三崎鳴 さんの感想・評価
4.3
物語 : 4.0
作画 : 5.0
声優 : 3.5
音楽 : 4.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
子供の時にだけあなたに訪れる不思議な出会い
スタジオジブリ作品2作目。言わずと知れたジブリの代名詞の一つともいえる映画。主題歌はオープニング、エンディング曲共にあまりにも有名。内容は、昭和30年代を舞台に、少女とトトロとの邂逅から描かれるファンタジー作品である。トトロ、ネコバスといったキャラの造形からして画期的であり、子供時代にはこんな世界を夢見ていたな、とノスタルジアに浸れることも請け合い。トトロが子供の目にしか映らないという設定もかつての夢をテーマにおいている為に生まれたものであり、いつまでも無邪気な感性を心の裡に保ち続けている宮崎監督には感服するばかりだ。そういった感受性が物語の作り手として磨かれるべきものである。昭和30年代が舞台と言う事もあり簾戸と蚊帳で仕切られた家や畑で農作業に勤しむ人々、昔ながらの風景がそこにはあり、あるいは、治る病気も治らない時代だけに風邪で入院、電話のない家、などと今では想像もつかぬ描写もある。物語の内容自体は奇をてらうでもなく普遍性のあるものだが、起承転結の堅実な作り、一作品としては傑出している。何より分かりやすさここに極まれりというか、正に万人向けのジュブナイルとして日本アニメーション史に名を残す作品である。
余談だが、ネット上で散々騒がれていた都市伝説については公式から否定の見解を頂いている。解釈としては面白かったが所詮都市伝説は都市伝説止まりということである。
―――みなさん、ご心配なく。トトロが死神だとか、メイちゃんは死んでるという事実や設定は、「となりのトトロ」には全くありませんよ。最近はやりの都市伝説のひとつです。誰かが、面白がって言い出したことが、あっという間にネットを通じて広がってしまったみたいなんです。「映画の最後の方でサツキとメイに影がない」のは、作画上で不要と判断して略しているだけなんです。みなさん、噂を信じないで欲しいです。…とこの場を借りて、広報部より正式に申し上げたいと思います。-――