にゃっき♪ さんの感想・評価
4.7
物語 : 5.0
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
there's always someone who's got more
高校生の卓球を題材にした群像劇です。超人プレーなどの派手な演出はありません。
月本 誠(スマイル)にとって、いつも星野 裕(ペコ)はヒーローでした。
幼馴染のペコとスマイルが中心ですが、周囲を取り巻くキャラの心情も丁寧に描かれ、魅力のないキャラを探す方が難しいと思われます。
幼い時からのライバルの佐久間学(アクマ)や、代表チームを外されで日本にやって来た中国留学生の孔 文革(チャイナ)。そして最強伝説を積み上げながら常勝を義務づけられ、試合前にはトイレに籠る風間竜一(ドラゴン)。
壁にぶつかる時は誰にでもやってきますし、再起するのに時間がかかるときもありますが、敗者の再起に至る過程や、新たな道を探すまでの心の成長には胸を熱くさせられました。
スマイルのコーチの小泉(バタフライジョー)やタムラ卓球場のオババなど、オトナが驚くほど生き生きと描かれていますし、チャイナには中国語の声優さんを使っていたのも好感が持てました。
キャラデザは最近の主流とはかけ離れていて、慣れるまでに時間がかかるかもしれませんし、老女萌えのような特殊な嗜好の方ならともかく、萌えキャラは皆無に等しいです。原作当時からはルール変更もありますし、ニュアンスが変わってしまう納得のいかない改変もありますが、原作に対するスタッフの愛情を感じさせてくれる仕事で、原作ファンも必ず満足できるレベルだと思います。
持って生まれたものを才能と呼ぶなら、陸上で言うなら短距離は才能、長距離は努力というように、分野によってどちらが重要かは違っていると思います。
ただ、努力しているつもりで我慢しているだけの方も多いのではないでしょうか。
努力とは集中する事です。時間があっという間に過ぎていきます。
我慢は自分の続けている事への不信感を伴うのが特長で、自分自身を高める修行と考えたりする事で不信感を払拭して努力に転換しなければ、遅かれ早かれ破綻するのが必然です。自分にとって楽しい事、面白い事になれば、続けるのに我慢など必要ありません。
何をするにも動機は必要です。将来、自分がやりたい事を明確にして、そこに続く階段を登っている事を盲信したり、ひとつの事に全力を傾けられる自分に酔いしれるぐらいで丁度いいように思います。自己完結している動機なら申し分ないのですが、他人より能力がある事を褒められたり、他人に勝つことが嬉しかったりするのが入口でも構わないでしょう。
でも、報酬が目当ての動機づけはあまりお薦めできないですね。子供に欲しいものを買い与える事を条件に学習意欲を煽って、勉強する事は手段という位置づけが出来てしまうと、学習そのものに魅力や喜びを発見する事が困難になるのは間違いないと思われます。
余談
カラオケシーンで浜田省吾が流れたのには不意を突かれ勝手に涙が^^