bana-g※更新減 さんの感想・評価
3.6
物語 : 4.5
作画 : 3.0
声優 : 3.5
音楽 : 3.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
魅せ方次第でいくらでも面白くなる。アニメの可能性を再認識させる作品。
◆キャラ(デザ)・演技◆
・第一印象で「汚い」と思われても仕方ない。しかし、作画の巧拙を個人の好みと丸っきり混同して、
単に万人受けしなさそうな作画を十把一絡げに低評価して見限るのは勿体無いと思う。味のある絵。
・中国語の台詞回しが迫力あった。言葉は理解できなくても気迫や皮肉の雰囲気は伝わるものだね。声優の中国人さんが上手いのかも。
◆ストーリー(整合性・傾向・好みの度合...etc)◆
・シンプルだが雑じゃない物語の運び。試合中の駆け引きは言わずもがな、
各々が勝利に賭ける情熱の裏側、つまり負けられない理由を完結かつ的確なヒューマンショートドラマでまとめてあって、
どの選手も心情的に応援したくて仕方なくなる。使い捨てのキャラクターがいないね。
・上記は主にライバルサイドの傾向。主人公サイドは、また別のテーマでの上手くまとまっていた。
欠落している熱意を取り戻すまでの過程、見事にプライドを打ち砕かれ這いつくばった状態から立ち上がるまでの過程。
友情をベースにこちらも別の良さがあった。
◆音楽◆
・確かめてないけどサンボマスター?まぁ疾走感出しときゃ青春っぽく響くしええんでない。
◆演出・特徴◆
・物語序盤はあくまでボーイ・ミーツ・ボーイ(笑)の段階であって、闘いに際しての因縁も熱意もそこまで
高くない。よって勝負に賭ける熱意の少なさは試合のスピード感、迫力へと反映されるのだが、
マンガのコマ割りのように独特のカット表現を多用することで序盤の勢い不足を補っているような印象を受けた。
・後半は感情・熱意の爆発をそのまま体現するかのようにリアリティを度外視したインパクト重視の演出が見事にハマって視聴者の興奮を絶妙に掻き立てていたと思う。
{netabare}才能の伴わない努力に価値など無いと言わんばかりの現実主義者ドラゴン(風間)が、ペコとの試合で感化され考えを改めるシーンが、翼のメタファーだけで視覚的に直感的に表された {/netabare}演出などは好例だろう。
◆◆総評◆◆
~へのアンチテーゼだと言わんばかりに「ありきたり」を積極的に外そうと試行錯誤する傾向にあるのが近年のノイタミナ枠かもしれない。
奇をてらってみるのもまぁ良い事だろう。今回は目新しさが上手くハマり奏功したと思う。
挑戦的な作画だった本作の成功は、アニメが作画のみで評価を決されるのではなく、魅せ方次第でいくらでも面白くなりうると再確認させてくれた。そういう意味では観てみて正解だったと断言できる。
BDの売り上げが伴うかは置いといて、作品の完成度は非常に高いので、シナリオ重視の方にはオススメしたい。