おじさんでギタリストなおすすめアニメランキング 1

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60.9 1 おじさんでギタリストなアニメランキング1位
課長王子(TVアニメ動画)

1999年夏アニメ
★★★★☆ 3.3 (32)
152人が棚に入れました
課長王子は、AIC制作の日本のTVアニメ。1999年にWOWOWにて放送。主人公の田中王児は、しがないサラリーマン。社宅に住まい、通勤ラッシュにも まれる毎日だ。今の彼がかつて人気のハードロックバンド、ブラック・ヘブンの ギタリスト、ガブリエル・田中だったと気付く人はいない。グルーピーだった妻でさえ、大切に残しておいた最後のギターフライングVを粗大ゴミとして 捨ててしまう始末である。そんなある日、王児の前に現われた謎の美女、派遣社 員のレイラ。彼女は王児に『ガブ・・・』とささやきかける。驚く王児がレイラ に誘われて行った場所には、捨てられたはずのフライングVがあった!なぜレイ ラが王児の過去を知ってるのか?どうして王児に近づいたのか?そして、王児に 何が起こるのか…。

声優・キャラクター
石井康嗣、山田美穂、荒木香恵、愛河里花子、川澄綾子、柳原みわ、榎本温子、中田譲治、深見梨加

maruo さんの感想・評価

★★★★☆ 3.3

語り尽くせぬ想いがここにある B+

このレビューはハードロック、ヘビーメタルの人名、バンド名等が多数出てきており、疎い方にとっては非常に読みづらいものとなっておりますので、予めご了承ください。
また、この文章中、次の略語を使用しております。
ハードロック→HR ヘビーメタル→HM

<予備知識:マイケル・シェンカーとは?>
今程「神」という言葉が容易く使われなかった時代の話です。
数多くのギターフリークから「神」と崇められたギタリストがいました。
彼の名はマイケル・シェンカー。
スコーピオンズ(ドイツを代表するHRバンド)、UFO(イギリスのHRバンド)を経て、自らのバンドであるマイケル・シェンカー・グループを結成し、1980年代のロック界を席巻しました。
とりわけ日本にはファンが多いようです。
そのマイケル・シェンカーが使っていたのが、ギブソン・フライングVというギターです。
文字通り、V字型のボディ形状が印象的なギターで、日本人にも愛用者が多数います。

<あらすじ>
この作品の主人公・田中王児も、そんなマイケル・シェンカー・フリークの一人です。
かつては、人気ロックバンド「ブラック・ヘブン」のギタリスト、「ガブリエル田中」として名を馳せていました。
しかし、現在の彼は、しがないサラリーマンで、かつてグルーピー(※)だった妻でさえも、彼の大事なギターを粗大ごみの日に出してしまう始末です。
(※熱烈的な女性ファンの意味。多分、日本では死語でしょうねぇ。)
そんな彼の前に現れたのが、美人秘書のレイラです。
彼女に誘われ住宅展示場の住宅のトイレに入るとそこに階段があり、上っていくと彼の目の前に、妻に捨てられたはずのフライングVがありました。
実は、この美人秘書レイラは、悪の宇宙人軍団と戦いを繰り広げている正義軍の少佐で、王児は宇宙戦争へと巻き込まれていくのでした・・・というのが大まかなストーリーです。

<SFとして?>
何にせよ、この物語は設定からしてぶっ飛んでいます。
主人公は戦闘機やロボットに乗って戦うのではありません。
彼のギターサウンドが、なぜか正義軍の攻撃力を上げ、防御力を高め、そして、よく分からん戦闘描写の末に勝利します。
何故音楽がそのように作用するのかさっぱり分からない上に、そもそも戦っている敵が謎に包まれていて全く分かりません。
突っ込んだ方が負け、と言わんばかりの内容なので、SFをメインとして見るには非常に無理があると言わざるを得ません。

<音楽ものとして?>
そうすると音楽ものとして見るべきでしょうか。
OPにはジョン・サイクス(元ホワイト・スネイクのギタリスト)の曲が使われていて、この手の音楽が好きな人にとっては非常に心地よいのですが、HRに慣れていない人はまずここで驚く(人によっては拒絶反応が出る)と思います(笑)。
挿入歌として先に挙げたマイケル・シェンカーの曲も使われています。
しかも、主人公はギターを弾くのにピック(弦をはじくための用具)ではなく10円玉を使います。
これは、ブライアン・メイ(全世界で人気を誇るイギリスのバンド、クイーンのギタリスト)が、硬貨を使ってギターを弾くのを真似たものです。
等々、ロック好きにはたまらない音楽、設定が随所にあります。
逆説的な表現ですが、個人的にはもっと派手な方がちょうどよかったレベルなので、HRに馴染みのない人でも多少の興味さえあれば何とか大丈夫だと思います。
HRはちょっと・・・という人には余りお勧めしません。

<しかるに核心は>
しかしながらこの作品の一番の見所は、しがない中年のオッサンが、嫁に愛想をつかされてでもかつての自分を取り戻そうと、悪戦苦闘するところではないかと思います。
勿論、レイラに乞われて宇宙戦争で活躍するという大義名分はあるのですが、そこには一度は諦めたけれども捨て切れなかった夢があります。
ジャンルは違っても好きなことは誰でも持っていると思いますし、家庭を持つにあたってある程度それらを犠牲にせざるを得なかった人も多いと思いますので、この辺りは中年の視聴者からは共感が得られるのではないかと思います。
中盤以降は主人公だけでなく、主人公のかつてのバンド仲間も登場します。
勿論、皆中年のオッサンで、ビジュアル的にはアニメに登場させるのをはばかるような外観ばかりなのですが、格好良さっていうのはこういうところからも滲み出てくるんですよね。
以前、飲み屋で、60歳近くと思われる和服の店主が、アコースティックギターを弾いてくれたのがとても格好よかったのを思い出しました。

<時代背景とのリンク>
この作品が放送されたのは1999年です。
90年代といえば、ニルヴァーナ(1991年のネバーマインドというアルバムが有名)の登場により、世界的にオルタナティブ、グランジのブームが起きた時代です。
これにより、80年代のHR/HMが壊滅的な打撃を受けました。
主人公の子供の年齢(5,6歳くらい)から推察するに、主人公が家庭を持ちバンド活動から離れたのはちょうどこの時期と一致しています。
そんなオルタナ、グランジブームは90年代後半に終焉を迎えます。
主人公がかつての自分を取り戻そうとするのと、HR/HMの復権の動きとがちょうどリンクしています。
単なる時代遅れのオジサンのノスタルジーというだけではなく、こうした時代背景を踏まえて作られた作品なのだと思います。
オルタナの定義など音楽考証については非常に難しいものがあるので、キツイ突っ込みはご容赦くださいww

<総評>
シリアスな内容なのかと思いきや、ボケ担当のキャラも登場して、多少のギャグを交えて話が進行していきますので、音楽以外にも見所はあります(ただし、ギャグに過剰な期待はしないで下さい)。
総合的に見ると、若い人にとっては共感できる部分が少ないと思われるので、積極的にお勧めはしません。
30歳以上で自分は中年であるという自覚がある、又は、HRに多少なりとも興味がある、というのが視聴の条件だと思います。
私個人の評価としては、音楽面ではもっとガンガンやって欲しかったというのが印象でしたし、結婚によって諦めた趣味もないため主人公にさほど感情移入しなかったので、今ひとつ物足りなさが残った作品でした。


<以下余談>音楽好きの人だけ読んでください。
ちなみに、課長王子外伝というコミックでは、敵の名前が「ジューダイス・プリースト」(HMバンド、ジューダス・プリーストのパクリ)となっているそうです。
ジューダス・プリーストは、メタル・ゴッドとまで言われる程のバンドです(また「神」が出てきてしまいました。昔も結構安っぽい言葉だったのですね)。
このバンドには、曲を聴いた子供が自殺したのは曲中のサブリミナルメッセージが原因だ、などというとんでもない言いがかり裁判を起こされたという逸話があります(勿論、無罪となりました)。
このバンドのスタイルとして、レザーファッションに身を包み、スキンヘッドのヴォーカルが脅威のハイトーンを張り上げ、ライブのラストではハーレーダビッドソンで登場してくるのですが、そんなのが敵だとは、むむむ・・・手ごわそうです。
さらにちなみに、私が最初にHMを聞いたのがこのジューダス・プリーストで、きっかけはタモリ倶楽部の「空耳アワー」で聞いて格好良かったから、という何ともいい加減な理由でしたww

<余談2> 以下、この作品とは直接関係はありません。音楽好きの方だけ読んでください。
私自身は、マイケル・シェンカーについては余り詳しくないですし、余り思い入れもありません(アルバムを2、3枚聞いたことがあるだけ)。
HRではゲイリー・ムーア、デフ・レパード、ディープ・パープル、ボン・ジョヴィなど、HMではジューダス・プリースト、ハロウィン、TNT、プリティ・メイズ、スキャナー、レーサーXなどを良く聴いておりました。(ただし、HRとHMは明確に区分できるわけでもないので、仕分けには多分に感覚的なものも含まれています)
これらのアーティストは多かれ少なかれ、オルタナ、グランジブームで打撃を受けています。
オルタナは当初定義自体が非常に曖昧なもので、何でもかんでもオルタナのラベルが貼られていた時期があり、何度かクソみたいなアルバムを掴まされたことがあります。
なので、正直、オルタナには良いイメージがありません。
しかし、ブームが去ってからニルヴァーナのネバーマインドを聞いてみて(勿論、カート・コバーンが死んだずっと後です)、こんなに良いものだったのかと正直驚いた記憶があります。
ですから、単なるブームに後押しされて、明らかに質の低いものまでオルタナとしてひと括りにされていたというのは弊害だったと思います。
まあ、一方のHR/HMも玉石混交で、特に80年代のアメリカHRやLAメタルなんかは、ミュージッククリップにグラマーな姉ちゃんが出て来るのくらいしか特徴がないものが多く、それらがチャートの上位を賑わせていたというのも事実です。
どちらもおかしな面があったのですから、良い部分だけでも持ち寄って、オルタナ、グランジとHR/HMが共存できなかったのだろうかという思いがあります。
そうしたら、私も余り色眼鏡でものを見ずに、もっといろいろな音楽を聴けたのではないかと思っています。
ちなみに私は、HR/HM「が」好きというわけではく、HR/HM「も」好きなんです。
微妙な違いのようですが、案外これって大きいのです。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 12

おみや さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0

M.S.G フライングV はい!これでピンときた方にはオススメです。

この作品は昔ハードロックにハマっていたオヤジ専用です。
(マニアックですねぇ)

OPはなんとジョンサイクスってえらい金かけてますよね。
(私はWhite Snake , Blue Murder 聴いてたもので。)

ストーリーは、昔一発当てながらも今は家庭のため
サラリーマンをしているバンドのギタリストが主人公です。

ある日、異世界戦争を続けている片方から使者が来て
(レイラさん、ちょーきれい!)あんたのギターでうちの国
を救ってちょーだい、というとんでもないお願いをされます
最初はとまどっていたものの、自分のギタープレイが
その国の武器に連動してとてつもない成果をあげることに
よってだんだん本気になっていきます。
後半は自分の力だけでは応戦できず、元メンバーに助けを
求めますが、、、、、さあどうなるでしょう?

奥さん、子供とのからみもあり(特に奥さんとは色々衝突
しながらも、、、、)

再度書きますが、これほどターゲット絞る作品もめずらしい
のでは。

でも、こうやってハマったわたしもいますしね、、。
とにかく80年代ロックキッズにはオススメします。
(内容的にはシリアス7、笑い3ってとこです。)

投稿 : 2024/12/21
♥ : 12

ソーカー さんの感想・評価

★★★★★ 4.3

中年オヤジが輝きを取り戻す熱きロックなヒューマンドラマ

主人公は伝説のハードロックバンド「ブラックヘヴン」の元ギタリストの田中王児
冴えない中年サラリーマンとして鬱屈した日々を送っていた主人公の元に謎の美女が現れて・・・
宇宙の危機を救うためにギターをかき鳴らすコメディでもありヒューマンドラマでもあります。

まんま「マクロス7」なのですが、私は本作の方が好き。かっちょいいし面白い。
敵とか兵器とかもよく分からない、適当な設定はノリでカバーしています(笑)
実際宇宙の戦いはどうでも良くて、中年サラリーマンが若き頃の輝きを取り戻すハートフルなドラマ。
最初はゆるゆるのコメディですが、壁にぶち当たり燃える熱きドラマへと変貌を遂げます。
家族にも理解されず、世間からは白い目で見られ、自らの音楽性を否定されながらも
住宅展示場のトイレから宇宙を救うヒーローに・・・・。

終始テンポも良くギャグもかなり面白いんですけどね、多分オヤジにしか受けない(笑)
ご都合主義満載ですがヒューマンドラマとしての魅力も光るものが十分あると思います。
まぁとにかく本作に出てくるオヤジ達は格好良すぎるんです。細かい事は考えずノリで見るべし。
ロック好きな人、オヤジな人、オヤジ萌えな人(?)には是非見てもらいたいです。
ロックはよく知らないですが、OPから挿入曲から何から何までは格好良すぎです。
終盤はアドレナリン大噴出で大変な事になります。

投稿 : 2024/12/21
♥ : 16
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