にゃっき♪ さんの感想・評価
3.9
物語 : 3.0
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
missing a puzzle piece
ジグソーパズルのピースが埋まっていくような手法で作られたダークファンタジー作品です。
異能を持った作品といえばバトルがメインですが、この作品はほとんどが、登場キャラの願いや過去の因縁、作品世界の説明だけで終始します。
設定が細かくて、かなり難解なストーリーにも関わらず、時系列に沿っていないのはもとより、キャラも姿形や呼び名が変わっていますので、担当声優(特に宮野真守、 阿澄佳奈、中原麻衣)のチェックが必要ですし、それでも混乱して当たり前かと思われます。
物語の始まりは各話の最後の紙芝居のようなショートストーリーにあり、登場する怪物の正体は、メカクシ団のメンバーの持つ能力が目にまつわる能力ばかりで、発動するときに赤く変化するのと結びつけて考えれば、早い段階から推測できるでしょう。怪物の持っていた10におよぶ能力のなかに、能力そのものが自らの意志を持つものが存在していて、愛する相手との永遠を望む怪物をそそのかし、終わらない世界であるカゲロウデイズという異空間をつくらせた事が悲劇の始まりでした。
メカクシ団のほとんどのメンバーには、死にかけた共通の体験があり、いずれも同時に別の命が犠牲になっています。これは、カゲロウデイズに接触し、犠牲となる命は異空間に囚われ、生還を果たした者は怪物の能力の一部を持ち帰ることで生還できたことになり、能力とは彼らの命そのものです。接触以外にひとりで死んで干渉するケースもありますが、どちらも8月15日でなければいけないようです。前述の意志を持った能力を持ち帰った人物もいるのですが、これは能力というより憑依といった方が正確で、自らが存在し続けるために世界のリセットを目論みます。今までにも何度も同じ時間が繰り返され、無限ループのような時の螺旋をメカクシ団が阻止できるかどうかが話の根幹になります。
涼宮ハルヒのエンドレスエイトであれ、Steins;Gateであれ、時をリセットして同じ時間を繰り返すような作品では、視聴者以外に記憶を失くさずにいられる登場人物が存在しないと意味がないわけですが、この作品は何故記憶を保てるのかが説明不足ですし、迷路から脱出するために必要な鍵は何だったのかを視聴者にきちんと伝えようとしていなかったと思います。
時系列のシャッフルについては「メメント(2000)」やタランティーノ監督の「レザボア・ドッグス(1992)」「パルプ・フィクション(1994)」など、名作に共通しているのは最後にキッチリとピースがハマる事だと思います。もともと毎週視聴するTVアニメには不向きな構成なのに、この作品は言葉での説明が多く、終盤はピース不足で想像で埋めなければならないように感じさせるようでは、最後までつき合った視聴者をガッカリさせるだけの作品と評価するしかないです。
個人的に、物語シリーズ同様のシャフトの演出はもはや新鮮味も感じられませんでしたが、多彩な挿入歌も含めスタイリッシュな音楽は魅力的でした。