ワタ さんの感想・評価
4.6
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
極上の酒。
正直、スパイクの過去にまつわる一連のエピソード(ビシャスやジュリア絡み)はあまり好きじゃない。
掘り下げが浅いので感情移入しにくいというのも理由の一つだけど、
それ以上に、キャラクターが過去(ストーリー)に縛られることで、
どうにも窮屈な印象を与えてしまってるように思うので。
もっとも、この作品は過去に縛られた者達が各々の過去を清算する話でもあるので
そういった意味では、あのラストはこれ以上ないものだとは思う。
それに、ジェットやフェイの過去話は結構好きだったりしますw
作画にしろ、音楽にしろ、世界観にしろ、物凄く綿密に作り込まれていて
スタッフの力の入れようが伝わってくるんだけど、同時に、良い意味での脱力感というものがある。
決めるところはビシッと決めて、でも格好がつかなかったり、おどけてみせたり。
気取ってるんだけど、嫌味に感じない。声優も上手いのは当然として、自然体な演技が素晴らしい。
そんな要素が色濃く出てるのは、やはり単発のエピソードなんですよ。
ストーリーに沿ってキャラを動かすのではなく、キャラが自由にストーリーを紡ぎ出していく。
その結果、色んな遊びやネタキャラを違和感なく話に溶け込ませることができる。
自由度が高い方が、実力派スタッフもその才能を遺憾なく発揮できるだろうし
視聴者も肩肘張らずに純粋に楽しめる。
個人的にビバップは「酒」のようなものだと思ってます。
酒のつまみに見るのではなく、ビバップそのものが極上の酒。
子供だって味なんて分からなくても、強烈な(自己)陶酔に浸って気持ちよくなれるかもしれない。
それはそれで、ひとつの楽しみ方であるわけで。
ビバップはよく「大人向けのハードボイルドなアニメ」と言われたりしますが
そういう視聴者層を限定させてしまうような偏見はどうかと思う。この作品に限らず、ですが。