ようす さんの感想・評価
3.4
物語 : 3.5
作画 : 4.0
声優 : 3.5
音楽 : 3.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
「口を出したら、今度はこっちがやばいもんね。」
「だってさ、今度は僕がいじめられるかもしれないもん…。」
悲しいことに、いじめはなくなりません。
それは大人の世界でも子どもの世界でも。
この作品は、子どもの世界のいじめに焦点を当てたお話。
小学6年生のいじめを描いたお話。
30分ほどの作品です。
● ストーリー
きっかけは、ただのくしゃみだった。
たった1つのくしゃみを理由に、始まったいじめ。
そしてそれを見ても、知らんぷりする「ボク」。
ほんとは助けたいけど…でもそしたら今度はボクがいじめられてしまうかも…。
● 感想
いじめには3つの人間がいるといいます。
1.いじめられる人間
2.いじめる人間
3.周りの人間
主人公の「ボク」は3の人間です。
1を助けてあげたい。2は許せない。なんで1は抵抗しないんだ。なんで声をあげないんだ。1の意気地なし。ほんとは助けたい。でもボクは1になりたくない。………………
そんなリアルな葛藤を絵本風の作画で、観ている人の心にずきずきと訴えかけてくる。
いじめという社会問題がなかなか解決できない原因の1つに3の人間の葛藤があります。
そりゃ誰だって自分のことがかわいくて、いじめられたくなんてない。
自分を犠牲にしてまで誰かを助けたいなんて人は変わり者です。そんな人、2次元の中でしか知らないよ(笑)
だから自分を守ることを優先したって誰も責められない。
問題は、「じゃあどうするか。」なのです。
それを考えるきっかけとなるストーリーでした。
6年生の子どもたちが主な登場人物なので、6年生の子どもが見ると感情移入しやすいでしょう。
でも大人でも見ていてズキっとくるものがありました。
いじめられている人が誰よりも苦しんで、悪者扱いされて、逃げられなくて…そんな世の中は絶対に間違っています。
いじめられている人の苦しみを知る。
いじめている人は絶対に間違っていることを知る。
それがまずはスタートラインなのかもしれないですね。
この作品は、あくまでいじめを知ろうとするスタートラインに立つためのものです。
この先どうするかは、この作品を観て感じたままに。