ソラ さんの感想・評価
3.7
物語 : 3.0
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
ソロ充と厨二病
ありきたりなラブコメかなと思いきや、日常の中での庶民的なえげつなさや哀愁がさりげなく漂っていておもろかった。ポイントは4、11、12話。
なんていうかソロ充学生の日常ってな感じだったよねぇ。
いわゆる一人でいても苦ではない、または一人でいることが好き、みたいなそういう意味合いで使われている言葉なんだけど。
この作品はそういう心理を持つ不特定多数の心の琴腺に触れることで成立しているのでしょう。
私も、律っちゃんみたく本を読みながら帰路を歩いたりしたことあるし、
一つのことに夢中になりすぎて時間を忘れ、数えきれないほど失敗したことがあるから、気持ちはよく分かる。理解者がいるとうれしくなっちゃうのも分かる。
でもこの子下手したら文学系厨二病みたく扱われるような気もするけど、
趣味を通して承認欲求が満たされたいわけでもなく、ただただ好きなだけなんだよね。
だから自分と趣味の合う読書仲間にミーハー読書家だと中傷された人も拒まない姿勢をちゃんと見せてるわけだし。
良質な文学少女だなと賞賛してほっこりしてしまいました。
でも人間の性ってやつで、ついつい自分はマニアとしての質が高いなと自惚れて趣味を優越感に浸る道具にしてしまうのは否定できない。無意識にやっちゃうの。
そういう俗に言う『厨二病』が良質じゃないって言ってるわけじゃなくて、厨二病の心理描写って最近フィクションで多用されまくっていて正直お腹いっぱいなんですよ。私も何かしらに厨二病だった頃はあったわけなんですけど、フィクションはまた認識が別。
・はてなワードの『キョロ充』の要約がおもろかった。
http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%AD%A5%E7%A5%ED%BD%BC
ソロ充はキョロ充の対義語みたいなもんであるけど、
作中でちゃんとキョロ充っぽいメガネの女の子が(名前忘れた。ラスト1、2話だけど)出てきたのはファインプレー。
ソロ充と一人でいることが苦痛である人間、喋るコミュ障と喋らないコミュ障とを二項対立させてるって意味で捉えてみるとなかなかおもろかった。
・・・しっかし、独身性悪女まゆみさんの例え下ネタの勢いがすごかった。
まんまアホな中高校生の日常会話だよね。
なんでもかんでも下ネタで比喩できるようプログラムされたロボットのような。
なんでかしらんが泥団子でのネタが一番印象に残ってる。泥団子であれだけ話題広げるとか恐るべし芸人魂。
学生時代のダチとかと飲みに行くと大抵一番声のボリュームが上がるのはこんな下ネタばかり…
バカな話ばっかしてたなと懐かしんでしまった…
細々としたボケとツッコミの量が多過ぎて自己処理能力がついていけない時がちらほらありはしたけど、苦ではなく逆に楽しそうな雰囲気に癒されてしまったり、
『変態処理係』ってけっこう汎用性のある名詞に感動してしまったり、
宇佐くんの妄想にツッコミ入れるのがデフォルトってのも徹底されていて、シュール過ぎて最早清々しく感じてしまったり、
シロさんのドMロボットっぷりはなんの工夫もないんだけど見ていて安心してしまったり、何かと楽しませていただいてました。多謝。
正直言っちゃうと、どっかの漫画かラノベからヘッドハンティングして再教育しました。みたいなありきたりな部分も多いんだけど、なんでか許せてしまう。キャラクターを生かす脚本の力だ。きっと。
欲張ってしまうと、キャラが酒を入れた時の描写がぬるかったのが残念。
酒が入ったら荒ぶって人格が変わったような存在になるってのはコメディものではお約束なんだろうけど、
その中でも微かに理性を持っていて、微かに計算された漫才を披露する。
いわばめぞん一刻で一刻館のメンバーが酒飲んだ時とかすげぇと思う。
激しく酔いながらも五代君だけは巧みに虐めようとするその根性。めぞん一刻の凄さを再認識した。
女性作家って人間のだらしなさとかくだらなさとか描くのうまいよね。
この作品に対してのレビューがこんなに長くなるとは思わなかった。
これぞ、一つのことに夢中になりすぎて時間を忘れてましたということなのでしょうか。