ワタ さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
自分と他人を比べて堕ちていく
スポーツもの(スポ根)は勝者と敗者が明確に色分けされてしまうという意味で
最も残酷なジャンルと言える。
数多くの敗者の屍が積み上げられ、その頂に勝者は君臨する。
大抵の場合、スポットが当てられるのは勝者側(主人公)であり
敗者はそれなりにフォローが入っておしまい、というパターンがほとんどだ。
この作品は、敗者側に、よりスポットを当てた作品と言える。
勝者と敗者を隔てるものは、つまるところ才能の壁である。
しかしこの作品は「所詮は才能」と当たり前のことをドヤ顔でかますわけではないし
かと言って、己の限界に打ちひしがれる者に変にフォローを入れて慰めたりもしない。
敗れたことをきっかけに、自己の才能に折り合いをつけて、新たな道を模索する姿。
それが本作で最も印象的で、心打たれてしまったところ。
敗者の「その後の人生」にまで深く踏み込む作品は貴重だと思うし、
敗者のみならず、才能あるが故の勝者の苦悩も描かれるところが素晴らしい。
卓球シーンの躍動感溢れる作画も見所の一つだけど
メインは卓球を通じての精神的成長・交錯する人間模様。
やはり本作はスポ根というよりも青春群像劇の面が色濃く出ていると思う。
不満点も多々あって・・・
たとえば、漫画のコマ割りみたいな演出多用しすぎなんじゃないの?とか
最終話の「手のひらを太陽に」がくどく感じてしまったりとか。
あとチャイナのエピローグ。
チャイナというキャラの役割が最後の最後で変わってしまったことで
作品テーマ自体がブレてしまったように思えた。
そんなこんなで不満はありつつも、ここ数年のノイタミナ作品では最も楽しめました。