かしろん さんの感想・評価
2.9
物語 : 1.0
作画 : 4.5
声優 : 3.0
音楽 : 4.0
キャラ : 2.0
状態:観終わった
見せた覚悟は欠片だけ
【最終話まで見て追加】
渡辺信一郎監督に菅野よう子。制作MAPPA。
12年ノイタミナ枠の坂道のアポロンの組み合わせ。
1話を見て監督の覚悟に期待して
{netabare}このアニメの今後は監督の覚悟にかかっていると思う。
なんの覚悟か。
見ている人の心にどれだけの傷跡を残せるか、という覚悟。
大地丙太郎という監督がいる。説明するのがヤボなほどの有名な監督だが、おじゃる丸などの監督をしている人だ。
こどものおもちゃやマサルさん、十兵衛ちゃん-ラブリー眼帯の秘密-などの作品を次々と手がけた監督が一つの作品を監督する。
「今、そこにいる僕」
アフリカ少年兵、水問題、女性に対する性暴力、暴力による独裁政治などを真正面から捉え、本来なら救いとなるはずの主人公が発する「大丈夫」という言葉すら呪いと変えた凄い作品。
テロに核問題にと、やろうとしている内容は素直に「面白い」とは言いづらい内容だ。
だが、最後まで見終えた時に面白かったと思わせなくていい。
「そうか、監督は本当はコレを作りたかったんだ。
坂道のアポロンは実績作りの為の助走に過ぎなかったんだ」
と思わせてくれるくらいの、心に大きな傷を負わせる作品に仕上げて欲しい。{/netabare}
最終話まで見て監督の覚悟にガッカリして
{netabare}最後の最後で、日本のアニメーションでちゃんと核爆弾と銘打ってコレを爆発させた。その覚悟だけは認めたい。
が、ソレ以外は全くダメだった。
1話見終えた時の感想に書いた通り、このアニメには相当な期待をしていた。
私はどういう物語を期待していたか。
主人公2人は、何事にも揺るがない強烈なまでの意志、信念、ある種の憎悪を持ってテロを行っていく。
この2人に巻き込まれる形になった女の子は、ダメだ悪いことだ止めなきゃ、と思いながらも、いじめなどの生活環境の閉塞からの脱却を望み、2人のテロ活動の手伝いをしていく。
そして、揺るぎない姿を見せ続ける2人への思いは尊敬畏敬畏怖へと変わり、いつしかテロ活動に積極的に加担していくのだった。
というのをベースとして。
2人にテロを起こすだけの強烈なバックボーンを背負わせ、2人のやるテロは悪いことなんだけどそりゃテロを起こしたくもなるわ、と視聴者に思わせる。そして、テロ活動を行う反社会的な2人を思わず応援したくなるようにする。
つまりは、女の子と視聴者が2人に向ける思いをシンクロさせていく。
こうすることで、ドンドンとテロにハマっていく泥沼を味わえる。
こういう話をするんだ、と思っていた。
が、なんなんだろう、このグダグダ具合は・・・
はて、なんで面白く無いと感じるのか羅列してみよう。
・テロリストの意志の弱さ
2人とも女の子一人加わっただけでグダグダになりすぎ。信念を持って行っているテロリストに失礼なテロリスト像である。どんな犠牲を払おうともやり遂げる、位の意志もなくテロを計画するな。
人は殺したくないけどテロはしたいって、アホかよ。都庁爆破で人を殺さなかったのは「殺ろうと思えば殺れるんだよ」って意思表示じゃないのかよ。
・ナインのトラウマ?
ナインは施設脱走時に女の子を見捨ててしまったことを後悔しトラウマとしている。しばしば夢に見て起きてしまうくらいに。
物語後半にナインのライバルとしてその女の子、ハイヴが出てくるんだが、彼女が出てきた時に「あいつなら脱走しようと思えば出来た」とナインが語っている・・・ん?ナインは何故にそこまでトラウマを抱える必要があるんだ?
ということは、ナインのトラウマは、見捨てたことではなく、ハイヴに変な付きまとわれ方をしていたこと?
・ツエルブOPの笑み
ツエルヴがOPで見せた底意地悪そうな微笑み。何にも生かされていない。
しっかりしていそうなナインのほうが実は脆く、ヘラヘラしてそうなツエルヴのほうが芯が強くてナインを鼓舞している、みたいな仕掛けの合図とかじゃないのかよ。
・視聴者が傍観者になっちゃった
テロに核にというものを持ち出してきた時点で、テロを行う側かそれを阻止する側かのどちらかに対して視聴者が強い思いを抱かせる、という作りにしないと、第3者の絵空事として物語が進んでしまう。まさにそれになってしまった。
・犯人が求めた人物は
前半の対警察の犯行予告クイズ。あれの意味が分からない。
あのクイズの形式だと、頭のキレる人間を探している、というより、知識が豊富な人間を探している、というふうにしか見えない。
じゃあ、犯人が望む豊富な知識、ギリシャ神話の知識がどれだけ物語に絡んでいたのか。
アテネ計画って計画名以外になんも関係ない。知識豊富な警官が捕まえにきたラストで「あなたがオイディプス」とか言われても、はぁ・・・、である。
・核爆弾の爆発
今までアニメーションでN2だ反応弾だと誤魔化してきた核爆弾を核爆弾として爆発させた覚悟は良しとしよう。
が、それのお陰で電子機器が使い物にならなくなる、というオチ。
重病で入院してた人たちは大丈夫なんですか?その影響で、本当に人は死んでないんですか?{/netabare}
うーん、結局、核やテロを取り扱うアニメを作る監督の覚悟、みたいなのは
あまり感じされなかったな。
残念。