ピピン林檎 さんの感想・評価
3.7
物語 : 4.5
作画 : 3.5
声優 : 3.5
音楽 : 3.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
切なさの中身が、内面的なものでないところがイマイチ。
Steins;Gateの先輩格にあたるタイムリープ系の名作アニメ(青春・恋愛もの)ということなので視聴してみました。
100分弱のプチ長編でありながら、最初から最後までほとんど無駄なシーンがなく、また思わず息を呑む緊迫シーンもバランスよく散りばめられていて、全編飽きずに見入ってしまいました(従ってストーリーは90点の高評価とします)。
ただ、全く個人的な感想に過ぎませんが、どうも主人公の女子高生が苦手なタイプで、最初から最後まで感情移入できませんでした(そこが全体の評価を低くつけた原因)。
つまり自分の感想を一言でいえば、物語は凄く良かったけど個人的にキャラが苦手だった、ということになるのでしょう。
このアニメって、確かに主人公の女子高生にとって、嬉しかったり悲しかったりするイベントが次々発生し、それを通して主人公が、それまで知らなかった色々な感情を経験し、その中にはメインデッシュとしての「切ない恋心」もアニメ制作者の意図通りに確り描き出されているのだけれど、それでは自分は一体何が不満だったんだろう?
おそらく、それは主人公の「切なさ」の中身が、ほぼ外傷的なものに限定されていて、内面的に傷ついているようには余り見えなかったからでしょう(=experienceとしての傷にしか見えないということ)。
本当に哀しい・切ない物語とは、主人公が悲劇的な外的状況に遭遇して嘆き悲しむ話しではなくて、彼ないし彼女が「自己の全身全霊をかけた想いの一切が、この世界において無に帰してしまう、のみならず、その理由を決して外部に転嫁できない」ということに内面的に気づかされる話しではないか、と個人的には思っており、おそらく、その点がこのアニメが自分にとってストーリー的には高評価しながらも、イマイチに感じてしまった理由ではないか思います。
しかし、私のこのような感想も、このアニメが十分に中身のある作品であり、従って私も十分に集中して視聴できたからこそ出てきたものと思うので、やはり一度は視聴する価値のある青春アニメの名作だと思います。