無毒蠍 さんの感想・評価
3.6
物語 : 3.5
作画 : 3.5
声優 : 3.5
音楽 : 4.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
ディズニーが贈る久方ぶりの手描きアニメーション。ディズニーがつくりだす雰囲気とジャズ音楽の陽気さがマッチして楽しく視聴できました。ハートフルフロッグラブストーリーの良作!
久しぶりの手描きアニメーションですがその存在感は健在の一言。
日本の手描きアニメーションとはまた違った魅力があり、
楽しさを全面に出すかのような鮮やかな色彩に派手な動きはとてもアメリカらしいですね。
最近では海外でも日本の作風を参考にするクリエイターがいたりしますが
こういうのは文化の一つとも言えるし維持していってほしいと思います。
ディズニー作品と言えばしつこいようですが「愛」をテーマにしており、
もちろん本作でもそうなのですが今回はディズニー初のアフリカ系ヒロインなんですよ。
端的に言えば黒人なのです、黒人と聞くと荒々しい印象をもつかたもいるかもしれませんが
この作品のヒロインであるティアナは亡き父親の想いを継ぎコツコツ資金を貯め、
自分のレストランを出すという夢を持った女性です。
そのために友達からの誘いをも断り働く毎日を過ごしている応援したくなる女性です。
そのティアナと対になるキャラクターとして描かれているのがマルドニアの王子ナヴィーン。
頑張り屋のティアナとは対照的に典型的な金持ちのボンボンという感じで
これまでのディズニー作品の王子様と比較するとあまりにも残念な男性です。
歌って踊って楽器を奏でて女の子と楽しく遊べればI'm so Happy!
そんな放蕩王子がドクター・ファシリエ(影の男)にそそのかされ、
魔法をかけられカエルにされてしまうのです。
カエルになったナヴィーンがティアナと出会い元の姿に戻るためにキスをしてもらうのですが
元に戻るどころかティアナまでカエルになってしまうのです。
ここからティアナとナヴィーンのカエル珍道中が始まり、
道中様々な経験や出会いを経て正反対だった二人の距離が縮まっていく、
ストレートに愛を表現した作品になっています。
王子とは名ばかりで親に勘当され一文無しのナヴィーンと店を出す資金もないティアラ。
なんだかんだいがみ合いつつも二人に共通して必要なのはお金なんですよね、
そんな二人が本当に必要なもの、
欲しかったものに気がついたとき物語はハッピーエンドへと動き出します。
ディズニーお得意のキスで目覚めるというような展開を逆手にとったお話は面白いです。
キスしてヒロインまでカエルになっちゃうとは迷惑以外のなにものでもないですね(笑)
二人で旅をしている途中でワニのルイスやホタルのレイという気のいい仲間が参加し、
作品の陽気さに磨きがかかるのも大きな魅力の一つです。
特にレイの魅力は大きいですね、初登場時は少し胡散臭さを感じましたが
観終わって見れば作中で彼の果たしてくれた役割というのは
とても大きかったんだなぁ、と実感させられます。
カエルにされた人間の二人旅と聞くと絶望的で暗い印象というか、
実際そんなことになったら絶望するしかないでしょうがさすがディズニー!
どんな絶望的な状況でも陽気さは失っておらず、むしろ登場人物たちのたくましさが際立ってました。
そんな状況のなか距離を縮めていく二人ですが元の姿に戻るためにはプリンセスのキスが必要で
それはティアナではなかったのです…プリンセスはティアナの友人のシャーロットでお金もあります。
ナヴィーンはそもそもシャーロットと結婚して手っ取り早くお金を得ようと考えていたのですが
ティアナと過ごすうちに本当の愛に気がついていきます、ナヴィーンはとある人物に
「お前に必要なものは我慢だ」と言われるのですが彼は一番我慢したくないであろう
ティアナに想いを告げることを我慢するのです、ここが個人的に一番ナヴィーンの成長というか
変化を感じれた部分ですね、それまで我慢をしたことのなかったナヴィーンが
本当に好きなティアナよりシャーロットとの結婚を選んだ瞬間なのです。
それもすべてはシャーロットとキスをしてティアナを人間に戻し、
レストランの資金を援助してあげるため…
好きな人を救うために好きじゃない人と結婚する決意をしたラヴィーンは
カエルのなかのカエルだと思いました。
そんな彼の想いを知りキスしてほしくないと本音を口にするティアナ。
ナヴィーンに必要だったのが「我慢」なら
ティアナに必要だったのは「我慢しない=放蕩」ということだったのかもしれません。
目先のことにとらわれレストランを出すことにこだわっていたティアナですが
そもそもなぜ父親はレストランを出したかったのか?なぜ料理をつくるのか?
なぜ毎日働き続けても笑顔でいられたのか?
そこに気がついたときティアナは本当に大切なものを手にします。
最初から最後まで対照的な二人ですが想いは同じ。
二人でカエルのまま生きていくことを決意し結婚式を挙げキスをします。
そしてキスした瞬間にまばゆい光に包まれ二人は人間に戻りハッピーエンド!
二人で歌って踊って音楽を奏でレストランを出したりして、
二人の願いが凝縮されたかのような終わりでこれぞハッピーエンドという感じでした。
変化球を狙うことのある作品が増えてきたなか、それでも王道はやはりハッピーエンドですよね。
観終わった後に気持ちよくなれる作品は好きです。
悪役以外いやなキャラクターがいないというのも作品の魅力です。
王子との結婚しプリンセスになることを夢見ていたシャーロットですが
ナヴィーンとティアナを気持ちよく祝福してくれて本当にいいキャラでした。
彼女ならいつか幸せな結婚が出来そうな気がします…たぶん?w
プリンセスと魔法のキスというタイトルから女性向けの作品をイメージしていたのですが
男性も問題なく楽しめると思います、
個人的にディズニー作品の中でも結構好きな作品です。
派手なアクションとかはないですが
ストレートなロマンティックラブストーリーになっているので万人受けしそうな作品に感じました。
【A80点】