だわさ さんの感想・評価
4.3
物語 : 5.0
作画 : 4.5
声優 : 3.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
愛してるぜペコ。【ブラジルW杯関連主観ネタ追記】
ノイタミナ枠全11話
松本大洋の漫画代表作原作。
それぞれの登場人物が大人の階段を上る過程で経験する苦悩や葛藤を
卓球を通して描き、その青春の1コマに感動するアニメ。
癖のある絵は苦手な人もいるが、
輪郭の抽象的な絵は脳内でのイメージ補正を誘導する効果があると思うので、
活字メディアが得意な人はむしろこういう作風の方が印象的なので入り込み易いかも知れない。
高校運動部を題材にした作品の中でも好きな作品なので、ぜひ見て欲しい。
コンテンツの個人評価的には、漫画>アニメ>映画。
才能賛美作品という人もいるが、俺は全く違うと思っている。
才能ってのは、そんな簡単なもんじゃねーと思うのよ俺は。
最大限に努力をした人間の中で、才能がある人間が勝つというのは、少し雑だと思う。
少なくともある程度インハイ予選で勝てるような人間においてはそうだろう。
だいたい一言で才能なんて言うけどさ、才能ってなんなん?
卓球にしたって、体力、精神力、コンディション、ラケット操作、作戦、戦型、タッチセンス…
その他もろもろの要素が全部才能という言葉の範疇になる気がする。
この作品、作中で才能という言葉が頻繁に飛び交ってるんだけど、
自分で自分の才能を確信してる登場人物は実はいない。
「誰かが勝てる理由を才能という抽象的な一言で片付ける人間は、結局戦場の外の人間にしかなれない」
ということを感じるのは俺だけじゃないんじゃないかな。
そんな中、
人から才能があると言われたり、思われることで、自分の才能を信じ抜くことをおそれているという
設定の主人公の成長の描き方の見事なこと。
自分の才能を最後まで信じ抜くことがどれだけ難しいことか。
あえて才能の有無の話をするなら、自分を信じ抜くことができることこそ才能なんじゃないだろうか。
そのへんのことを、熱い青春友情劇とからめて描いてるから俺はこの作品が好き。
同じスポーツ長くやってるとさ、
自分に才能が無いことを認めることも、自分の才能を信じ抜くことも難しい。
その両方のパターンの描き方がどっちも好きなんだよね。この作品。
明確な比較対照描写が多くて心理考察を促してくれるから、
熱いシーンでちゃんと熱くなれます。
正直アニメ仕様のオリ改変についてはいくつかは気に入らないものもあったけど、
よくこの絵を動かしてくれたもんだと思う。
中でもOPの作画センスがものすごく好きだ。
特に、OPの最後、ペコが風船ガムクッチャクッチャやってるとこねw
【ブラジルW杯日本代表とヒーローについて個人的な主観による感想追記6月26日】
ブラジルW杯、日本代表の予選敗退が確定したコロンビア戦、内田が試合後のインタビューで、
4年後のロシアW杯までに日本は何を高めるべきかという質問に対して、
「もちろん、今のサッカーをしている高校生とか小学生はうまいですけど、『ここ』っていうところでヒーローになれる選手は出てきて欲しいです」と語った件についてちょっと思ったことを勝手に追記しておきたい。
↓さて、こっから以下俺のヒーロー雑談
ピンポンがちょうど「ヒーロー」についての物語だったので、ヒーローつながりでいろいろ考えてしまった。
日本の惨敗は本当に残念だった。だがそれ以上に残念だったのが試合後の話。
一次予選敗退の結果を受けて日本国民は本田が大口叩いてただけかとか言い、
セルジオ越後の「日本の実力はこんなもんでマスコミがはやしたててただけ」というコメントに納得し、
監督が采配ミスを認めたとかどうとか責任の所在探しをしてる。
まじだっせーわ。実力不足じゃ期待して応援しちゃいけねーの?
こいつらが上手だろうが下手だろうが必死こいて期待して応援してやる器はねーのかよ日本人。
…選手はみんな頑張ってたと思う。
日本に足りなかったものは、うっちーの言ってる通り、ヒーローなのかなーとサッカー素人の俺は思うんだけど、
ここでピンポンのヒーローとリンクするわけですよ。
ヒーローとは大事な時に点取る人っていう単純な存在ではなく、
本番ここっていうときに、予想のななめ上を越えてブッ飛んだことをやらかしてくれる存在だと思うわけで。
それも無邪気にはしゃいで派手にやらかしてくれるような自信のみなぎった存在。
それがヒーローなんじゃないだろうか。無論、それで点が入りゃあ文句はないけどね。
そういうヒーローの姿を見るときっと感じると思うんだよね。
「サッカーって、すんげえ面白いのな!」と。
そういうのが、夢を見せるってことなんじゃないのかと思うわけで。
日本のサッカーを見て、「もっと勝ちたい!」を超えて、「もっと日本のサッカーの試合を見ていたい!」
って思わせてくれるのがヒーローなんじゃないだろうか。
そういうことだよなうっちー!きっとそうだよなペコ!
ヒーロー見参!ヒーロー見参!ヒーロー見参!