「思い出のマーニー(アニメ映画)」

総合得点
66.9
感想・評価
340
棚に入れた
1778
ランキング
2625
★★★★☆ 3.8 (340)
物語
3.8
作画
4.2
声優
3.5
音楽
3.8
キャラ
3.7

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ネタバレ

HG anime さんの感想・評価

★★★★★ 4.8
物語 : 5.0 作画 : 4.5 声優 : 5.0 音楽 : 4.5 キャラ : 5.0 状態:観終わった

ジブリはまたとてつもない名作を生み出した

原作は『When Marnie Was There』という児童文学作品。
ジブリは今回それを大幅にアレンジして映像化したとありますね。物語の舞台は日本に、主人公アンナは日本人になっている。私は原作を読んでいないので自分で確認したわけではないですが、視聴してみてストーリーも原作に忠実ではないだろうと思います。宮崎駿さんと高畑勲さんの名コンビが一切制作に関わっていないと知って驚きました。監督は『かりぐらしのアリエッティ』の米林宏昌さんとのこと。私は忙しくても月に2本は映画館に映画を見に行くので、上映前の広告映像を観て「これは絶対名作だろう」と踏んで公開日に見に行った所存です。

{netabare}主人公アンナは自分に劣等感を持ち、自分のことを好きになれず、血縁関係の身内がおらず、喘息を患う病弱な子。物語中盤では彼女のコンプレックスの一つはすこし青みがかった瞳だと明かされている。客観的に観ればきれいな瞳だけれど、自分の瞳が青い理由を知らない彼女が周りの人たちと違う瞳をネガティブに考えてしまうのは無理もないと思う。育ての親は医師の助言をもとに、アンナを田舎に静養させることにする。そこで出会ったのが金髪碧眼の少女マーニーだった。しかし物語中盤から薄々仄めかされる事実は、マーニーがアンナの意識の中だけの人物だということ。視聴者はアンナが現実世界でなかなか会えないマーニーに対してアンナと同じように早く彼女に会いたいという歯がゆさを感じる。マーニーの存在の希薄さが物語に儚さを徐々に植えつける。次のシーンではマーニーがいる。そしていつの間にか消えてしまう・・・。“マーニー”とはなんなのか?という漠然とした疑問は、物語終盤、久子というマーニーの家をスケッチしていた登場人物によって一気に解消される。マーニーは実在したのだ。多くの人はこの回想のシーンでのマーニーという魅力的な人物の人生の幸薄さに涙をこらえるのが大変だろう。劇場でも多くの観客が漏らす すすり音が聞こえた。そしてここで勘付く人がいるであろう事実はマーニーはアンナのおばあちゃんだということ。目の色はマーニーから受け継いだものだった。しかしアンナは当然ここでは自分とマーニーの関係に気付いていない。エンディング直前のシーンで育ての親から渡されたのは赤ん坊の時のアンナが握りしめていた写真。そこにはマーニーの家が移っており、裏にはマーニーの字があった。そこでアンナはマーニーとの関係を知る。つらく儚くも美しい人生を力強く生きたおばあちゃんから元気をもらい、強くなったアンナは札幌に帰る、というのが物語の大筋。彼女はコンプレックスだった碧眼をポジティブな要素にできたでしょうね。マーニーは、ふさぎ込んだ孫を想って出てきてくれたのかもしれませんね。田舎のおじさんが「あそこはでるぞぉ~」と言っていたのはあながち間違いではなかったですね^^
ストーリーの概要をネタバレ蘭で何行も書くのはどうかと思ったが、視聴しているときの意識を記載しても面白いかなと思ったので。長文すみません。{/netabare}

私は正直言って米林宏昌監督の前作アリエッティは面白かったけどそこまで好きになれなかったんです。でも今回は本当に良いものを作ってくださったなと感謝しています。彼の絵画の技術はジブリでも最高レベルのようでして、それは私もテレビなどで拝見していてとてつもない力をもっていることは前々から存じていたので、今作の映像美は納得がいきます。背景は北海道という大自然を舞台にしており、広大な世界が描かれている。でも絵を少しやる者には分かることですが、ああいうマクロな世界の雰囲気を絵で表すということはとても難しいはずなんです。本当に良く描けていてビックリしました。アンナという原作からアレンジの効いた人物もこの上なく魅力的。あんな子が彼女に、妹に、姉に、子供に欲しい。苦悩を経験した人物というのは魅力が増すんですよね。人生のどこかで死ぬほどの葛藤を抱える人は多いですが、そこで折れてしまわずに立ち直った人間は強い。このように内面もすごく好みです。こういうことを言うと、よく幸薄そうな女の子が好きなただの悪質なフェチだと勘違いされるんですが、なんというか、苦しんでいる人間って美しいです。そこから立ち直ったならさらに惹かれますね。髪型は私自身があんな感じの髪型ですが、異性でもあのくらいがちょうどよくて好みです。物語中盤、あのくらいで長いといって散髪するアンナ。いやぁ~、今まで観たアニメの中では一番好きな女の子ですわ。声優さんもすごくいいですね。アンナの声は口の中でとろけていつの間に消えるチョコレートのように、すっと耳に入ってきてはくせがなく消えるいい声。暗いアンナと明るいアンナを見事に演じきっています。音楽もいいですねぇ~『アルハンブラ宮殿の思い出』という名曲がこの作品にはピッタリですね。エンディングもすごくいい。
天空の城ラピュタと同じくらい好きです。今までに観たアニメの中では最高レベルだと思う。この上なく素晴らしい作品でした。

投稿 : 2014/07/20
閲覧 : 262
サンキュー:

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