過たる さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
感想
重力がサカサマな世界設定に目が行きがちで、
若年向けに思われるかもしれないが、
物語が進行するにつれて、主人公やヒロインの内面が変化するので
大人でも充分に楽しめる作品だと思う。
ただし、行動は積極的かつ大胆で、引く場面も有るかもしれない。
命がけな場面が多いので、悠長に恥じらう余裕が無いのも事実だけど。
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重力がサカサマなこの世界で、初めて主人公とヒロインが手を繋ぎ
空中を漂った際、放ったセリフが印象的だった。
エイジ「浮いてる」「飛んでる」
パテマ「落ちる」
重力の作用がもたらす価値観の違いを如実に表してる気がした。
しかしながら、そんな2人でも価値観を共有できるシーンが有った。
{netabare} 夜、エイジが星空を見上げ、パテマが見下ろすシーン。
空はエイジにとって父親との因縁が、パテマにとって恐怖の対象でしかないが、
2人とも星空を綺麗だと評していた。{/netabare}
そのシーンが後々の2人の信頼を築くことに繋がるのだろうと思う。
奈落の底に落ちるかもしれない恐怖を抱えながら、
出会って間もない人間に自分の命を預けるなんて自分には無理だと思う。
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この世界、物が重要な役割を持つ。
エイジが住む世界とパテマの世界とで、人間だけでなく物の重力もサカサマになってる。
しかも、一方の世界から他方の世界に物を移動させても変わらない。空に落ちることになる。
要は、もしパテマがスカートを履いてエイジの世界に行っても、めくれる事は無い。
話を戻すと、エイジとパテマが初めて手を繋いだとき、
エイジの体が浮き上がり、パテマは空に落ちていく。
パテマが背負っていたリュックサックを空に捨てたとき、
ようやくエイジは地面に立つことができた。
この時のリュックサックのように、困難な状況に遭遇した際
物を使って進行方向を決定していく。
ちなみに、エイジとパテマ以外にも手を繋ぐ機会が有り、
それを基に体重を軽い順に並べてみた。
{netabare}パテマ < エイジ <(パテマ+足枷)< 悪役 、エイジ < ポルタ{/netabare}
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悪役の意図が最後までよく分からなかった。
{netabare} パテマの住む世界の情報を得たいが為に、パテマを手懐けようとしてたハズなのに、
最後のほうでは、手段と目的がサカサマになってたような。パテマ可愛いものね。{/netabare}
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PSソフト『ICO』と通じるものが有ると思う。
キャッチコピー比較
サカサマのパテマ「手を離したら、彼女は空に落ちていく。」
ICO「この人の手を離さない。僕の魂ごと離してしまう気がするから」
どちらとも主人公とヒロインが手を繋ぎ、命を預ける点で似ている。
そもそも音楽が大島ミチルさんだったので、独特の雰囲気が有る。