chariot さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
トリッキーな構成と見えない主題
1話視聴。
2人の高校生がテロを起こし・・・
さてどうなるのか?といった感じのスタート。
作画はとても綺麗でした。
キャラの感じも嫌いではなかったです。
OP、ED、BGMに於いては世界観を出せていると思います。(序盤なので断言はしませんが・・・)
全体的な雰囲気は「面白くなりそう」といった感じでした。
さて、最大の問題点を。
これは少年2人が起こしたテロを題材にしているようです。
異世界での話ならどれだけ殺戮を繰り返しても「まあ、フィクションだし」と目を瞑れるのですが、この作品は普通に東京でした。
リアルと同調させる事で批判の対象になりやすく・・・
テロという最低な行為を仕掛けた少年たち、彼らの生い立ちや報復したいと思わせる組織や背景を丁寧に描かないとただの劣悪な作品になりかねない・・・
どれだけこの少年たちが同情すべき可哀想な生い立ちであったとしてもやはり正当化してはいけない事象であり、結末は明るいものではないのだろうと予測しますが・・・
どう描くか、何を訴えるのか、見応えはありそうな1話でした。
全11話視聴完了。
雰囲気アニメとの声も多く、それも理解出来ない事はないですが、話としては悪くなかったと思います。
ただ、
・序盤で見せたテロリストvs警察の構図からサスペンス物を思い描いてしまい過剰に期待してしまった
・主人公たちの生い立ちや目的を後半までかなり厳重にカモフラージュしてしまった
この点から今作品の隠れた主題(死期が近い者の憂いや願い・・・と僕は思った)が伝わりにくくなってしまったのではないかと思います。
・・・でもキャッチコピーは「この世界に、引き金をひけ。」なんですよね・・・
だとするとやっぱりアテネ計画の非人道的な実験を知らしめる為になる訳で、このあおりも隠れた主題が紛れ込む事で純粋に展開を期待していた視聴者の方向と違ってしまっていたのかなあと思います。
・2人の女の子
ハイヴとリサが結構非難されているみたいですが・・・
リサに関しては
{netabare}はっきり分かると思いますが、ツエルブに「君に逢えて良かった」と言わせています。
守りたい、助けたいと思える人に出会えた事は彼の人生は意味のある物だったのではないでしょうか。
(その結果、唯一無二の相棒を裏切る事になったのがリサの批判される所以なんですが・・・それ以前にトラブルメイカーですし・・・){/netabare}
ハイヴに関しては
{netabare}アテネ計画の被験者で脱走出来ずに生きている存在。
ナインにはツエルブがいて、ツエルブにはナインがいて、お互いに相手だけを拠所として生きてきた・・・けれど彼女には誰もいなかった。
何がしたいのかよく分からない狂人的な行動を取るハイヴですが、詰まるところ、死期が迫っていた事でナインに逢いたかった・・・だけなんじゃないかと思いました。
彼女は死の間際にナインのお陰で生きて来られたと言ってます。
ナインに勝ちたいと願い続ける事で生きる希望をつないで来た・・・
またナインにしても脱走時の夢を見ていますね?
同じ境遇であった生き残りのハイヴを連れて行かれなかった事を少なからず後悔していた・・・
恩を感じていたハイヴはナインを助ける事で、ナインはハイヴの真意を知る事でお互い救われた・・・・・みたいな?(正直、整理出来てないです)
うん・・・まあ、その前の一般人巻き込んでも気にしなーい♪な感じが不要説につながるんでしょうね・・・
中盤からの物語に変化を付ける事とナインが夢に見る事で序盤から何らかの施設からの脱出を示唆する・・・そんな役割なのかなあと。{/netabare}
結局はこの2人の存在は隠れた主題に関係する点が多く、上に挙げたように主題が伝わりにくかったせいで意味わかんない存在になってしまったのではないでしょうか。
個人的には勝手な解釈で結構楽しめた作品でした。
ただ、全体的にツッコミ所が多いんですよね・・・
話に有利な状況が当たり前のようにあったり・・・。
たとえばスピンクスの問題で警察が間違えた答えの場所にちょうどいい物件があったり。
柴崎の娘が理工学部で知識があったり。
全部ナインの計算ずくですと言われたらそうなんでしょうけど腑に落ちない感が・・・・
ともあれ、劇場版レベルの作画、作品に合ったOP/ED、BGMなど制作はかなり力を入れていたと思います。
終始シリアス展開で最後もハッピーエンドとは行きませんが1クール十分楽しめました。