三崎鳴 さんの感想・評価
4.7
物語 : 5.0
作画 : 4.0
声優 : 5.0
音楽 : 4.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
オイラ世界にたった一人だよ いつも世界にたった一人だよ
松本大洋作漫画『ピンポン』を原作としたアニメーション作品。卓球を題材としたスポ根漫画だが、そこには敗北、決意、決別、努力、才能、など描かれるべき要素が全て凝縮されていて、短いながら非常に中身の濃い作品である。作画は原作絵をそのまま動かしたようであり、『悪の華』のように人を選びやすいが、これはこれで味があって良いのではないか。個人的にはスポ根ものというと展開の型が決まっている上に全体的に冗長で間延びしてる部分が多いようであまり好かない(先入観で語ってしまいスポ根好きには申し訳ないと思う)のだが、本作は展開の速さもさることながら、無愛想でめったに笑わない冷血主人公をメインにおいている所から、「一味違う」感じがするのだ。又、登場人物それぞれのキャラが基盤からしっかりとしているおかげで、誰が勝とうが負けようが話としては面白い。つまり、表面上の勝敗に意味を持たせず、その勝敗を経て何を思い、成長するのかという点にスポットライトを当てている。ストーリーの骨組みからキャラ造形、台詞回しまで隅々までセンスが冴え渡る本作は自分がかつて視聴してきたアニメ作品の中でもトップクラスに評価したい。死生観を扱わずに心の芯まで震え上がり、ここまで感動させられた作品は層多くない。是非、今一度、勧めたい。原作は15年以上も前の作品だが、今こそ再評価されるべき作品である。