三崎鳴 さんの感想・評価
4.4
物語 : 5.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
愛する者よ、死に候え
山田風太郎作小説『甲賀忍法帖』のコミカライズ版を原作としたアニメーション作品。
甲賀卍谷と伊賀鍔隠れに潜む一族は、ともに服部半蔵に率いられる忍者群同士でありながら、源平の昔より数百年、互いに憎悪を抱く不倶戴天の敵同士でもあった。服部の統制下、両門争闘の禁制によりかろうじて和平を保っていた。そのような中、甲賀組の首領甲賀弾正の孫弦之介と伊賀組の頭目お幻の孫娘朧は恋仲にあり、両家の縁組がすめば長きに亘った甲賀と伊賀の確執も解けるかと思われた。そんな事情を知ってか知らずか、慶長19年4月末両首領を駿府城に呼び出した徳川家康と半蔵(二代目)が甲賀・伊賀の忍びに与えた使命は実に戦慄すべきものであった――(wikipediaより引用)
原作小説の連載は1958年からであり、現在「バトル物」として確立している漫画やアニメジャンルの始祖ともいえる傑作。伊賀忍と甲賀忍それぞれの10人衆が生き残りを賭けて争う団体戦形式であるが、感覚的にはバトルロワイアル形式に近い。知力謀略戦術、そして忍法を駆使して戦うが忍術といってもイメージ的にはもはや超能力といえる。忍者であるが故に戦術は邪道極まりなく、奇襲変幻人質騙まし討ちなど何でも行い、各々の死に方もかなりえげつない。悪を背負って戦っているという点ではダークヒーローものと捉えることも出来るか。登場人物は多いが個々のキャラが立っており、人物描写はかなり丁寧。映像作品としての側面は、良い動きのアクションシーンと濃いキャラデザインが特徴か。陰鬱極まりない作風だが、結末の畳み方はかなり綺麗で、評価を格段と上げざるを得ない。人気作品『ジョジョ』『コードギアス』等のルーツとも取れる要素を秘めており、漫画/アニメファンとしては見ない手はないだろう、必見の作品のうちの一つである。