「とある科学の超電磁砲[レールガン](TVアニメ動画)」

総合得点
90.8
感想・評価
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ランキング
48
ネタバレ

STONE さんの感想・評価

★★★★★ 4.3
物語 : 4.5 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

単なるスピンオフにはあらず

 原作は未読。
 「とある魔術の禁書目録」(以下、本編)のスピンオフという位置付けの作品だが、本編が
ストーリーを追うのに手一杯で、世界観の描写があまり無かったのに対して、こちらは
御坂 美琴を中心とした日常描写が多く描かれているため、作品舞台である学園都市とは?、
そこで暮らす生活とは?、そこに住む人の考え方は?、といった世界観がよく判り、本編に
対する補完的な作品にもなっているみたい。

 キャラに関しては御坂が主役である以上、一番目立つのは当然として、個人的に印象的
だったのは佐天 涙子。
 本編にしろ、本作にしろ主要キャラの多くが、超能力なり、魔術なりの異能を有しているのに
対して、彼女は異能を持ち合わせておらず、ある意味御坂とは対極にある存在。
 それゆえに能力のない者からの視点で見る学園都市という世界や、異能に対する憧憬など、
他のキャラにはできない描写が彼女によってなされていたように思える。
 更にそんな彼女が御坂達と友人関係を成立させていることで、学園都市といえども異能のみが
その人の価値を決めているわけではないことを象徴させるアイコンになっているように思える。
 ストーリー的にも最後の最後では、能力のないことが効を奏していたし。

 この御坂、佐天に加えて、白井 黒子と初春 飾利の4人が中心となって話が進んでいくが、
超能力に関してはレベル5の御坂、レベル4の白井、レベル1の初春、レベル0の佐天とうまい
こと棲み分けがなされている感じ。
 他の要素でも、在籍している学校だと常盤台中学の御坂・白井と柵川中学の佐天・初春、公的
機関だとジャッジメントの白井・初春と無所属の御坂・佐天と組み合わせが異なってくる。
 更に性格や属性で見ると、いじり役の白井・佐天に対して、いじられ役の御坂・初春といった
感じ。この組み合わせは前者が良くも悪くも現実的思考をしがちなのに対して、後者は理想主義
的印象もある。
 これがボケとツッコミだと、白井・初春のボケと、御坂・佐天のツッコミといった印象。
 それぞれの特性が被らず、うまいキャラ設定だなと思う。

 ストーリー展開も各事件の間に日常回を挟むことで緩急を付けているが、この日常回は単なる
箸休めに留まらず、さりげなく次の事件の伏線や関係者を登場させたりして、序章としても
うまいこと機能している。
 それぞれの事件も、序盤の超能力者によるいたずらレベルの事件から終盤のテレスティーナに
よるレベル6創造までいずれもリンクしており、2クールの1本の作品としても流れのいい構成
だなという印象。

 いずれの事件も、単に「犯罪に超能力を使いました」というものではなく、レベルを上げる
ためだったり、レベルが上がったためだったりと、超能力のレベル向上そのものが犯罪の要因に
なっているのが印象的。スキルアウト関係の事件も能力が得られないことによる自暴自棄や、
能力者に対する嫉妬が要因であるようだし。
 学園都市自体が超能力開発のために存在するような都市である以上、そこに住まう者の多くが
レベルの向上を価値あるものと考えるのは必然。
 そういう意味では、今後もレベル向上が起因する事件は続くのだろうなと思わせる。

 本編との比較だが、超能力者(いわゆる科学サイド)に絞った展開であるため、本編のような
超能力者と魔術師が混在するような設定の斬新さはないが、超能力者の描写に関しては本編より
深化している印象。
 同じ舞台を使用しながらも結構テイストが異なるのが面白い。
 それぞれに異なった魅力があるのだが、こと「お話作り」という部分に関しては本作の方が
よく出来ているなと思える。

投稿 : 2014/06/22
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サンキュー:

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