plm さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
その遊戯は絶望
トレーティングカードゲームの販促アニメ、かと思いきや……全く売る気のないアニメ。
少女たちがカードゲームを通して友情を育んでいくような内容、にしては陰鬱な雰囲気が付きまとう。
婆ちゃんは果たしていつ無限婆ちゃんになってしまうのか?!
■この作品のキーワードは『反転』
{netabare} LRIG(ルリグ)を逆さにして読むとGIRL(少女)になることや、
OPに映る少女とルリグたちは鏡写しのようになっていたりと、うまくこれらが随所に散りばめられている。
それがもたらす暗示は、不吉さと共に好奇心を煽る。いわゆるこわいもの見たさというやつ。
何かが起こるであろう不吉な予感をさせ、さながら嵐の前の静けさのように平穏な日常を描写する。
徐々に引き込まれていく話の構成は不安と期待の中で勢いを増していった。
そう、視聴者もまた、この先に来るであろう『物語の反転』を期待させられていく!{/netabare}
■その本領発揮は五話
{netabare} 物語が『反転』し始めるのは、第五話、いよいよ三敗の結末が明かされることになってから。
"願い"は『反転』し、取り返しのつかない『絶望』へと変わる。
信じたものの本質が全く別のところにあり、軽はずみな行動が救いようのない結果を生んでしまった。
まどマギを彷彿とさせる絶望感だったね。
単に、人が陥れられてひどい目に合うだけでは、この絶望感は感じ得なかっただろう。
真に絶望的に打ちのめされる感覚は、人が何かに縋ったとき、それを信じたとき、期待したとき、
それを根底からぶち壊すような不条理な現実にこそ、どうしようもない遣る瀬無さとなって襲ってくる。
ひっとえーの真摯な想いと、無垢な望みに心が動いたからこそ、この八方塞がりな絶望感を味わった。
本当にショックだった。
しかし『反転』はその後も続く。
話の肝はさらに先に用意されていた。勝ち続けた場合どうなるか、二段構えの反転劇。
そこでもまた『反転』するのである。今度は"願い"ではなく"自身"が。
ある願いの「逆」が偽であると同時に、ある願いの「裏」もまた偽であるかのように、
「真」の願いは叶わないようにできている仕組み。こりゃQBの方が良心的に見えてくる始末。
select(選ぶか) or infected(浸食されるか)
その遊戯は絶望しかない。{/netabare}
■あの悦楽はばとう
{netabare} そんな精神ダメージをざくざく与えてくる本作だが、ポジティブな面で気に入っている部分もある。
それは主人公(とタマ)のキャラクター性。周囲が面倒なものを抱えているやつが多い中、
変に我を通すこともなく、かといって殻に籠らず、純粋にばとるぅの衝動を求める戦闘民族だったところ。
周囲の人物が欲やしがらみに振り回される中で、本質を追求している主人公ってイイ。
しかし、ここでいう本質というのは「カードゲームを楽しむこと」なのだけれど、
主人公はそこを目指しているのに、シナリオが全力で邪魔してきているというのがやっぱり異端すぎた。
どうみても呪いのアイテムの類なのに、これをみてWIXOSSやろう!と思える人がどれだけいたのか。
やっぱ売る気ないだろ!!と思ったアニメだった。
……でもまぁある意味では、これが販促的にも上手いシナリオなのかも。
アニメのキャラクターが"カード化"されて発売されても、まったく不自然ではないのだから。{/netabare}