どらむろ さんの感想・評価
4.3
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
NHKで放送された、手塚治虫の遺作となった冒険ファンタジー
1989~90年に放映されたNHKアニメ。
「ふしぎの海のナディア」の前番組なのだが、ナディアに比べマイナーな感は否めない。
しかし、手塚治虫テイスト全開な夢と希望と勇気溢れる王道冒険ファンタジーの魅力は十分。
ナディアの影に隠れがちだが、ジャングル大帝にも劣らないくらいに名作だと思う。
私は小学生の頃大好きだったし、気弱な少年カケルが青い雷獣ブリンクに「カケルくん!勇気をあげる!」で勇気リンリン大活躍!するのをワクワクして観ていた、個人的に想い出のアニメ。
(もっと評価されてもいいんじゃないかな…?)
{netabare}『物語』
手塚治虫テイストな童話的世界感の冒険ファンタジー。
こういうファンタスティックで童話的な世界感は大好き、現在ではまず見られない貴重な作風だと思う。
ヘタレ少年カケルくんだが、毎度お約束「カケルくん!勇気をあげる!」電撃ビビビビ→大暴れ!のノリはワンパターンだけど、毎回それが楽しかった。
グロス皇帝という悪者と終始戦わねば生き残れない、結構緊張感のある展開。
けれど水戸黄門の印籠的なお約束の勝利フラグ「カケルくん!勇気をあげる!」のお陰で、終始安心して見ていられるw
手塚治虫独特のユニークかつ魅力的なキャラが多く、グロス一味も含めて飽きさせなかった。
メインテーマであるカケルくんの「勇気」、ブリンクとの「友情」が毎話の積み重ねで丁寧に深まっていく。
敵はグロス皇帝だけでなく、各地を冒険しながら現地で圧政と戦い、懲らしめる痛快物語な側面も。
結構教訓的なエピソードも多く、圧政と権力に対する反骨や、公害問題(農業や漁業権)、金銭への欲望の醜さ、本当の強さは力ではなく優しさである事等々。
それらの多くの教訓が、手塚治虫の童話的世界感の中で、結構容赦無く、けれどコミカルかつファンタスティックに描かれていた。
手塚治虫の思想が多分に込められていて、子供向けアニメとは侮れない深さがある。
それを子供にも分かり易く伝える脚本は素晴らしく、また大人になって改めて見ると、更に良いと思う。
それでも基本は「カケルくん!勇気をあげる!」でカケルくん無双!の俺強ええ系なので、別に思想的な部分は気にしなくてもエンタテイメントとしては十分楽しいのが良い。
『作画』
現代の基準とは比較困難だが、手塚治虫原作でNHKクオリティー、十分すぎる程良いと思う。
童話的冒険ファンタジーが生き生きと描かれていた。
アクションも中々の緊迫感とワクワク感。
流石にジャングル大帝などと比較すると苦しいかもだが、作画は満足。
『声優』
主人公カケルくんの野沢雅子さん初め、当時の豪華声優陣が揃っているのは流石NHK。
ゲストキャラが豊富なので、声優陣も豊富。
個人的には、ホロ王子役の速水奨さんに注目(はやみんファンなので!)
『音楽』
OP「瞳の中の勇気」ED「負けないで」どちらも名曲。
アニソンっぽくは無いかもだが、こういう童話調なファンタジーの主題歌も大好き。
勇気と優しさをくれる、素晴らしい曲だと思う。
作中BGMも、バトルは緊迫感あり、ファンタスティックな舞台にマッチした良曲多し。
『キャラ』
カケルくんはヘタレだけど、本当はブリンクに頼らなくても勇敢な少年なのだ!
ブリンクの支援はマジで「きた!勇気をあげるきた!これで勝つる!」な安心感がハンパないw
キララ姫がワガママで可愛い!可愛げは無いかもだが、こういうタイプの悪い子もたまには居て良いと思う(現在のアニメキャラは綺麗な良い子多過ぎ)。
ニッチ&サッチも良い味出していた。
各話のゲストキャラの層が非常に厚く、手塚治虫テイスト全開の魅力があった。
これ程のキャラクターを1話~数話で使っていくのは非常に贅沢。
キャラクターの面でも、とても贅沢なアニメであり、また視聴する価値のある名作だと思う。{/netabare}