃんと映像化しているのかもしれませんが、テレビで見る氷はもっと白いんですよね。ほぼ気づきません。スピンの時くらいかな。本作はリンクの氷を青黒っぽく表現しているので、白い氷煙がちょっとうるさいです。CG制作者の意図が画面から透けて見えるので現実に引き戻されるというのもあります。せっかくのCGを鑑賞するのにもったいないなと思いました。{/netabare}


6話 いのりはミミズ爺さんにメダルを見せてやれるか?

{netabare} テーマ的にお金、年齢の制約の問題と夢について描いたのは、スポコンアニメとしてはいいですね。特にアイススケートは選手活動だけで初心者で年間数十万円、上手くなってくると300万円という話を聞きます。本作は名古屋なのでまだリンクはあるみたいですけど、他の地方だと県にリンクがないということもあるようです。ただ、そうなるといのりの両親は金持ちなのかなあ…とは思います。まあ、その辺のリアリティは外していない作品なので、後ででるのかな?

 そして、協力者ですね。パトロンがいればいいですけどね。そういう出会いも含めて運なのでしょう。その点で実はいのりにとっての最大の功労者は受付のミミズ爺さんなのかな?彼の心情にはものすごく共感できます。子供の可能性はつぶしたくないですよね。そう思っても援助もできない…だからミミズですね。素晴らしい。ぜひ彼にいのりがメダリストになるところを見せたいものです。{/netabare}


9話 スポコンの初期の面白さを消化した後が平坦にならなければいいですが。

{netabare} スポコンあるあるで、その競技をやり始めるまでの障害を乗り越えるところ、努力して強くなるまでのプロセスに萌えますが、軌道に乗ってしまうとドラマが急に平坦になりがちです。

 新キャラを出すか、障害を作るか以外のものは本当に難しいと思います。正直、今回(というか7話くらい)で初期の面白い部分を消化しきってしまった気がしますので、今後でしょうね。もあと3話くらいでしょうか。その中でもう1ドラマ作るとすると…時間が飛ぶのかな?ひかりとの何かがもう少し見たかったかった気がするので、そのうちでるのかな?

 それと試合の見せ方ですけど、観客の反応とか審査員の反応がちょっと欲しいかも。ステップシークエンスは演出でなんとかすごさを見せようとした部分はわかりましたが、どうも試合の見せ方が淡泊なんですよね。
 音楽とスポーツのすごさをアニメで表現するのは難しいですが、いくら作画を頑張っても限界があります。まあ、しゃべりすぎても文句を言いたくなるので難しいですが、いのりの試合を見てすごさが伝わりづらいかなあ。{/netabare}


10話 24分が少し長く感じられる気がします。マンネリ化かもしれません。

{netabare} いのりの成長が順調すぎて、なんかよくわからなくなってきました。挫折=良いスポコンではないですが、あっさりダブルアクセルと3回転2回転のコンビネーションを跳んで6級合格で「俺たちの戦いはこれからだ」エンドになる気がしてきました。

 いいんですけどね。ただ、9話少し飽きる時間帯が出てきました。後半になってメンタル弱い芸も突然の強気もちょっと繰り返しになってきたので、少し進展か別展開が欲しいところです。24分が長く感じられます。
 このまま1クールなら持つと思いますが、スポコンの名作という水準には達していないと思います。前半だけなら十分秀作なんですけどね。

 もし2期があったとしても、このままいのりの成長が順調すぎる展開が続くと私は脱落しそうです。何かドラマがないと継続視聴のモチベーションが厳しいですね。{/netabare}


11話 キャラだよりで伸びしろがない作品かも。

{netabare} 1期で6級全日本ノービスまで行ってお終いなんでしょうか?急に話の速度が上がったと思ったら、合宿で終わっちゃいましたけど。ジャンプが飛べるための努力が見えてこないので、少々話的には話が停滞気味というかなんというか。

 面白い部分も多かった作品ですが、しかし、キャラに寄りかかりすぎている気もします。初期はそれが奏功してなかなかいい物語でしたが、ちょっとそこから先の伸びしろが心配になってきました。{/netabare}


12話 時間と成長と劣等感。3人それぞれの成長が描けた良い回でした。

 話が停滞気味でしたが、今回は良かったと思います。理凰は光に対して成長が停まったコンプレックスと指導者への信頼、ミケはジャンプにこだわりすぎて姿勢をおろそかにした過去の自分の反省とそれを反転させて将来につなげるマインド、いのりは順調に成長してきたことで自分のドライバ要因である出遅れを今度は目標に向かって進む方に転換したこと。

 時間と成長、劣等感など3名のキャラが上手く前を向くことで技術をものにしました。バレエもモチベーションのために少しの補足説明で子供にとっては意味が変わってくる。バレエレッスンを上手く絡めてジャンプにつなげたのも、スポコンの面目躍如という回だったと思います。

 こういうエピソードなら十分に秀作認定できると思います。この話が描けるなら、1級から5級までのショートカットと中盤のストーリー的なダレがもったいないなと思います。

 間違いなく2期は来ると思いますが…最終回と同時発表なら半年、じゃなければ多分1年以上待つパターンですよね。発表の仕方によってはコミックを読むべきかなあ。

投稿 : 2025/04/26
♥ : 14
ネタバレ

101匹足利尊氏 さんの感想・評価

★★★★★ 4.4

地中からミミズと情熱を掘り起す令和のスポ根アニメ

フィギュアスケートを始めるには遅すぎると言われる
小5で未だスケートを始める勇気を出せずにいた主人公少女・結束いのり。
高校から始めたスケートでアイスダンスで頭角を表すも目標に届かず、
現役引退後は就職先を見つけられずにいた青年・明浦路司。

いのりの才覚を見出した司が、新任コーチとして、二人三脚で、
フィギュア界の狭き登竜門を目指す同名青年コミック(未読)の連続アニメ化作品1期目(全13話)


【物語 4.5点】
熱い。スポ根の熱さを根こそぎさらっていく力強さ。

そもそも、冒頭、主人公いのりは、スケートを始めることすらできていませんでした。
学校でも出来の悪い子とみなされ、自己肯定感の無さなどもあって、
母親にスケートやりたいと言うこともできず。
惨めな自分に下を向き、日々、地中からほじくり出したミミズを集めては、
スケート場に“無銭入場”して夢を遠目に眺めるだけ。

この地べたのゼロ、あるいは地下のマイナスから、
最初の一歩を司先生が後押しする冒頭から既に高火力。


前半のヤマ回となった第4話{netabare}名港杯初級女子FS・いのり滑走シーン。{/netabare}
視聴時、私は色々と上手く行かず、メンタルが地中までめり込んでいたドン底状態でした。
{netabare}最初の一回転でコケても尚、立ち上がって笑顔で果敢に競技に挑む、{/netabare}いのりさんの勇姿を見て、
私もつまずいても、失敗しても、苦手なことにもチャレンジして行こうと、感極まり号泣。
ここで私は完全にこのスポ根アニメの虜になりました。


1期目最終回となった{netabare}バッジテスト6級女子FS。{/netabare}
いのりが、心中でありがとうと述べているのは、
ダメダメで地中に埋まっていた過去の自分に対して。
が、そのモノローグは、0から1の間で埋もれている、
道半ばで立ちすくんでしまっている全ての人へのエールにも聞こえました。

落ち込んだ時のカンフル剤として心の片隅に常備しておきたい作品です。


【作画 4.5点】
アニメーション制作・ENGI

過去の実績を見るに、率直に期待より不安の方が大きかったスタジオ。
ですが3Dと2Dの融合を図るという同スタジオ(※1)にとって、
フィギュアという題材は腕が鳴ったのか、水を得た魚の如く、CGを活用した臨場感のある滑走シーンを再現。
投入された予算、人員などもあるのでしょうが、スタジオにも適材適所ってあるんだなと再認識。

圧巻の演技シーンを支えたのが、フィギュアスケート振付担当でプロフィギュアスケーターの鈴木 明子氏。
原作者が紹介したモーションキャプチャー撮影経験のあるリンクを、鈴木氏がメインの活動場所にしていたという縁で実現したという今回の協力。

6歳頃からスケートを始め、アマチュア競技者時代は、オリンピックや世界選手権にも出場していた鈴木選手。
が、大学時代に摂食障害に見舞われ、国際大会で活躍した全盛期は20代後半。
司先生が競技者引退した年齢より後に実績を残した遅咲きの印象も相まって、
もう遅いと言われてもめげない、いのりたちの物語とのシンクロを感じます。


喜怒哀楽を伝える人物の表情描写も良好。
特に、いのりの顔芸は{netabare}「見なよ……オレの司を……」のドヤ顔{/netabare}など、
変顔含めてバリエーション豊かで楽しいです。
いのりさんなら『スパファミ』アーニャや、『ぼざろ』後藤ひとりとも互角に渡り合えるのでは?
などと褒めちぎってしまうのは司先生並に入れ込み過ぎでしょうかw


【キャラ 4.5点】
もう一人の主人公と言える司先生。
第6話にて明かされた過去。
{netabare}レッスン料の高さに、もう競技を続けていけないのでは?と困惑していた司に舞い込んだ、
縁もゆかりもなかった加護家からの支援。{/netabare}
本気で走り始めた人には、良縁がもたらされる可能性もあるという人生訓を示唆したエピソードでした。

いのりが、フィギュアを始めるのに逡巡する一因となった、
{netabare}骨折でフィギュアを断念した姉{/netabare}と、それ故の挫折を抱えた母。
スケートをやる。メダリストになる。
と決意を貫くいのりが、スケートに習わせることを固辞していた母の心境まで変えていく。

衣装の用意にしても、急速に身長が伸びていく成長期に合わせるだけでも大変でしょうに。
母は、毎回、時に夜を徹してキラキラした衣装を用意してくれる。
ついには、いのりが夢中になれることを見つけてくれて、本当は強い子だと気付かせてくれて、ありがとうとまで言って涙ぐむ。
本気で走り始めた人は、周りをも変えて行く、これまた良エピソードです。


終盤、理凰くんのエピソードも良かったです。
{netabare}メダリストの息子という重圧と、光と夜鷹コーチという暴力的な才能から受けた絶望的な諦観。{/netabare}
彼の心を動かした時の司先生に私ももらい泣きしそうになりました。はい。涙腺ガバガバですw


作中主人公たちの目標は、大舞台での、いのりさんのメダル獲得であり、
同世代で圧倒的なパフォーマンスで魅せる狼嵜(かみさき)光は競技人生通じて憧れのライバルとなるのでしょうが。
作品のテーマとしてのゴールは荒んだ心の浄化にあるのかもしれません。

その観点から“ラスボス”候補である光のコーチで金メダリストの夜鷹純。
{netabare}ゴミ箱蹴るは、スマホ破壊{/netabare}するは、だいぶ深そうな彼の心の闇の所以は分かりませんが、
司先生がスケートに憧れたキッカケとなった夜鷹に、
いのりの胸を打つような名演をぶつけて救済する?
展望すると、2期以降も楽しみになって来ます。


【声優 4.0点】
主演・結束いのり役の春瀬 なつみさん。
春瀬さんがフィギュアスケートのファンで、原作者も春瀬さんを推し声優にしていた。
エモいエピソードですが、ここも、あくまでオーディションを経た上でのキャスティング。

春瀬さん、気弱な面もあるけど、夢や信頼する司先生に関することとなると、
男の子の{netabare}理凰{/netabare}を押し返すくらい激昂する。
いのりさんの振れ幅を好演されていました。
私は、特段、原作者との縁が無くても、主役に抜擢されていたのでは?と好感しました。


司先生役の大塚 剛央さん。
同クールの某中華風ファンタジーではクールな宦官役なんかもやってる大塚さんですが、
ここでは熱血指導員ボイスを前面に押し出したホットな演技。
いのりさんならできる!とか、{netabare}俺なら5000億点つけてる!{/netabare}とか、叫んでいる姿見ていたら松岡 修造さんを思い出して吹き出しましたw


【音楽 4.5点】
いのりさんの勝負曲・ホルスト「組曲『惑星』第4楽章「木星」」
平原 綾香さんの「ジュピター」がヒットした頃以来、随分久しぶりに聴きましたが、
壮麗な名曲ですね。奮起したい朝などに注入するとアガります。


劇伴担当は林 ゆうき氏。
BGMはバックグラウンドで黒子に徹するのが好みと吹かしながら、
好みの劇伴作家には一曲で状況を変えられる高火力のパワー型が多い自己矛盾を抱える私。
林氏も力強いストリングスで運命を切り開く、お気に入りの作曲家。

林氏は「Go For The Gold」など一部フィギュアスケート演技曲も作曲。
熱量のある選手たちの演技に押し負けないどころか、食い込んでいました。


OP主題歌は原作ファンだと言う米津 玄師さんが「BOW AND ARROW」を提供。
“逆指名”だと話題になった一曲ではありますが、
ここも、スタッフが主題歌選定に難航する中で、米津さんの熱意を感知した結果。

鈴木 明子氏、主演声優、主題歌歌手と、ここまで数々の制作エピソードを並べて来ましたが、
いずれも最初からヒットを狙って決め打ちしたわけではなく、
スタッフたちがより良い作品をとアンテナを張りつつ企画を練る中で、
各々目標を持って歩む強火の関係者を引き寄せた感がすごくあります。
アニメ制作もまた、再現性が低い筋書きのないドラマ。
走り出した人たちに良縁ありを作品外でも実感して熱くなります。

以前『ジークアクス』レビューにて、米津さんの大衆向けにヒットすることを邪道としない姿勢は嫌いではないと述べましたが。
原作ファンだから主題歌熱望というエピソードの前提には、
米津さんが、本原作も受賞した「次にくるマンガ大賞」で気になったコミックは片っ端から買い漁る。
そして『メダリスト』と出会った(※3)
という流行をつかむヒットアーティストのメンタルセットがあります。
漫画なんて忙しくて読んでる暇ないと言い訳して原作未読の私など足元にも及びません。

米津さんは、主題歌射止めたのみに飽き足らず、
自ら、いのりさんを活写したCDジャケットを描き下ろし、
さらには、同曲と羽生 結弦さんとのコラボ動画を公開するなど超貪欲で圧倒されます。

歌詞と作品のシンクロ率も上々。
OPアニメも「見違えていく君の指から今 手を放す」で、
いのりが司先生のパーカーの紐を放す描写を重ねるなど、
着実に楽曲とリンクさせてきて加点して来ます。


ED主題歌は作品舞台の“地元”名古屋のロックバンド・ねぐせ。「あたしのドレス」
Hop!Step!Jump!とノリノリのナンバー。
EDアニメまで、ミミズをゴリ押すスタイルw


【参考文献】(※1)MANTANWEB/メダリスト:アニメ化の挑戦 圧巻のフィギュアスケートシーン制作秘話 山下愼平Pインタビュー(1)
(※2)MANTANWEB/メダリスト:キャスティングの裏側 アニメならではの魅力 山下愼平Pインタビュー(2)
(※3)コミックナタリー/TVアニメ「メダリスト」特集|つるまいかだ×米津玄師、尊敬し合う2人が語り合う

投稿 : 2025/04/26
♥ : 22

ウェスタンガール さんの感想・評価

★★★★★ 4.7

手ぇ放っ…!

…さんといて〜〜!!
今も耳に残るその叫び声。
その昔、小学校高学年である。
当時の冬の課外授業と言えばアイススケートであった。
ただしお遊びである。“俺の司”などいるはずもなく、リンクの真ん中に放り出された。
もちろん滑れるか滑れないかはお構い無しで、我らが担任、音楽担当の女性教諭も児童と連なって大騒ぎ^^;。
こんな時、子供は残酷である。
一人減り、また一人、哀れ、取り残された彼女の絶叫がアリーナに響き渡る。

岡崎公園内にあった京都アリーナ、今はその場所にある喫茶店に、その名を残すのみである。

ところで、「かわいらしすぎてごめんやす〜」の鹿本すずちゃんが良いキャラで…。
もう、小脇に抱えてお持ち帰りしたいほどでありました^^;。

投稿 : 2025/04/26
♥ : 13
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