どらむろ さんの感想・評価
4.0
物語 : 3.0
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
幼稚な恋愛の業と末路を描いた、ある意味普遍性の高い愛憎劇
アニメ史上に残る、あまりにも衝撃的なラストで有名な、ハーレムラブコメアニメ。
おそらくはラブコメアニメ史上類を見ないダメ主人公と、彼を愛してしまったヒロイン二人が、ドロドロと恋愛の泥沼にハマっていく。
「ヤンデレ」の存在感を決定付けた問題作。
アニメ史上に名を残す名作なのは確かだと思うので、一度は視聴して損は無い(かも)。
{netabare}『物語』
唯一無二のオンリーワンな内容な為、評価が難しい。
ラストだけを見れば、間違いなく最高評価なのであろうが…。
本作の評価が難しい理由は
2~11話が観ていて全然楽しく無い!(低評価理由)
実はかなり核心を突いた、普遍性すら感じさせる恋愛ドラマなのでは!?(高評価)
どう評価すべきか迷う作品だが、アニメ史上特筆すべき名作なのは間違いあるまい。
便宜上3点としたが、好意的に見て5点でも、減点法なら1点でも、両極端が有り得ると思う。(同じ視聴者ですら)
1話だけ見ると、ありがちなピュアな学園ラブコメ?
と思ったのも束の間。
以降、アニメ史上屈指のダメ主人公・伊藤誠の不誠実と無節操さにヒロイン達が振り回され、修羅場の深刻さが増していき…衝撃のラストへと至る。
その過程が腹立たしい程に綿密で丁寧に描かれており、実はラブコメ作品としてのクオリティーは高かったりする。
そのクオリティーの高さが、見ていて楽しいかは、別問題だった。というか非常に腹立つ!!!
二次元に対し暗黙で抱いてきた幻想を、木っ端微塵に打ち砕かれた!
「不誠実な男が二股(それ以上)かけて修羅場に→追い詰められたヒロインが主人公殺害→恋仇も殺害」
現実でもここまでショッキングでないにせよ、決して有り得ない話でもなく、むしろ日常茶飯事な出来事なのでは。
話の本筋は単純明快だけに、意外に普遍性のある物語のようにも思えた。
確かに誠にはイライラさせられるが、男なら誰しも持っているダメな要素を凝縮させた存在なのだろうし、また(苦しいが)若さ故の過ち的な見方も出来なくもない。
その意味で「誠死ね」だけではなく、ある種の切なさや悲しみを感じて、鬱になるアニメ。
『作画』
抜きん出てはいないが、かなり綺麗で可愛い。
ヒロイン二人ともに黒髪なのが好印象。
主人公とヒロイン二人がリアル寄りの黒髪である事で、本作のリアリティーも増している為、黒髪は重要と見る。
ちなみにこの時期(2007年頃)を前後して、アニメキャラの作画に黒髪多くなった気がする。
技術的に、カラフルにしてキャラ分けしなくても表現出来るようになってきたからか。
あっさりしたゲーム絵だが、表情の描写が非常に豊かなのも、高評価。
衝撃のラストにも遺憾なく発揮されていた。
また、背景描写も何気に良い感じ。
『声優』
世界役の河原木志穂さん、言葉役の岡嶋妙さんの両者ともにラスト鬼気迫る圧巻の演技。
声優陣の熱演もオンリーワンにして、本作の衝撃を支えている。
誠役の平川大輔さんは良くも悪くも無個性な印象(演技としてはそれが良かったかも)。
『音楽』
OPイノセントブルーが名曲。爽やか過ぎてOP詐欺だけどw
衝撃の最終回で流れる挿入歌「悲しみの向こうへ」が恐るべきインパクトを持って心を抉ってくる。
「悲~し~みの~向こう~へと~♪」を聴いただけで条件反射的に脳内にあの場面が浮かんでしまう程に印象的。
『キャラ』
やはり評価が難しい。誠一人を持って最低評価でも差支えはないようにも思えるが。
世界、言葉どちらも非常に可愛いのだが、好きなキャラかと言われると…。
誠は多くの視聴者から蛇蝎の如く忌み嫌われるのも納得のクズではある。
が、悪人というよりは、未熟で愚かという方が近い気がする。
だからといって許されるワケではないが、個人的には「誠死ね」とまでは思えない。
これも人(まあ男の)業。同情は出来ないが、一抹の憐れさを感じてしまう。
個人的には、特に嫌いに思うキャラは居なかった。(前述の理由で、誠すら)
二人のヒロインも、病んでても、身勝手であっても、過ちを犯しても、それもまた人間の業というか、悲しい側面だと思った。
確かに観ていて気持ちの良いモノではないが、悲劇的な側面を描かれるキャラが居るのもまた、アニメの面白さだろうから。
今まで観たアニメのキャラの中でも強烈に記憶に残っている辺り、本作のキャラクターのインパクトは強かったのだと思う。{/netabare}