migratory さんの感想・評価
2.3
物語 : 2.0
作画 : 3.0
声優 : 2.0
音楽 : 2.5
キャラ : 2.0
状態:今観てる
たとえば、ガラスダマというものの中に映る真実
第一話~最終話までの感想です。稚拙ですみませんが、勝手な見所も。
舞台は実際にある福井県坂井市の三国町をモデルとした日乃出浜という町。カフェ「カゼミチ」に集う5人の高校生の青春模様を軸に、なぜか未来の声を聴けるという能力を持つ謎の少年・沖倉駆が転校してきたところから物語は展開される。
未来が見えるという設定はあるものの実際はSFよりの話ではなく、夏休みの日常をつづったようなお話。制作はP.A.WORKS。
彩る町並みなどの風景がとても綺麗で、サブタイトルにもある坂道、日乃出橋、山々や木々といった自然もあり、月や夏に似つかわしくない雪など印象深いもので物語は彩られる。
第一話では花火大会での騒々しさに対比するように、主人公たちの日常の場面に光る緩やかな時間がアニメーション制作であるP.A.WORKSさんらしい雰囲気が醸し出されていました。
それを象徴するようなシーンの一つに、ガラス工房の家庭に育つ本作の主人公、深水透子の家族での団欒、食卓シーンが挙げられます。一言で言えば、和やか。たとえば、美術部の透子が学校でにわとりを描いた日の晩、食卓に鳥の水炊きが出るというブラックさもあるほどの和やかさで、伸び伸びと育った彼女の性格がうかがえます。
率直な感想は、特定のテーマを持たない青春群像。未来が見える設定は、ただ単に恋愛模様を描いたのでは5人の高校生の関係性をうまく表現できないから、話を展開させて盛り上げたいがための取ってつけた策のようなものと感じます。
主軸は6人の青春群像(成長物語)かと思っていたので、その未来が見えるという力というもののためか恋愛問題を解決するのに面と向かって解決しない主人公・透子の考えに至るところは浅はかな気がします。
どうしたら解決に導けるかを想像しないから安易に未来(結果)を知りたいと思ってしまう、その考え方が高校生にしては幼いかなという印象です。
でも、この年代のスマホ持つ子供たちはそのような力に使われている側かもしれないということを教えられているようにも感じました。
人物描写が特定して、はっきりしないまま物語は進む(つまりは繊細に描かれてゆく)ので、場面展開において情報が小出しに引き出される印象があります。そのため伝えたいところが分かり難いと多分に感じるので、それぞれ主要登場人物6人の持つ役割を考えてみることにしました。※あくまで推測ですが、それぞれ対比をしてみると面白いかもです。
透子→正面のことに対して悩む人、気を使うと距離を置いてしまうタイプ
やなぎ→気を使っちゃう人、いちばん悩んでる(やたら走る)
雪哉→気を使うのが苦手な人、勝手に距離をとる(そのため分け隔てなく接する人がタイプ)
幸→距離感をもって接する人、自分のことを一番理解している(悩みは打ち明けないタイプ)
祐→気を使わないで距離の置ける人、分らないことには悩まないようにするタイプ(分らないことを知っている人に惹かれる)
駆→基本的に悩まない人(悩みが行動に表象化される)、区別はするが差別はしないタイプ
話を通してみてみると、2人で会話している場面が多いので、それは恐らく大事な場面なのかなぁと考えています。たとえば、雪哉と一緒にいることの多いやなぎと幸のシーンなど。
物語の展開で大事なことは、なぜ未来が見えるのか、ではないという気がします。
若者ゆえの、いわゆる厨二病的な感覚で未来を見ているのか、感受性の強さ(つまり能力ではない?)なのか、ストーリーを見る視点ではどのようにも読み取れる内容だと思われます。未来のかけら→たとえば、選択のことを指す?とか。
また、見て感じた見所のようなものですが
・自然豊かな風景
・ジョナサン
・見えた未来の出来事を透子と駆はどう捉えるのか
・6人の関係と恋模様
・幸の告白
・透子の実験とは
・駆の存在
・最終話、新たな能力者が現れます
ちなみに、OPEDのChouchoさんnanoさんともに好きなアーティストです。
「まだ起こってない、だけどきっとこれから起きること」は、もしかしたら青春ではないんだろうかと感じた物語の締めでした。