おとぎ話でファンタジーなおすすめアニメランキング 3

あにこれの全ユーザーがおすすめアニメのおとぎ話でファンタジーな成分を投票してランキングにしました!
ランキングはあにこれのすごいAIが自動で毎日更新!はたして2024年10月08日の時点で一番のおとぎ話でファンタジーなおすすめアニメは何なのでしょうか?
早速見ていきましょう!

73.2 1 おとぎ話でファンタジーなアニメランキング1位
猫の恩返し(アニメ映画)

2002年7月20日
★★★★☆ 3.7 (725)
5335人が棚に入れました
何となく日常を過ごす、ごく普通の女子高生・吉岡ハルは、ある日、車に轢かれそうになった猫を助ける。助けられた後、その猫は日本語で礼を述べ、二足歩行で歩き去る。実は、彼は猫の国の王子・ルーンだった。

次の日、猫の国から、王子の命を救ったお礼の品が届けられるが、猫じゃらし、マタタビ、ネズミといった、猫しか喜びそうのない代物ばかり。文句を言うハルに、それならば猫の国へご招待致しますと使者は答え、突然現れた猫の集団に、ハルは連れ去られてしまう…。

声優・キャラクター
池脇千鶴、袴田吉彦、渡辺哲、斎藤洋介、山田孝之、前田亜季、佐戸井けん太、濱田マリ、岡江久美子、佐藤仁美、丹波哲郎
ネタバレ

シェリー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.2

ハル。ねこに逢う。

お寝坊でドジな性格をした華の女子高校生ハル。
ある日友達のひろみと下校していると一匹の猫を見かける。
その子は細身の身体をしていて全身が紺色。
すらっと背筋がよく、まるで水面の上を歩いているかのように上品に、また堂々と街中を進んでいった。
まるでその町の住人のようにごく当たり前に。彼自身異邦人(猫)であることの自覚もないだろう。
その猫は赤いリボンにくるまれた小さな箱を咥えて歩を進めていった。。
ハルたちがそんな不思議な光景についつい目を奪われていると猫の方に動きがあった。
猫が道路を渡ろうとしていた。器用に左右を確認し足を踏み出す。
だが、車道の途中で運んでいたものを落としてしまった。それも何度咥えなおそうとしても上手く拾えない。
そんなこととは無関係にトラックがやってくる。(そういうときに限ってやってくる。それが不条理だ。)
最初はその子ならまた拾って華麗に去っていくと無根拠な信用を押し付け見ていたが、第六感の存在を示唆するかのように悪い予感はハルの肩をたたく。
そこからハルは夢中だった。
握っていたクロスを持ち替え、車に脇目も振らず車道へ飛び込み
猫をクロスの網の部分でキャッチし、その勢いのまま植え込みへダイブ!
なんとか猫を助けたもののクロスは折れてしまい、明日からの部活どうしようなどと慌てふためいていると猫が立っていた。
そう、人間と同じよう二本の脚で立っていた。そんでもってお辞儀されて、お礼の言葉まで話された。
ハルは「急いで」「お礼」「後で」など途切れ途切れに単語を拾いながらも理解に努めていたが
意識のほぼすべては現前の視界に映る「直立して話す猫」に吸い込まれていた。
そして猫は去って行った。

その出逢いが運命の歯車を動かす。

猫のお礼はあまりに過度なものだった。
それもそのはず。助けた猫は猫の国の王子様だったのだ。それもしまいには王の独断でハルを嫁に迎えるというのだ。
断ることができずにうろたえるハルの耳にひとつの声が届く。
「『猫の事務所』へ行って。商店街にムタという白い大きな猫がいるから彼が案内してくれるわ。」
その声はとても弱々しく今にも消え入りそうな声だった。案の定、すぐに消えてしまった。
誰にも頼ることのできなかったハルはせめてこの際稿でもと商店街へ向かう。
その猫はとても大きな肉まんのように白く、巨大だった。
目つきが悪く、無愛想で、非協力的で、人が初対面に感じる嫌な空気をその体に押し込めたような奴だった。
何も言わずその猫は「猫の事務所」まで先導してくれた。
しかし、彼が進む先にコンクリートで舗装された道はなかった。
家々の隙間や、屋根をつたって向かうべきところへ向かう。
まるでみんなが知っている街の、誰もが知らない秘密の場所を駆けているようだった。
事実そうだった。ハルは必死に彼を追いかけた。導かれるままに向かったさきには彼がいた。
そうバロンだ。彼ならなんとかしてくれるはずだと期待を胸に。


ひょんなことから不思議な猫たちによってファンタジーに引き込まれてしまう少女ハルのお話。
内容はちょっぴり退屈しちゃうくらいの単純なものでした。
「冒険」に差し掛かる前のドキドキ感はたくさんありました。声を聞いたり、屋根をつたって走ったり、連れ去られたり。
その中でも僕はムタを追いかけていくシーンはとても好きです。
すごくドキドキします。「どこへ行くんだろう。この先に何があるんだろう!」って。
でもそこまででした。「向こう」に行ってからは気を引くようなものはありませんでした。
特別に細かく描かれることもともなく、大雑把な展開で煽って終わりました。
一言で言うならば未熟です。(すみません。偉そうに。)目的ばかりに目が行っていてちゃんと描けていない。
だから一辺倒で味気ないのです。違う角度から見ようにも平面であってはそいつはちと厳しい。

でもハルにはとても好感が持てました。
素直で良い子です。なんとなくですが、堅実な幸せを掴みそうな子ですね。
{netabare} 小学校の頃に観た、バロンがお姫様抱っこでハルを抱えていく途中に、赤くなる彼女の顔が妙に残っています。
どうしてだろう。おそらくは当時の僕にとってこういう恋の仕方が新鮮だったのかもしれません。
ここのシーンが好きで何度も観ていました。今でもそうかな。{/netabare}

好きなシーンと言えば、
ハルが猫の事務所の前に立ったときにカメラがぐるーっとハルの周りを回るシーンです。
広場を囲む周りの建物の窓に夕日が反射してとっても綺麗です。

他にも作画のタッチって言うのかな。あんまりジブリの踏襲を受けなかったところに意気込みみたいなものを感じます。
この映画はストーリーに未熟な点もありますが良いところはとても印象に残る作品でした。

投稿 : 2024/10/05
♥ : 16

nyaro さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

子供向けの童話であってもちゃんと作れば大人でも楽しめます。

 こういう童話のような作品って日本のアニメでありましたっけ?ちょっと珍しいですよね?ハイジ、フランダースの犬とかの子供向けを意図した名作劇場ですら、もっとシリアスです。
 日本むかし話とかアンデルセン物語とかそういう感じでしょうか?長靴をはいた猫?ユニコ?銀河鉄道の夜?ビッケ?カリメロ?ちょっと古すぎてどういう作品があるか拾い切れません。そうそうモグタンとか言う変わった作品もありました。

 ジブリでいえばラピュタとかトトロが子供向けですが、本作は更にその上を行く完全なファンタジーの話になっています。耳をすませばと関連がありそうです。以前見ていたと思いますが、若い頃だったのでそんなに味わえなかった気がします。今見るとファンタージ―感と言うか作品のチューニングがものすごく新鮮でした。

 本作のような子供向けを意図しつつちゃんと作った作品は、大人が見ても面白いものです。なぜかと言えば物語性と世界観がちゃんとあるからです。それが冒険心・ファンタジー心をくすぐります。つまりちゃんと童心に帰れます。

 話そのものが面白いわけではないですが、ファンタジー世界の描き方や音楽などとあわせて、作品として面白いと思います。そして、普通の子が何かを助けることで冒険が始まるという子供が成長期に読むべき内容になっています。

 私は子供は同じ世界観の中で停滞するような作品はあまり見せるべきではないと思っています。同じキャラ、同じ世界観の話ばかりになると、冒険心が失われているような気がします。

 子供向けはドラえもんとかコナン、しんちゃん、ワンピ、プリキュアなどのシリーズ作品ばかりで、特に映画においてですが物語性が失われてしまっている気がします。
 TV作品とは切り離して劇場版で考えていいと思いますが、作品が完全にキャラ頼りです。正直少しの例外以外はまったく面白くありません。こういうキャラものはTV作品があるので変化が出来ない閉鎖空間の閉鎖した人間関係の話にならざるを得ないです。だからゲストキャラが必要になって作品の焦点がそのゲストになります。
 大声で騒いで音楽ガンガンかけて、キャラを動き回らせて、ピンチになって助かってよかったね、とそういう作品ばかりになってます。

 童話心がある子供のための作品。映画も夕方からゴールデンに見るアニメが壊滅中です。民放が苦しいならNHKとか視聴率どうでもいいから作るのが役割じゃないの?と思ったりもします。(それとも私が見てないでけでちゃんとあるならごめんなさい。でも、おじゃる丸とか忍太郎とか、やっぱり閉鎖した関係性のシリーズ頼りな気がします)

 なお、音楽はつじあやのさんという方で、舞妓さんちのまかないさんと同じ人でしたね。曲を聞いたら一発でわかりました。この人の曲はホッとできてとてもいいです。

 出来が最高にいいかと言われると首をかしげますが、一つの童話的なアニメ作品としてはかなり高い水準…というか比較対象がない珍しい作品ではないでしょうか。

投稿 : 2024/10/05
♥ : 10
ネタバレ

剣道部 さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0

晴れた休日の、午後3時頃に観たい映画

[文量→中盛り・内容→雑談系]

【総括】
ジブリ作品の中では異色とされる本作品。監督は森田宏幸さん。一応、同じくジブリで映画化された「耳をすませば」の月島雫が書いた物語という設定はあるものの、ストーリー的にはほとんど関係ないので、「耳をすませば」を観ていなくても全く問題ないです。

レビュータイトルですが、これ多分、音楽が大きいです。ウクレレの爽やかな音色と透明感ある力の抜けた歌声が魅力の、つじあやのさんの「風になる」は本当に名曲。自分の中では、(曲調は全然違いますが)ゆずの「夏色」と重なっていて、どこまでも突き抜けた青空と白い雲をイメージさせます。

春か、夏。晴れた休日の午後3時。午前中に掃除を終え、軽めのお昼御飯を食べ、フッと一息つきたい時。麦茶でも飲みながら観るのに適したジブリ映画だと、超超個人的には思ってます(笑)

【視聴終了(レビュー)】
{netabare}
感想としては、「映画ドラえもん」っぽいな~という感じ。

ジブリの、というか宮崎駿さんのファンタジーの特色のひとつに、「様々な伝記や原作をモチーフにしなかがらも、世界観ごとまるごと作っている感」があると思っています。それが、今作にはあまり見られません(なんかこう、アリモンの概念をいくつか組み合わせた感じというか)。

料理でいうと、宮崎駿さんのは創作料理って感じがするけど、この作品は、タコライスとかオムソバとか、そういう感じです(だから悪いってわけじゃなく)。

「映画ドラえもん」っぽいというのは、主人公がひょんなきっかけから不思議の世界に迷いこみ、そこで大冒険をするってのが、近いかなと。バロンも、ドラえもんっぽいっちゃぽい(笑)

この作品、確か高校生の時にリアルタイムで映画館で観た気がします(ちなみに、ウチの地元はド田舎なので、常設の映画館はなく、年に数回、公民館などに映画館が来るシステムでしたw いや、高校は少し都会だったから、映画館ありましたけどw)。観終わった後は、なんかスッキリした爽やかな印象でした。逆に、同時期の「千と千尋の神隠し」や、少し前の「もののけ姫」などのような、視聴後も胸に「ず~ん」と何かが残っている感はなかったですね。

良い意味でも悪い意味でも、子供向けでシンプルで分かりやすい! それが本作の特徴かと。
{/netabare}

投稿 : 2024/10/05
♥ : 24

66.3 2 おとぎ話でファンタジーなアニメランキング2位
ダンス イン ザ ヴァンパイアバンド(TVアニメ動画)

2010年冬アニメ
★★★★☆ 3.5 (491)
3172人が棚に入れました
高校生・鏑木アキラには、幼い頃に交わした約束がある。彼の正体は狼男であり、その約束とは夜の眷属の王・ヴァンパイアの女王に仕えるというもの。そしてアキラの前に今、昔と変わらぬ姿の少女が現れる。彼女こそヴァンパイアの女王・ミナ・ツェペッシュだった。
日本に現れた彼女の目的は、ヴァンパイア達の専用居住区、ヴァンパイアバンドを設立する事。戸惑う人間達、そして、彼女を快く思わないヴァンパイアの勢力はミナの命を狙う。アキラは幼い頃の約束を守り、人狼の騎士として彼女を守ることになる。

声優・キャラクター
悠木碧、中村悠一、斎藤千和、甲斐田裕子、伊藤静、小林ゆう、喜多村英梨、渡辺明乃、谷井あすか、中田譲治

Ka-ZZ(★) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9

幼い頃に交わした誓約に基づき、自ら従僕となることを望んだ少年とヴァンパイアの女王との恋の物語…

この作品の原作は未読です。
私がアニメの視聴を本格的に始めたのが2012年ですが、最初の頃に視聴した作品です。
そしてアニメにドップリ漬かる道に舵を切ることとなった作品の一画となっています。
当時、そのくらい影響を受けた作品でしたが、今考えると監督が新房さんで、アニメーション制作がシャフトさんだったら、相応の衝撃を受けてもおかしくないと思います。

dアニメストアで「おおかみかくし」の視聴後、次にお勧めの作品という感じで3作ほどピックアップされた中に本作品を見つけ、懐かしさも相まって視聴することにしました。


普通の高校生活を送っていた鏑木アキラ。
しかし彼には幼い頃に交わした誓約があった。
それは夜の眷属の王・ヴァンパイアの女王に仕えるといういうもの。

あるときアキラの前に一人の少女が現れる。
その少女こそが古の契約の王女、ヴァンパイアを統べる
孤高の女王にして夜の闇に君臨する少女ミナ・ツェペッシュだった。

日本に来た彼女の目的は、
ヴァンパイア専用居住区=ヴァンパイアバンドを設立する事…。
空想と思われたヴァンパイアの出現と、日本における特区の建国。

戸惑う人々はヴァンパイアと共存すべきか否かを模索し、
そして対立するヴァンパイア勢力は、
女王の座を降ろさんとミナの命を狙う…。


TOKYO MXのイントロダクションを引用させて頂きました。
この作品が放送されたのは2010年の冬なので、もう10年以上前になります。
先日視聴した「おおかみかくし」でも思いましたが、10年経っても残っているモノなんですね。

視聴したのは8年ほど前になるので、内容はほぼ朧気にしか覚えていません。
また、その頃は声優さんにも疎かったので、本当に右も左も分からない状況でした。

物語は、真祖の血脈を受け継ぐヴァンパイアの女王であるミナ姫と、幼い頃にミナ姫と出会い、彼女の傍にいることを約束した人狼の少年アキラが、お互いの絆を深めていく一方、ミナ姫の目的であるヴァンパイアバンドの設立を巡る攻防、そして、真祖を巡る血の陰謀など、内容は盛りだくさんです。

今回改めて視聴して思ったのは、一応アニメの展開上は終わりを迎えましたが、それが物語の終わりでは無かったということ…
それにメッチャ大きな謎を残して終わってるじゃありませんか!
原作はいずれも完結しているようです。
伏線が殆ど回収されていないので続きが気になって仕方ありません。

これまで、原作の完結から相応の時間を経てアニメ化されている作品が幾つかあります。
「フルーツバスケット」や、「うしおととら」などが該当すると思います。
どちらもしっかり腰を据えて制作された作品だと思います。
原作の販促目的のアニメと合わせて、原作が完結している作品も是非検討の遡上に挙げて欲しいところです。

オープニングテーマは、中野愛子さんの「フレンズ」
エンディングテーマは、hibikuさんの「爪痕」
最終話はオープニングとエンディングが入れ替わっていました。
記憶に残っていたモノの一つがレベッカの楽曲をカバーしたオープニングです。
レベッカとかムッチャ懐かしいんですけど^^

1クール全12話の物語でした。
今回視聴して一つだけ思ったことがあります。
主人公であるミナ姫の声優は碧ちゃんですが、本作品の第9話のタイトルが「ワルプルギスの夜」なんです。
この頃から碧ちゃんと「ワルプルギスの夜」って切っても切れない関係だったんですね^^;
しっかり堪能させて頂きました!

投稿 : 2024/10/05
♥ : 10
ネタバレ

Witch さんの感想・評価

★★★★★ 4.5

一族の長の苦悩、計算された(?)金髪幼女設定

【レビューNo.14】(初回登録:2023/1/5)
コミック原作で2010年作品。全12話。
YOUTOUBEで「1話で騙される超展開アニメ」で紹介されていたので視聴。
シャフト制作。

(ストーリー)
主人公は金髪幼女のヴァンパイアの女王「ミナ」。
物語の格子は下記の通りですかね。
{netabare}・「ヴァンパイアバンド」建国
 「人間とヴァンパイアの共存」を実現するため、ミナはヴァンパイア
 の女王として、ヴァンパイアが安心して暮らせる世界「ヴァンパイア
 バンド」を東京湾の人工島に建国することに邁進します。
 そこには日本政府との政治的な駆け引きだったり、また因縁の「真祖」
 と呼ばれる三支族との権力闘争といった要素が加わって・・・
 彼女は時に非情な決断を迫られることになります。
・人狼・アキラとの愛と絆の物語
 記憶を失って普通の高校生活を送っていたアキラですが、過去にミナとの
 盟約(永遠に女王に仕える)を交わしていた。その記憶を取り戻した今、
 二人の絆の物語が動き出す。
 作中では恋愛描写的な感じが多いですが、実際はそれよりも大きな愛・
 絆的なもののような?
・バトルアクション&ホラー
 異能の力を持つヴァンパイアや人狼たちのダイナミックなバトルシーンも
 この作品の見どころとなります。
 あとヴァンパイアが人を襲っていくホラー要素もぶっ込まれているかな。{/netabare}

(評 価)
{netabare}ストーリーを見たらわかるように、1クールの中に結構いろいろ詰め込んで
いるのでちょっと苦しいかなって感じる部分はありますね。
特に三支族の話は、ヴァンパイアの女王であっても彼らの後ろ盾がないと
その権威を保つことができないらしいのですが、非常に分かりにくいです。
そういう意味でもシャフト独特の演出を入れつつ、上述要素のバランスを
保ちつつよく1クールでまとめたなと感心します。

個人的にこのアニメの一番の見どころは
「ヴァンパイアの女王「ミナ」の抱える苦悩や葛藤~心の強さと弱さ」
それを見事に魅せてくれた悠木碧の快演だと思います。

一族の長として彼女には皆を守るという重責があり、また理想実現のため
に清濁併せ呑み、時に非情な決断を下さねばならない場面もあります。
彼女は常に強くあらねばならないのです。でもその反面本当は誰かに
支えて欲しい、特にアキラにはずっとそばにいて欲しい、そして汚れた
自分を本当はアキラに見られたくないという心の弱さも併せ持っています。

それを効果的に魅せるのが「金髪幼女」設定なのです!
(まあ本当は400歳位らしいのだが)あの幼い容姿で凛として振舞うから
そのギャップで彼女の強さが引き立つのであり、またその幼さは彼女自身
の弱さの象徴でもあるともいえます。
正直最初は金髪幼女設定にあざとさを感じていたのですが、悠木碧の演技
を観るにつれ腑に落ちました。
まあ本当に原作者にそういう意図があったのか知らんけどw
(あと種族的な設定で子供を産まねばならないらしいが、体が成長して
 いないから産むことができないという口実に使ってる部分もあるらしい){/netabare}

上述の通りいろいろな要素を詰め込んでいるため、人によっては捉えた方
が違ったり、途中から「なんか思ってたのと違う」と感じる人もいるかと
思います。それでも個人的には高評価で観てほしい作品ですね。
あと「1話で騙される超展開」については、作品を見てのお楽しみ(笑)

投稿 : 2024/10/05
♥ : 2

らしたー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.3

「租界をつくるのじゃ!」「そうかい」

まあ、指導者ミナ・ツェペッシュを眺めるお話でしょうね。

OPの「フレンズ」だけは納得できなかったなあ。
カラオケで必ず歌うやつがいるから、こんなとこでまで聴きたくねー。
さすがにそこは1曲作ろうや。作品内容とあってるとも思えないし。

内容的には、吸血鬼が日本の埋立地に血族の租界(ヴァンパイアバンド)を作るというお話。
要素としては[微エロ、一人称ワラワなロリ、人外、アクション]あたり。
2話の時点でいろいろ、このご時勢アウトくさい描写が出てきて、これどーなのよと。
全体的には、まあわりと無難な感じになってはいたが。
ときどきあるアクションシーンはいいアクセントになっていたように思う。

興味深いのは、おとぎ話の存在であったヴァンパイアが、
突如表立って人間社会に存在と主張を展開する、そのやり方でしょう。
けして暴力一辺倒で破壊と混乱を招くのではなく、
表面上は交渉可能な相手を装いつつ、資本主義国家の首根っこを押えてくるなど、
硬軟織り混ぜてよく考えてるなあと。
たぶん、あれをやられるのが一番効果的で、怖い。

『シャングリ・ラ』の感想で、アニメの組織描写について与太話をしましたが
本作におけるヴァンパイア組織の描写はそこそこ洗練されたものを感じました。
血を吸うだけがヴァンパイアではない、と。
そこの意識の高さは個人的に高く評価したい。

各話の脚本はそれなりに出来が良く、それとはべつに、
主要人物の設定含め、コアな部分を視聴者に握らせないまま
ズルズルと話を引っ張っていく構成が、なかなかお上手で。
あらゆる物事が、核心を残して周辺部分だけ埋まっていくので、
意外と途中でドロップアウトできない感じ。

なんだけど。
すごく「コントロールされたシナリオ展開」という印象を受ける反面、
キリキリと物語のテンションをあげていく、
燃え上がる感じが今一歩足りてないのではなかろうかと。
明らかに終盤の加速感が足りない気がするのよね。

マクロスFやギルティクラウンの吉野氏が、シリーズ構成を務めつつ、
自身が直接、各話の脚本の8割がたを手がけている模様。

どうにも評判は芳しくないようですが、なかなか端正な仕上がりの佳作かなと。


●どえらく評判の悪い第1話について

なかなか面白い切り口で世界設定の提示と今後の期待感を織り込んでおり、
むしろ良く出来た第1話と思っている。
スタートダッシュにおいてどれだけ「基本的なもの」を
広く浅くタッチできているだけを、自分は見ちゃったりするので。

基本的なものってのは、たとえば
舞台となる社会の価値観や成熟度であったり、独自設定の枠組であったり、
あるいは作品の通俗性の度合いであったり。そのへんのことで。
2話目以降にガツンと走っちゃっても視聴者を置いてけぼりにしない仕込みが
ちゃんとできているかだけを考えてしまう。

で、悪いクセなのか、それらをけっこう項目ベースで評価してしまう。
いざ絵と声が乗ってアニメーションとなった際に
アニメ好きな人の目にどう映るのだろうとか、あんまり想像できない。
根本的に自分はアニメってものに対する情熱やこだわりが足りないんだろうなと。
ほんと、いろいろ勉強になります。

ていうか、この第1話、アリだと思う人は、
けっこう自分と似たスタンスでアニメに接してる方なのかもしれない。

投稿 : 2024/10/05
♥ : 6

計測不能 3 おとぎ話でファンタジーなアニメランキング3位
ガリバーの宇宙旅行(アニメ映画)

1965年3月20日
★★★★☆ 3.6 (4)
19人が棚に入れました
 東映動画が手がけた初のSF長編アニメーションだが、内容的にはファンタジー仕立ての作品。極端に抽象化されたロボットなど、幻想的で独特な雰囲気に仕上がっている。主人公テッド少年の声と挿入歌を当時の人気歌手“坂本九”が担当。森に迷い込んだ少年テッドは偶然、そこに住む年老いた冒険家ガリバーに出会い、宇宙の彼方にある青い希望の星を目指して宇宙旅行に出かけることになる。困難の末、青い星まであともう少しというところで、一行はひとつ手前の紫の星に強制着陸させられてしまう。ロボットのような奇妙ないでたちの紫の星の住人たち。彼らが言うには“青い星”はロボットたちに占領され、自分たちはこの星に逃げてきたというのだ。その後、青い星のロボットが攻めてきて、紫の星の王女をさらっていってしまう。テッドとガリバーは力を合わせ、ロボットに立ち向かうのだが…。

声優・キャラクター
坂本九、本間千代子、宮口精二、堀絢子

AXIOM25 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5

子供向けまんが映画の中の胎動

昔の東映劇場アニメで、わんぱく王子の大蛇退治に次いで好きな作品です。

物語は主人公の少年テッドたちが、冒険家ガリバーの作った宇宙船で旅をするSFファンタジー。
おとぎ話的な前半から後半はSF度が高まりますが、全体的にはシンプルな子供向けのストーリーと言えます。
しかしそんな中でも青い星でお姫様が目覚めるラストシーンは、ハッとするものがありました。
これは当時まだ新人のアニメーターだった宮崎駿さんのアイデアで、当初の予定より変更がなされたそうです。このシーンのおかげで物語に深みが出ているように感じるのは、さすがと言うべきでしょうね。

作画で特筆すべきは紫の星でのキャラクターや背景のデザインです。とてもポップでシュール、かわいいけどちょっと不気味。シンプルな線と淡い色で構成されていてオシャレな感じすらします。
それと歌に合わせてお互いの星を紹介するシーンはNHK教育なんかで流れそうな印象ですが、今現在の目で見ると斬新な感じがしました。

正直、特に前半は退屈な部分もあったり、動物たちや兵隊人形のキャラは余りにもおとぎ話ちっくできついものがあります。しかし宇宙に出てからの展開はとても不思議な魅力があり、全体の点数としては高く付けられませんが大好きな作品です。

また宮崎駿さんのごく初期の仕事としてジブリファンの方にも一見の価値ありだと思います。
最後まで見れば後の宮崎監督作品に繋がる部分がなんとなくではありますが見えてくる気がします。

投稿 : 2024/10/05
♥ : 2
ページの先頭へ