北山アキ さんの感想・評価
3.5
物語 : 3.5
作画 : 3.5
声優 : 3.5
音楽 : 3.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
対自分バトルするカードバトル
岡田麿里脚本なので、カードゲームものへの偏見を差し置いて観てみた。
休日朝に流れてるカードものアニメは
「いつもバトルしてんな」という印象なので、
まともに観ようとおもったことはたこと無かった。
でも、これはあまり対プレーヤーのバトルはしない。
強いて言うなら、心理的葛藤という対自分バトルがメインと言える。
不思議アイテムを与えられ、慾望を喚起され、
何かやばそうと分かりつつも泥沼にハマり込んでゆく展開。
慾望の対価が高くつくという設定が似ているので、
『まどマギ』を想起する人が多いのは頷ける。
ただし、主人公の性格は全く似ていない。
まどかが現状に不満があり「別の自分になりたい」と思っているのに対し、
この作品の主人公るう子は今の自分に不満があるわけじゃない。
慾望解放へのためらいも質が異なる。
まどかは目的があるのに、周囲に邪魔されて魔法少女になれない。
るう子はゲームに「楽しい」以上の目的を必要とせず、
無限少女になりたいとなんか思っていない。
逆にゲームに目的を求められると「面倒くせー、バトルなんかしたくねー」
と思ってしまう。
慾望が無いから、主体性が不在で、行動原理も受け身なのだ。
まどかには能動的行動の抑圧が働き、
るう子には受動的行動の強制が働く。
だから、まだ観ぬ二期において結末が似ないこともあり得る。
『まどマギ』は損得勘定に聡く、理屈っぽくて、ある意味説教臭い世界だったが(悪い意味じゃなく)、
こちらは損得勘定の通じない空気や感情に支配されている世界に思われる。
二期に盛り上がりが来ることを期待。