みかみ(みみかき) さんの感想・評価
3.4
物語 : 3.5
作画 : 4.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.5
状態:途中で断念した
毒素が足りない。
■原作漫画について:志しはわかるが、まだ佳作
原作9巻まで読了。アニメは1話のみ視聴ということで、アニメはあんまり、まじめに見てないのだけれども、
月刊アフタヌーンでの連載作品か、と思っていたら月刊サンデーGeneXなんだ。
アフタヌーンかと思った理由は、主に、
「これって『なるたる』(鬼頭莫宏、1998-2003)と、『五年生』(木尾士目、1998-2001)のアレンジなんじゃん?」と思ったから。両方とも、アフタヌーン連載です。
原作は、面白いけれども、失礼ながらまだ「佳作」に過ぎないと感じております。
なんか、鬼頭さんの変態的な表現も、木尾さんの人間観察クオリティも、それぞれに、なんか、若干劣化してるような感じ。言うほど、悪くはないんだけれども。なんか、日々乃さんの人格造形とか、なんか全般に悪い意味で中途半端。「神様のいる日常」みたいなことをテーマとしているということを作者自身が書いていたと思うし、作品としての志はいろいろわからなくもない気はする。だけど、キャラ立ち作品としてはそこそこに仕上がってるけれど、(もしも)木尾士目さん的な表現をそこに混ぜ込みたいのであれば、もう少しハッとさせるような人物描写をできないものかしら。
キャラ立ちと、木尾さん的な表現を両立させるのは難しいのはよくわかるのだけれども、ひぐらし(アニメではなく原作)とか、とらドラとかは、特殊な方法でそれに近いことを実現させているので、ぜひ頑張っていただきたいところ。一番この人の目指してるっぽい方向性に実質的に近そうなのは、幸村誠(『ヴィンランド・サガ』/『プラネテス』)あたりなのかもしれないが。
とりあえず、全般に人間描写のクオリティがお行儀が良すぎるので、いわゆる「毒素」といわれるようなタイプのものを隠し味に、もう数パーセントいれこむだけで、グッと全体が引き立つと思うのだけれど。そういうの、やりたくない人なんだろうか?そうとも思えないんだけど。毒素のある表現っていうのを、悪役とか変態キャラのほうに集中配分しすぎているので、もう少しそれを善人サイド側にもきちんと入れてほしいんだよね。勾司朗の人物描写とかは、非常に素晴らしいので、勾司朗の人格が、結果的にパターナリスティックな悪魔として機能する描写とかをもしできていたら、神作品なんだけどなー。「悪人じゃないけど、悪いことしちゃう人間」っていうのが、下山とか枸雅家の当主みたいな「小市民的な小もの」ぐらいの描写しかないのは、だいぶ物足りないです。勾司朗が悪人として機能しうるケースみたいなものをどれだけ描写できるかどうか、で作者の人間観察の能力が問われると思います。
キャラ立ちと木尾士目的日常描写、という二つの非常に難しいバランスを上手く突破できれば、最強の傑作ができあがると思うので。ぜひ、今後、頑張っていただきたく。
■アニメについて
アニメのほうは、結局、第一話しか見てないんだけれど、よく動く、よく動く。戦闘表現とか、動きについては、原作よりはるかによかったです。
ストーリーのほうは、東京でのうだうだした日々を構成上さっくりとカットして、ワンクールでとりあえずのクライマックスに持って行こうとしているようす。他の方のレビューをみると、まだちょっと消化不良っぽいけど。どうなんでしょう。ここらへんの再構成の仕方はむずいですよね。