退会済のユーザー さんの感想・評価
3.3
物語 : 3.5
作画 : 3.5
声優 : 3.5
音楽 : 3.5
キャラ : 2.5
状態:観終わった
持ち味すら無くしてしまいました....。。
ラノベ原作。
魔法を勉強できる世界で、魔法科高校で繰り広げられるバトル物。
SAOと同じく主人公無双要素があるため、好みが分かれるかも。
■評価に対するアイロニー(前半)
この作品の面白さというのは、学校の絶対的な評価を、学校では評価出来ないような特技を持った主人公が、その評価を次々と覆していくところに味噌があると思います。魔法のパワーが絶対的な学校において、魔法の使い方と身体能力などは評価されません。
面白いことに、この作品の中での魔法高校は、魔法力が全てだと思い込んでいる生徒が多くおり、魔法力が低い人間は自分より下だと思っている生徒が多くいるようです。この辺りが、突っ込まれる要因となる部分なのですが。
そう、現実世界でも、たまにいると思うのです。勉強こそが全てとか、運動できるのが全てとか、そうやって人間の価値を一つのことが出来るか出来ないのかで判断する人間。
この作品はそういう人間が主人公にやられていくのを楽しむのが面白いのですよね。そういう偏った評価方法している人間は、「自分の評価対象の分野」以外は軽視してますから、相手が「自分の評価対象の分野」以外のスペシャリストだった時の事を考えてません。
そういった人間に「こういうこともあるんです!」と事実を突きつけていくのがとても愉快で堪りません。
「現実世界でそういったことが起こる頻度は少ないんじゃないの!」というの問題ではありません。
何かが得意だから天狗になって、その得意な分野が苦手な人間を馬鹿にしている人間が、主人公にボコボコにされてしまう、そういう展開が清々しくて気持ちが良いです。
この「評価に対するアイロニー」が、この作品の魅力なのです。
追記:9/30↓
前半まで、私はそれが面白くて観ていたのですが、終盤になって、あまりにも主人公が強すぎて、周りにも評価されるようになってきたので、この作品の持ち味が無くなってきたように感じました。
{netabare} おまけに「自分だけではなく、相手まで再生が可能」だという設定を聞いた時には、この作品を観る気が無くなりましたよ。まだ再生能力が自分だけしか使えずに、その能力も限られていたら、真剣に観れていたのかもしれません。{/netabare}彼に対抗しうるだけの能力を持った人がいたなら、楽しめていたのかもしれませんね。
呆れてしまいましたね。前半の持ち味があって、それでも主人公よりも強いキャラクターがいることを想像させるような設定があるのなら、まだ後半も楽しめたのかもしれません。
持ち味すらも壊して、それでいて、設定を使って、主人公を作品内で絶対的な存在にしてしまいました。これでは、主人公よりも他のキャラクターが強いかも、という想像ができなくなり、一気にワクワクが無くなってしまいました。
■魔法云々。
魔法の設定が面白いと感じたなら、楽しめるのかもしれません。私も前半はこれを楽しんでいました。それでも、後半から一気にバランスが崩れて面白くなくなりましたが...。
「魔法にも色々あるんだ。楽しみ!」というような知りたい欲求に駆られることも、前半はありましたが、後半に入ってから、矛盾点が目立つようになり、それすらも楽しめなくなりました。
■問題点を挙げるなら....。
問題点を挙げると、サブキャラクターが全体的に地味で、とても作品の魅力を半減させていると思います。
設定だけ聞くと、魅力的なキャラクターが多いものの、サブキャラクターの負の部分や裏事情が描かれていない、または描かれていても極端にその表現方法が下手なために、サブキャラクターが地味な印象になっています。
キャラクターデザインが似ているのは仕方ないとしても、あまり評価できることではありません。
キャラクターが似ていても、ちゃんとキャラクターの魅力を存分に引き出せている作品はたくさんあるのです。
そういう作品は、キャラクターの心理状況の変化を上手く表現していて、この作品にはそれが無いために、折角のアドバンテージが半減してしまっています。
追記:9/30↓
終始、キャラクター描写が出来ていなかった印象でした。
一条くんとか、もっと掘り下げれば良いキャラクターに出来たと思いますし、司馬くんのライバルに成り得たキャラクターだと思うのですよね。司馬くんを一瞬だけ「ヒヤッ」とさせたのは、一条くんが最初ですから、設定の差を埋める心理描写が出来ていれば、能力値のどうこうの問題ではなくて、心理的なライバルを演出することは可能だったと思うのです。
ヒカルの碁、などでは実力が違うくてもライバルと認識し合ったり、バクマンでも、サブキャラクターが主人公をライバル視したりなど、ライバルの関係性は描けると思うのです。
一条くんの場合は、ライバルになりそうな演出をしながら、結局は司馬くんに食われてしまった印象を拭えませんね。そういうところも工夫して欲しかったです。他にも沢山あるけれど...。
■追記:←NEW
よくよく考えてみると、設定は穴だらけで、例えば殺人を平気で犯していたりだとか、テロリストを壊滅するためだとはいえ、正当防衛に成りえない状況で、魔法を使って殺害をするのはどうなんでしょう?
あと、最終話で再生能力のために、司馬達也は他の魔法が上手く使えないアンバランスな性質を持ってしまったと補足されましたが、艦隊を破壊する程の魔力を持ち合わせているのに、上手く使えないというのは、どうにも矛盾点があるような気がしてなりません。それだけの魔法力を持っているのに、上手く使えないというのは、評価基準に問題がある気がして、設定の矛盾点が目立ってしまう要因になります。
■総評
キャラクター描写が出来てない上に、前半の魅力が後半で見事に打ち壊されてしまいました。設定にも矛盾点が多くあり、司馬達也の活躍シーンばかりが描かれて、他のキャラクターは脚本家に忘れられたかのように置いてけぼり状態です。感情移入もへったくれもありませんね。
これから、司馬くんに並び立つような敵キャラクターが出てきて、面白くなりそうな所で、アニメが終わっているので、とても残念です。
というか、主人公が評価をどうにか出来ていないので、何のカタルシスも感じませんね。