photon さんの感想・評価
2.8
物語 : 2.0
作画 : 3.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
ダイヤモンドの誤謬と西洋神話
怪異と称してはいるけれど、その実内容は新村出の資料にあるようなものや西洋の神話に近いものだと思う
例えばギリシア神話の始まりはカオス、つまり混沌からで、怪をつねならぬと訓むとするならこれも怪異と称して良いのだろうと思う
しかし、日本古来の怪異とは構造が異なる
人間の心理状態の変遷から怪異が生じるという話もあるが、これは精神医学の分野がこの世界で未発達であると仮定するならば怪異と称しても良いと思う
外観は多少和を装っているけれど、その実内容は欧州に偏っていると感じた
昔読んだ本で妖怪大談義だったか妖怪馬鹿だったか忘れたけれど、その対談の中で現代において妖怪を定義づけるとするならば、中身が空っぽの形骸化した言葉、つまり意味を失った言葉だとかなんだとかという一文があったと思う。
この作品において意図的に演出されている怪異とは別に、そんな概念の妖怪も処狭しと感じられる作品だった
荒川アンダーザブリッジと同じ監督のようだけれど、舞台のような演出はこの監督の好みなのかそれとも自身の流行りなのか
個人的には天井桟敷やら横尾忠則やらを連想するような外観と演出で、新鮮というよりも当時アヴァンギャルドと称されていたものも遂にエンターテイメントとなったのかという何とも言えない気持ちに陥った
「珍しい」はあるけれど瑞々しい新しさというものは早々出会える訳でもなし、この作品にしても同様のことが言えると思う
全体的に言葉遊びに興じ過ぎている嫌いがあることがその原因だと思うけれど、もしかするとそれは原作者の照れ隠しなのかも知れない