2021年度のお好み焼きおすすめアニメランキング 2

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメの2021年度のお好み焼き成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年11月07日の時点で一番の2021年度のお好み焼きおすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

72.8 1 2021年度のお好み焼きアニメランキング1位
異世界食堂2(TVアニメ動画)

2021年秋アニメ
★★★★☆ 3.6 (281)
979人が棚に入れました
「いらっしゃいませ!ようこそ、洋食のねこやへ!!」アレッタとクロが働いている「洋食のねこや」は猫の絵が描かれた看板が目印。一見、日本のどこにでもある普通の食堂だが、7日に一度“特別営業”であるドヨウの日になると、異世界のあらゆる場所に扉がつながる。扉を通じて、今日も様々な“向こうの世界”の客がやってきては絶品の料理に舌つづみを打ち、帰っていく。この店に集う人々、料理との一期一会を描く物語。温かい出会いの扉が再びつながる。

ヘラチオ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6

ずっと同じような展開かと思いきや急に結婚の話

前期と同じようになんやかんやで食堂の扉を見つけたり、紹介されたり
そして、お気に入りの食べ物を発見してそればかりを食べる

ほとんどそんな展開だけど、11話で急遽、結婚の話とはね。ほとんどの話が記憶に残っていないので、びっくりした。

食事だけでプロポーズに至れるデート足りえるもんだろうか?
僕は知らないですね。


OP
おんなじキモチ。 安野希世乃
ED
冷めない魔法 東山奈央
挿入歌
僕の宝物 ぽかぽかイオン(東山奈央、安野希世乃)


以下はアマゾンプライムから引用のあらすじ。
「いらっしゃいませ! ようこそ、洋食のねこやへ!!」アレッタとクロが働いている「洋食のねこや」は猫の絵が描かれた看板が目印。一見、日本のどこにでもある普通の食堂だが、7日に一度“特別営業”であるドヨウの日になると、異世界のあらゆる場所に扉がつながる。扉を通じて、今日も様々な“向こうの世界”の客がやってきて絶品の料理に舌つづみを打ち、帰っていく。この店に集う人々、料理との一期一会を描く物語。温かい出会いの扉が再びつながる。


第1話 「チーズケーキ」 「モーニング再び」
「チーズケーキ」ゴブリン退治の依頼を請けた傭兵のヒルダ。一匹狼の彼女は、クロスボウを片手に一人ゴブリンの群れを討伐し、その巣で巨大な扉を見つける。扉をくぐると、不思議な料理屋「異世界食堂」に迷い込んでしまう。「モーニング再び」異世界食堂のねこやで働き、ひと仕事終えたアレッタ。お土産をもらい、普段住み込みで働いているサラの家へ帰宅すると、研究で疲れ切ったサラが机に突っ伏して眠っていた。アレッタは何かお礼がしたいと考え……。

第2話 「ビフテキ」 「シュークリーム」
「ビフテキ」追っ手から逃げる恋人たち--ロメロとジュリエッタ。身を隠した洞窟の中で、二人は謎の扉を発見する。追っ手が迫る中、意を決して扉をくぐると、そこはまるで魔法使いの居室のようで……。「シュークリーム」帝国の皇女アーデルハイドは、今日もねこやでチョコレートパフェを堪能。すると、砂の国の王子シャリーフとその妹のラナーがやってくる。カッファの豆を贈られた彼女は、カッファに合う菓子を持ち帰りしようとして……。

第3話 「ハンバーガー」 「ギュウスジカレー」
「ハンバーガー」帝国の片田舎に住む仲良し三人組のジャック、ケント、テリー。町はずれの古井戸にやってきた三人の目的は、古井戸の底に立つ大きな扉だった。いつか旅立ちを迎える三人が、ねこやで味わい、感じたものとは……?「ギュウスジカレー」アレッタとクロのまかないの時間に、アルフォンスがやってくる。いつものカレーライスを注文するアルフォンスだが、店主は新作カレーの試食を提案。アレッタ、クロ、アルフォンスが、三種類のカレーを堪能する。

第4話 「お子様ランチ」 「クリームコロッケ」
「お子様ランチ」公国の王子アルフレッドと王女マルガレーテは、魔女が住んでいるという西の塔に入ることを固く禁じられていた。しかし、魔女の存在を確かめたい二人はこっそり西の塔へ。そこで魔女の秘密を知ってしまい……。「クリームコロッケ」ハーフリングの夫婦ピッケとパッケは、あちこちを旅しながら道行く客に料理を売っている。王国のはずれの町でも大盛況。そんな二人には、ある楽しみがあった。今日はドヨウの日、森の中にある扉へ向かう。

第5話 「スコッチエッグ」 「モンブラン」
「スコッチエッグ」ラミアのルシアとともに、ねこやのテーブルにつくエミリオ。ある悩みを克服するために旅立ったはずが、どうしてか異世界にまで来てしまった。すべては旅の途中でルシアに出会ったことが始まりだった。「モンブラン」あるメイドの老婆が毎週持ち帰ってきたモンブランは、領主に気に入られ、政治の場でも重宝されていた。しかし出所がわからないまま彼女が亡くなり、入手が困難に。冒険者のトーマスは領主からモンブラン探しを依頼される。

第6話 「ライスバーガー」 「ピザ」
「ライスバーガー」ファルダニアがアリスという少女を連れてねこやにやってきた。二人が出会ったのは、昨晩のこと。アリスはハーフエルフの村の住人とはぐれ、森をさまよっていた。どうやら彼女には複雑な事情があるようで……。「ピザ」ミートソースの再現に苦慮するシリウスは、ミートソース以外のトマト料理を模索し始める。店主に一週間後なら別の料理を用意できると言われ、シリウスは約束の日に料理人のジョナサンを連れてねこやを訪れる。

第7話 「お好み焼き」 「宇治金時」
「お好み焼き」ねこやでばったり遭遇したソウエモンとドウシュン。互いの国が敵対関係にある二人は、何かにつけて言い争っていた。なのに時間もずらさず、テーブルも同じ。今日もまた意地の張り合いが始まるが……。「宇治金時」今日から期間限定で始まるかき氷。味見をすることになったアレッタとクロは、その甘さや冷たさと頭がキーンとする感覚に驚きを隠せなかった。そんなねこやに「空に浮かぶ島」に住んでいるというエルフ・イルゼガントがやってくる。

第8話 「ローストビーフ」 「チーズケーキ再び」
「ローストビーフ」念願の「黒の眷属」となり、漆黒の翼を得たロロナ。意気揚々と飛び立ったはいいが、まだ慣れないため森へ落ちてしまう。森の中にはおいしい香りのする扉があり、扉の先の料理屋には仲睦まじい吸血鬼のカップルがいた。「チーズケーキ再び」ねこやの常連となったヒルダ。知り合いの傭兵ラニージャとアリシアにねこやのことがばれ、この日は三人で店を訪れていた。アリシアは「菓子ごとき」のために辺鄙な森の仕事ばかり請けていると、ヒルダを笑うが……。

第9話 「マカロニグラタン」 「フルーツゼリー」
「マカロニグラタン」黒パン屋の娘マイラは、今日も大忙し。父がハーフリングの夫婦にシチューのレシピを教えてもらって以来、大人気メニューとなっていたからだ。そんな中、幼なじみのヨハンから「すっげえメシ屋」に誘われる。「フルーツゼリー」ファルダニアはアリスと旅を続け、港町まで来ていた。とある食材を探すのが目的だったが、二人は屋台のフルーツゼリーに心を奪われてしまう。作り方を教えてもらうため、岬に住む魔女の元へ向かうのだが……。

第10話 「テリヤキバーガー」 「チョコレートパフェ再び」
「テリヤキバーガー」冒険者となったジャック、ケント、テリーだが、死霊に追われ絶体絶命の危機に! 窮地を救ったのはタツゴロウだった。タツゴロウに誘われねこやを訪れた三人は、彼が伝説の大剣豪だと知って目を輝かせる。「チョコレートパフェ再び」魔都を統治する魔王ラスティーナ。先代の魔王である母に引け目を感じ、己の未熟さを痛感する日々を送っていると、ある日、自室に巨大な扉が現れる。扉の先には料理屋があり、そこでアーデルハイドと相席することになり……。

第11話 「キッシュ」 「コーヒーフロート」
「キッシュ」帝国の皇帝にしてアーデルハイドの父ヴォルフガングが、砂の国の王子シャリーフから贈り物を受けとり、二国の関係が急接近する。情勢の変化に危機感を募らせる王国の大臣エドモンは、ねこやで情報を集めようとするが……。「コーヒーフロート」エドモンがひと通り料理を楽しんだところにシャリーフがやってくる。彼の様子を探ろうとするエドモンだが、シャリーフはどこか落ち着きがない。そこへアーデルハイドが現れ、事態が急変する……!

第12話 「ロースカツ」 「ビュッフェ」
「ロースカツ」ねこやではアーデルハイドとシャリーフの結婚を祝うパーティの準備が進められていた。店主も腕によりをかけようと、気合十分。そんな中、ねこやに謎めいた老婦人がやってくる。アルトリウスや店主とは旧知のようだが……?「ビュッフェ」ねこやに常連たちが続々と集まってくる。国も、種族も関係ない。おいしい料理が結びつけた不思議な巡り合わせ。大切な場所で、大切な友人の結婚を祝う、幸せなパーティが始まろうとしていた。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 13

saitama さんの感想・評価

★★★★☆ 3.1

前作同様、なんとなく観ていられる楽しさ

料理ものが好きならば観ていて楽しい。

1期の異世界食堂も良かった。
正直、作画のレベルは及第点だったが、それ以上の魅力が物語自体にはあった。

で、2期が始まったので早速録画して観た。

多分、制作会社が変更されてる?
ただ、キャラクターデザインはほぼ変わっていないので良かった。
作画自体は…キャラクターの表情とかは丁寧になった。

一方、背景や料理自体の作画はうまく見せようとしているが作画技術力が追いついていない印象。

具体的には、どうしてもアニメ化するときに良い意味でデフォルメすることが大事だと思うのだが、
多分、カメラで料理等を撮影し、そのレンズの歪みとかをそのまま作画している気がする。
そうすると、やはり実写の方がよく見えるで、結局下手な作画に見える。
そのあたりは、ジブリとかの良い意味でデフォルメする料理や背景の方が圧倒的に良い。

でも、作画が良い部分もすごくあるので、多分、絶対的な知識と経験値が足りないのだろう。

ひとつ、それがハッキリわかるのがランプの火を消すところ。
ランプは軸をそのままの長さで下げれば消えるのではない。
軸が下がって金属筒に包まれて短くなり最後軸の表部分が無くなり酸素が遮断されて消える。
たぶん、仕組みを知らないで書いているから仕組みの間違いに気づかない。
化学を多少理解していれば「軸を下げるだけで消える?」と疑問を持つはず…。
チェックする作画監督? もランプがどうして燃えて消えるのかをまるで知らないから、
上がってきた作画を確認してキャンプ経験者とかなら誰でもわかる間違いに気づかない。

あと、いろいろ演出が過剰。例えば光源とか。
よく見せたいのだろうけど、くどい。とことんくどい。
そうした塩梅がまるでできてない部分も経験値が足りない作品という感じ。

細かい演出の使い所が間違っているというか、
いろいろやってみているのが失敗している。
無駄に瞳をフルフルさせてるけど、その直後の料理が下手くそな作画とか…意味がない。

全体のバランスがおかしい。

なので、なんとも現時点では評価が難しい。
悪くないけど、良くもない。
良い作画部分もあるけれど、ダメダメな部分もある。

この先を観て判断…かな。

あと、OPとED曲は1期の方が良かったな。
曲もそうだし、本編の演出も、明るい印象にしたいのだろうけど、どうなんだろう。
そうした方向性は1期の方がより合っていたと思う。

まあ、どうでもいいところは本当に細かいから(たとえばパンくず表現とか)、
その力配分が適正化というか勘所を掴めば、すごく底上げされて良くなると思う。
現状では監督や作画監督の経験値が低いかチェックが甘い印象。


■6話まで視聴

基本路線が何も変わらないので、普通に楽しめるのが良い。
変化を求めないものもある。
回によって止め画が多いのは…まあ…もう少し頑張って欲しいけど…。

チェックが甘いのは相変わらず。
多分、チェック甘いのは本当に単純に監督や作画監督の詰めが甘すぎるか、
そういう視点が欠けているのだろう…。

開店前の電気が点いていない店舗のはずが、その前のシーンでドア開けたとき明るいとか…、
使い回しして良い場所と駄目な場所を理解していて、使ったなら…やっぱ駄目だろう。

惜しいなぁ…。もっと良くなる要素多いのに。
まあ、ちょいちょいチェック甘い部分を除けば良い出来。


■9話まで視聴

相変わらず安定していて安心して楽しめる。

ただ、話数によって冒頭に“公国”や“帝国”といった地名が出たりでなかったり、
その文字のフォントサイズが違っているのは、正直意味がわからない。

設定上、そうした部分は最初にルール化しておく基礎な気がするが…。
やはり細部に目を配れていないのだなと、そこは本当に残念。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 9
ネタバレ

ぺー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

偉大なるマンネリになれるか?

原作未読


こちらの世界とあちらの世界の間。週に一度繋がる洋食屋「ねこや」を巡るあれやこれやの2期め。
どこで修業積んだんだよ!とツッコミ不可避な店主が繰り出す洋食の範疇に留まらない料理全方位ぶりに感嘆しますが、そうでもしないとネタが早々に尽きてしまうんだろうな、と邪推可能な2期でした。

良くも悪くも単調でしたね。まとめて観るよりねこやの仕様と同じく週一くらいで嗜むのがお作法かもしれません。

 「なんだこの美味いものは!」

と週替わりゲストが幸せそうにしてるのを見てこちらも満足すればよい作品との評価になります。ある意味稀有なポジションを確立しとります。
単調と感じた理由はネタバレで後述。それでも日本人の誰も『笑点』を悪い意味で単調とは言わないように偉大なるマンネリを目指してほしいものです。
自分は腹八分。3期あるとしても惰性でのお付き合いになると思います。



※ネタバレ所感

■1期との差分

エルフやリザードマンやら挙句にはドラゴンなど人外さんが舌鼓を打つさまは愉快かつ独創的だった。“だった”ということです。
1期レビューとの重複になりますが本作品の要素は下記3点の掛け算

 飯テロ × 人情噺 × 気分いい

①飯テロ
 読んで字のごとく。美味そうな画とそう思わせる異世界人のご弁舌のハーモニーは作品の柱です。
{netabare}ただこれだけですと、別に異世界でやる意味はないのよね。出オチになるかどうかはその後の展開にかかってます。{/netabare}


②人情噺
 食にまつわる周辺エピソードやら背景。人生が透けてみればなお良し。
{netabare}これが2期では薄味でした。基本的には一人一品ルールだったりするためか1期で登場したキャラたちは傍らでいつもの品を食べてました。RPGにある街でモブがいつもと同じセリフ吐いてるのと変わらず深掘りがありません。
また誰もが恐れる人外さんが食の奴隷になるみたいな面白さは2期にはなく、起伏が乏しい印象。ただし終盤に求婚エピソードもってきて山を作ろうとしていたのは好感でした。冷静に考えりゃ異世界である意味は全くありませんがベタでも入れといてよいエピソードでしたね。{/netabare}

③気分がいい
 誤解なきよう『異世界居酒屋』『異世界食堂1期』のレビューにてがっつり説明しております。一言で済ますなら“日本食が海外に受け入れられた喜び”みたいなもの。私たちの普通が他人には特別なものに映ることで私たちも足元の素晴らしさに気づくのに似た感覚です。
{netabare}これも薄味でしたが逆説的にそれで良かったと思います。1期踏襲ならくどく感じてたかもしれません。{/netabare}


長く続けるなら定期的に②の要素をまぶしていかないと平坦すぎてつまらなくなるでしょう。出汁を感じ取ることができる味覚を有している我々ですから薄味で良いのです。無味無臭はいけないってそれだけなんですけどね。ばんばん無味無臭化フラグが立ってると思いませんか?


{netabare}突然目の前に現れる「ねこやへの扉」に意味合いがないのよね。たまたま発見してラッキー!以上です、、、みたいな。膨らませ甲斐のある設定でしょうに。{/netabare}

{netabare}それと店主の出自にちらっと触れてましたね。さてさてどうなることでしょう?{/netabare}



視聴時期:2021年10月~12月 リアタイ

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2021.12.23 初稿

投稿 : 2024/11/02
♥ : 42

72.3 2 2021年度のお好み焼きアニメランキング2位
漁港の肉子ちゃん(アニメ映画)

2021年6月11日
★★★★☆ 3.9 (51)
135人が棚に入れました
食いしん坊で能天気な肉子ちゃんは、情に厚くて惚れっぽいから、すぐ男にだまされる。一方、クールでしっかり者、11歳のキクコは、そんな母・肉子ちゃんが最近ちょっと恥ずかしい。そんな共通点なし、漁港の船に住む母娘の秘密が明らかになるとき、二人に、最高の奇跡が訪れる――!

nyaro さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

漁港は人生の俯瞰。利他の痴愚と聖性。ただ、解釈より感情かな。

 純文学的ではありますが、どこかメッセージ性もある感じで大衆文学と純文学の中間のような感覚を持ちます。人間の人生のどこかにある暗い部分のドラマを切り取って、描くことで人間の本質について考えるきっかけ、と言えばいいんでしょうか。

 正直いえばオール4の評価は評価の放棄です。オール3ではないという程度の意味です。

 とにかく日本文学的な暗さ、貧しさを描くために、娼婦を出すところはありきたりと言えばありきたりです。キノコのイメージでぼやかしていましたけどそういうことです。

 ただ、そうなるとありきたりな「だめんずうぉーかー」になるところを、キクリンからみた物語にすることで、肉子ちゃんに聖性を見ます。誰かに依存することでしか幸せを感じられなかった肉子ちゃんの「事件」後の気持と、キクリンを対比することで何を感じるのか、でしょうね。

 模型は多分漁港なんでしょうね。つまり、人間いろんなことはあるけど、俯瞰して見ると小さいものだと。表情と模型の関係…隠れてみんな恥ずかしい事をしている、俯瞰してみれば人生なんて箱庭見たいなものだ。だから、一人は可哀想という気持ち…そして人間の負の感情…そう言ったもので悩むより、恥ずかしいとかメンツとかでなく、素直に話をしよう。ここは模型を見ることによる視点の変化なんでしょう。
 地蔵はこんな港街にも長い歴史と不幸な出来事があって、それでも存続して人が暮らしている、ということでしょうか。

 この模型で人生を俯瞰することが肉子ちゃんとみうの人生にもつながってきます。マリアに手を差し伸べるキクリンの気持ちからここに展開する理由でしょう。お腹の痛みは「女の心・人生・肉体の痛み」のことでしょうか。
 本作からは肉子ちゃんの欲望・無垢・痴愚から生まれる利他による幸せ、あるいは聖性を感じます。男のために生きているように見えて「誰かのために生きる」肉子ちゃんの姿が見えてきます。彼女が望むのは金でも安楽でも肉体でもなく利他です。それがみうであってもキクリンであっても、同じことです。
 いままで肉体でお金を稼いでいたのは男のためお金のためだから。そして、子供のためになると風俗は辞めます。そこに金銭の効率などの考えはなく、子供のためだから、でしょう。

 幸せですら望まない肉子ちゃんの利他が本質だからこその聖性なのかもしれません。つまり菩薩でありマリアということです。タイトルに名を冠しながらも内面が見えてこないのは、この聖性によるものだと思います。

 また、恥ずかしさというのもかなりクローズアップされていました。肉子ちゃんの体形と表情、娼婦にしゃべり方…つまり生きていることはみっともないけど、誰でもみっともないと。だったら、自分の望む生き方に幸せはあるのでは?

 キクリンと文学の関係ですね。人間の出会いがもたらすもの、でしょうか。ろくでもない小説書きだったけど、キクリンにいい影響が「偶然」与えられたということなのか、あるいは文学では幸せになれないし、肉子のようなある意味においての幸せを得られないという意味なのか。

 なお、司馬遼太郎の「峠」が借り物競争で出てきました。河井継之助という人の話らしいのですが、未読です。WIKIで若干確認しましたが、どうも病気であることを隠すために牛肉を食べたというエピソードがあるみたいで、それかなあ、という気もしますがよくわかりません。河井継之助は乱読派、精読派の論争で精読派だったらしいです。これが小説家との対比にはなります。

 なお「ライ麦畑でつかまえて」は落ちそうな子供を助けるという意味なので、ちょっと関連ありそうですけど、まだ深く考えてません。面倒ならウィキにかなり詳しくあらすじが載っています。

 本作を見るとどうしても安田浩之氏の「ちひろさん」「ちひろ」を思い出します。ベクトルは全く逆のような同じような。肉子ちゃんに内面はあるのか?ですね。肉子ちゃんの名前は何を表しているのでしょうか?

 見て何を感じるのか、でいいんでしょう。ただ、どんな視聴者層に向けた作品か不思議でしょうがない作品です。こういう作品はどちらかと言えば実写向けの気がします。まあ、肉子ちゃんが生々しくない方がいいのかもしれません。

 そもそも純文学は「画」をイメージするのも含めてのことですから、映像化は零れ落ちるものが多くて難しいものです。それを偶然の要素があったり生身の人間が演技する実写ではなく、記号性の塊ですべてが表現されてしまうアニメにすること自体に矛盾はあります。ありますが、かなり上手くアニメ化はしていると思います。特にみうの過去回想はなかなかの出来栄えでした。

 まあ、要するに解釈してもしょうがないですね。感動や意味も大切でしょうけど、とにかく見て何かを感じるのが大事なアニメでしょう。エンタメとして展開を期待する人には向かないアニメでしょう。ただ、面白いと思いますけど。

 初見なのでまた思いつくことがあれば追記します。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 8
ネタバレ

まにわに さんの感想・評価

★★★★☆ 3.3

絵からうるさい

 
{netabare}肉子ちゃんの話ではなく、キクリンの話だったことについて。
モノローグ的に話が進むのは小説云々が根拠になるとして。
肉子ちゃんの話に見えるのは肉子ちゃんが目立つからがいい言い訳になっているが、問題は実の子でないと知っていることとこれが相容れないこと。
私は、実の子で見ていて、過去話でやっと気づいた口で。そういえば序盤から匂わせていたなとはなるが、この違和感のなかで母子関係をどう成り立たせるかと考えながら見るから面白いのであって、違和感を解消しても面白味を削ぐだけ、とか言い訳をしてみるが。
過去話があまりにも唐突だったので、実の母子ではないものとして見るのが、正しい見方なのだとは思う。
知ってて語らないのは、人間関係に引け目があるエピソードが並んでいるので、知ってて知らないふりをしてるのが、心の重荷になっていると解釈できる。望まれた子ではないが母親の否定で、関係性の放棄。母親もそうであったであろうことが子を捨てた理由、とも推測できる。
過去話はモノローグでは語れないはずだが、盲腸-陣痛つながりで、苦しい時に見る悪夢のように、知ってることを元に空想を広げただけ(すべてが事実とは限らない)、と考えられなくもない。

芸人の起用について。パッと見、アニメとは関係ない売れない芸人の救済枠だが。心の重荷を解くきっかけとなるが二宮で、カモメやトカゲが喋るのがキクリンのアテレコなのが最後に明かされ、これらを向上委員会の腐れ芸人共が起用されているのを併せて考えると、顔を動かす=アテレコ=これらの芸人が芸人をやってる理由が同じで、説明しにくい設定を補完していると推察した。

気になったところでは、意味ありげなジオラマの光演出と小説の光云々であるが、わざわざあのオチにしたことを考えると、港=子宮、文字=記録=遺伝子で、実の子でなくても産まれることはできるという意味で、誰の元で暮らすか云わずともわかる返答にしたのではないか。

よくわからなかったのが病床での電話の相手を問い質すところ。実母をおくびにも出さないほど否認していた代案がお好み焼き男で、否認が解消されたからには、わかってて間違ったことを訊いたとも考えられたが、どうもそうは見えない。ただ…もしかするとだが、これはさんまがよくやっていた、相手に話させておいてお茶を口に含み、意外なことを言われたタイミングで吹き出して笑いを誘う、あれを盲腸でやったとは考えられまいか(この場合は痛いフリをして照れ隠しぐらいか)? 人間関係はあれでも肉子ちゃんにはガンガンいっていて、こう考えると、構成上の問題もかなりすっきりすると思うのだが。

というように、個別には理由が見つかったりするものの、あまり連動してないというか、エピソードもぶつ切りで、気を散らす要素が多く、全体的にはバラバラな印象。ごちゃごちゃやって、結局は説明になるのも印象が悪い。これを統合しうるものが、さんまにおいてしかなく、どこからさんまなのか、原作からさんまだったのかで、アニメとしての評価を変えざるを得ないのではないか。{/netabare}

投稿 : 2024/11/02
♥ : 2

二足歩行したくない さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

笑って、食べて、喧嘩して。

『海獣の子供』の渡辺歩監督作品。
原作は2011年に出版された西加奈子の同名小説で、とある北陸の漁港を舞台にした、母娘の日常が描かれたものとなってます。

制作会社は『えんとつ町のプペル』のSTUDIO4℃、"制作会社"とは別に、"製作会社"として謎に吉本興業が絡んでいます。
声優陣も宮迫博之などの芸能人が出張っており、製作として明石家さんまというビッグネームがある、アニメオタクはバックボーンだけで胸焼けしそうな布陣です。
鬼滅の刃でTVに目をつけられ、すっかり芸能界デビューしてしまった花江夏樹が主演の一人になってるあたりも、狙いすぎて滑ってる感じがしますね。
ストーリーテラーは小学生女子と言いつつも、メスガキ構文なぞまかり間違っても操りそうにない作画に、正直、見ようという気はあまり起きなかったのですが、並行視聴しているおにまいで頭がパーになってしまったので、少し時世の風を取り入れようと視聴してみました。

主人公の肉子ちゃんは、本名は「見須子菊子」といいます。
大阪の下町で生まれ、市内に登ってきて歓楽街で働いていたのですが、悪い男に騙されて稼いだお金を貢ぎ続け、男は去っていきます。
その後も、男に騙されながら町を転々と渡り歩く肉子ちゃんですが、ある日、事象小説家志望の男と出会います。
この小説家志望の男は、一応、本当に小説を書こうとしていたらしく、キクコは、この男の本がいっぱいの部屋は気に入っていたようです。
だが、彼も、一言書き置きを残して去っていってしまいます。
男を追って北陸の港に来た肉子とキクコは、そのままその町で暮らし始める、というストーリーです。

結論からいうと、想定以上におもしろかったです。
方言丸出しな、漁港のでかいおばちゃんとその娘の地元小学生、過去に色々あって流れ着いた地でうまくやっているように見えるけどバックボーンありきでストーリーを追うと、本当に「よくやってる」という気持ちになってきます。
時々自己主張する吉本に気が削がれるところはありましたが、肉子とキク子の物語だけは悪くない気持ちでした。

作画も無難に良いです。
新海誠作品のような、作画で圧倒させるような美術ではないのが逆に良かった気がします。
シナリオも、二人にとっては大事件かもしれないのですが、世界の滅亡や異世界アドベンチャーが巻き起こされるものではなく、比較的地味です。
なので、劇場で見る作品かというと微妙な感じがありますが、自宅で見る分にはとても楽しめました。
ただ、ラストで急にきれいなジャイアンみたいななのが出てくるのですが、そこだけは個人的にはダメでした。
普通にすればいいのに急にイケメンホストみたいになり、ギャグとしてはタイミングが酷いと感じたのは私だけでしょうか。

投稿 : 2024/11/02
♥ : 1
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