にゃっき♪ さんの感想・評価
2.7
物語 : 1.5
作画 : 3.5
声優 : 3.0
音楽 : 3.5
キャラ : 2.0
状態:観終わった
an armed pleasure boat is a battleship
舞台はエネルギー資源の枯渇が心配される近未来。
ガリレオの子孫というフェラーリ三姉妹が、ラピュタの空族を連想させるような金魚型の飛行船ガリレオ号で、ガリレオテゾロの秘密を記した月のスケッチ画を集めるために、世界中を回るバトルアドベンチャー作品です。
誰がどうやって調べたのかわかりませんが、まだ化学が確立されていない錬金術の時代のガリレオの遺産であるガリレオテゾロは、どうやらエネルギー問題を解消してくれるらしく、空族のブラック・ガニメデ団や、警察まで動かせるアドニムーン・カンパニーに狙われています。
よほど強力な腐食やカビの防止剤が施されていたとしか思えないスケッチ画は、隠し場所さえわかればあっさりと見つかるので拍子抜けでした。
引き籠って3年かけてガリレオ号をひとりで造り上げた中学生の末っ子、星月(ほづき)だけで十分なのに、何故わざわざ三姉妹にしたのか理解に苦しみます。
大学の法学部に在籍して検事志望を口にしながら、昼間から酒を飲む劣等生の長女、葉月(はづき)。
授業をサボり、保健室で隠し撮りした男の写真を眺める高校生の次女、神月(かづき)。
末っ子に比べて痛すぎる年長の二人は、風呂などのサービスシーン要員ぐらいの存在価値しかなかったように思います。母親は頭が足りないのか、すぐにガリレオの子孫を持ち出して説教しますが、自分も子孫である立場で言うべきでない台詞を口にするので、娘たちが期待で押し潰されるのも仕方がないような気にさせられますが。
何度となく折鶴を飛ばす敵キャラは子供の頃の暗いエピソードまで入れて、無慈悲で残酷な殺戮を美化して爽快感を感じさせるような描かれ方をしているのが気になりました。
どうやら安くても100万円単位のミサイルのような破壊殺傷兵器がお手軽に買える時代になってるようで、機関砲やミサイルに始まり、バトルを意識して設計されているとしか思えない仕様のガリレオ号や、銃弾をはじき武器を装備したパワードスーツなど、星月が、何故そんな物騒なものばかりを制作していたのかも意味不明です。世界征服を企んでるとか快楽殺人者なら話もわかりますが、制作意図を無視した天才発明家設定はキャラがぶれるだけかと思われます。
ファンタジーや荒唐無稽な設定を入れるのは問題ないと思いますが、作品全体の色調を損ねるものを同居させて、何を伝えたいのかがぼやけてしまったような印象です。娯楽作品なら何故娯楽に徹して、ワクワクするような冒険を楽しめる作品を制作しようとしなかったのでしょう。制作側が、社会問題を織り込むことで、作品が格調高くなるとでも信じているなら、勘違いだと早く気がついて欲しいですね。
ピンチになると助けが入ったり、謎のパワーが発動するご都合主義も鬱陶しいですし、ガリレオから連想して取ってつけたような、内容を伴わない決着もあんまりです。こんな状態でオンエアされたのが不思議なくらいで、キャラデザぐらいしか褒めるところが見つからない残念な作品でした。