plm さんの感想・評価
4.5
物語 : 5.0
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
ギャグとシリアスと可愛さと悍ましさ アンビバレント・バランス
「エルフェンリート」の作者が描く、ヤングジャンプ連載漫画原作のSFダーク系作品。
異質で差し迫った世界観と、シュールな映像のギャップが絶妙なバランスでミックスされている。
想像だにしないぶっ飛んだ展開の連続に、ハラハラしつつも心掴まれること必至の独特の面白さを放つ。
■そしてヘラ、ナエナロのヘニムヘーロ
先行していたイメージが「グロテスク」や「やたら重い」みたいなものだったのに、
いざ観てみれば間の抜けるようなコミカルなイベント満載で、ギャグアニメじゃんか!という認識に。
事実、物語としては凄く重かったり、切羽詰まった状況だったりするのだけれど、
そんなことでへこたれないキャラクターたちの生き様が、むしろ活き活きとして感じられる。
このギャグっぽさとシリアスさは、正反対の性質なはずなのに、
そのどちらもがキャラの"自然な在り方"を体現しているようで、登場人物への思い入れを強めていく。
真剣だからこそ、咄嗟の馬鹿さに笑えたり、無邪気に笑えることをしているからこそ生きてほしいと願う。
一瞬一瞬の行動がどれも真剣だからこそ、展開に固唾を呑んで引き込まれていくのだと思う。
この一話一話の盛り上がり方や世界観のユニークさ、そして作品にのめり込んでいく感覚は、
ひぐらしやギアス以来に久しく感じたように思う。とても個性的で色の強い作品だった。
■困った人を助けるぞー \コマッタ!/
この作品では登場人物が簡単に死にゆくような、絶望的で悪辣な環境の下に立たされている。
しかしながら、この作品から感じ取れるテーマ・思いは「救い」だった。
"死"という絶対的な先行きのなさが目前に示されたことで、"生"の存在感が強調される。
人の最も強い行動原理は、命の危険が迫ったときそれに抗うことであろう。だから非常に説得力がある。
それゆえに、本来死にゆく運命だったものが生を得ることができた、それは大きな共感(救い)を生む。
これを効果的に表現している一端が、佳奈ちゃんの予知だと思う。
悲愴的な"死の未来"が映し出されるからこそ、それを回避することに真剣みが帯びる。
作中何度かある佳奈ちゃんの予知シーンの切迫感は印象に強く、好きな要素でもあった。
それを差し置いても、登場人物の中で好きなキャラだったのは佳奈ちゃん。
ストレートな物言いでも毒がなく漢前だし、表情変わらないのに表情豊か。話してて楽しそうな子だった。
■アイン・ソフ・オウル! 世界は滅んだ
エターナル・フォース・ブリザードよろしく荒唐無稽感の溢れる終焉を飾ったラストであった。
終わりよければすべてよし、の真逆をいくような最後は、んだよ意味分かんねえ!と魔法戦争の再来級。
それもそのはずラスト二話で原作5巻分くらい詰め込んだらしく、正気の沙汰ではない。台無しだよ!
この作品こそ2クールほしかったと悔やまれる。
心残りです… 猛烈に心残りです…
2クール…2クール…観たかったです…
悔やまれます…2クール…
本当に悔やまれます…
そうはいっても中身が無かったことにされるわけではないので、
ここまで最高に面白い作品を観ることができたのは純粋に喜び、感謝したい。
そんなの全然関係なぁ~い♪