三崎鳴 さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 5.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
運命に手招きされさまよう明日は
『あの花』『花いろ』『凪あす』等の作品で知られる岡田麿里脚本のオリジナルカードゲームアニメ。カードゲームも実在しており、アニメ版はそちらの宣伝も兼ねているのだが、ストーリーではカード対戦の場面を強調せず、ドラマ性を強めに描いている。作画面では暈しを効かせた暗めの色調を押し出しており、不穏な音楽と共に脆い雰囲気を演出している。肝心のストーリーは『ブラック★ロックシューター』や『魔法少女まどか☆マギカ』を彷彿とさせる点が多く、展開を見る限りではおそらくまどマギは意識されているだろう。岡田脚本お馴染みのヒステリック女子と緊張感あるゲームシステムの相乗効果が、最近流行りの所謂「欝アニメ」としての位置を確立させている。ここから先はネタバレを承知の上で本筋に触れる。ゲームとしては、セレクターとしてゲームに参戦した少女達とルリグと呼ばれる存在との契約で自らの願いを叶えるという目的を主軸に、条件の成立と数回の勝利で願いの成就、3回敗北を喫すれば願いは反転・記憶も喪失する、というもの。しかし条件を満たした上の数回の勝利で願いを成就させた場合、その願いをかなえるのはセレクター本人ではなく、ルリグであり、又、魂は反転し、セレクターの少女は他のセレクターのルリグとして再びこの世界に飲み込まれる。分割2クールの前半である本作、5人のセレクターを主軸に話を展開したが、それぞれの運命は結局たどり着くべきところにたどり着く、つまりは予定調和であり、これはルリグとwixossという存在の有無に関わらず本人の行動の範疇にあった。しかし予定調和というところに落ち着きながらもそこには更にマイナス面の要素が加わっている。これが“運命に手招きされ彷徨う”と言う事であり、岡田なりの皮肉の描き方ではないか。汲み取れるテーマは「他力本願、よくない。運命は自分の力で掴み取れ」ってところか。2014年秋から放送される2期が期待される。