わた犬 さんの感想・評価
3.4
物語 : 4.0
作画 : 2.5
声優 : 4.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
天空翔るロミオとジュリエット
タイトルは原作者のイメージ。詳しくはアマゾンの原作1巻のページを読んでください。原作者のメッセージが載っています。原作、アニメ共に未見の方はネタバレがあるので注意。先に原作を読むつもりという方なら見ても大丈夫です。
○内容
空の果てを見つけることを目的に進む空飛ぶ島イスラ。浮遊島を舞台に飛空科の学生である主人公が、ベクトルの違う二つの目的を胸に恋と空戦を経験する話。ジャンルはスカイオペラ(なのであまり突っ込まないで!!)
○みどころ
寮生全員でキャンプをしたり、いけすかない奴と喧嘩したり至って平和な学生生活を送る前半と、気性の荒い空軍の長に指揮され学生である主人公達まで動員されるシリアスな空戦を迎える後半の落差。それまでの生活が眩しく見えると思います。
心の動き。後半の心の動きはカットされつつも丁寧です。主人公とヒロイン二人に注目して見てください。恋愛だけでなくあるものを捨てるまでの過程も素晴らしいので。それと作品名。誰から誰への恋歌か想像しながら見て欲しいです。
空の色。アニメ化してもらえて良かったと思える場所の一つ。原作の情景描写ほぼそのままの鮮やかな空が見れます。
寮長無双カット。変わりにあるキャラが助けに入ります。原作では震えているだけだった彼女が立ち上がります。希に見る良改編です。
原作中最高の山場であり、軍事考証が脚本だった7話。この話までは見て欲しい。正直ここまで見たら諦めてもいいです。アニメの中でも最高の山場です
最終話。原作シリーズのファンは最終話だけでも見てください。誓約の登場人物二人の後ろ姿が拝めます。自分はこれで全ての不満が消え去りました。
{netabare}チハル役田野アサミさんの演技。真に迫る演技です。普段の明るさ、打って変わったブランコでの静かさ、後席のみっちゃんへ必死の呼びかけ、墓の前、そしてエピローグ。作中最も変わったチハルを演じきった田野さんは本当にすごかったです。{/netabare}
○不満(消えたと言いつつ)
尺が足りない。5巻分を13話にまとめるのは無理がありました。原作があまり売れてないので仕方ないとは思います。
恋愛寄り。原作からして軍事系に詳しい方突っ込まれがちな本作品。アニメでは更に設定を省いています。
作画。残念です。顔はあまり崩れませんが、大分簡単に描かれたカットがちらほらあります。演出も残念で全体的に簡素です。最終話は1話から4年経ち身体的にも成長した主人公たちが見れます。が、カット毎に明らかに身長も顔つきも変わります。19才の彼らと15才の彼らが見れるのである意味お得かも知れないですが。
○終わり
監督さんは本当にこの作品が好きらしく、制作に関するエピソードは原作愛を感じるものばかりです。気持ちがこもっていても面白くなければ意味がない。自分自身そうも思うので一概にどうとは言えません。
でも、もし誓約をアニメ化するなら鈴木監督にやって欲しいと思います。出来ればウラヌスばりの余裕と金と人員を持って欲しいですが。