29号 さんの感想・評価
3.7
物語 : 5.0
作画 : 2.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
素晴らしい作品ではありますが……。
原作は「黒い家」や「悪の教典」の作者貴志祐介氏の同名小説。
08年第29回日本SF大賞受賞作品。
全25話。
原作未読です。
キャッチコピーは「偽りの神に抗え」
良く出来たキャッチコピーです。
アニメーション制作はA-1Pictures。
さすが有名作家さんの小説が原作だけあってストーリーや設定、世界観はかなり緻密です。
よくこんなストーリーを書けたなぁって思います…正直怖いです。
内容は
{netabare}
物語の舞台は現代(21世紀)から1000年後の日本。
ヒトが呪力(じゅりょく)と呼ばれる超能力のような力を身につけた世界。
1話-7話が12歳
8話-16話が14歳
17話-25話が26歳
以上のような構成です。
物語は3つに分かれていますが、全て内容は繋がっていますのでメインテーマはブレず途中でストーリーが破綻したりはしません。
ただ、中盤あたりまでスローテンポで説明不足感は否めませんし、途中でダレてきます。
しかし、それを補うだけの伏線の張り方や回収の仕方が秀逸です。
1ラウンドから受け続けたボディブローがジワジワ効いてきて、終盤一気にラッシュって感じで進みます。
根気良く見続ける事によって点が線になり全てが繋がっていきます。
ストーリーの良さはもちろんですが、アニメーションの方もなかなか凝った作りになってます。映像の見せ方や効果的に音を使った演出が好きです。恐怖や臨場感を際立たせていると思います。
そして個人的に1番気に入っているのが各話のサブタイトルのテロップです。
普通の時もありますが、なかなか工夫がされていますのでそこも気にしながら見ていただきたいです。
声優陣も安定しています。
ヒロインは種田梨沙さん
主人公は梶裕貴さん
など他多数。
1番はやっぱり浪川大輔さん。
イケメンヴォイスはなりを潜めてますが、圧巻の演技です。
ここまで良い事を書いてきましたが、ここからは悪い点を。
まず作画が残念です…。
アニメーションの演出などは良いのですが、作画が終始安定しておらず、顔が薄っぺらく見えたり、引いた時の顔なんか適当な感じがします。
見せ方や表現の仕方は良いのに作画が安定してないのは本当に勿体無いです。
そして何より1番好みでないのは、この作品そのものの内容です。
好き嫌いがはっきりと分かれると思います。
確かにストーリーや設定、世界観が素晴らしいのは異論ありませんが、視聴を終えての感想は色んな意味でグロく不快で後味が悪い作品です。
最終回は感動したという感想をよく見かけますが、私は素直に感動出来ませんでした。
正しい事とは何なのか?
間違っている事とは何なのか?
正義とは何なのか?
悪とは何なのか?
ヒトとは何なのか?
この作品の本質はかなり深く難しいですね。
そして本当に恐ろしいのは「ヒト」であると感じさせられる作品です。
{/netabare}
ストーリー性や完成度の高さはかなりのものと思いますし、いち作品としての評価も高いですが、個人的に他の方には積極的にはオススメしません。
素晴らしい作品ではありますが、好きか嫌いかで言えば私は嫌いです。