退会済のユーザー さんの感想・評価
4.7
物語 : 4.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
世界を変えるのはこんなにも難しい。
ハチミツとクローバーから羽海野チカさん繋がりで見始めました。{netabare}そのせいでずっと滝沢が森田さんに見えてしょうがなかったです。{/netabare}
やはり顔つきや表情に愛嬌があって好印象です。クセもそう強くないので万人受けするデザインだと思います。
あと、OPの「Falling Down」。イギリスで超有名なバンド『OASIS』の曲らしいですが素晴らしいですこれ!一度聴いてドハマりしました。まだ聴いたことない方は是非是非。
あらすじ
{netabare}
大学4年の卒業旅行でアメリカに訪れていた森美 咲(もりみ さき)は、ホワイトハウス付近でトラブルに巻き込まれているところを同い年の青年、滝沢 朗(たきざわ あきら)に救われる。
滝沢は自分の記憶を失っていて、そして何故か82億円もの電子マネーが入金されている上に何でも願いを叶えてくれる謎の携帯「ノブレス携帯」を所持していた。
この風変わりな男に次第に魅かれていった咲は、滝沢が自身の記憶と謎の携帯について探し回る道中に同行することにする。
滝沢の失われた記憶とノブレス携帯の指し示す真実は何なのか。
{/netabare}
結論から言ってかなり楽しめました。こんなにスイスイお話に引き込まれていったのは久々でした。
個性豊かなキャラクター達がコミカルに動いて面白いです。
ちょこちょこ洋画のネタを仕込むのも小気味良いっていうかオシャレですね。(ゾンビとかタクシードライバーとか)
追記:というか、タイトル自体が既にパロディなんですね!(笑) 『エデンの東』を文字って東のエデン、と。
にわかですいません。もっと勉強します。
オタクやニートをあえてステレオタイプに描いているのも皮肉が利いてる感じ。
シュタゲのダルみたいな、無駄にイケメンボイスの学生ニート板津くん。大好きなキャラです。彼のような賢い人間(ニート)になりたいと思いました。
ストーリー展開に関しては謎が謎を呼ぶような、引きの演出が抜群に巧いと思います。1話1話丁寧に構成されているのが分かります。
後に判明する様々な真実が、神山健治さんが監督とあって現実に迫る説得力をもって伝わってきました。
だからか、やはりこの物語に‘答え’を期待する声が大きかったのだと思います。
今でこそ自分は冷静に見ていられますが、当時リアルタイムで追いかけて見ていたら同じようにこの作品に明確な解答を求めていたと思います。
でもこの作品に示されているのはあくまで答えに対する問いかけ、問題提起に留まるもので、これが{netabare}日本を救うための{/netabare}答えだ!という結論ではなかった。
作中で助けを求めている若者たちのように、視聴者も現実に対する閉塞感を打破する綺麗な終わり方を求めていたのかな、と。ある意味そういう感情を視聴者に抱かせれば作り手としては勝ちですが(笑)
追記:劇場版含めて見ても、それほど破綻しているシナリオとは思えませんでした。ただ、視聴者を惹き付ける魅力に欠けていた。または納得させるだけの説得力に欠けていた、という事かもしれません。
それから他の方のレビューを拝見したところ、キャラクターに好感が抱けなかった。好きになれるキャラクターが居なかった等の指摘があり、これもマイナス要因ですね。
監督曰く森美咲を主人公に置いて物語を彼女の視点で進めたらしいですが、肝心の咲の心理描写はそれほど多くなく、他のキャラクターも内面を深く掘り下げることをしなかった。そのせいで視聴者が感情移入する余地が少なかったのではないでしょうか。
僕自身、早見沙織さんの演じるキャラはこれまで全てストライクだったのに、咲だけはイマイチ好きになれなかったことに少し驚きでした(笑)
ともかく、個人的には作品に於いて大事なこと、それは明確な指針を示すことよりも見た人に考えさせる、影響を与えることの方が大事だと思うので、東のエデンは十分その役目を果たしたのではないかなと思います。
ネタバレ込みの主張
{netabare}
ガッチャマンクラウズのように、世界を変えることができるのは私達一人一人の力だ、という最終話の流れはそれなりに良いものだと思いました。
それから‘ノブレス・オブリージュ’、この作品では‘持てる者の義務’という解釈だそうですが、この考えは正に今の日本に必要な感性ですね。一方的な社会的強者による搾取だけが行われる社会は間違っている、という作中のセレソンらの主張自体は正当なものだと思います。
{/netabare}
テーマ性とエンタメ性に富んだ良い作品でした。今の所ノイタミナ枠で一番面白かったです。
ただ大人向けというよりは若者向け。そこまで高度で難解な話ではないので、攻殻機動隊級のシナリオを期待するものではないですね。
気楽に楽しめる分より広くオススメできる作品だと思います。普段ぼーっとアニメを見ている人がちょっとだけ頭を使って見てみるか、ぐらいのレベルで大丈夫なので安心です。