Dr.コトォ さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
報われるとは限らないから
実は初めて映画館で観たジブリ作品だったりします。
重い病気を抱えた少年が療養のために来た家屋には
小人の家族が住んでいたというお話。
毎回お馴染みのジブリ作品ですが、この作品は宮崎駿氏は脚本製作にとどまり、
監督はジブリ生え抜きの新人監督が担当しています。
なので雰囲気作りや登場人物の描き方には宮崎アニメとの違いを感じます。
{netabare}
ストーリー展開に華やかさはあまりありません。むしろ夢が無い。
現実を突きつけるようなお話です。
同じ世界に住む異質な生き物が共存していく物語はすでにもののけ姫で描いており、
一つの可能性も見出していますが、この作品ではそれは否定されてしまいます。
この作品では、家政婦のおばさんはほぼ全編に渡ってワルモノとして描かれ、
小人が住む世界を脅かし続けます。
それに対抗して主人公としてのキャラクターが共存の道を探るのが物語としての王道ですが、
この作品の主人公の場合は小人たちを安全な場所へ逃がすのがやっとであり、
自分の命を維持するのが精一杯という状態です。
視聴者に快感を与えるエンタメはこの作品には無いのです。
中盤で描かれる庭園での会話が強く印象に残っています。
アリエッティに滅びを突きつける翔。
涙ながらにそれを否定し、自分の覚悟を言い放つアリエッティ。
そして本当は死ぬのは自分の方だと懺悔する翔。
この生と死のやり取りの様な会話が
この作品の核であるような感じがしました。少なくとも自分は。
今までの宮崎アニメを別の視点から眺めている気分なのかも知れません。
{/netabare}
余談ですが、宅急便のおじさんがサッとガラケーを出してるシーンがあって
ちょっと笑ってしまいました。
ジブリアニメでケータイが出てくる作品はほかにあったかなぁ?
あったらごめんなさい。