「銀の匙 Silver Spoon(第2期)(TVアニメ動画)」

総合得点
78.5
感想・評価
1137
棚に入れた
6581
ランキング
550
★★★★☆ 3.9 (1137)
物語
4.1
作画
3.8
声優
3.8
音楽
3.8
キャラ
4.0

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ネタバレ

やっぱり!!のり塩 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2
物語 : 4.5 作画 : 4.0 声優 : 4.5 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

どうか観てもら演歌ぁぁ(* TДT)θ~♪心から応援できる北の国から作品☆

■評価
テーマ性 :★★★★☆ 4.5
笑える度 :★★★★  4.2
腹減る度 :★★★☆  3.5
シリアス度:★★★★☆ 4.5
おススメ度:★★★★ 4.2

■ストーリー
エリート高校受験に失敗した八軒勇吾は失意の中で逃げ込んだ先の
農業高校で、新たに出会った仲間と共に酪農・農業を学ぶにつれて
自身の生き方も見つめ直していく成長・青春ストーリー第二期。
◎第一期レビュー:http://www.anikore.jp/review/755334/

■感想
一期のダークホース的な驚き桃の木作品から、今回はかなりの期待を背負って開始された第二期ですが、マッタケ期待を裏切らず非常に満足度の高い作品に仕上がっています。

まず一期は『食のルーツを知る』というテーマを大局的に描いていたが第二期では同じテーマを継承しつつも、今回は食のルーツの源となる『酪農・農家の現実』『人の生き方』というシリアスなテーマを具体的に深く切り込んでいる点は個人的には◎です。ありがちな作品であれば八軒自身の蝦夷農で活躍する姿だけを描いて終わってしまいそうですが、本作では一味二味違います。八軒は人の家だろうが何だろうがズケズケと足を踏み込み駒場一家や御影一家、そして一期でも気になっていた八軒自身の家庭環境にもスポットをあて、自分達をとりまく不条理な現実や問題点を具体的に指摘し晒している点は、分かりやすくも目を逸らしたくなる問題に私自身も萎縮してしまいそうです。

しかし、そんな現実の中で八軒が放つ言葉『何もできないかもしれないけど一緒に悩む事はできる』という誰でも言えそうな言葉に、行動と態度で裏付けする事で、『決まりきった運命』『不条理な現実』に一石投じる八軒の姿には感動を覚えます。もはや私には八軒に黄色い声援をおくる事しかできないのだ・・・。

総じて二期はシリアス色が濃いですが、ギャグや新キャラ、そして八軒の色恋も描かれているので青春ストーリーとしても満喫できるので大変おススメです。これからも三期・四期と続編を期待したいと思います。どうか皆で銀匙を応援してもら演歌~♪

一旦ここでレビューを終了させて頂きます。
ご拝読有り難うございました。

最後に本作をみれば大体の酪農家の窮状について理解できると思いますが、八軒を応援するために、まずは実情を理解するという意味で酪農家・農家が
抱える現実をまとめてみましたので以下ご参照ください。また本作のレビューとは関係ないため興味のない方は読み飛ばしてくださいまし。

■酪農家・農家の現実
{netabare}
駒場一家の様に日本の酪農家が離農する理由について個人的な興味もあり
アホなりに調べてみましたので簡単にまとめておきます。少しでも本作を
理解する一助となれば幸いです。(これが全てではないのでご容赦ください)

日本の酪農家が離農する理由の多くは会社の倒産と同じく投資や労働に
対する対価(利益)が得られなくなる事です。作中でも多く語られますが、
酪農は主に食肉・牛乳や加工品(チーズやヨーグルト)もしくはその原料を
食品メーカーに販売する事で利益をえる事ができます。それに対して製品を
製造・生産・販売するために下記の様な経費や投資が必要不可欠です。
◎設備投資:搾乳機・作業車など
◎人件費 :作業(バイトも含む)をする人の給料など
◎保守費 :家畜の飼料代・獣医代・燃料費など

では上記の経費や投資に対して得られる利益を圧迫する要因は
何かというと、大きく分けて以下4つに分けられるそうです。
①保守費(飼料代)の高騰
主に家畜用の飼料として使用されるのがトウモロコシをベース
とした混合飼料になるそうです。日本ではこの飼料を自前で
用意できませんので、ほぼ100%海外からの輸入に頼っています。
また近年の為替の変動(円高やら円安やら)やトウモロコシを
輸入する国の増加、そしてバイオ燃料などの利用により需要が
大幅に増加し、トウモロコシ自体の価格が急騰する事で酪農家たちの
保守費用の負担が増大する事で利益圧迫に直結しています。
TPPが開始されれば飼料価格は下がると言われていますが、世界の
需要があがれば、大本の価格も上がるため安心はできない状況です。

②製品価格の下落
二つ目の理由が、製品の販売価格の下落になります。
これは日本国内市場で国内外の食品メーカーによる乳製品などの
販売競争激化による価格下落が大きな要因になります。
国内の食品メーカーも価格で海外メーカーに負ける訳にはいかないため
加工食品の原料を安く海外から輸入する傾向にあります。
そのため日本の酪農家たちも自分達の製品が食品メーカーに
納入できなくなるのは困るため製品(原料)の販売価格を
下げざるおえない状況です。

③病気の蔓延
もはや最近のニュース等で聞きなれてしまいましたが、近年では
鳥・豚インフルエンザそして狂牛病などの病気の蔓延によって
せっかく育てた家畜たちを殺処分する事になります。これにより
売り物がなくなりますので一切の利益を得られなくなります。
どことは言いませんが、殺処分される家畜や酪農家たちが涙している
映像はいつ見ても居た堪れない気持ちになります。

④人手不足
4つめが日本の少子高齢化に伴う労働力不足になります。
まさしく駒場農場を追い込んだのは本問題だと考えています。
これは単に働く人が減るというだけでなく、酪農や農業は家畜・植物
(生き物)が相手になりますので365日休みなく働く必要があります。
そのため体が資本になりますし、何よりも酪農・農業には専門知識や
経験と根気が必要になります。そのため人口がへるというよりも
酪農家になりたがる人自体がいないのです。
そのため労働力低下によりそもそも酪農・農業を続ける事ができない
状況です。

これらの対策のために酪農家は一品種の家畜に頼る事をやめたり
多摩子家の様に巨額の設備投資を行い生産量を増加させる事で
増収増益につなげ製品価格の下落に対応しようとしています。
しかし巨額の投資ができる酪農家が多いわけではありませんので、
酪農家たちは共同経営したり、駒場家や御影家の様に設備投資するために
互いに借金の保証人になって担保しあっていますが、それでも上記理由に
よる窮状に耐えられず離農してしまうのが日本酪農・農家の現状な様です。

TPPになればより合理的な生産性の向上が求められるため、今後は酪農家や
農家は減り、さらに大きな組織の企業体として酪農や農業をいとなむ時代が
到来する事になるかもしれません。先日も某電機メーカーがビル内部で
作物を栽培できる大型機械が発表されているのをみて、そんな時代が
現実味を帯びてきた気がします。
今自分ができる事は何なのか?八軒と同様に実情をしり思い悩む事は
無駄ではないと思います。問題を意識する事で八軒の様に知らないうちに
行動に移す事ができるからです。そんな八軒クローンが増加する事を
個人的には待ち望んでおります。
{/netabare}

長文にも関わらず、重ねてご拝読ありがとうございました。

投稿 : 2014/07/06
閲覧 : 354
サンキュー:

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