退会済のユーザー さんの感想・評価
3.0
物語 : 3.0
作画 : 3.0
声優 : 3.0
音楽 : 4.0
キャラ : 2.0
状態:途中で断念した
タイトルなし
ざっくり言い切ってしまうと、なにを魅せたいのかが分からない。「これが面白い!」ってところがない。
地球外生命体であるガウナの【脅威】は、これでもかとぐらいにしっかり描けている。が、その脅威を乗り越えるカタルシスがなく、視聴による疲労感が溜まっていく一方。宇宙を舞台に閉鎖的な世界観を描いてるんだから当然っちゃあ当然なんだけど、うーん……。
なんせガウナが作中で初めて撃破されるのが4話。それまでになにを中心に描かれていたかというと、ガウナの圧倒的な力である。作中で語られる主人公の凄さよりも、観て分かるガウナの凄さに注目がいってしまって、初の撃破シーンもそれほど胸躍るものがなかった。
また、生命活動維持にしっかり貢献してくれるスキンスーツや性別未分化、クローン人間といった、SF好きなら興味をそそられずにはいられない要素が盛り込まれているものの、期待に反して死んでしまっている設定が少なくない。
ガウナと遭遇しなくなって100年……という年月は、人類が平和ボケを覚えるには丁度良い長さだ。少なくとも知識としてしかガウナを知らない主人公ら世代の間には緊張感が欠けてしまう。
そこで学生の死から始まったガウナとの戦い。平和から一転して【戦時】を実感せざるをえなくなったシドニアの兵士ら。……の反応というか描写が描かれていないのは、どう考えても勿体ないだろう。
主人公の設定にしても、物心ついた頃から祖父との二人暮らしで、おそらく祖父以外の人間を見たこともろくにないだろうに、集団生活にあっという間に溶け込み、他人とのコミュニケーション能力にもとくに問題がなく、これまたおそらく初めて見たであろう異性に対して早速意識して羞恥も覚えている。……なんか、違くね?
【ドラゴンボール】の悟空でさえ、祖父以外の人間を見た時は驚いたし、異性に対してとくに強く関心していたというのに……。
これじゃあ、一般層に住んでいた人間がある日突然シドニアの兵士になる、というあらすじでもいいじゃん。せっかくの設定が死んでるよ。
イザナにしても、性別未分化という設定はあってないようなもので、序盤からもう主人公に恋愛感情って分かる好意をもっちゃってる。なんで祭りで主人公を誘うのに浴衣なの? そこはどっちの浴衣を着ればいいか悩んだ挙句に制服だろ……。じゃないと性別未分化の意味ないじゃん。
なんというか、設定がしっかり根付いたキャラのドラマというものが、本作には欠けているように思う。
星白のような普通の可愛さは、この作品だと少し物足りないんだ。可愛いよ? 可愛いけど、普通なんだよなぁ。それなら艦長の方がこの作品に相応しい可愛さだと思う。
そしてそして、原作では違和感がないであろうコメディ部分。手描きじゃないからか違和感が拭えない……。お世辞にもキレイとは言えないCGで裸シーンとかラブコメっぽもの描かれても、本作の雰囲気とは別物だからなぁ。
コメディに限らず、例えば正規パイロットの四人の名前が赤青緑桃で、しかも散々死亡フラグを立てるだけ立ててやっぱり死んじゃうという流れも、シリアスなのか笑っていいのか判断がつかない。いや、普通に考えたら笑うようなシーンじゃないけどさ……;
個人的に、期待してた設定のことごとくが死んでしまっていたことが残念でならない。