「蛍火の杜へ(アニメ映画)」

総合得点
80.6
感想・評価
1074
棚に入れた
5221
ランキング
451
★★★★☆ 4.0 (1074)
物語
4.2
作画
4.1
声優
3.9
音楽
3.8
キャラ
4.0

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ネタバレ

OZ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7
物語 : 3.5 作画 : 4.0 声優 : 4.5 音楽 : 3.0 キャラ : 3.5 状態:観終わった

それでも君に触れたくて

原作の漫画は未読だが
オススメして頂いたので観てみる事にした
約44分のショートアニメ映画

■ひと夏の恋とは一味違う■
人間の少女 竹川 蛍と
妖怪の森に住む人の姿をした青年ギン。
二人が出会い 別れるまでを描いたシンプルな物語。

絵柄に癖は無く テンポが良いので
あまりアニメを観ない人でも取っ付き易い。

「俺は人間に触れられると消えてしまう」

序盤 ギンの台詞から分かる様に
今後どうなっていくのか分かる展開で
所々別れが強調されている。

夏の山神の森でギンに会う事が出来るけれど
何時しか 夏以外の季節にも会いたいと願う蛍。

成長と共に変化していく蛍の小さな恋心。
「時間がいつか私達を分かつでしょう」と
結末が分かっていながらも焦がれる姿は
単純に切ないの一言だ。

ギン役 内山昂輝さんも良かったが
「おっ!」と感じたのは
蛍役 佐倉綾音さんの演技。

丁寧に少女を演じきっており
あざとさを感じない為か
幼さが誇張された子供より子供らしい。
お陰様で蛍は澄んだ少女として
印象付ける事となった。

毎年 夏にだけ会える彼を想い
少女は少しずつ大人になっていく。
ひと夏の恋とは一味違う純粋で淡い作品である。

■それでも君に触れたくて■
今作品の重要なキーワード"触れる"

幼い頃の異性に触れると
思春期を迎えた後の触れるでは
同じ触れるでも意味が異なってくる。

"好き"と同じで重みを増すモノ。

どの場面が印象的だった?と聞かれれば
おそらく殆どの人が挙げるであろう
ギンが消えてしまう場面。

別れは突然二人の間へ割って入る。
人の子に触れたギンはジワリジワリ姿が薄れ
包み込む様な笑顔で蛍に語りかけるのだ。

「来い 蛍 やっとお前に触れられる」

祭りを最後に元々蛍の前から
いなくなるつもりだったのだろう。

以前彼は「飛びつけばいい 本望だ」と蛍に告げており
触れられて消えても構わない胸の内だったが
もしかしたら「私のせいでギンは消えてしまった」
そう罪悪感を抱かせる事になるかもしれない。

敢えて自分から人の子供に触れる事で
負い目を負わせなかったのだ。
ギンの優しさが伝わってくる。

浴衣だけをポツンと地面に残しギンは消えてしまう。
何とも哀しい場面だが同時に美しくもあった。

「暂くはきっと夏を心待ちにはできないでしょう」

蛍の独白が胸を締めつけるけれど
最後に見せた表情からは
新しい一歩を踏み出している様で
晴れやかな彼女がそこにいた。

お互いに触れて 触れられて
温もりを感じられる

想いを寄せる人に触れたい
消えてしまうと分かっていても

それでも触れていたい気持ちは
好きと同じで理屈じゃないのかもしれない。

■あとがき■
普段は観ないジャンルの作品だったけれど
思いの外楽しめました。

お手軽に観れるが44分と短いので
もう少し作品の世界観に
浸かっていたかったな。

ほんのり優しい気持ちになれる
そんな作品だったね。

緑川ゆき先生の『夏目友人帳』も
観てみたくなったよ。

満足度 ★★★★★★☆☆☆☆ (6)

投稿 : 2014/07/15
閲覧 : 381
サンキュー:

47

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