かげきよ さんの感想・評価

2.6
物語 : 2.0 作画 : 2.5 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 2.5 状態：観終わった

無いじぇヴォルン

気象変動で空を飛ぶことが出来なくなり長期にわたり戦争状態が続く世界での
一つのロボットとそのパイロットの物語。


「ブレイク ブレイド」のレビューで
あの世界観で車両がないのはおかしい！　と言った手前、
こちらの世界の方が「戦争」として現実味があるとはいえる。
ただそれは舞台としてということであって
正義感を振りかざし命令を無視する新兵：トキムネには現実味は感じない。
アムロもキラも民間人だったからすんなり物語に入れたが
軍人がコレをやっちゃうと違和感があるしげんなりしてしまう。

今後トキムネが活躍し、その正当性が増して行く事になる筈だけに
この引っかかりは大きく響きそうだ。
トキムネが軍を離れ正義の為に孤軍奮闘したり独立軍を作るなりする展開になるなら
その白銀（しろがね）の意思に十分納得いくけど、
「ま、いっか」で軍に戻るとなると収まりがつかなくなりそうだ。
せめて納得してやろうと思える落とし所になって欲しいと望む。
まだ始まったばかりだし
「戦争を背景とした魅力的な物語」になる事にまだ期待は持っている。


【総評】
コレは駄作の部類でした。

最初は軍規違反で引っかかりましたが最後までそれは続きます。
この軍規違反が違和感を大きく通り越し世界観になっているという皮肉。
描いているのは「戦争」ではなく「戦争という環境で己を貫き通す個人」。
こう書くとまだカッコ良いけど結局は「戦場での自己中」のぶつかり合いです。
なので端から無い話で共感するのがとても難しくなっています。

この世界観を甘受したとしても内容も薄く２クールが長い。
メリハリや印象的なシーンもなくダラダラとしたテンポでストーリーが進行。
キャラが物語を動かしている感じが無く自動的に流されて進行している
感じになってしまっている。
キャラが自己中なのにこの展開力の無さは逆にスゲェです。

部隊内に死人が出ず「戦場での辛い死」が全く描かれていないのも
戦争モノとしては異例というか問題で、
緊張感を失わせ虚構感を増長させています。
モブキャラは死にますが本当に何も感じないし感じさせないです。

ロボアクションも面白味が少ないです。
デザインも好みでないですが新機体と旧機体の技術差がありすぎて
敵も味方も新機体無双で戦術もへったくれもなし。
バランスや動作システムからして別物じゃん！というツッコミ所があり
本題の「アルジェヴォルンをパイロットの精神で動かす革新的なシステム」に焦点が合わず
ボケてしまっていてバトルをつまらないモノにするだけでなく
シナリオにも影響してしまっています。

キャラの魅力、音楽、作画も並以下ですし八方塞がりで褒める所がないです。
いっそトキムネとジェイミーの愛情モノとして描いた方が活路が見いだせたかも知れません。
設定とかそれなりに凝っていて苦労の跡は見えますがつまらないものはつまらないです。
残念ながらオススメできない作品です。