にゃっき♪ さんの感想・評価
4.6
物語 : 5.0
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
times go falling in the fading light
ガウナと呼ばれる生命体により人類が太陽系を追われてから1000年が経過した未来。
地球を脱出して宇宙を旅する播種船シドニアの前に、100年ぶりに出現したガウナと、人型の主力戦闘機である衛人(もりと)に乗り込みシドニアを守る操縦士たちの戦いを描いた作品です。
シドニアの迷宮のように入り組んだ地下で、祖父のヒロキと二人でひっそりと暮らしていた主人公のナガテは、衛人の仮想訓練装置で徹底的に操縦技術をたたき込まれました。祖父を亡くし食料が尽きて、精米工場に忍び込み捕まってしまったナガテですが、彼の出生の秘密を知るシドニア艦長の小林は、ナガテの身元引受人となり、衛人の操縦士訓練生として、伝説的な衛人である継衛(つぐもり)の操縦士に抜擢します。
ガウナに対抗できる武器はカビザシと呼ばれる槍だけで、人を体内に取り込み人を模した容貌を形成するなど、グロテスクで底知れない怖さを感じさせてくれるガウナは、謎が多く、進撃の巨人を連想させます。
作品世界ではバイオテクノロジーが発達しているようで、熊の姿をした寮母のヒ山や自分の選んだ相手に合わせて性別を決められる中性のイザナにはじまり、人のクローンも当たり前に存在していて、人類は食糧危機を乗りきるために遺伝子操作で光合成をおこなえます。ナガテは光合成が出来ませんが、心肺停止状態からでも蘇生できるほど高い治癒再生能力を持っているようです。
気になったのは、キャラの識別が難しく、胸の認識番号(数字部分は機体番号と同じ)を何度か確認しながら視聴させられたことと、仲間が犠牲になったあとのキャラの反応が希薄で、冷淡に感じられたことぐらいでしょうか。
衛人は人型ですが、飛行機に近い印象で、ロボット作品特有の雰囲気はほとんど感じませんでした。
緻密な設定と先が読めないストーリー展開は魅力的で、視聴が進んでも胡散臭いシドニア上層部やガウナの謎も深まるばかりですが、容赦なく犠牲者が出るため、圧倒的な緊張感に支配された種の存続を賭けた攻防は最後まで見応えがありました。のっぺりした印象のキャラデザは、最初はちょっと馴染めないように思えましたが、いつの間にやら個性的で独特な魅力を感じずにはいられなくなりました。
2期の「シドニアの騎士 第九惑星戦没」の告知がされましたが、多くの謎を残したまま終わりますので、個人的には落ち着かなくて原作コミックに手を出してしまいそうです。