にゃっき♪ さんの感想・評価

4.1
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.5 状態：観終わった

everything must change

中世ヨーロッパの雰囲気が漂う異世界を舞台に、大きな棺桶を背負って父親の遺体を集めるチャイカと、同行する乱破師(サバター)兄妹の冒険ファンタジー。

長きに渡り魔法で帝国を支配していたガズ皇帝が、同盟を結んだ国々の八英雄によって倒され、戦争が終わって５年。
民衆が平和に期待し過ぎた反動なのか、暴動や疫病、民族紛争など社会不安が高まるなか、戦後復興推進機関(クリーマン)のジレット隊は、死んで８つに分断されても強い魔力の源として存在するガズ皇帝の遺体の回収と、皇帝の娘チャイカの捕縛を命じられます。
孤児を集めて、戦争中は忍者のように暗殺や偵察をはじめとする汚れ仕事を担当するサバターを育成していたアキュラの里で育ったトールは、平和が訪れた事で、身につけた技が何の役にも立たなくなってしまい、自堕落な暮らしをしていました。退屈な日常から抜け出したかったトールは、チャイカに出会って仕事を終えた直後、ジレット隊に真実を聞いたのをきっかけに、義妹のアカリと共に皇帝の遺体を集め弔いたいというチャイカに同行して、願いを叶えるために協力する道を選択します。当初は死に場所を探していたようなトールは、新たな生きがいや自分の居場所を見つける事が出来るのでしょうか。

冒頭の投げやりなトールの暮らしぶりや、大きな棺を背負い遺体を集めているという設定に引いてしまう方も少なくないと思いますが、複数存在するチャイカの謎がちらつき始めると俄然面白くなってきます。
「けいおん」でも見かけたようなチャイカの眉毛や、奥義である鉄血転化を発動する詠唱が長いのは気になりましたが、サバターならではの技を駆使したバトルは見応えがありました。
話の大筋は同じですが、原作を大幅に改変しているところもありました。時間的な制約もあったのでしょうが、長く続いた戦時下で、歪んだ生活習慣や性癖が身体に染み込み結晶したようなキャラの狂気が暴走する航天要塞のエピソードなどは、そのまま放送出来なかったのかもしれません。
分割２期で秋からの続編の放送が決まっていて、遺体収集の旅はまだまだ続きますが、先入観にとらわれずに最初だけでも視聴して判断して欲しいです。

自動改札がなかった頃、駅の改札口には神技のような切符切りの駅員さんがおられました。
ワープロがなかった頃は、高価で大きな和文タイプの機械が活躍していて、家庭に入ってもずっと仕事が続けられると信じられていました。
始まりがあれば終わりもあります。役目を終え消えていくものがあるのは当たり前な事ですが、不慣れな部署や窓際に追いやられたりしても、家族のために新しい事にチャレンジする人たちにエールを送りたいと思います。