お笑い芸人おすすめアニメランキング 3

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメのお笑い芸人成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2025年03月29日の時点で一番のお笑い芸人おすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

65.9 1 お笑い芸人アニメランキング1位
マインドゲーム(アニメ映画)

2004年8月7日
★★★★☆ 3.8 (155)
612人が棚に入れました
ある日、西は電車内に飛び込んできた初恋の相手・みょんと再会を果たす。彼女の案内で姉・ヤンの経営する焼き鳥屋に案内されたが、そこで彼女がりょうと婚約している事を知り、落ち込む。その時、突如借金取りのヤクザが押しかけ、それに巻き込まれた西は、お尻の穴から銃弾を撃たれて脳天破裂という、何とも無様な形で死んでしまった。しかし、現世に未練残りの西は、神様の意志に逆らい、自らの意思で生還したのであった。

声優・キャラクター
今田耕司、前田沙耶香、藤井隆、たくませいこ、山口智充、坂田利夫、島木譲二、中條健一、西凜太朗
ネタバレ

ねこmm。 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

素晴らしき哉、人生!  【ねこ's満足度:80pts】

ある日突然命を落とした青年が、”もう一度”に賭けて奔走するハイテンション・ムービー。
2004年公開で、当時の各アニメ賞を総なめにした湯浅政明氏による監督デビュー作品です。

主人公の西くんは漠然と今を生きるフリーター。
そんな彼はひょんなことから初恋の相手・みょんちゃんと再会します。
最初こそ下心丸出しで喜んでいたものの、突きつけられた現実に徐々に落ち込みだす西くん。
さらに追い打ちを掛けるがごとく、とんでもないことに巻き込まれてしまうのですが……。

アーティスティックな映像に、独創的すぎるアイデアと奇抜な演出。
一時たりとも目を離せない、まさに”湯浅ワールド”全開といった感じのアニメです。

作品のテーマ&メッセージはごくごくシンプルなもので、
『{netabare}人生なんてちょっとしたコトでいくらでも変わっていくんやで~{/netabare}』ということ。
それがこの監督の手に掛かるだけで、ここまで奇想天外なお話になってしまうのだから驚きです。
若干冗長に感じる部分もありましたが、全体的には抜群のスピード感で100分があっという間。
特にクライマックスシーンでの疾走感は、一緒に駆けてる錯覚に陥るほど迫力がありました。

主人公のみならず、他の登場人物の背景まで垣間見えてしまうのもすごいと思わせる点。
ひとつひとつ描かれてるわけでもないのに、なぜかその人の”人生”が見えてきてしまう。
冒頭3分間の意味不明な映像が、ラスト10分間で明らかになっていく展開は鳥肌モノでした。
同じようで違うふたつのとある物語。その違いを楽しむのが、実は一番の醍醐味だったりもします。

主人公を演じるのはお笑い芸人の今田耕司。その他にも吉本芸人が多く登場しています。
そのせいかどこか『吉本新喜劇』的な人情味も感じられたのは、わたしだけでしょうか?(笑)。

間違いなく万人受けはしないけど、ハマる人はガッツリハマる。そんな作品だと思います♪

投稿 : 2025/03/29
♥ : 22
ネタバレ

ぺし さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

考える暇があったら、まず一歩踏み出せ!! 死んだように生きてんじゃねえよ!!

いきなり変なタイトルですいませんm(__)m 見終わってそう言われている気がしたもので(笑)

サブタイトル
「その男気合いだけで生還。愛しい過去×はじける未来∞ハイパーテンションムーヴィー!」

こっちレビューのタイトルにすれば良かったな(笑)


「四畳半神話大系」「ケモノヅメ」で知られる湯浅政明監督の初監督作品。
文化庁メディア芸術祭アニメーション部門をはじめ数々の賞を受賞。
声優のほとんどを吉本芸人が担当している。

小学校の頃にTVでやってるのを見て、正直その時は良く分かんなかった。けど、それ以降何かの度にこのアニメのシーンをふと思い出し、また忘れるという事を繰り返した。そして今日また思い出した。名前も忘れていたので、なかなか見つけるのに時間がかかった。やっと見つけた……そうだよこれこれ(*_*)

[あらすじ]
ある日、西は電車内に飛び込んできた初恋の相手・みょんと再会を果たす。彼女の案内で姉・ヤンの経営する焼き鳥屋に案内されたが、そこで彼女がりょうと婚約している事を知り、落ち込む。その時、突如借金取りのヤクザがおしかけ、それに巻き込まれた西は……

あにこれのをちょっと短くしました。ネタバレして欲しくない所を削りました。

圧倒的な色彩感覚。怖いぐらいの疾走感。も~ぐちゃぐちゃ。意味不明。

生きるって何だ、死ぬって何だ、好きって何だ、嫌いって何だ。

どれだけ、惨めでも、無様でも、生きてみろよ…

{netabare}
俺の頭にずっと残ってたシーン。クジラの体の中で生活するシーンだった。
やっぱここのシーンは映像も臨場感があって一番好きだなぁ。じーさんが木の柱にひたすら懺悔の言葉を掘ってたのは見てて苦しかった。

途中で中の人の顔が実写で挿入されることが何度かあるけど、一気に現実に引き戻される感じで、良い演出だったと思う。

クジラから脱出するシーンには圧倒された。波の流れを、クジラに飲み込まれる、戦車や飛行機が効果的に表していたと思う。4人が何としても、脱出して生き抜いてやるって気持ちが痛いほど伝わってきた。足が折れそうになって元に戻るシーンは短いけどちょっと笑った♪
{/netabare}

最後のメッセージ。「THE STORY HAS NEVER ENDED」
物語はまだ終わっていない。様々な選択によって未来は変わるということだろうか。自分の人生は自分で決めるしかない。この話もたくさんある可能性の一つだうか。ん~分からない、全然分からない。けど確実に心に来るものがあった。

103分の長編アニメ映画です。ストーリーに沿って見るというよりは、感覚的に楽しむ作品かと思います。見る人によって好き嫌い別れると思うけど、もっと知られて欲しい作品です。正直、言いたい事の半分も書けなかったのでぜひ実際に見て判断して下さい(^_^ゞ

あと、どっかに細かく解説しているサイトがあったので、見た後に気になった人は調べてみて下さい。たぶんすぐ見つかります。

投稿 : 2025/03/29
♥ : 21
ネタバレ

takumi@ さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

生きることを諦めない強靭なエネルギー

文化庁メディア芸術祭アニメーション部門をはじめ
数々の賞に輝いた湯浅政明の初監督作品。

まずはじめに、正直言ってかなり観る人を選ぶ作品だとは思う。
決して美しいとは言えない作画。
決してかわいいとかカッコいい、とは言えないキャラデザ。
でも、全編通して表現されるアーティスティックな雰囲気と
観る人によって感じ方が大きく分かれそうな内容、脚本。
湯浅監督の作品は大体がいつもそんな感じだけれど
僕はとても気に入ってしまったし、すごく楽しめた。

昭和から平成の今までの、様々な場所とシーンが映し出されていく冒頭。
それが何を意味するのかは後半でわかるのだが、
とにかく多くを語らないので、考えながら観ることは必至。
でも、ゆっくり考えてられないほどのスピード感で物語は展開していく。

幼馴染の女の子と偶然再会した主人公が、彼女と彼女の姉とともに
ある事件に巻き込まれ、自体はとんでもないことに・・・
だが、彼はもう一度やり直したかった。そこから始まる物語。
予想を裏切る展開はほんとうに面白い。
そして心にしみるセリフが深くてとても良い。
{netabare}
恐怖は自分の中にある、自分のマインド次第なんや。
せやから楽しいと思ってみようよ。
信じたまま行動することが、すべての壁をぶち破る鍵や!
何もしないで寝てるのと、何かを感じて動いてるのとどっちが楽しいか。
生きている、感じている、目が見える、音が聴こえる、動ける。
ここは臭い、でもそれが嬉しい。なぜなら生きているから!
{/netabare}

そんな言葉の数々が、ある目的を果たそうとする強靭なエネルギーとなり
またある時は、古典的な性描写を背景にしながら
この作品が一番のテーマとしていることに繋がっていく。

つらいとき、哀しいときこそ、笑え、そして楽しんでしまえ。
才能もコネもなくても、何もしないで死んでいくより
自分の力で何かしたい。壁を越えたい。生きて生き抜こうじゃないか。
愚かながらも愛すべき人間、たくましく生きてこそ人間。
生きるって素晴らしい!生きたもん勝ちや!楽しめたもん勝ちなんや!
僕にはそう感じ取れたし、元気をもらった。

思えばすごく大阪人的思考の物語だった。
そしてラストに表示される英文を見てハッとさせられ
Fayreyの唄うED「最初で最後の恋」を聴きながら、
なぜだか無性に泣けて仕方なかった。

ほとんどのキャストが吉本興業からで、ほぼオール大阪弁であり、
それゆえになおさら大阪人気質が伝わってきたのかもしれない。
なのでもしかしたら、大阪人嫌いな人が観たら嫌気がさすかも(笑)

そしてふと今、これを書きながら・・
主人公が出会ったあの老人はもしかしたら、神様だったのかもしれないと
そんなことを思ってみたりしている。

投稿 : 2025/03/29
♥ : 17

87.8 2 お笑い芸人アニメランキング2位
オッドタクシー(TVアニメ動画)

2021年春アニメ
★★★★☆ 4.0 (674)
2287人が棚に入れました
平凡な毎日を送るタクシー運転手・小戸川。身寄りはなく、他人とあまり関わらない、少し偏屈で無口な変わり者。趣味は寝る前に聞く落語と仕事中に聞くラジオ。一応、友人と呼べるのはかかりつけでもある医者の剛力と、高校からの同級生、柿花ぐらい。彼が運ぶのは、どこかクセのある客ばかり。バズりたくてしょうがない大学生・樺沢、何かを隠す看護師・白川、いまいち売れない芸人コンビ・ホモサピエンス、街のゴロツキ・ドブ、売出し中のアイドル・ミステリーキッス…何でも無いはずの人々の会話は、やがて失踪した1人の少女へと繋がっていく。

声優・キャラクター
花江夏樹、飯田里穂、木村良平、山口勝平、三森すずこ、小泉萌香、村上まなつ、昴生、亜生、ユースケ、津田篤宏、たかし、村上知子、高井佳佑、フェニックス、浜田賢二、酒井広大、斉藤壮馬、古川慎、堀井茶渡、黒田崇矢、汐宮あまね、神楽千歌、METEOR
ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

タクシードライバーが撃ったものは何か

原案脚本、此元和津也。

冴えないタクシードライバーを、
主人公としたサスペンスフルな群像劇であり、
登場人物は全て擬人化された動物である。
主人公が運ぶ乗客の、何気ない会話から、
やがて失踪中の一人の少女に繋がっていく。

かつてスコセッシ&デニーロは、
戦争で心に深い傷を負った青年を通じ、
虚飾と不正義が蔓延する都会の病巣を描いた。
ここでもそうなのだろうか?
少女の失踪事件が物語の骨子にあるが、
回を追うごとに乗客たちの関係性が、
主人公を通じ点から線へと変わっていく。

{netabare}人が持つ承認欲求、格差が生むもの、
婚活詐欺の裏側、乏しい自己肯定感、{/netabare}
形容しがたいこの有様の底にあるものを、
社会や心の闇とは簡易に片付けるのはよそう。
我々は自覚もないままに人間社会を形成している。
最大の謎は主人公小戸川本人である。
{netabare}彼だけが目にする世界があるのでしょうか。{/netabare}

最終話視聴追記。
まずは設定、演出に称賛を贈りたい。
{netabare}平凡な犯行動機ではあるが返って、
人間社会を生き抜く難しさを物語っている。{/netabare}
少年小戸川の回想が非常に効果的である。

練りこまれた勇敢な物語でしょう。
好みの題材とあり、ほんとに面白い。

投稿 : 2025/03/29
♥ : 53
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★★ 4.1

背乗りタクシー

原作未読

相乗りじゃないよ。
来たよ来た来た!ネタバレ厳禁系。時間延長も使わず1クール全13話で美しくまとめた良作。
タクシーをテーマにすると乗客とのやりとりに様々な人生ドラマを垣間見る秀作ができやすい。フランス映画『TAXI』シリーズみたいにコメディに振るも良し。だが今回のそれはデニーロ主演のマッドでサイコな『タクシードライバー』に近い。

 ふわっとどんな作品か雰囲気だけ
 視聴ハードルとなりそうな先入観

これだけ書いときます。

■ふわっとどんな作品か雰囲気だけ

①オッドだけにオットセイかと思いきやセイウチでした
 ⇒心地よく裏切ってくれます
②あ!?CV花江夏樹さんだったね。納得の最終回
 ⇒演技の幅広げるための意欲作っぽい出だしからの花江節が映えるラスト

月並みですが点と線が繋がる心地よさに身を委ねる作品です。


■視聴ハードルとなりそうな先入観

ずばり動物デフォルメものからくる先入観ですね。あくまで私基準での3類型が以下

1.制作会社/アニメーターや“ノイタミナ”“+ultla”などブランド枠で視聴を決断するやつ
 ⇒『Beasters』『B.N.A』等かっこ良さやメッセージ出てる系。すんなり入りやすい。
2.ケモナー御用達
 ⇒萌え需要供給役。『けものフレンズ』『シートン学園』とかかしら。これもすんなり入りやすい。

1.2.ともに需要はあるのです。私自身2.は興味ないですけど求める層が一定数いることを知っております。そしてこれらグループに入ってすらこないのが

3.みるからに低予算そうな見向きもされないやつ
 ⇒『ビジネスフィッシュ』『アフリカのサラリーマン』等放送した事実すら記憶に残らない系。

この3.に該当しそうなのが本作ではないかと。主要キャラが軒並みアラフォーと巷にあふれてる作品の主人公らより年齢が高い。制作会社聞いたことないし、CVに芸人さん入っててバーター臭ぷんぷんだし、どちらかというと事前の期待はナシですね。
ところがどっこいと掌を返すことなるわけですけど、外形だけでは視聴ハードル高そうなとこあるよねってところご留意ください。

集中して視聴することをお勧めします。早送り厳禁。
そして抑揚のない主人公の発声に眠気との戦いになることも助言しておきます。



※ネタバレ所感

■何を得たのだろうか?

{netabare}ミステリーキッス三矢ユキ殺人事件の真犯人は和田垣さくらということでした。
三矢失踪と内々で処理されたのと並行して後釜に抜擢された娘さん。いかにもな二階堂ルイ逮捕でのびつくり展開だったわけですがちょっと待て。

 デビューご破算じゃないの?

スポットライト浴びる目的での殺人ならその後うまいことスターダムに乗れたのかどうか気になります。背乗り目的の動機で殺人起こしてバレそうになって罪被せただけといえなくもなく、スケールちっさと思えなくもない。{/netabare}


メインの小戸川ストーリーは唸れましたので総じて満足しております。



視聴時期:2021年4月~2021年6月 リアタイ

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2021.07.14 初稿
2022.05.29 修正

投稿 : 2025/03/29
♥ : 52
ネタバレ

フィリップ さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

アメリカ的な種の混沌

アニメーション制作:P.I.C.S.、OLM Team Yoshioka、
監督:木下麦、脚本:此元和津也、
キャラクターデザイン:木下麦、中山裕美
音楽:PUNPEE、VaVa、OMSB

絵の雰囲気、話の流れなど、
観るまでのハードルが高い作品かもしれない。
しかし、観始めると良質なシナリオと
連続する謎によって視聴者をグイグイ引っ張る。

登場人物たちが全員動物というのが、
普通のミステリーが得意でない人にも、
新鮮な気持ちにさせてくれる。
まさに私がそうだった。
正直、私はミステリー作品に完全に飽きているので、
そもそも、ほぼ興味が持てないし、
よほど良質なものでないと、
余計な思考ばかりが頭を巡って作品を楽しめなくなってしまう。
しかし、この作品の場合、動物のキャラクターが
そういうミステリー作品鑑賞時の弊害を
ある程度、無効化してくれるのだった。

この作品に興味を持ったことのひとつが、
アメリカの犯罪小説に影響を受けていると
想像できることだった。
日本の昔の犯罪小説やハードボイルドものだと
横溝正史や江戸川乱歩、京極夏彦たちに加え、
大藪晴彦や西村寿行、森村誠一、大沢在昌あたりが挙げられるが、
その影響は皆無に思える。
ところが、ハメットやチャンドラー、ロスマクなどの
アメリカのハードボイルド作品の雰囲気は感じられる。
それは主人公が内省的で気難しいところと、
多種多様な動物たちの絡み合い方に、
アメリカの小説っぽい雰囲気があるからだ。

登場人物がバラエティに富んでいるのも
アメリカっぽい。主人公はタクシー運転手で、
そのほかに看護師、医者、ヤクザ、ヤクザのボス、
悪徳警官、アイドルグループ、そのマネージャー、
キャバクラの店員、お笑い芸人、目立ちたい大学生、
頭の狂った犯罪者などなど。

これだけ多くのキャラについて
それぞれきちんと背景を見せながら、
物語に絡ませて、理由も描いていくのは、
いかにもアメリカの犯罪小説によくある展開といえる。

そのキャラのなかでも面白いのは「ドブ」という存在。
ヤクザの幹部であるゲラダヒヒという動物なのだが、
彼の生き方がとても興味深いし、この「ドブ」という名前が
いかにも社会の底辺をよく表している。

「ドブ」は、昔は街のなかにいくつもあった。
整備されていない下水溝のことで、
ゴミや汚水がいつも垂れ流されていたのだ。
社会の位置づけとしては肥溜めに近い。
最近は全国的にインフラが整備されたため、
「ドブ」は見なくなったのだが、
そんな名前のヤクザの幹部が重要な役割を果たす。
しかも、彼はヤクザとして、男として矜持を
持っているような部分が見え隠れする。

アメリカのブルースの巨星に「マディー・ウォーターズ」と
いう人物がいる。アメリカ音楽が好きなら
ほとんどの人が知っているほどの有名人だが、
彼の芸名を直訳すると「泥水」だったことをふと思い出した。
ボトルネックギターと体の奥底から響いてくるような
太く独特なヴォーカルが一度聴いたら忘れられないほどの
強烈なインパクトを残す。
昔よく使われていた音楽における「アーシー」という言葉は、
まさにマディのためにあるように思える。

私の勝手な想像では、
この作品はアメリカ的な要素に彩られている。
主人公が太っていて、理屈を話すときには
説得力があるのだが、いざ行動すると、
あまり役に立たないのも
アメリカハードボイルド小説の主人公像だったりする。

何だか関係のないことばかり書いてきた気もするが、
この作品は、そういう混沌を広げてみせながら、
緻密な伏線を張り巡らせて、それを1本の線に
上手くまとめていく面白さがある。
常にいくつかの謎が横たわり、想像力を刺激してくれる。
登場人物たちの過去を丁寧に掬い上げ、
ストーリーに組み込んでいく手法も優れている。
おそらく多くの人々がシナリオの展開の妙に
引き込まれていくだろう。

{netabare}この作品のそういう良さが上手く表現されているのが、
ラストの車の飛んでいくシーンだ。
誰もが心に何かを抱え、それぞれが細い糸でつながっている。
そんななか、小戸川が軽々と空を飛ぶ。
関係者は皆、近い場所にいて、その瞬間に直面する。
関係があるようでないような人々が、ある一瞬につながる。
これこそが世界の奇跡のひとつ。
美しい出来事といえるのだろう。
私がこの作品でいちばん気に入っているシーンだ。{/netabare}

人種の坩堝を表現しているような作風だけに、
反面、キャラへの描き方が浅く感じられるのがマイナス点。
ミステリーとしては捻りが足りないし、
そこのキャラの心情表現も描写不足を感じた。
特にドブとの決着については、
私が気に入っていたキャラということもあるが、
あまりにも簡単にまとめようとしているように
見えてしまった。

とは言え、多くの人々を魅了した作品であったことは事実。
4月には事件の裏側と続編を描いた映画
『オッドタクシーイン・ザ・ウッズ』が公開予定。
ローカル局とネット配信だけだった作品だが、
それだけ話題になったのは間違いない。

混沌の先に広がっている景色に着目したい。
(2022年2月5日初投稿)

投稿 : 2025/03/29
♥ : 50

57.5 3 お笑い芸人アニメランキング3位
まえせつ!(TVアニメ動画)

2020年秋アニメ
★★★☆☆ 2.7 (122)
299人が棚に入れました
お笑い芸人を目指す4人の若き乙女たち19歳(北風ふぶき、凩まふゆ、新谷りん、朝生祇なゆた)は、日夜バイトに明け暮れながらも一生懸命にネタの練習に励んでいる。笑いでみんなを幸せに!みんなの幸せで私たちも幸せになる、というきれいごとを大義名分に頑張るも、なかなか芽が出ない4人だった。そんな4人には「お笑い界の武道館」、なんばグランド花月の舞台に立つ!という目標があった。しかし、とりあえずまずは身近なところからいっとこか、ということで、東京渋谷の無限大ホールのいっちばん最下層、ファームクラスの舞台に立つことを目指して頑張っていくことにした。彼女たちのライバルであり(勝手に彼女たちが思っているだけ)、まふゆの妹のまなつとその幼なじみの金成かなえの高校の先輩でもある現役女子高生芸人「JKクール」を目標に、まなつとかなえの女子高1年生組も芸人を目指し始める!総勢8人、4組による、お笑い日常奮闘記。“牛乳は吹き出す!笑いは隠せない"

声優・キャラクター
大西亜玖璃、大空直美、五十嵐裕美、中村桜、高田憂希、古木のぞみ、相田あすか、清水彩香、富田純基、うぶのハツナ、山本正剛、鮫島一六三、村井理沙子、荻野晴朗、利根健太朗、下田レイ
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★☆☆☆ 2.0

これは「お笑い(ギャグ)アニメ」ではない。「芸人(職業)アニメ」である。だから、笑えなくても良いのである!、、、良いのか?

[文量→大盛り・内容→雑談系]

【総括】
これを「ギャグアニメ」と捉えるとキツいですね。

これは、「芸人アニメ」。

「ゲーム制作アニメ」とか「卓球アニメ」と同じようなくくりで、「芸人という職業を紹介するアニメ」だと思うこと、これが本作を楽しむポイントです。

つまりは、「序盤は笑えないけど、仕方ないよ」ということです(だからといって、終盤に笑えるかは保証しませんw)。

レビューでは、このアニメの構造的な難しさを書きたいと思います。

《以下ネタバレ》

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
この作品は、荊の道。この設定(作り方)でヒット作を生み出すのは、メチャクチャ難しいと思った。

以前、「ゴットタン」という番組の中で、キングコングの西野さんが、水口さんという素人と喧嘩。水口さんが、「キングゴングより面白い漫才作れる」と言ったのに激怒。

「梶原連れてこい、漫才バトルしようぜ」「オマエは素人のフィルターがかかっているから笑ってもらえているだけで、プロの現場に出ろ!劇場に出てみろ!」「プロと名乗った瞬間に、お客さんは厳しくなるぞ!出ろ!」

の連打。最終的に、なぜか西野さんが劇団ひとりさんのケツを舐めるこの回は、かなりの名作です(笑)

閑話休題。

まあ、西野さんが面白いかどうかはこの際おいとくとして、西野のさんが言う、「プロのフィルター」ってのは正しいと思う。

YouTuberさんの中でもそういう方はいますが、「素人だから笑える」ということはあって、YouTuberさんがテレビ番組出て、軒並み結果を残せないのを見ていると、ダウンタウンさんとか、やっぱり完全にすげぇよな(別格だ)と思う。

(ちなみに、私が1番好きな芸人さんは、さまぁ~ずさんです。二人の雰囲気が好き。ネタなら、NON STYLEさんとかサンドウィッチマンさん、陣内智則さんなんかはクオリティ高いと思う。フリートークなら、博多大吉さん、有吉弘行さん、麒麟川島さん、オードリー若林さん、くりーむしちゅーさん(2人とも)、バカリズムさんなんかは、凄いと思う)。

本作も、プロ(お笑い芸人)のフィルターがかかっている。だからだろうか、ネタがツマンナイ、笑えない。

日本人は「楽しむのが下手だ」と言われる。マジックとかお笑いもそうだけど、欧米人は「驚こう」「笑おう」と思って観に行くが、日本人の場合、「審査」的な感覚で、「見抜いてやろう」「どう笑わせてくれるかな?」みたいな視点を持ちがち。

新喜劇なんかそうだけど、冷静に考えれば大して面白いことを言っていないと(少なくとも私は)思っている。でも、「あのギャグで笑おう」という積極的な気持ちで観に行くから、笑えるのだと思う。人生、その方が得なんだけどね。

まあ、本作の場合、積極的に笑おうと思っても、笑えないクオリティだってのもあるけど(苦笑)

それから、「お笑い」をアニメとして扱う構造的な難しさを感じたのが、「客の存在」。

ギャグアニメの場合、「客」とは「我々(視聴者)」を指すのだけれど、本作の場合、文字通りの「客」がいる。その「客」が笑えば、「これは面白い(と制作が考えている)ネタ」であり、スベれば、「面白くない(と制作が想定した)ネタ」となる。それが、自分の笑いのツボとピタリとハマるなら良いんだけど、「自分がつまんないのに客が笑った」り、「自分が面白いのに客が笑わなかった(てのはほぼないが)」りすると、どんどん気持ちが離れていく。

一般のバラエティーなどでも同様の演出(客の笑い声)はあるが、あくまで、客の(一応自主的な)声。本作の場合、制作の自作自演なので、殊更にサブい。

あと、ネタの監修が「天心の向さん」てのが。まず、「そんなに売れてない芸人さんがネタの監修しても」とは思うけど、(ネタが面白くて)売れてる芸人さんは、アニメのネタ監修なんて(暇じゃないし、リスキーだから)やるわけない。

それから、吉本所属の芸人さんが、本人役で出ていましたが、正直、アニメの足を引っ張っている。

単に「声優として下手」なだけではない。

「作品の世界(お笑い界)では先輩」であるため、「とこなつ」や「R凸」に対して上からものを言うのだが、「アニメ業界としては声優さんの方が上手い」から、「(声優として)上手い奴が下手な奴に怒られている」というねじれ現象が生まれ、アニメの世界観を壊していた。

このへん、「それが声優」では、本人役で出たのが「野沢雅子さん」や「堀江由衣さん」ですからね、違和感なさすぎた。(当たり前)w

(それにこれ言ったらなんだけど、売れっ子のJkクールも、とこなつやR凸と同じくらいつまんないってのも)

また、本人役で出る芸人さんも、(申し訳ないが)「誰やねん」という方ばかり。これが、普通にテレビで出ている人なら話題にもなるし、声優として下手でも「本人」として違和感なく混ざれる。

少し調べたら、アニメ関連の仕事を手掛けてる芸人さんが多い。つまり、「このアニメをきっかけに仕事を増やそう」としているのではと邪推できてしまう。それは、「アニメのために吉本が協力している」のではなく、「吉本のためにアニメを使っている」だけであり、純粋にアニメを楽しみたいと思っている我々アニメファンにとっては、百害あって一利なし。むしろ、印象が悪くなる。

原作を売りたい、アニメにゲスト出演で知名度を上げたい、歌手として成功したい。そういう狙いはあっても良いし、そういう会社が金を出すからアニメは出来上がるんだけど、全ては「アニメのクオリティ」が大事であることを、いいかげん分かってほしい。鬼滅が良い例じゃん。関わった人、皆が幸せになっている。

もしここに安西先生がいたら、「吉本のために『まえせつ』があるんじゃねぇ、『まえせつ』のために吉本がいるんだ」と激怒しているだろう(笑)

さて、ではそろそろ(少し)誉めるところをw

総括でも書いてるけど、本作は「芸人の成長物語」ですから、9話で「ボケとツッコミを入れ替える」流れがキーになります。オードリーさんやぺこぱさんも、それで売れた。確かに、とこなつは、ずっと違和感あってスベってて、その伏線をここで回収するわけだけから、上手い構成にはなっていたと思う(誉めのここまでw)。

ただ、これが「テニスの前衛と後衛」みたいなら、視聴者も(いつか強くなると)我慢して観るけど、もし本作を「ギャグアニメ」として(笑いたいと期待して)観てしまっていた場合、「ただのつまんない2人」として、前半で切られてもしまう可能性が高いと思いました。

ていうか、「芸人としての成長」を描く以上、「売れていない芸人」を主人公にする必要があり、ということは、ネタが笑えたらダメなわけで。

という、自分で自分の首を絞めるような設定でしたね。結局最後までネタでは笑えなかったので、成長も掴みにくかったですし。1回でも爆笑できれば良かったのですが。

これは蛇足ですが、最終話、NON STYLEさんのゲスト出演には驚いたけど、まず、キャラデザが似てないし、NON STYLEさんクラスの芸人が、こんな若くて可愛いくて実績なくて事務所にも入っていないつまんない芸人に直接声かけにくるって、あわよくばヤろうとしてるんじゃないかと、邪推しかできないラストシーンでした(苦笑)
{/netabare}


【各話感想(自分用メモ)】
{netabare}
1話目 ☆3
高校の文化祭。しんちゃんモノマネでどんスベり。これ、「笑いのハードル高める」厳しい設定のお笑いアニメだよな。

2話目 ☆2
まずシンプルに、ネタが笑えない。ライブつまんない。

3話目 ☆2
その、「すごい女子高生コンビ(JKクール)」が、大して面白くないってのがね、なんとも。

4話目 ☆3
温泉営業。保険だって、悪くない。こういう営業って、いくら金出るの? ドン滑り。共感性羞恥なので、こういうのキツイ。客イジリから、客に合わせて。こういう部分を魅せるのは良いし、ネタを途中で切るのもアリだと思う。

5話目 ☆2
ちょっとイラッとした。この程度のアニメで、ゆるキャンをガチでパクるなよと。地元ネタをやるのは、確かにウケるから良いと思うけど、それってツカミで使う程度で、本ネタに引っ張っていくべきじゃないかと思うんだけど。まあ、「ウケないなら本ネタ捨てる」というプライドの捨て方も、プロといえばプロなんだろうけど。

6話目 ☆2
う~ん、感動させに来てるけど、感動しない。

7話目 ☆2
なんばグランド花月。行ったことない。てか、大阪もちょっと通ったくらいなんだよな、行ってみたい。スパイク、全然面白くない、ヤバイ。ウーマンラッシュアワーも、ちょっとメジャーでも全く。ティーアップ、ベテランなのにな。

8話目 ☆2


9話目 ☆3
ボケとツッコミを入れ替える流れかな? だよね。

10話目 ☆3
なんだろう、ゆるキャンが「どうでしょう」をネタにした時は嬉しかったのに、この程度のアニメが「どうでしょう」を扱うと、イラッとするな。これ、どうでしょうの「四国八十八カ所」をネタにしてるんだろうね。審査員はいい話なんだ。ダウンタウンの松本さんはじめ、みんな「難しい」「やりたくない」「得がない」って言ってたけどな。

11話目 ☆2
マネー&カネーが、一番売れそうな気がする。いや、そこで常夏のネタカットかい。う~ん、客と自分の笑いがずれて気持ち悪いな。んで、R凸をフルで流すということは、R凸が落ちて、常夏が上がる流れかな。

12話目 ☆2
これ、常夏やR凸がスベるのは良いけど、JKクールが笑えないのはダメだよな。NON STYLEクラスの芸人が、こんな若い可愛いつまらん芸人に直接声かけにくるって、あわよくばヤろうとしてるんじゃないかと、邪推しかできない(笑)
{/netabare}

投稿 : 2025/03/29
♥ : 29

えたんだーる さんの感想・評価

★★★★★ 4.2

これまた、視聴者を選びそうな…。(私はけっこう好きですが)

[総評]
芸人を目指す少女たちを主人公とした作品です。彼女たちは作中で漫才をやりますが、必ずしも漫才自体が面白くなくても作品として成立するストーリー構成になっているというか、むしろ漫才が面白かったら成立しない話ですね。

とはいえ、作中での漫才の向上みたいなものは描けていないといけなくて、けっこう面倒くさい作品だったと思います。

とりあえずOPの最後で「抱腹絶倒!」と言ってますけど、実際にそうなるわけではありません。ただ、個人的には「ゲラゲラ笑う」という意味ではなしにわりと興味を持てて、面白かったです。

== [下記は第4話まで視聴時のレビュー: 以下、追記あり。] ==
第4話まで観た時点で、このレビューを書いています。どうやらメディアミックス企画らしくて、「月刊コミックアライブ」でコミカライズ版が連載されているようです。

どうやら、お笑いを目指す女の子達がメインのお話のようです。キャラクター紹介に挙がっているのは

コンビ名「とこなつ」: 北風ふぶき、凩まふゆ
コンビ名「R凸(あーるでこ)」: 新谷りん、朝生祇なゆた

この4人がメインキャラクターといった感じで、以下既に吉本興業所属

コンビ名「JKクール(じぇいけいくーる)」: 藁猪野あらし、草葉える
コンビ名「ふりいくっ!」: 冨田純基、うぶのハツナ

そしてまふゆの妹がいる

コンビ名「つんどら」: 凩まなつ、金成かなえ

といったところで、漫才コンビを中心とするストーリー展開になるようです。そしておそらく本作を楽しめる層というのはライブではなくテレビなどでも問題はないと思いますが普段からアニメとは別に漫才をある程度見聞きしていて、かつ一方的に観客としてだけではなく笑わせる方にも幾ばくかの関心を持っている人なんじゃないかと思います。

素直に登場人物たちの成長などを見届けるのが筋なんでしょうが、何というか一緒に「お笑いについて考える」姿勢がないと楽しめない作品であるような気がしてなりません。

仮にお笑いに関心があっても多くの人はアウトプットだけを求めているのであって、お笑いの生まれる過程に関心はないと思うので、そういう意味で視聴者を選ぶ作品だと思います。

いや、私はけっこうはまっているんですけどね。他人にお勧めはできません…。
== [第4話まで視聴時のレビュー、ここまで。] ==

2020.11.9追記:
第5話まで視聴終了。第4話との前後編といった感じで、第4話のリベンジ戦でしたね。おばちゃん、歳の問題だけでなくて「あっちこっち丁稚」ってそんなローカル番組よう知っとったな…。

投稿 : 2025/03/29
♥ : 27

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8

"お笑い"でみんなを幸せにしたいっ! 世知辛い世の中だけど、私たちの"お笑い"で少しでもみんなに元気になって欲しい!

この作品の原作は未読ですが、「らき☆すた」を手掛けた美水かがみ先生の作品と知り、視聴を楽しみにしていた作品です。
お笑いを題材にしたアニメってどんなんだろう?
でも、「じょしらく」のような落語を題材にした作品だってアニメ化されているので、漫才でも何とかなると視聴前には思っていました。
まぁ、「じょしらく」は殆ど落語はしていませんでしたけれどね^^;


目指せ!なんばグランド花月!!
お笑い芸人を目指す4人の若き乙女たち19歳(北風ふぶき、凩まふゆ、新谷りん、朝生祇なゆた)は、
日夜バイトに明け暮れながらも一生懸命にネタの練習に励んでいる。

笑いでみんなを幸せに!みんなの幸せで私たちも幸せになる、
というきれいごとを大義名分に頑張るも、なかなか芽が出ない4人だった。

そんな4人には「お笑い界の武道館」、なんばグランド花月の舞台に立つ!という目標があった。
しかし、とりあえずまずは身近なところからいっとこか、ということで、
東京渋谷の無限大ホールのいっちばん最下層、
ファームクラスの舞台に立つことを目指して頑張っていくことにした。

彼女たちのライバルであり(勝手に彼女たちが思っているだけ)、
まふゆの妹のまなつとその幼なじみの金成かなえの高校の先輩でもある
現役女子高生芸人「JKクール」を目標に、まなつとかなえの女子高1年生組も芸人を目指し始める!

総勢8人、4組による、お笑い日常奮闘記。

牛乳は吹き出す!
笑いは隠せない


公式HPのINTRODUCTIONを引用させて頂きました。

まずはじめに、この作品は漫才を楽しむ作品ではありません。
一流芸人を目指して日々奮闘する漫才コンビの物語です。
だから、この作品に漫才の面白さを求めたら肩透かしを食うことになります。

この作品には、主人公を擁する「とこなつ」と「R凸」という2つのコンビが登場するのですが、練習したネタを本番で披露する姿に、白鳥やチアリーディングを彷彿しました。

白鳥の水面を進んでいる姿は一見優雅ですが、水の中では一生懸命足をばたつかせています。
チアリーディングはみんな笑顔…どんなに苦しくてもその仮面の剥がれることはありません。
「とこなつ」と「R凸」を見て受ける印象は必死であることでした。

もちろん、「とこなつ」と「R凸」以外の漫才コンビも出てきますよ。
ほぼ先輩のコンビばかりですけど…
年期が入っている分、漫才のネタも面白いんですけどね。

きっと、お笑いには才能が左右する局面って絶対あると思いますが、才能だけでやっていける甘い世界では無いと思いました。
私は最近テレビではニュースくらいしか見ないので、お笑いとは疎遠になっていますが、テレビで放送される漫才コンビも「とこなつ」と「R凸」と同じような道を進んできたんでしょうね。

この手の作品の難しさは、漫才と日常のバランスだと思います。
漫才だけでは、下積み時代で藻掻いている様が分かりませんし、日常だけではテーマがぼやけてしまいます。
その点を踏まえると、この作品のバランスは悪くなかったのではないでしょうか。
比較的しっかり漫才もしていましたが漫才一辺倒ではなく、葛藤や高みを目指すための気付きといった日常パートもしっかり描かれていましたから…
漫才と日常の比率は3:7といったところでしょうか。
ちょうど良いバランスだったと思います。

そしてこの作品の特徴は、笑いと涙がある点だと思います。
漫才をしているので笑いがあるのはある意味自然ですが、涙要素だってこの作品にも盛り込まれているんです。
この作品でウルっとするとは私も想定外でしたけれど…
原因は波乱含みの最終話…まさかの展開に私の涙腺は抵抗できませんでした。
気になる方は是非本編でご確認頂ければと思います。

オープニングテーマは、「ピッピッピハッピー」
エンディングテーマは、「いかがわしいバイキング」
どちらも「とこなつ」と「R凸」が歌っています。

1クール全12話の物語でした。
この作品は、アニメーション制作会社で作風がガラリと変わるのではないでしょうか。
今回のアニメーション制作会社は、Studio五組さんとAXsiZさんでしたが、例えば「らき☆すた」と同様に京アニさんが作ったら、また一味違った作品になっていたと思うんです。
例え原作に沿っていたとしても演出の違いで、印象はガラリと変わりますから…
私にとってそんなことを考える機会を貰った作品でした。

投稿 : 2025/03/29
♥ : 16
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