plm さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
田舎・書道・自分らしさってなんだ?
ガンガンONLINE連載の漫画原作、都会育ちの若き書道家・半田清舟と田舎の島民の交流を描く。
この作品を成り立たせているのは大きく分けて三要素「田舎」「書道」「自分らしさってなんだ?」だ。
「書道」を題材に、というとどこか堅苦しい印象を持たれるかもしれないが、
内容的には実際のところ「田舎」要素もかなり強い。
画一化された都会から離れ、そして「自分らしさってなんだ?」というアイデンティティを見つめ直す。
これが本作の主題とするところであろう。ちなみに"ばらかもん"は「元気者」の意だそう。
■それぞれの要素についてもう少し掘り下げて見ていこう
「田舎」
都会の喧騒を離れ、不便でありながらも伸びやかな生活を送れる島暮らし。
そんなある種の田舎幻想とも言える内容だけど、なんだか夢を抱いてしまうようなお話。
ちょうど昨今の田舎アニメと言ったら「のんのんびより」が浮かぶが、方向性は近いのかもしれない。
型にハマっちまった都会人の思考を、雄大な自然と大らかな住民の気質が徐々にほぐしていく。
なんだかんだで心に来るものがある、そんな感じのプロットだ。
「書道」
競技モノなら特定の競技、部活モノなら特定の部活動があるように、本作を決定づける題材は「書道」。
まぁしかし、これについてはそれほど専門的な話がでてくるわけでもなく、
ごく普遍的な苦悩や葛藤を描くための部品となっている。……半分くらいはアイデア勝負だ。
「自分らしさって何だ?」
個性・独創性・アイデンティティ・オリジナリティ、呼び名は色々だが
表現者、創作者は何時もそれに悩み、これらを常日頃から求めているものなのだろう。
けれど"社会"はなるべく人を統制し、秩序の中に置こうとする。
自由奔放なやり方の出る杭は打たれ、異端な考えは排除される。"社会秩序"は無個性さを好む。
そんな板挟みの中、苦悩に耽るのが主人公の半田くんだ。自分らしさとは何だろう?
■自分らしさって何だ
この作品のメインテーマだと思える、これについては
オープニングテーマ「らしさ」で実はほとんど語られていて、
歌詞を眺めてみると、よくこの作品を言い表していると思うんだよね。
このOPを聞くだけで、どんな作品で何を提起し何の結論で終わるのか、全容がパーッと伝わってくる。
作品の入り口にして、作品のテーマ性を端的に表している見事なOPだと思う。
日々が変わりゆくとしても、変わらない大切なものがあるから。そこに自分らしさがあるんだろう。
■自然な自分
結局どんな内容かというと具体的には、半田先生が島民に振り回されながら色んな出来事を経験する。
それは餅拾いだったり、海水浴に魚釣りに、虫取りに……
一つ一つは大の大人がやるにはしょうもない物事だったりする。
けれど、そういった出来事のあとに、主人公は何かしらのヒントを得る。
肩肘を張らない自然な生き方・子供の無邪気さから、自分の中にもある「自分らしさ」を見出すんだろう。
「自分らしさ」はそう、"自然な自分"なんじゃないかと思う。
自然に自分が感じたこと、良いと思ったもの、それをありのまま描けば、自分らしいものが出来上がる。
理解されるかどうかはわからずとも、"自分だけの宝物"を誰もが見つけることができる。
(なるにとってはカメムシの詰め合わせ、通称:汚いモンスターボールだったけどね……)
☆総括
同じような日々を繰り返していると忘れがちな人間味を、ふと思い出させてくれるようなアニメ。
何は無くとも、人との繋がり温かみ、賑わいのある場所。感受性を取り戻したい人に向けて。