ぐりこもなか さんの感想・評価
3.2
物語 : 3.0
作画 : 3.0
声優 : 3.5
音楽 : 2.5
キャラ : 4.0
状態:今観てる
弱虫ペダルロードレース講座
とりあえず評価については上の数字そのままだ。正直漫画のほうが個人的には熱くなれると思う。
ここから下は、レビュー欄にレース中の進行がよくわからないと書いている人や、実際のロードレースは弱虫ペダルと同じなのか等々、ロードレースのルールや進行方法に疑問を抱いている人が多いので、ココではそれについて出来る限り説明しようと思う。
少し辛辣に書いてしまっているが、自分も弱虫ペダルは好きなのであまり不快に思わないで欲しい。
弱虫ペダルロードレース講座
[1.実際のロードレースとの違い]
{netabare}
まず実際のプロロードレースと弱虫ペダルのインターハイでの大きな違いは、スタート方法だ。
これが違うことで弱虫ペダルでのレースと実際のロードレースでの展開は大きく異なってしまっている。
弱虫ペダル初日は全員一緒のスタートだが、二日目以降は駅伝と同じ方法をとっている。
つまり、前日に早くゴールした選手ほど早くスタートできる方式だ。
これによってレース最終日は最初にゴールアーチをくぐったものがそのまま優勝となる。
一方で実際のロードレースでは、前日の順位やタイムは記録にだけ残り、二日目以降も初日と同じように全員同時スタートを行う。
なのでたとえ最終日に一番先にゴールしたとしても、ほかの選手の総合タイムがその選手よりも短かった場合はその選手が優勝となる。
とこのように、タイム差を次ステージで適応するか最終ステージ終了時に適応するかの違いだけなのだが、この違いだけで大きく流れは変わってきてしまう。
その流れが変わる最大の要因は、集団の数の変化だ。
弱虫ペダル方式では選手ごとにスタートにかなりばらつきがあるため、集団の数が少なくなるとともに、有力チームほど先にゴールしているため力のあるチームが集団に最初からいないことが多い。(本当に総合優勝したいのなら有力チームほど集団に残っていたほうがいいのだがそれについてはアニメの二期である程度描かれることになるだろう)
これではただでさえマイナースポーツのインハイで力量差にばらつきがある上に、集団の数が少ないので、集団の意味が薄れてしまっている。
そのため本来のロードレースとは異なったチーム主体での闘いになってしまっている。本来ロードレースは最終局面までは他のチームとも協力することが多く、チームごとに孤立してお互いを煽り合うなんてことはまずない。
もし弱虫ペダルのようなルールになったとしたら、二日目はまず箱学と京伏でフルメンバーが揃い次第協力して総北を離しに行くだろう。
それ以前に二日目にチーム選手ごとにタイム差が存在している事自体が非効率的である。
山岳ステージなのでクライマーが先にゴールしたがるのはわかるが、エースまでもチームメイトをおいてまで先にゴールする必要はない。
エースは最終日に一位をとりさえすればいいのだから。
全日優勝出来るだけの能力があればいいと思うが、それがないのであればこの選択は大いに誤りである。
体力を消耗するだけでなく、翌日のレースでチームメイトを待たなくてはいけなくなる。
では逆になんでこのようなことをするのかというと、弱虫ペダルに出てくる選手にとってはスプリント賞や山岳賞、各ステージ優勝は総合優勝と同じものと考えているからなのだろう。
そうすれば初日の田所や鳴子、その他スプリンターの謎の逃げなども説明が行く。
そのへんの描写をしっかりと書けばもっとすんなりといく人も多かったと思う。
ちなみに実際のロードレースでの各賞の重視度としては
ステージ<総合山岳<総合スプリント<<<総合
が目安だと個人的に感じる。
このように弱虫ペダルはわかりやすくするためだろうが完璧に敵、味方を分けすぎ、さらにはゴールや各副賞までも総合優勝と同一視しているために本来のロードレースとは全く違う、効率の悪い走り方をしてしまっている。
{/netabare}
[2.疑問点についていろいろ]
{netabare}
初日のスプリント賞をとったことによる先頭交代について理由がよくわからない人が多いと思う。
しかしながら、これについては、弱虫ペダルは実際のロードレースとルールが違う以上あのような歯がゆい説明しか出来ないのだ。
ただしいて言えば先頭を走ることを「押し付け」られているのが的確だ。
リアルのロードレースでは、様々な要因によってレース開始後に必ずと言っていいほど「逃げ」という複数チーム数名から構成される先行集団ができる。
おおざっぱに書くとこの先行集団にほかチームのエースや有力選手が入ろうとするのを止めるのがメイン集団の前方、つまりは総合優勝に近い選手を擁するチームだ。
彼らは自分たちで集団を操って逃げを行おうとするほかの選手たちを「止めなければ」勝てない。
そのためには先頭にいってペースメークを行わなければならないのだ。
たとえ先頭で風よけになって選手が消耗してしまうとしても。
こういったデメリット要素があるためにわざと有力選手がいながらも試合後半まで総合優勝に絡もうとしないチームもあるほどだ。
それほど総合優勝のゼッケンを保ち続けるのは重労働なのである。
それなのにこぞって初日から集団を抜けだしてまでステージ優勝を狙おうとする3校のエースたちには相当なまでの全日優勝への執着があるに違いない。
{/netabare}
この他疑問の出そうな事について書いてみる
Q.レース中にしゃべりすぎでは?実際でもこんなしゃべっているの?
A.たしかに喋り過ぎだが、実際にレース中でも会話はする。無線で監督と作戦について指示を受けたりもする
Q.飲み終えたボトルとかはどうするの?
A.基本ポイ捨て。それが原因でたまに落車も起こる。
Q.実際でも新開さんのように動物轢いちゃったりってするの?
A.普通によく起こる。
https://www.youtube.com/watch?v=c0dzMp61G5w
↑を見て欲しい。
他にも疑問がある人は是非教えてください。ここに記事を追加します。
この文章を読んで、より深くロードレースのことについて知りたかったら実際のロードレースを見てみるのが一番だ。ちょうど来月5日から世界で一番有名なロードレースであるツール・ド・フランスが始まる。リアルのロードレースは弱虫ペダル並みのドラマも起こるので是非みて欲しい。